税理士法人プライムパートナーズ

令和8年度改正 プラットフォーム課税の物品販売拡大を解説

2026-07-27
目次

令和8年度税制改正大綱では、消費課税の分野でプラットフォーム課税を物品販売へ拡大する方針が示されました。これまで電気通信利用役務の提供に限られていた仕組みが、国外事業者による国内での物品販売や少額な輸入貨物の販売にも及ぶことになります。「自社の販売がプラットフォーム課税の対象になるのか」「いつから、どのような要件で適用されるのか」と気になる方も多いのではないでしょうか。この記事では、大綱で公表された範囲に絞って、制度の概要から実務上の留意点までをやさしく整理いたします。

プラットフォーム課税の概要

今回の改正で導入されるプラットフォーム課税は、国外事業者による国内での物品販売などについて、実際に販売を行う事業者ではなく、その取引の場を提供するプラットフォーム事業者を納税義務者とする仕組みです。大綱では、国外事業者による国内での物品販売及び事業者による少額輸入貨物の販売について、プラットフォーム事業者に消費税の納税義務を転換する制度を導入するとされています。財務省 令和8年度税制改正の大綱の概要

納税義務の転換という考え方

従来、消費税は資産の譲渡等を行った事業者自身が申告・納税を行うのが原則です。プラットフォーム課税は、この原則の例外として、一定の要件を満たす取引について納税義務の主体をプラットフォーム事業者へ移す点に特徴があります。国境を越えた取引では販売者が国外に所在することも多く、課税の実効性を確保するための仕組みとして位置づけられています。

導入の背景

インターネットを通じた国境を越える物品の売買は年々拡大しています。こうした取引では、国外の販売者が数多く関与する一方で、課税や申告の実効性を確保しにくいという課題が指摘されてきました。今回の改正は、こうした環境の変化に対応し、国内外の事業者間で公平な競争条件と適正な課税を確保することを目的としています。

少額輸入貨物をめぐる課題

これまで、一定金額以下の少額な輸入貨物については消費税が課されない扱いがありました。しかし、この取扱いが国内で販売する事業者との間で競争上の不均衡を生むおそれや、国外事業者による無申告といった問題につながる面も指摘されてきました。改正では、こうした課題への対応として、少額な輸入貨物の販売も消費税の課税対象へと取り込む方向が示されています。

対象取引と第2種プラットフォーム事業者の指定要件

大綱では、みなし課税の対象となる取引と、その対象となるプラットフォーム事業者の範囲が示されています。対象となるのは、国外事業者が国内において行う資産の譲渡と、事業者が行う特定少額資産の譲渡です。ここでいう特定少額資産とは、国内以外の地域から国内に宛てて発送される資産で、一の資産の対価の額が1万円(税抜き)以下であるものとされています。財務省 令和8年度税制改正の大綱(4/9)

指定の金額基準

すべてのプラットフォーム事業者が対象となるわけではありません。大綱では、その課税期間において対象となる資産の譲渡に係る対価の額の合計額が50億円(税込み)を超える場合に、第2種プラットフォーム事業者として指定されるとされています。一定の規模を超えるプラットフォームに納税義務を集約することで、制度の実効性と事業者側の事務負担のバランスを図る狙いがあると考えられます。

対象取引の整理

対象となる取引を整理すると、次のようになります。

国外事業者による
国内での資産の譲渡
国外事業者が国内において行う物品の販売などが対象です。
特定少額資産の譲渡 国外から国内へ発送される、対価の額が1万円(税抜き)以下の資産の譲渡が対象です。

みなし譲渡の仕組みと少額輸入貨物の取扱い

プラットフォーム課税の中心となるのが、みなし譲渡の考え方です。大綱では、対象となる資産の譲渡について、その譲渡を第2種プラットフォーム事業者が行ったものとみなすとされています。これにより、実際の販売者ではなくプラットフォーム事業者が申告・納税の主体となります。

みなし課税による納税の流れ

対象取引に該当する場合、消費税の申告・納税はプラットフォーム事業者が担うことになります。販売者が国外に所在していても、取引の場を提供するプラットフォーム事業者を通じて課税関係が完結する点が、この仕組みの要となります。

少額輸入貨物と登録制度

あわせて、少額な輸入貨物の販売についても課税の対象とする見直しが示されています。大綱では、特定少額資産の譲渡を行う事業者(免税事業者を除く)が、納税地を所轄する税務署長に申請書を提出し、税務署長の登録を受ける制度が設けられ、その申請の受付は令和9年10月1日から開始するとされています。登録を受けた事業者が特定少額資産を譲渡した場合には、輸入に係る消費税が二重に課されないための措置が講じられます。

既存のプラットフォーム課税との違い

プラットフォーム課税という言葉自体は、今回が初めての登場ではありません。すでに令和6年度改正により、電気通信利用役務の提供を対象とするプラットフォーム課税が導入されており、令和7年4月1日以後に適用が始まっています。今回の改正は、この枠組みを物品販売の分野へ広げるものと理解できます。

電気通信利用役務を対象とする既存制度

既存のプラットフォーム課税は、国外事業者がデジタルプラットフォームを介して行う消費者向けの電気通信利用役務の提供で、かつ特定プラットフォーム事業者を介してその対価を収受するものが対象です。ここでいう特定プラットフォーム事業者とは、一定の要件を満たすプラットフォーム事業者として国税庁長官の指定を受けた事業者を指します。国税庁 No.6568 プラットフォーム課税

物品販売への拡大という位置づけ

既存制度がアプリ配信や電子書籍・音楽の配信といった役務の提供を対象とするのに対し、今回の改正で導入される仕組みは、物品の販売を対象範囲に加える点に大きな違いがあります。対象や指定の名称、金額基準などの細部は制度ごとに異なるため、どちらの制度に該当するのかを取引の性質に応じて確認することが大切です。

適用時期と実務上の留意点

今回の改正は令和8年度税制改正大綱で示された方針であり、適用までには一定の準備期間が設けられています。大綱では、この見直しは令和10年4月1日以後に国内において事業者が行う資産の譲渡等及び課税仕入れ並びに保税地域から引き取られる課税貨物について適用するとされています。

主なスケジュール

大綱で示された時期の目安は次のとおりです。

令和9年10月1日 特定少額資産を販売する事業者の登録申請の受付開始
令和10年4月1日 物品販売に係るプラットフォーム課税などの適用開始

事業者に求められる準備

プラットフォームを運営する事業者にとっては、自社が指定の対象となるかどうかの見極めや、システム面での対応が課題となります。また、プラットフォームを通じて販売する事業者にとっても、自らの取引が対象に含まれるかを把握しておくことが重要です。大綱は方針を示した段階であり、今後の法令や国税庁の情報で詳細が明らかになっていくため、最新の情報を確認しながら準備を進めることをおすすめいたします。

まとめ

令和8年度税制改正大綱では、国外事業者による国内での物品販売や少額輸入貨物の販売について、プラットフォーム事業者を納税義務者とするプラットフォーム課税の拡大が示されました。対象となる資産の譲渡は第2種プラットフォーム事業者が行ったものとみなされ、指定の基準として対価の合計額50億円(税込み)という金額が示されています。適用は令和10年4月1日以後とされ、登録申請の受付は令和9年10月1日から始まる見込みです。すでに導入されている電気通信利用役務のプラットフォーム課税との違いにも注意しながら、今後公表される詳細情報を確認していくことが大切です。

参考文献

「プラットフォーム課税のよくある質問まとめ」

Q.プラットフォーム課税とは何ですか。

A.一定の要件を満たすプラットフォーム事業者を消費税の納税義務者とする仕組みです。令和8年度税制改正大綱では、国外事業者による国内での物品販売などについて、プラットフォーム事業者に納税義務を転換する制度の導入が示されました。

Q.今回の改正の対象となる取引は何ですか。

A.国外事業者が国内において行う資産の譲渡と、事業者が行う特定少額資産の譲渡が対象です。特定少額資産とは、国内以外の地域から国内へ発送される、対価の額が1万円(税抜き)以下の資産をいいます。

Q.どのような場合にプラットフォーム事業者が指定されますか。

A.大綱では、課税期間において対象となる資産の譲渡に係る対価の額の合計額が50億円(税込み)を超える場合に、第2種プラットフォーム事業者として指定されるとされています。

Q.みなし譲渡とはどのような仕組みですか。

A.対象となる資産の譲渡を第2種プラットフォーム事業者が行ったものとみなす仕組みです。これにより、実際の販売者ではなくプラットフォーム事業者が申告・納税の主体となります。

Q.いつから適用されますか。

A.大綱では、令和10年4月1日以後に国内において事業者が行う資産の譲渡等などについて適用するとされています。特定少額資産を販売する事業者の登録申請の受付は令和9年10月1日から始まる見込みです。

Q.既存のプラットフォーム課税と何が違いますか。

A.既存の制度は電気通信利用役務の提供を対象とし、令和7年4月1日以後に適用されています。今回の改正は、この枠組みを物品の販売へ広げる点に違いがあります。

具体的なケースは税理士へのご相談をおすすめします。

お問い合わせはこちら
事務所概要
社名
税理士法人プライムパートナーズ
住所
〒107-0052
東京都港区赤坂5丁目2−33
IsaI AkasakA 17階
対応責任者
税理士 島本 雅史

本記事は正確な情報提供を心掛けておりますが、執筆時点の情報に基づいているため、法改正や人的ミス、個別のケースにより適用が異なる可能性があります。最新の情報や具体的なご相談については、お気軽に弊法人の税理士までお問い合わせください。

\ 相続の不安、専門家にまずは無料相談 /
相続税申告でお困りの方へ
土日無料相談会 受付中!
相続税申告実務 経験者待遇あり
スタッフ積極採用中!
士業の先生向け専門家AI
士業AI【税務】