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相次相続控除とは?10年以内に2回相続が続いたときの控除額と計算例

2026-07-04
目次

親を相次いで亡くしたとき、多くのご遺族が「短い期間に2回も相続税を払うのは負担が大きすぎるのではないか」と不安を抱えます。実は税制には、10年以内に相続が続いたときの二重の負担をやわらげる相次相続控除という仕組みがあります。この記事では、制度の概要から適用要件、控除額の計算方法、具体的な計算例までを、公的な根拠にもとづいてやさしく解説します。

相次相続控除の概要

相次相続控除とは、今回の相続開始前10年以内に、今回亡くなった被相続人自身が相続などで財産を取得して相続税を納めていた場合に、今回の相続税額から一定額を差し引ける制度です。短い期間に相続が重なると、同じ財産に実質的に二重の相続税がかかってしまうため、その負担を調整する目的で設けられています[国税庁 No.4168 相次相続控除]

たとえば、父が亡くなって母が相続し相続税を納めた後、数年のうちに母も亡くなったようなケースが典型例です。この2回目(今回)の相続で、母が納めた相続税の一部を、子どもたちの相続税から控除できます。制度の根拠は[e-Gov法令検索 相続税法第20条]に定められています。

控除される金額は、前回の相続で課された相続税額をもとに、前回から今回までの経過年数に応じて1年あたり10パーセントずつ減額した金額です。相続が続いた間隔が短いほど控除額は大きくなり、10年を超えると控除は受けられません[国税庁 No.4168 相次相続控除]

相次相続控除の適用要件

相次相続控除を受けられるのは、次の3つの要件をすべて満たす人です。ひとつでも欠けると適用されないため、まずご自身の状況が当てはまるか確認しましょう[国税庁 No.4168 相次相続控除]

相続人であること 今回の相続で財産を取得する人が、被相続人の相続人であること。相続を放棄した人や相続権を失った人は、たとえ遺贈で財産を受け取っても対象外です。
10年以内の
前回相続
今回の相続開始前10年以内に開始した相続によって、今回の被相続人が財産を取得していること。
前回相続で
課税されたこと
その前回の相続で取得した財産について、今回の被相続人に相続税が課税されていたこと。

ポイントは、前回の相続で今回の被相続人が実際に相続税を納めている必要があることです。前回の相続で配偶者の税額軽減などにより相続税がゼロだった場合には、控除のもとになる税額がないため、相次相続控除は適用されません[国税庁 No.4168 相次相続控除]

控除額の計算式

各相続人の相次相続控除額は、次の算式で計算します。少し複雑に見えますが、記号の意味を押さえれば順番に当てはめるだけです[国税庁 No.4168 相次相続控除]

A × C ÷ (B − C) × D ÷ C × (10 − E) ÷ 10 = 各相続人の相次相続控除額

なお、算式中の「C ÷ (B − C)」の部分は、計算の結果が100パーセントを超えるときは100パーセントとして計算します。各記号の意味は次のとおりです[国税庁 No.4168 相次相続控除]

A 今回の被相続人が前回の相続の際に課された相続税額(相続時精算課税分の贈与税額控除後の金額。延滞税・利子税・加算税や納税猶予で免除された税額は含みません)
B 今回の被相続人が前回の相続の際に取得した純資産価額(取得財産の価額+相続時精算課税適用財産の価額−債務および葬式費用の金額)
C 今回の相続で財産を取得したすべての人の純資産価額の合計額
D 今回のその相続人の純資産価額
E 前回の相続から今回の相続までの経過年数(1年未満の期間は切り捨て)

この式のうち「(10 − E) ÷ 10」が、経過年数に応じて1年あたり10パーセントずつ控除額を減らす部分です。前回の相続から今回までの期間が長いほど控除額は小さくなります[国税庁 No.4168 相次相続控除]

具体的な計算例

言葉だけではイメージしづらいので、実際の金額を当てはめて計算してみます。次のような家族を例にします。

  • 数年前に父が死亡し、母が相続した際に、母は相続税300万円(A)を納めた
  • そのとき母が取得した純資産価額は6,000万円(B)だった
  • 今回、母が死亡し、子2人(長男・長女)が全財産を相続した
  • 今回の相続財産の純資産価額の合計は5,000万円(C)、長男の取得分は3,000万円(D)
  • 父の相続から母の相続までの経過年数は3年(E)

まず、算式の前半「A × C ÷ (B − C)」を確認します。C ÷ (B − C)は5,000万円 ÷ (6,000万円 − 5,000万円)=5.0となり、100パーセント(1.0)を超えるため、ここは1.0として計算します。したがってA × 1.0=300万円です。

A 300万円 × 1.0(C ÷ (B − C)は100%を超えるため1.0) = 300万円

次に、この300万円を今回の各相続人の取得割合(D ÷ C)と経過年数の要素で調整します。長男の控除額は次のとおりです。

300万円 × (D 3,000万円 ÷ C 5,000万円) = 180万円
180万円 × (10 − E 3) ÷ 10 = 126万円

この結果、長男は今回の相続税額から126万円を控除できます。同じように、残る2,000万円分を取得した長女は、300万円 × (2,000万円 ÷ 5,000万円) × (10 − 3) ÷ 10=84万円が控除額となります。経過年数が短いほど、この控除の効果は大きくなります[国税庁 No.4168 相次相続控除]

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対象になる人・ならない人

相次相続控除は、対象者が相続人に限定されている点に注意が必要です。誰でも受けられるわけではなく、次のように対象になる人とならない人がはっきり分かれます[国税庁 No.4168 相次相続控除]

対象になる人 対象にならない人
今回の相続で財産を取得した相続人 相続を放棄した人(遺贈で財産を取得しても不可)
前回の相続で被相続人が相続税を納めていた場合の相続人 相続権を失った人(欠格・廃除に該当する人)
前回の相続から10年以内に今回の相続が開始した場合の相続人 相続人ではなく遺贈だけで財産を受け取った人

また、前回の相続から今回の相続まで10年を超えている場合や、前回の相続で今回の被相続人に相続税が課されていなかった場合も、控除は受けられません。前回の相続で相続税を納めた記録(申告書の控えなど)が残っているかどうかが、判断の出発点になります[国税庁 No.4168 相次相続控除]

申告方法

相次相続控除を受けるには、相続税の申告書に必要事項を記載して提出します。控除額の計算には、相続税申告書の第7表(相次相続控除額の計算書)を使い、そこで算出した金額を申告書本表に反映させます[国税庁 No.4168 相次相続控除]

相続税の申告と納税の期限は、相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内です。相次相続控除を適用した結果、納める相続税がゼロになる場合でも、控除を受けるためには申告が必要になることがあるため、期限内の手続きを心がけましょう。前回の相続の申告書の控えや納付書は、控除額の計算に欠かせない資料になります[国税庁 No.4168 相次相続控除]

よくある誤解

相次相続控除は仕組みがやや複雑なため、次のような思い違いが起こりがちです。適用漏れや取り違えを防ぐために、代表的な誤解を整理します[国税庁 No.4168 相次相続控除]

  • 「前回の相続税が全額そのまま戻る」わけではありません。控除額は経過年数に応じて1年あたり10パーセントずつ減額されるため、前回納めた税額の一部にとどまります。
  • 「相続を放棄しても遺贈で財産を受け取れば使える」わけではありません。放棄した人は、たとえ遺贈で財産を取得しても対象外です。
  • 「前回の相続で相続税がゼロでも使える」わけではありません。前回の相続で被相続人に相続税が課されていることが要件です。
  • 「10年ちょうどでも使える」とは限りません。経過年数は1年未満を切り捨てて計算し、10年を超えると控除はありません。

具体的なケースは税理士へのご相談をおすすめします。

まとめ

相次相続控除は、10年以内に相続が2回続いたときの相続税の二重負担をやわらげる制度です。今回の被相続人が前回の相続で相続税を納めていることなどの要件を満たせば、経過年数に応じて減額した金額を今回の相続税から控除できます[国税庁 No.4168 相次相続控除]

適用の可否は、前回の相続の課税状況や経過年数、財産の取得割合によって変わります。前回の申告書の控えを手元に用意し、要件と計算式を一つずつ確認することが、控除を確実に受けるための第一歩です。判断に迷うときは、早めに専門家へ相談すると安心です。

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参考文献

相次相続控除のよくある質問まとめ

Q.相次相続控除とはどのような制度ですか。

A.今回の相続開始前10年以内に、今回の被相続人が相続などで財産を取得して相続税を納めていた場合に、今回の相続税額から一定額を控除できる制度です。短期間に相続が続いたときの二重の負担をやわらげる目的で設けられています。

Q.相次相続控除は誰でも受けられますか。

A.対象は今回の相続で財産を取得した相続人に限られます。相続を放棄した人や相続権を失った人は、遺贈で財産を受け取っても対象外です。

Q.前回の相続で相続税がかからなかった場合も適用されますか。

A.適用されません。今回の被相続人が前回の相続で相続税を課されていることが要件のため、配偶者の税額軽減などで前回の相続税がゼロだった場合は控除のもとになる税額がなく、適用できません。

Q.控除額はどのように決まりますか。

A.前回の相続で課された相続税額をもとに、前回から今回までの経過年数に応じて1年あたり10パーセントずつ減額した金額です。経過年数が短いほど控除額は大きくなります。

Q.経過年数はどのように数えますか。

A.前回の相続の開始から今回の相続の開始までの期間で数え、1年未満の期間は切り捨てます。10年を超えると相次相続控除は受けられません。

Q.申告ではどの書類を使いますか。

A.相続税申告書の第7表(相次相続控除額の計算書)で控除額を計算し、その金額を申告書に反映させます。前回の相続の申告書の控えが計算に必要になります。

事務所概要
社名
税理士法人プライムパートナーズ
住所
〒107-0052
東京都港区赤坂5丁目2−33
IsaI AkasakA 17階
対応責任者
税理士 島本 雅史

本記事は正確な情報提供を心掛けておりますが、執筆時点の情報に基づいているため、法改正や人的ミス、個別のケースにより適用が異なる可能性があります。最新の情報や具体的なご相談については、お気軽に弊法人の税理士までお問い合わせください。

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