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税務署の督促状が届いたら|放置リスクと対処法を税理士が解説

2026-09-07
目次

税務署から督促状が届き、どう対応すべきか判断がつかない事業者・経営者・経理担当の方に向けて、督促状の意味と取るべき対応を整理します。結論から申し上げると、最も危険なのは放置することです。督促状を発した日から起算して10日を経過した日までに完納しないときは、法律上は財産の差押えが可能になります。国税庁 第47条関係 差押えの要件

一方で、資金繰りの都合ですぐに全額を納付できない場合であっても、換価の猶予や納税の猶予といった申請できる制度が用意されています。無視して時間が経つほど選択肢は狭まりますので、督促状を受け取った時点で動くことが重要です。本記事では、督促状の法的な位置づけ、放置した場合のリスク、届いたときの具体的な対処法を順に解説します。

税務署から届く督促状の概要

督促状の法的な位置づけ

督促状は、納期限までに国税が完納されない場合に、税務署長が国税通則法に基づいて発する法定の手続です。単なる「お知らせ」ではなく、その後の滞納処分(差押え・換価・配当)へ進むための前提となる処分にあたります。つまり督促状の送付は、税務署が滞納整理の手続に入ったことを示す明確なサインです。

差押えの要件について、国税庁の通達では「督促」とは督促状による督促および納付催告書による督促をいうとされ、この督促を受けた者がその督促に係る国税を完納しないときに差押えができると整理されています。督促状は、差押えの法的な入口に位置する書面であるとご理解ください。

督促状が送付される時期

督促状は、原則として納期限から50日以内に発せられます。国税庁の通達では、納期限から50日を経過した日以後に発した督促状であっても、その効力には影響がないと明記されています。国税庁 第37条関係 督促したがって、50日を過ぎてから届いた督促状だから無効である、という主張は通りません。

実務上は、納期限の翌月から翌々月にかけて届くケースが多く見られます。法人税や消費税のように納期限が決算期に連動する税目では、決算業務の繁忙期と督促状の到着が重なることがあり、社内で書面が滞留したまま気づかれないという事故も起こりがちです。届いた郵便物は必ず経理責任者まで上げる運用にしておくことをおすすめします。

督促状を放置した場合のリスク

発送から10日経過後の差押え

最大のリスクは、財産の差押えです。督促状を発した日から起算して10日を経過した日までに完納しないときは、税務署は滞納者の財産を差し押さえることができます。この「10日」は督促状が届いた日ではなく発した日から起算する点に注意が必要です。書面を数日放置しただけで、猶予期間はほとんど残らないことになります。

差押えの対象は、預貯金・売掛金・不動産・生命保険など、滞納者に帰属する財産が広く含まれます。事業者にとって特に影響が大きいのは、売掛金の差押えです。取引先に差押通知が送られるため、資金繰りだけでなく取引関係そのものに影響が及ぶおそれがあります。金融機関の口座が差し押さえられれば、決済不能から信用不安に直結します。

延滞税の継続的な発生

納付が完了するまでの間、延滞税が日数に応じて自動的に課され続けます。延滞税は、法定納期限の翌日から納付する日までの日数に応じて計算され、納期限の翌日から2か月を経過する日までと、それ以後とで割合が変わります。国税庁 No.9205 延滞税について

具体的な割合は年ごとに告示されます。令和8年1月1日から令和8年12月31日までの期間については、納期限の翌日から2か月を経過する日までが年2.8パーセント、それ以後が年9.1パーセントです。国税庁 延滞税の割合2か月を境に割合が大きく上がるため、放置期間が長引くほど負担が加速度的に増える構造になっています。

納期限の翌日から2か月を経過する日まで 年2.8パーセント(令和8年中の期間)
納期限の翌日から2か月を経過した日以後 年9.1パーセント(令和8年中の期間)

延滞税の計算例

本税100万円を、納期限の翌日から60日後に納付した場合を考えます。60日は2か月を経過する日までの期間に収まるため、令和8年中であれば年2.8パーセントの割合で計算します。

1,000,000円 × 2.8% × 60日 ÷ 365日 = 約4,602円

これが仮に納付まで1年を要した場合、最初の2か月分は年2.8パーセント、残る期間は年9.1パーセントで計算されるため、負担は数万円規模まで膨らみます。延滞税には端数処理のルールもありますので、正確な金額は納付前に税務署または税理士にご確認ください。

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督促状が届いた場合の対処法

全額をすぐに納付できる場合

資金に余裕があるのであれば、迷わず全額を納付することが最善です。国税の納付手続には、振替納税・ダイレクト納付・インターネットバンキング等による電子納税・クレジットカード納付・スマートフォンアプリ納付・窓口納付など複数の方法が用意されています。国税庁 G-2 国税の納付手続(納期限・振替日・納付方法)

督促状には納付書が同封されていることが一般的ですが、延滞税は納付日まで発生し続けるため、記載された本税だけを納めても完納にならない場合があります。最終的な納付額は所轄の税務署に確認したうえで手続を進めてください。

関連コラム修正申告 納付方法|納付書の書き方と支払い手順を税理士が解説

一時に納付することが困難な場合の猶予制度

国税を一時に納付することが困難な理由がある場合には、税務署に申請することで、財産の換価や差押えの猶予(換価の猶予、納税の猶予)が認められる場合があります。猶予が認められると、差押えなどが猶予されるほか、猶予期間中の延滞税が免除または軽減されます国税庁 No.9206 国税を期限内に納付できないとき

換価の猶予は、国税を一時に納付することにより事業の継続または生活の維持を困難にするおそれがある場合の制度で、事業者が最も利用しやすい枠組みです。要件は次のとおりです。

事業への影響 国税を一時に納付することにより、事業の継続または生活の維持を困難にするおそれがあると認められること
納税の意思 納税について誠実な意思を有すると認められること
他の滞納 換価の猶予を受けようとする国税以外の国税の滞納がないこと
申請期限 納付すべき国税の納期限から6か月以内に申請書が提出されていること
担保 原則として、担保の提供があること

納税の猶予は、災害・盗難・病気・廃業・事業の著しい損失などの事実があり、それに基づいて一時に納付できないと認められる場合の制度です。いずれも猶予期間は原則として1年以内で、猶予を受けた国税は原則として猶予期間中の各月に分割して納付します。担保については、猶予を受ける金額が100万円以下である場合や、猶予を受ける期間が3か月以内である場合などには提供が不要とされています。

猶予の申請手続

換価の猶予の申請は、納付すべき国税の納期限から6か月以内に行う必要があります。申請にはe-Taxを利用でき、書面で申請書を作成して持参または送付により提出することも可能です。添付書類として「財産収支状況書」が必要で、猶予を受けようとする金額が100万円を超える場合は「財産目録」および「収支の明細書」も求められます。国税庁 G-9 換価の猶予の申請手続

実務では、この財産収支状況書と収支の明細書の作成が最初の壁になります。返済可能な分割額を無理のない水準で組み立てられるかが審査の実質的な論点になるため、直近の資金繰り表と月次試算表を先に整えてから申請書に取りかかると進めやすくなります。

税務署の徴収担当への相談

国税を納期限までに納付できない場合は、早めに所轄の税務署の徴収担当に相談することが国税庁からも案内されています。督促状が届いた段階は、まだ差押えの前の段階であり、相談による調整の余地が最も大きい時期です。

実務では、督促状の段階で税務署の徴収担当へ自ら連絡し、資金繰りの実情と納付計画を具体的に示すことで、差押えに至らずに分割納付で整理できたケースを多く経験しています。逆に、連絡をしないまま数か月放置した案件では、預金や売掛金の差押えが先に実行され、その後の交渉余地が大きく狭まる傾向がありました。連絡を取ること自体が、納税について誠実な意思を示す材料にもなります。

督促状と催告書・差押予告通知の違い

滞納が生じると、督促状のほかにも複数の書面が届くことがあります。混同されやすいのですが、法律上の位置づけは同じではありません。差押えの前提となる法定の督促は、督促状による督促と納付催告書による督促です。

納付催告書は、第二次納税義務者などが納付通知書に記載された納付の期限までに完納しない場合に、その納付の期限から50日以内に発せられる書面です。国税庁 第1編 第2章 第2節 督促本来の納税者に対する督促状とは、対象となる相手が異なります。

督促状 納期限までに完納されない場合に発せられる法定の督促。差押えの前提となる
納付催告書 第二次納税義務者などに対して発せられる督促。督促状と同じく差押えの前提となる
差押予告等の通知 督促後の実務上の連絡として届くことがある書面。差押えが近い段階にあることを示す

差押予告等の通知が届いている場合は、すでに督促から相当期間が経過していることを意味します。この段階では猶予の申請期限を過ぎている可能性もありますので、書面の種類と日付を確認したうえで、直ちに専門家に相談することをおすすめします。

地方税の督促との違い

住民税・事業税・固定資産税などの地方税にも督促の制度がありますが、根拠となる法律は地方税法であり、国税とは別の制度です。本記事で解説した納期限から50日以内の督促状の発送や、督促状を発した日から10日を経過した日以後の差押え、換価の猶予・納税の猶予の要件は、いずれも税務署が扱う国税についての取り扱いです。

都道府県税事務所や市区町村から届いた督促状については、記載された窓口に問い合わせる必要があります。国税と地方税の双方に滞納がある場合は、それぞれの窓口と並行して調整することになりますので、納付計画の全体像を先に作っておくことが実務上有効です。

実務上の判断と専門家への相談

督促状への対応で分かれ目になるのは、資金繰りの見通しを踏まえて納付か猶予申請かを早期に決められるかという一点です。全額納付できるなら即納が最も損失が小さく、困難であれば納期限から6か月以内という換価の猶予の申請期限を意識しながら書類を整える必要があります。どちらとも判断がつかないまま時間だけが経過することが、最も避けたい展開です。

また、督促状の背景に無申告や期限後申告、税務調査に伴う修正申告がある場合は、延滞税に加えて加算税の論点も同時に検討する必要があります。具体的なケースの判断は、申告内容と資金繰りの両面を見たうえで決めるべきものですので、税理士へのご相談をおすすめします。

まとめ

税務署から届く督促状は、滞納処分の入口となる法定の手続です。督促状を発した日から起算して10日を経過した日までに完納しないときは差押えが可能になり、その間も延滞税は日々発生し続けます。納期限の翌日から2か月を境に割合が上がるため、放置は経済的にも合理性がありません。

一方で、一時に納付することが困難な場合には、換価の猶予や納税の猶予といった申請可能な制度があり、認められれば差押えの猶予と延滞税の免除または軽減が受けられます。ただし換価の猶予には納期限から6か月以内という申請期限があり、動き出しが遅れるほど選択肢は失われます。督促状が届いた段階で書面の日付と税目を確認し、納付するか猶予を申請するかの方針を決めてください。判断に迷う場合は、まずは税理士にご相談ください。

参考文献

税務署の督促状のよくある質問まとめ

Q.税務署から督促状が届いたら、いつまでに納付すればよいですか。

A.督促状を発した日から起算して10日を経過した日までに完納しないときは、税務署は財産を差し押さえることができます。起算日は督促状が届いた日ではなく発した日ですので、受け取ったらすぐに納付または相談の手続に入ってください。

Q.督促状はいつ頃送られてきますか。

A.原則として納期限から50日以内に発せられます。なお、納期限から50日を経過した日以後に発した督促状であっても、その効力には影響がないとされています。

Q.督促状を放置すると延滞税はどうなりますか。

A.法定納期限の翌日から納付する日までの日数に応じて自動的に課され続けます。令和8年中の期間は、納期限の翌日から2か月を経過する日までが年2.8パーセント、それ以後が年9.1パーセントです。

Q.資金繰りが厳しく一括で納付できない場合はどうすればよいですか。

A.税務署に申請することで換価の猶予や納税の猶予が認められる場合があります。認められると差押えなどが猶予され、猶予期間中の延滞税が免除または軽減されます。猶予期間は原則として1年以内で、各月に分割して納付します。

Q.換価の猶予の申請期限はいつまでですか。

A.納付すべき国税の納期限から6か月以内に申請書を提出する必要があります。申請にはe-Taxを利用でき、書面での持参または送付による提出も可能です。財産収支状況書などの添付書類が必要です。

Q.督促状と催告書はどう違いますか。

A.差押えの前提となる法定の督促は、督促状による督促と納付催告書による督促です。納付催告書は第二次納税義務者などに対して発せられる書面で、対象となる相手が異なります。差押予告等の通知は督促後の実務上の連絡として届くことがあります。

事務所概要
社名
税理士法人プライムパートナーズ
住所
〒107-0052
東京都港区赤坂5丁目2−33
IsaI AkasakA 17階
対応責任者
税理士 島本 雅史

本記事は正確な情報提供を心掛けておりますが、執筆時点の情報に基づいているため、法改正や人的ミス、個別のケースにより適用が異なる可能性があります。最新の情報や具体的なご相談については、お気軽に弊法人の税理士までお問い合わせください。

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