iDeCo(イデコ)は老後資金を作るための心強い制度ですが、「どの商品を選べばいいの?」と悩んでしまいますよね。iDeCoで選べる商品はたくさんあって、初めてだと迷うのも当然です。この記事では、iDeCoで運用する際のおすすめ銘柄や、ご自身の年齢や考え方に合った商品の選び方を、初心者の方にも分かりやすく解説していきますね。
iDeCoの商品の基本!2つのタイプを理解しよう
まずはiDeCoで選べる商品の基本から見ていきましょう。iDeCoの商品には、大きく分けて「元本確保型」と「元本変動型(投資信託)」の2種類があります。それぞれの特徴を知ることが、自分に合った銘柄選びの第一歩ですよ。
元本確保型|定期預金や保険
元本確保型は、その名の通り、掛けたお金(元本)が保証されるタイプの商品です。具体的には、銀行の定期預金や保険商品がこれにあたります。大きなリターンは期待できませんが、元本が減るリスクが極めて低いのが特徴です。ただし、iDeCoは運用中、国民年金基金連合会や信託銀行に合計で毎月最低171円(年間2,052円)の手数料がかかります。現在の低金利では、定期預金の利息よりも手数料の方が高くなり、実質的に元本割れする可能性があるので注意が必要です。節税メリットを重視し、とにかく元本を減らしたくない方向けの選択肢です。
元本変動型|投資信託
元本変動型は、集めた資金を専門家が株式や債券などに投資して運用する「投資信託」のことです。運用成果によって資産が増えることもあれば、元本を下回る(元本割れ)リスクもあります。しかし、iDeCoは長期的な積立投資が前提なので、リスクを抑えながらリターンを狙いやすいのが大きな魅力です。運用で得た利益が非課税になるiDeCoのメリットを最大限に活かすなら、こちらの元本変動型を選ぶのが一般的におすすめされています。
初心者向け!iDeCo銘柄選びの3つのポイント
「投資信託ってたくさん種類があって選べない…」と感じるかもしれませんね。でも大丈夫です。これからお伝えする3つのポイントを押さえれば、初心者の方でも自分に合った銘柄を選びやすくなりますよ。
ポイント1:低コストの「インデックスファンド」を選ぶ
投資信託には、運用にかかる手数料として「信託報酬」というコストが毎日かかります。この信託報酬は、年率0.1%といったように表示され、長期で運用するiDeCoでは、このわずかな差が将来の受取額に大きく影響します。投資信託には、日経平均株価などの特定の指数(インデックス)に連動することを目指す「インデックスファンド」と、指数を上回る成果を目指す「アクティブファンド」があります。一般的に、インデックスファンドの方が信託報酬が低い傾向にあります。まずは、信託報酬が年率0.2%以下の低コストなインデックスファンドを選ぶのがおすすめです。
ポイント2:「全世界株式」か「米国株式」に投資するファンドを選ぶ
次に考えるのは、どの地域に投資するかです。初心者の方におすすめなのは、特定の国に集中するのではなく、広く分散投資ができる商品です。特に人気が高いのが、全世界の株式にまとめて投資できるファンド(通称:オール・カントリー)や、経済成長が著しい米国株式に投資するファンド(S&P500など)です。これらのファンドを1本選ぶだけで、世界中の成長企業の株を少しずつ持つことになり、手軽に国際分散投資が実現できます。長期的に見て、世界経済は成長していくと考えられているため、その恩恵を受けやすいのが魅力です。
ポイント3:純資産総額が大きいファンドを選ぶ
純資産総額とは、その投資信託にどれだけのお金が集まっているかを示す金額です。この金額が大きいほど、多くの投資家から支持されている人気のファンドであると言えます。純資産総額が順調に増えているファンドは、安定した運用が期待できます。逆に、純資産総額が少なすぎたり、減り続けていたりするファンドは、途中で運用が終了してしまう「繰上償還」のリスクがあるので注意が必要です。目安として、最低でも50億円以上、できれば数百億円以上の純資産総額があるファンドを選ぶと安心感があります。
年代別!iDeCoおすすめ銘柄の考え方
iDeCoは60歳まで引き出せない制度なので、加入する年齢によって運用できる期間が大きく異なります。ここでは、年代別にどのような考え方で銘柄を選ぶのが良いかを見ていきましょう。ご自身の状況に合わせて参考にしてくださいね。
20代・30代:リターン重視の「株式100%」
20代や30代の方は、60歳まで20年以上の長い運用期間があります。長期運用ができるということは、一時的に価格が下がっても、時間をかけて回復を待てるという大きな強みになります。そのため、積極的にリターンを狙える株式100%の投資信託がおすすめです。例えば、「全世界株式インデックスファンド」や「米国株式(S&P500)インデックスファンド」を1本選び、掛金の100%をそれに配分するようなシンプルな方法でも、長期的な資産成長が期待できます。
40代:リスクを意識し始める「バランス型」も視野に
40代の方もまだ15年以上の運用期間が見込めますので、基本的には株式中心の運用で問題ありません。ただ、少しずつ老後が近づいてくる年代なので、リスクを少し抑えたいと考える方もいるでしょう。その場合は、株式だけでなく債券などにも分散投資されている「バランス型ファンド」を検討するのも良い選択です。例えば、株式と債券の比率が50:50のバランスファンドや、ご自身で株式ファンドと債券ファンドを70:30のように組み合わせる方法もあります。
50代:資産を守る運用へシフト
50代からiDeCoを始める場合、運用期間は10年未満と短くなります。この年代では、これまで積み上げてきた資産を大きく減らさない「守りの運用」が重要になります。値動きの大きい株式の比率を下げ、比較的安定した値動きをする債券の比率を高めるのがおすすめです。例えば、バランス型ファンドの中でも債券の比率が高いものを選んだり、掛金の大部分を債券ファンドや元本確保型商品に配分したりする方法が考えられます。ただし、節税メリットを最大限に活かすため、iDeCoの加入自体は50代からでも非常に有効です。
具体的にチェック!iDeCoおすすめ銘柄3選
ここまで解説したポイントを踏まえて、具体的におすすめの銘柄を3つご紹介します。これらは多くの金融機関で取り扱いがあり、信託報酬も業界最低水準で非常に人気が高い銘柄です。どれか1つを選ぶだけでも、十分に効果的な資産運用が始められますよ。
銘柄名 | 特 徴 |
eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー) | これ1本で日本を含む全世界の株式に分散投資できる定番ファンドです。世界経済全体の成長を期待する方におすすめ。信託報酬も年率0.05775%(税込)と極めて低コストです。 |
eMAXIS Slim 米国株式(S&P500) | AppleやMicrosoftなど、米国の主要な約500社で構成される株価指数「S&P500」に連動します。力強い米国の経済成長に期待する方にぴったりです。信託報酬は年率0.09372%(税込)以内とこちらも低コストです。 |
eMAXIS Slim バランス(8資産均等型) | 国内外の株式、債券、REIT(不動産投資信託)の8つの資産に12.5%ずつ均等に分散投資するバランスファンドです。リスクを抑えながら安定的なリターンを目指したい方におすすめ。信託報酬は年率0.143%(税込)以内です。 |
iDeCoの配分変更とスイッチングを上手に活用しよう
iDeCoを始めた後も、年に1回程度は運用状況を確認することをおすすめします。そして、必要に応じて商品の見直しをすることも大切です。iDeCoには「配分変更」と「スイッチング」という2つの手続きがあります。
配分変更とは?
配分変更は、これから積み立てる掛金をどの商品に、どのくらいの割合で投資するかを変更する手続きです。例えば、最初は「全世界株式ファンド100%」で積み立てていたけれど、50代になったので「バランスファンド100%」に変更する、といったことができます。この手続きに手数料はかかりません。
スイッチングとは?
スイッチングは、これまで積み立ててきた資産(残高)を売却して、別の商品に買い換える手続きです。例えば、これまで「全世界株式ファンド」で積み上げてきた資産を売って、そのお金で「国内債券ファンド」を買い直す、というイメージです。年齢が上がってリスクを抑えたい時などに活用できますが、商品によっては売却時に「信託財産留保額」という手数料がかかる場合があるので、事前に確認しましょう。
まとめ
iDeCoのおすすめ銘柄選びについて解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。大切なポイントは、長期・積立・分散という投資の基本をiDeCoという制度を使って実践することです。まずは、低コストなインデックスファンドの中から、全世界株式か米国株式のどちらかを選んで始めてみるのがおすすめです。そして、年齢が上がるにつれて、少しずつリスクの低い資産の割合を増やしていくことを検討しましょう。iDeCoは税制優遇が非常に大きいので、上手に活用して、豊かな老後資金を準備していきましょうね。
参考文献
iDeCoの銘柄選びに関するよくある質問まとめ
Q. iDeCo初心者におすすめの銘柄は?
A. まずは手数料(信託報酬)が低く、全世界や米国(S&P500など)の株式に幅広く分散投資するインデックスファンドがおすすめです。少額から始められ、長期的な成長が期待できます。
Q. インデックスファンドとアクティブファンド、どちらが良いですか?
A. 長期的な資産形成を目指すなら、市場平均との連動を目指す低コストな「インデックスファンド」がおすすめです。一方、市場平均を上回るリターンを目指す「アクティブファンド」は、コストが高くなる傾向があります。
Q. 「全世界株式」と「米国株式(S&P500)」はどちらを選ぶべき?
A. より広く分散投資をしたいなら「全世界株式」、近年の成長が著しい米国経済に集中投資したいなら「米国株式(S&P500)」が選択肢になります。ご自身の投資方針やリスク許容度に合わせて選びましょう。両方を組み合わせる方法もあります。
Q. 元本確保型の商品は選ぶべきですか?
A. 元本割れのリスクを避けたい方向けですが、大きなリターンは期待できません。iDeCoの長期運用というメリットを活かすなら、ある程度のリスクを取って投資信託を選ぶのが一般的です。ただし、受け取りが近い年代の方は選択肢の一つになります。
Q. 銘柄を選ぶ際のポイントは何ですか?
A. 重要なポイントは「信託報酬(手数料)の低さ」と「投資対象」です。長期運用では手数料の差が将来のリターンに大きく影響します。また、全世界株式、先進国株式、新興国株式、バランス型など、どのような資産に投資するかを決めましょう。
Q. 一度選んだ銘柄は変更できますか?
A. はい、いつでも変更(スイッチング・配分変更)が可能です。「スイッチング」は今までの積立分を売却して別の商品に買い換えること、「配分変更」はこれからの積立分の割合を変えることです。ただし、頻繁な変更はおすすめしません。