税理士法人プライムパートナーズ

修正申告の延滞税|計算方法と加算税の関係を税理士が解説

2026-08-29
目次

申告内容の誤りに気づき、修正申告を検討している事業者・経理担当者・確定申告をした個人の方に向けて、修正申告に伴う延滞税の取り扱いを整理します。結論から申し上げると、修正申告では本来の法定納期限の翌日から納付日までの延滞税が課され、修正申告書を提出した日が納期限となります。提出したその日に納付すれば高い割合の適用を避けられるため、資金の準備と提出のタイミングを揃えることが実務上の要点です。

あわせて、税務調査の事前通知を受ける前に自主的に修正申告をすれば過少申告加算税はかかりません。誤りに気づいた時点で早く動くことが、負担を最小限に抑える最も確実な方法です。以下、割合・計算方法・手続き・放置した場合のリスクの順に解説します。

修正申告と延滞税の基本構造

延滞税が課される場面

延滞税は、税金が定められた期限までに納付されない場合に、法定納期限の翌日から納付する日までの日数に応じて自動的に課される利息相当額です。国税庁 No.9205 延滞税について国税庁は延滞税が課される場面として、申告などで確定した税額を法定納期限までに完納しないとき、期限後申告書または修正申告書を提出した場合で納付すべき税額があるとき、更正または決定の処分を受けた場合で納付すべき税額があるときを挙げています。

重要な点として、延滞税は本税だけを対象として課され、加算税などに対しては課されません。修正申告で追加の本税が100万円、過少申告加算税が5万円発生した場合、延滞税の計算対象は本税の100万円のみです。

修正申告における納期限の考え方

修正申告の延滞税を理解するうえで最も誤解が多いのが、「法定納期限」と「納期限」が別物である点です。延滞税の計算期間の起点は法定納期限の翌日ですが、年2.8パーセントと年9.1パーセントを分ける2か月の起算点は納期限です。

納期限は、期限内に申告された場合には法定納期限、期限後申告または修正申告の場合には申告書を提出した日、更正・決定の場合には更正決定等通知書を発した日から1か月後の日とされています。国税庁 延滞税の計算方法つまり修正申告では、本来の法定納期限の翌日から修正申告書の提出日までの期間は、期間の長短にかかわらず低い方の割合が適用されます。高い割合が動き出すのは、提出日から2か月を経過した日以後です。

この構造から導かれる実務上の行動は明快です。修正申告書を提出する日に本税を納付できるよう資金を用意しておけば、何年も前の申告の誤りを直す場合でも、高い割合の適用は生じません。

延滞税の割合と計算方法

現行の延滞税の割合

延滞税の割合は原則として年7.3パーセントと年14.6パーセントですが、令和3年1月1日以後の期間については延滞税特例基準割合に基づく低い割合が適用され、各年ごとに告示されます。現行の割合は次のとおりです。国税庁 延滞税の割合

期間 納期限の翌日から2か月以内/2か月経過後
令和4年1月1日から令和7年12月31日 年2.4パーセント/年8.7パーセント
令和8年1月1日から令和8年12月31日 年2.8パーセント/年9.1パーセント

割合は暦年ごとに切り替わるため、年をまたぐ延滞期間については期間を年で区切り、それぞれの割合で計算した金額を合計します。割合そのものの推移や改定の仕組みは別の記事で詳しく扱います。

延滞税の計算式

延滞税は、本税の額に割合と日数を乗じ、年365日で按分して計算します。年をまたぐ場合や2か月を境に割合が変わる場合は、期間ごとに計算した金額を合計します。

延滞税額 = 本税の額 × 延滞税の割合 × その期間の日数 ÷ 365

なお、本税の額や延滞税額には法令上の端数処理が定められており、実際に納付する金額は税務署が計算した額によります。概算を把握する目的では上記の式で十分ですが、最終的な納付額は税務署または顧問税理士に確認してください。

所得税の修正申告における計算例

令和6年分の所得税について申告漏れが判明し、追加の本税が100万円、修正申告書の提出と納付をいずれも令和8年6月1日に行ったケースで計算します。令和6年分の所得税の法定納期限は令和7年3月17日です。国税庁 主な国税の納期限(法定納期限)及び振替日

計算期間は令和7年3月18日から令和8年6月1日までです。納期限は提出日である令和8年6月1日ですから、この全期間が「納期限までの期間」に当たり、低い方の割合で計算します。ただし暦年で割合が変わるため、令和7年分と令和8年分に分けます。

令和7年3月18日から令和7年12月31日まで = 289日
1,000,000円 × 2.4% × 289日 ÷ 365日 = 約19,002円
令和8年1月1日から令和8年6月1日まで = 152日
1,000,000円 × 2.8% × 152日 ÷ 365日 = 約11,660円
19,002円 + 11,660円 = 約30,662円

1年以上さかのぼる申告漏れでも、提出日に納付すれば延滞税は本税の約3パーセントにとどまります。一方、提出後に納付を2か月超放置すると、その後の期間には年9.1パーセントが適用され、負担は一気に重くなります。

法人税の修正申告における留意点

法人税の場合、確定申告分の納期限は事業年度終了日の翌日から2か月以内です。この日が法定納期限となり、修正申告に伴う延滞税もこの日の翌日から計算されます。決算期の異なる複数期にまたがる修正では、期ごとに法定納期限が異なるため、期別に計算する必要があります

また、申告期限の延長の特例を受けている法人が延長期間に対応して納める負担は、延滞税ではなく利子税です。利子税の割合は令和8年1月1日から令和8年12月31日までの期間で年1.3パーセントとされており、延滞税より大幅に低い水準です。修正申告に伴って生じる遅延利息は利子税ではなく延滞税である点を混同しないよう注意してください。

延滞税の税率そのものについては、割合の推移や免除されるケースまでまとめたコラムもご用意しています。

関連コラム延滞税 税率|割合・計算方法と免除されるケースを税理士が解説

過少申告加算税との関係

調査の事前通知前における自主的な修正申告

税務署からの調査の事前通知の前に自主的に修正申告をした場合、過少申告加算税はかかりません。国税庁 No.2026 確定申告を間違えたときこの段階で発生するのは延滞税だけです。誤りに気づいた時点で速やかに動くことに、金額として明確な意味があります。

事前通知後および調査後の取り扱い

事前通知の後、かつ調査による更正を予知する前に修正申告をした場合は、新たに納める税金に5パーセントの割合を乗じた過少申告加算税がかかります。調査を受けた後に修正申告をした場合や更正を受けた場合は、10パーセントの割合となります。

調査の事前通知前の
自主的な修正申告
過少申告加算税なし
事前通知後・更正を
予知する前の修正申告
5パーセント
調査後の修正申告・
更正
10パーセント

いずれの場合も加重措置があります。新たに納める税金が、当初の申告納税額と50万円とのいずれか多い金額を超えているときは、その超えている部分について割合が5パーセント上乗せされ、それぞれ10パーセント、15パーセントとなります。当初の申告納税額が小さい会社ほど、この境目に触れやすい点に留意してください。

さらに令和6年1月1日以後に法定申告期限が到来するものについては、調査で帳簿の提示等を求められて応じなかった場合や、帳簿への売上金額の記載等が本来記載すべき金額の2分の1未満だった場合に10パーセント、3分の2未満だった場合に5パーセントが加算されます。なお、当初の確定申告が期限後申告だった場合は、過少申告加算税ではなく無申告加算税がかかる場合があります。国税庁 No.2024 確定申告を忘れたとき

関連コラム法人税と地方法人税の無申告加算税の取り扱いを分かりやすく解説

実務での取り扱い

実務では、決算後の月次確認や翌期の税務調査対応の準備段階で、前期の売上計上時期のずれや外注費の期ずれが見つかることがあります。ある事業者では、翌期の帳簿整理の過程で前期の売上の計上漏れが判明し、税務署からの連絡が入る前に自主的に修正申告と納付を同日に行いました。結果として過少申告加算税は課されず、負担は延滞税のみに収まっています。

逆に、事前通知の電話を受けてから慌てて修正申告を準備した事例では、同じ金額の誤りでも5パーセントの過少申告加算税が加わりました。金額の差を生むのは誤りの内容ではなく、気づいてから動き出すまでの時間です。期中に誤りの兆候を見つけたら、通知を待たずに顧問税理士へ相談することをおすすめします。

延滞税の計算期間の特例

過去にさかのぼる修正では、延滞税の計算期間から一定の期間を除外する特例が働く場合があります。偽りその他不正の行為により国税を免れた場合等を除き、期限内申告書が提出されていて法定申告期限後1年を経過してから修正申告または更正があったときは、法定納期限から1年を経過する日の翌日から修正申告書を提出した日までの期間が、延滞税の計算期間から控除されます。

期限後申告書が提出されていた場合も同様に、その申告書提出後1年を経過してから修正申告があったときは、1年を経過する日の翌日から修正申告書提出日までが控除されます。ただし重加算税が課された場合はこの控除は適用されません。数年前の申告を直す場面では、この特例の有無で延滞税額が大きく変わるため、必ず確認が必要です。

修正申告の手続きと納付

修正申告書の作成と提出

修正申告は、修正申告書を所轄税務署へ提出することで行います。所得税については、国税庁の確定申告書等作成コーナーの「更正の請求書・修正申告書作成コーナー」で金額等を入力すると税額が自動計算され、電子申告または印刷して郵送等で提出できます。

納付書と納付方法

新たに納める税金は、修正申告書を提出する日が納期限となるため、その日に納付します。納付方法としては、e-Taxを利用したダイレクト納付、インターネットバンキング納付、クレジットカード納付、スマホアプリ納付、コンビニ納付、金融機関または税務署の窓口での納付、振替納税が用意されています。国税庁 G-2 国税の納付手続(納期限・振替日・納付方法)

実務で注意が必要なのは納付書の扱いです。修正申告に伴う納付では、税務署から納付書が自動的に送られてくるとは限りません。窓口納付を選ぶ場合は、金融機関または税務署で納付書を入手し、税目・年度・申告区分・本税額を自分で記載する必要があります。提出当日に納付を完了させたいのであれば、ダイレクト納付など事前準備で当日完結できる手段を選ぶ方が確実です。

また、確定申告の本税で振替納税を利用していても、修正申告分は振替の対象になりません。別途の納付手続きが必要になる点を見落とさないでください。

関連コラムダイレクト納付と振替納税の違いを分かりやすく解説します

放置した場合のリスク

誤りに気づきながら修正申告を先送りすることには、金額面と手続面の両方でリスクがあります。第一に、税務調査の事前通知が入った時点で過少申告加算税を回避する余地が失われます。第二に、本税の納付が遅れる期間が延びるほど延滞税は日数に比例して積み上がります。

第三に、意図的な仮装隠蔽と判断されれば重加算税の対象となり、前述の計算期間の特例も適用されません。この場合、延滞税は控除なしで全期間について課されます。第四に、納付しないまま放置すれば督促を経て滞納処分の手続きへ進む可能性があります。

誤りの規模や原因によって取るべき対応は変わります。自主的な修正申告で足りるのか、複数期にまたがる場合にどこまでさかのぼるべきなのかは、帳簿と申告内容を確認したうえでの判断が必要です。具体的なケースについては、税理士へのご相談をおすすめします。

まとめ

修正申告に伴う延滞税は、本来の法定納期限の翌日から納付日までの日数に応じて計算され、修正申告書を提出した日が納期限となります。提出日から2か月以内に納付すれば令和8年は年2.8パーセント、2か月を超えると年9.1パーセントが適用されるため、提出と納付を同日に揃えることが負担軽減の要点です。

過少申告加算税については、調査の事前通知前の自主的な修正申告であれば課されません。事前通知後は5パーセント、調査後は10パーセントとなり、金額が大きい場合はさらに上乗せがあります。誤りに気づいた時点で速やかに動くことが、結果として最も負担の軽い選択になります。

過去にさかのぼる修正では計算期間の特例の適用可否、法人であれば期別の法定納期限、納付では納付書の準備といった実務上の確認事項が伴います。判断に迷う場面では、早い段階で税理士にご相談ください。

参考文献

修正申告と延滞税のよくある質問まとめ

Q. 修正申告をすると延滞税はいつから計算されますか。

A. 本来の法定納期限の翌日から、本税を納付する日までの日数に応じて計算されます。修正申告書を提出した日ではなく、当初の申告に係る法定納期限が起点になります。

Q. 修正申告の場合、年9.1パーセントの高い割合はいつから適用されますか。

A. 修正申告では申告書を提出した日が納期限となるため、その翌日から2か月を経過した日以後に高い割合が適用されます。提出日に納付すれば高い割合は生じません。

Q. 税務調査の前に自分で修正申告をすれば加算税はかかりませんか。

A. 税務署からの調査の事前通知の前に自主的に修正申告をした場合、過少申告加算税はかかりません。ただし延滞税は本税に対して課されます。

Q. 修正申告の納付書はどこで入手しますか。

A. 金融機関または税務署の窓口で入手し、税目や年度、申告区分、本税額を記載します。e-Taxのダイレクト納付やスマホアプリ納付など、納付書を使わない方法も利用できます。

Q. 数年前の申告を修正する場合、延滞税は全期間について課されますか。

A. 偽りその他不正の行為による場合等を除き、期限内申告書の提出後1年を経過してからの修正申告では、法定納期限から1年を経過する日の翌日以後の一定期間が計算期間から控除される特例があります。重加算税が課された場合は適用されません。

Q. 修正申告に伴う負担は延滞税と利子税のどちらですか。

A. 修正申告に伴って課されるのは延滞税です。利子税は申告期限の延長の特例を受けた場合などに、その延長期間に対応して課されるもので、割合も異なります。

事務所概要
社名
税理士法人プライムパートナーズ
住所
〒107-0052
東京都港区赤坂5丁目2−33
IsaI AkasakA 17階
対応責任者
税理士 島本 雅史

本記事は正確な情報提供を心掛けておりますが、執筆時点の情報に基づいているため、法改正や人的ミス、個別のケースにより適用が異なる可能性があります。最新の情報や具体的なご相談については、お気軽に弊法人の税理士までお問い合わせください。

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