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相続税対策の「生前贈与」活用術

2025-02-03
目次

「相続税って、うちには関係ないわ」と思っていませんか?いえいえ、実はそうとも限らないんです。相続税は、亡くなった方の財産を相続人などが引き継ぐときにかかる税金のこと。でも、事前に準備をしておくことで、税金の負担を軽くすることができるんですよ。そこで今回は、相続税対策の強い味方、「生前贈与」について、わかりやすく解説していきます。

生前贈与って何?相続との違いは?

生前贈与とは、言葉の通り、生きているうちに自分の財産を誰かに贈ることです。贈る相手は、配偶者でも、子どもでも、お孫さんでも、誰でもOK。一方、相続は、亡くなった方の財産を、残された家族などが引き継ぐことをいいます。

生前贈与と相続、どちらも財産を引き継ぐことには変わりありませんが、大きな違いは、財産を渡すタイミングと、税金の種類です。

生前贈与は贈与税、相続は相続税

生前贈与をすると「贈与税」、相続が発生すると「相続税」がかかります。贈与税は、1年間にもらった財産の合計額が110万円を超えると、超えた部分に対してかかります。一方、相続税は、亡くなった方の財産の総額から、基礎控除額(3000万円+600万円×法定相続人の数)を差し引いた金額に対してかかります。

生前贈与は計画的に進められる

相続は、いつ起こるかわかりませんよね。でも、生前贈与なら、「いつ」「誰に」「何を」「どれだけ」贈るか、自分で決めることができます。計画的に贈与を進めることで、相続税の対象となる財産を減らし、結果的に相続税の負担を軽くすることができるんです。

贈与税がかからないケースもある

「贈与税って、なんだか難しそう…」と心配な方もご安心ください。贈与税には、様々な非課税枠や特例があります。これらを上手に活用することで、贈与税をゼロにしたり、少なくしたりすることができるんですよ。

生前贈与のメリット、知っておきたいポイント

生前贈与には、相続税対策以外にも、たくさんのメリットがあります。

相続税を減らせる可能性がある

先ほどもお話ししましたが、生前贈与の最大のメリットは、相続税を減らせる可能性があることです。生前に財産を贈ることで、相続税の対象となる財産を減らすことができます。

財産を渡したい相手に確実に渡せる

相続の場合、遺言書がないと、法定相続分に従って財産が分けられます。でも、生前贈与なら、「この財産は、この人に渡したい」という自分の意思を確実に実現できます。

財産の使い道を見届けられる

生前贈与なら、贈った財産がどのように使われるのか、自分の目で見届けることができます。「孫の教育資金に使ってほしい」「家を建てる資金の足しにしてほしい」など、贈る相手の喜ぶ顔を見られるのも、生前贈与ならではの魅力です。

将来の値上がり益を非課税にできる

例えば、将来値上がりしそうな土地や株式などを生前贈与しておけば、値上がりした分は贈与税の対象になりません。相続時に値上がりした状態で相続するよりも、税金の負担を抑えられる可能性があります。

生前贈与の注意点、気をつけたいこと

メリットいっぱいの生前贈与ですが、注意点もいくつかあります。

贈与税の申告が必要な場合がある

1年間の贈与額が110万円を超える場合、原則として贈与税の申告が必要です。申告を忘れると、ペナルティが課されることもあるので注意しましょう。

相続開始前3年以内の贈与は相続税の対象になる場合がある(7年に延長される予定)

亡くなる直前に慌てて贈与しても、相続税の対象になってしまうことがあります。 ※2024年1月1日以降の贈与については、相続開始前7年以内の贈与が相続税の対象となるように改正されました。

贈与のしすぎに注意

相続税対策に熱心になるあまり、自分の老後資金を使い果たしてしまっては元も子もありません。贈与は、無理のない範囲で、計画的に行いましょう。

「名義預金」に注意

例えば、子どもの名義で口座を作って、親がお金を振り込んでいる場合、これは「名義預金」とみなされ、贈与として認められないことがあります。贈与の際は、贈与契約書を作成するなど、贈与の事実を明確にしておくことが大切です。

贈与税の非課税枠と特例を賢く活用

贈与税には、様々な非課税枠や特例があります。これらを活用することで、税負担を大幅に軽減できます。

暦年課税の基礎控除(年間110万円)

毎年110万円までの贈与なら、贈与税はかかりません。この非課税枠は、誰でも、何人にでも利用できます。

相続時精算課税制度

60歳以上の父母や祖父母から、18歳以上の子や孫への贈与に利用できる制度です。2500万円までの贈与は非課税、2500万円超の金額には20%の贈与税が課税されます。また、相続時精算課税制度を用いて贈与した額は、相続時に相続財産に加算して相続税を計算します。 なお、2024年1月1日以降の贈与については、相続時精算課税制度にも年間110万円の基礎控除が設けられています。

教育資金の一括贈与の非課税措置(1500万円まで)

30歳未満の子や孫への教育資金の贈与に利用できる制度です。金融機関で専用口座を開設し、教育資金として使う場合に限り、1500万円まで非課税になります。(2026年3月末まで)

結婚・子育て資金の一括贈与の非課税措置(1000万円まで)

18歳以上50歳未満の子や孫への結婚・子育て資金の贈与に利用できる制度です。金融機関で専用口座を開設し、結婚・子育て資金として使う場合に限り、1000万円まで非課税になります。(2025年3月末まで)

住宅取得等資金の贈与の非課税措置

父母や祖父母から、住宅の新築・取得・増改築等の資金の贈与を受けた場合、一定の要件を満たせば、最大1000万円(省エネ住宅の場合。省エネ等住宅以外の場合は500万円)まで非課税になります。(2026年12月末まで)

贈与税の配偶者控除(おしどり贈与)

婚姻期間が20年以上の夫婦間で、居住用不動産またはその購入資金を贈与する場合、2000万円まで非課税になります。

専門家への相談も検討しましょう

生前贈与は、制度が複雑で、注意点も多いため、専門家(税理士など)に相談することをおすすめします。専門家なら、あなたの状況に合わせて、最適なプランを提案してくれます。

まとめ

生前贈与は、上手に活用すれば、相続税対策として非常に有効な手段です。

  • 早めに始める:相続開始前7年以内の贈与は相続財産に加算されるため、早めの対策が重要です。
  • 計画的に行う:贈与税の非課税枠や特例を最大限に活用し、計画的に贈与を進めましょう。
  • 専門家に相談する:制度が複雑なため、専門家(税理士など)に相談し、適切なアドバイスを受けましょう。

生前贈与について、少しは身近に感じていただけたでしょうか?「うちも、そろそろ考えてみようかな」と思ったら、ぜひ、専門家にご相談ください。大切な家族のために、今からできることを始めましょう。

生前贈与で賢く節税!相続税対策のよくある質問まとめ

Q. 生前贈与って何ですか?

A. 生きているうちに、自分の財産を家族などに無償で譲ることです。将来かかる相続税を減らせる可能性があります。

Q. 生前贈与にはどんなメリットがありますか?

A. 相続税の節税効果が期待できること、そして、誰に何を渡すかをご自身の意思で決められることです。

Q. 生前贈与には税金がかかりますか?

A. 年間110万円を超える贈与には、贈与税がかかります。ただし、様々な特例や控除を利用することで税負担を軽減できます。

Q. 生前贈与で相続税対策をする際の注意点はありますか?

A. 贈与の仕方や金額によっては、かえって税金が高くなる場合もあります。専門家(税理士など)に相談することをおすすめします。

Q. 相続開始前3年以内の贈与は相続税の対象になると聞きましたが?

A. はい、原則として相続開始前3年以内の贈与は相続財産に加算され、相続税の対象となります。(※令和6年以降の贈与については、加算期間が段階的に7年に延長されます。)

Q. 生前贈与以外に、相続税対策はありますか?

A. はい、生命保険の活用、不動産の評価額を下げる対策、遺言書の作成など、様々な方法があります。

事務所概要
社名
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〒107-0052
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電話番号
対応責任者
税理士 島本 雅史

本記事は正確な情報提供を心掛けておりますが、執筆時点の情報に基づいているため、法改正や人的ミス、個別のケースにより適用が異なる可能性があります。最新の情報や具体的なご相談については、お気軽に弊法人の税理士までお問い合わせください。

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