税理士法人プライムパートナーズ

令和8年度税制改正 公的年金等の雑所得控除の見直しを解説

2026-08-20
目次

令和8年度税制改正の大綱では、公的年金と給与の両方を受け取っている方に関わる見直しが盛り込まれました。給与所得控除額と公的年金等控除額の合計が一定額を超える場合に、公的年金等控除額が調整される仕組みです。年金だけで暮らしている方には直接関係しない内容ですが、退職後も働きながら年金を受け取る方にとっては、手取りに影響する可能性があります。ここでは改正の背景から対象になる方、現行と改正後の違い、適用時期、実務上の注意点までをやさしく整理します。

公的年金等の雑所得に関する見直しの概要

令和8年度税制改正の大綱では、公的年金等に係る雑所得について次の見直しが行われます。給与等の収入金額と公的年金等の収入金額の両方がある方について、その年分の給与所得控除額と公的年金等控除額の合計額が280万円を超える場合には、その超える部分の金額を公的年金等控除額から差し引くという内容です。財務省 令和8年度税制改正の大綱(1/9)

そもそもの前提となる2つの控除

公的年金等を受け取ると、その収入は雑所得として扱われ、収入金額から公的年金等控除額を差し引いて所得金額を計算します。国税庁 No.1600 公的年金等の課税関係一方、給与を受け取ると、その収入は給与所得となり、収入金額から給与所得控除額を差し引いて所得金額を計算します。国税庁 No.1410 給与所得控除今回の見直しは、この2つの控除を別々に受けている方に関係します。

雑所得としての位置づけ

公的年金等以外の年金や副業などの所得も雑所得に含まれますが、公的年金等は専用の控除が設けられている点が特徴です。国税庁 No.1500 雑所得

見直しの背景

給与所得控除と公的年金等控除は、それぞれ別の制度として設けられています。そのため、給与と公的年金の両方を受け取る方は、2つの控除をそれぞれ満額に近い形で受けられる場合があります。働きながら年金を受け取る方が増えるなかで、この控除の重複により、収入の性質が近い方の間で税負担のバランスに差が生じるという課題が意識されてきました。今回の見直しは、こうした控除額の合計が過大にならないよう調整する趣旨のものです。

対象になる方

この見直しの対象は、同じ年に給与と公的年金等の両方の収入がある方のうち、給与所得控除額と公的年金等控除額の合計額が280万円を超える方です。年金のみを受け取っている方や、給与のみの方は、この調整の対象にはなりません。

対象になりやすいケース

定年後も再雇用や嘱託などで一定の給与を得ながら、老齢年金も受け取っている方が典型例です。給与と年金のいずれの収入も相応にある場合、2つの控除額の合計が280万円の基準を超えやすくなります。

影響を受けにくいケース

公的年金等のみで生活している方、または給与のみの方は、控除が重複しないため、この調整による影響は生じません。給与と年金の両方があっても、控除額の合計が280万円以下にとどまる場合は対象外です。

現行と改正後の違い

現行制度では、給与所得控除と公的年金等控除は互いに独立して計算され、合計額に上限は設けられていません。改正後は、2つの控除額の合計が280万円を超える部分について、公的年金等控除額の側から差し引く調整が入ります。

項目 取扱い
現行 給与所得控除と公的年金等控除を
それぞれ計算し合計に上限なし
改正後 2つの控除額の合計が280万円を
超える部分を公的年金等控除額から控除

調整のイメージ

控除額の合計が280万円を超えた場合、その超過分だけ公的年金等控除額が減り、結果として公的年金等に係る雑所得が増えます。考え方は次のとおりです。

超過額 = (給与所得控除額 + 公的年金等控除額) – 280万円
調整後の公的年金等控除額 = 公的年金等控除額 – 超過額

具体的な控除額はご自身の給与と年金の収入金額によって異なりますので、正確な金額は個別に確認が必要です。

適用時期

この見直しは、大綱において令和9年分以後の所得税について適用するとされています。あわせて、公的年金等に係る源泉徴収税額の見直し等の所要の措置が講じられ、源泉徴収については令和9年1月1日以後に支払われる公的年金等について適用されます。令和8年分までの申告には影響しません。

実務上の注意点

制度の細目は今後の法令等で明らかにされる部分もあるため、確定した内容として断定できる点と、続報を待つべき点を分けて捉えることが大切です。

手取りへの影響の確認

給与と年金の両方を受け取る予定の方は、控除額の合計が280万円を超えるかどうかを把握しておくと、税負担の見通しを立てやすくなります。超える場合は公的年金等に係る雑所得が増え、所得税や住民税、社会保険料などに波及する可能性があります。

源泉徴収と確定申告

公的年金等については源泉徴収税額の見直しの措置が予定されています。公的年金等の収入金額が一定額以下で、他の所得も少ない場合には確定申告が不要となる制度がありますが、給与との合算により状況が変わることもあります。ご自身が申告の対象になるかは、その年の収入全体で確認してください。国税庁 No.1600 公的年金等の課税関係

まとめ

令和8年度税制改正の大綱では、給与と公的年金等の両方の収入がある方について、給与所得控除額と公的年金等控除額の合計額が280万円を超える場合に、超過分を公的年金等控除額から差し引く見直しが示されました。適用は令和9年分以後の所得税からで、源泉徴収についても所要の措置が講じられます。年金のみ、給与のみの方は対象外ですが、働きながら年金を受け取る方は手取りへの影響を早めに確認しておくと安心です。確定した細目は今後の法令等で示されるため、最新の情報を確認しながら備えることをおすすめします。

参考文献

具体的なケースは税理士へのご相談をおすすめします。

お問い合わせはこちら

令和8年度税制改正 公的年金等の雑所得控除見直しのよくある質問まとめ

Q.今回の見直しの対象になるのはどのような人ですか。

A.同じ年に給与と公的年金等の両方の収入があり、給与所得控除額と公的年金等控除額の合計額が280万円を超える方が対象です。年金のみ、給与のみの方は対象になりません。

Q.年金だけで生活していますが影響はありますか。

A.公的年金等のみを受け取っている方は控除が重複しないため、今回の調整による影響はありません。

Q.280万円という基準は何を指しますか。

A.その年分の給与所得控除額と公的年金等控除額を合計した金額を指します。この合計が280万円を超える部分が公的年金等控除額から差し引かれます。

Q.いつから適用されますか。

A.大綱では令和9年分以後の所得税について適用するとされています。源泉徴収については令和9年1月1日以後に支払われる公的年金等について所要の措置が講じられます。

Q.見直しにより税負担はどう変わりますか。

A.控除額の合計が280万円を超えると、その超過分だけ公的年金等控除額が減り、公的年金等に係る雑所得が増えます。その結果、所得税や住民税などに影響する可能性があります。

Q.確定申告は必要になりますか。

A.公的年金等の収入が一定額以下で他の所得も少ない場合は申告不要となる制度がありますが、給与との合算で状況が変わることがあります。その年の収入全体で確認してください。

事務所概要
社名
税理士法人プライムパートナーズ
住所
〒107-0052
東京都港区赤坂5丁目2−33
IsaI AkasakA 17階
対応責任者
税理士 島本 雅史

本記事は正確な情報提供を心掛けておりますが、執筆時点の情報に基づいているため、法改正や人的ミス、個別のケースにより適用が異なる可能性があります。最新の情報や具体的なご相談については、お気軽に弊法人の税理士までお問い合わせください。

\ 相続の不安、専門家にまずは無料相談 /
相続税申告でお困りの方へ
土日無料相談会 受付中!
相続税申告実務 経験者待遇あり
スタッフ積極採用中!
士業の先生向け専門家AI
士業AI【税務】