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相続税の申告期限は10か月|数え方と過ぎた場合の対処法

2026-08-23
目次

身近な方が亡くなった直後は、葬儀や各種の届出に追われて、相続税のことまで気が回らないのが普通です。それでも相続税の申告期限は待ってくれません。「うちはいつまでに申告すればよいのか」「もう数か月経ってしまったが間に合うのか」という不安を抱えたまま時間だけが過ぎてしまう方は少なくありません。

相続税の申告期限は、被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内と決まっています。この記事では、期限の起算日と具体的な数え方、納付期限との関係、期限を過ぎた場合に生じる無申告加算税・延滞税の割合、延長が認められるケース、そして間に合いそうにないときの実務的な対処法までを順に整理します。数値は国税庁の公表資料に基づき、年度を明記して記載します。

相続税の申告期限の原則

相続税の申告と納税は、被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内に行うことになっています。通常は被相続人が亡くなった日がその起算の基準となります。国税庁 No.4205 相続税の申告と納税

この10か月という期間は、遺産の内容を調べ、相続人を確定し、遺産分割を話し合い、申告書を作り上げるまでの全工程を含みます。実際に手を動かせる期間はもっと短く、書類収集だけで2〜3か月かかることも珍しくありません。期限から逆算した進行管理が欠かせません。

起算日となる「知った日」

起算日は「死亡した日」ではなく「死亡したことを知った日」です。同居のご家族であれば両者は一致しますが、疎遠だった親族の死亡を後日知らされた場合には、その知った日が基準になります。相続税の申告期限を判断する最初の一歩は、この起算日を確定させることです。

なお、相続放棄をするかどうかの判断期間である3か月(熟慮期間)や、被相続人の所得税をまとめる準確定申告の4か月とは、起算の考え方も期限も異なります。複数の期限が並行して進むため、全体像を一覧で押さえておくと安心です。

関連コラム相続手続きの期限一覧|死亡後にやること全体像を税理士が解説

申告書の提出先

相続税の申告書は、被相続人の死亡の時における住所地を所轄する税務署長に提出します。相続人自身が住んでいる地域の税務署ではない点に注意が必要です。

相続人が複数いる場合でも、申告書は共同で1通にまとめて提出するのが一般的です。期限内に提出できるよう、誰が取りまとめ役になるかを早い段階で決めておくと進行が安定します。

申告期限の数え方

10か月の数え方でつまずく方が多いのは、月末や祝日が絡む場合です。原則は「亡くなったことを知った日の10か月後の同じ日付」と考えて差し支えありません。

応当日による計算

たとえば令和8年1月10日に亡くなったことを知った場合、申告期限は同年11月10日です。

令和8年1月10日  +  10か月  =  令和8年11月10日

10か月後の月に同じ日付が存在しないときは、その月の末日が期限になります。たとえば4月30日を起算の基準とすると、10か月後の2月には30日がないため、期限は2月の末日となります。この応当日の考え方や具体的なパターン別の計算は、次の記事で詳しく解説しています。

関連コラム相続税申告の期限はいつ?「応当日」の計算方法をわかりやすく解説

土日祝日と年末年始の特例

期限の日が土曜日、日曜日、国民の祝日その他の一般の休日、または12月29日から翌年1月3日までに当たるときは、これらの日でない最初の日まで期限が延長されます。国税庁 第10条関係 期間の計算及び期限の特例

つまり、期限が日曜日であればその翌日の月曜日が期限になります。ただしこれは数日の猶予にすぎません。金融機関や役所の窓口が閉まる期間でもあるため、休日を当てにした進行計画は避けるべきです。

納付期限と申告期限の関係

見落とされやすいのが、納税の期限も申告と同じ日だという点です。申告書を出しさえすれば納付は後でよい、という制度ではありません。

納付期限は申告期限と同日

相続税の納税は、申告期限までに行うことになっています。原則として金銭で一度に納付します。申告書を期限内に提出しても納付が遅れれば、遅れた分について延滞税が発生します。

納税資金は、被相続人の預貯金が凍結されている段階では動かせません。遺産分割や金融機関の払戻手続に時間がかかることを前提に、どの資金から納めるのかを早めに決めておく必要があります。

金銭で納付できない場合の延納

金銭で一度に納めることが難しい場合には、年賦で分割して納める延納という制度があります。延納には、相続税額が10万円を超えること、金銭で納付することを困難とする事由があり、かつその納付を困難とする金額の範囲内であること、担保を提供すること(延納税額が100万円以下かつ延納期間が3年以下の場合は不要)、そして納期限までに延納申請書と担保提供関係書類を提出することという要件があります。国税庁 No.4211 相続税の延納

重要なのは、延納の申請も申告期限までに行う必要があるという点です。期限を過ぎてから「分割で納めたい」と申し出ても認められません。資金繰りに不安があるなら、申告作業と並行して延納の検討を進めます。

期限に間に合わなかった場合のペナルティ

期限内に申告しなかった場合、本来の相続税に加えて無申告加算税と延滞税が課されます。それぞれ性格が異なり、両方が同時に発生することもあります。

無申告加算税の割合

国税庁が示す無申告加算税の割合は次のとおりです。いずれも令和6年1月1日以後に法定申告期限が到来するものについての割合です。国税庁 No.2024 確定申告を忘れたとき

調査の通知前に自主的に期限後申告 納付すべき税額の5%
調査の事前通知後で
決定を予知する前の期限後申告
50万円までの部分は10%
50万円超300万円までの部分は15%
300万円超の部分は25%
調査による決定を
予知した後の期限後申告
50万円までの部分は15%
50万円超300万円までの部分は20%
300万円超の部分は30%

一定の要件を満たす場合には無申告加算税がかからないこともあります。具体的には、期限後申告が法定申告期限から1か月以内に自主的に行われていること、納付すべき税額の全額を法定納期限までに納付していること、その期限後申告書を提出した日の前日から起算して5年前までの間に無申告加算税または重加算税を課されたことがなく期限内申告をする意思があったと認められることの全てを満たす場合です。

つまり、期限を過ぎたと気づいた時点で速やかに自主申告するほど負担は軽くなります。税務署からの連絡を待つのは最も不利な選択です。

延滞税の割合

延滞税は、納期限の翌日から実際に納付する日までの日数に応じて課される利息に相当するものです。令和8年1月1日から令和8年12月31日までの割合は次のとおりです。国税庁 延滞税の割合

納期限の翌日から
2か月を経過する日まで
年2.8%
2か月を経過する日の
翌日以後
年9.1%

延滞税の額は、おおむね次の考え方で計算されます。

本税の額  ×  延滞税の割合  ×  滞納日数  ÷  365  =  延滞税の額

2か月を境に割合が大きく上がるため、納付できる部分だけでも早く納めることで負担を抑えられます。なお参考として、令和7年1月1日から令和7年12月31日までの割合は年2.4%および年8.7%でした。年ごとに見直されるため、実際の計算では該当年の割合を確認します。

期限後の申告や、いったん提出した申告内容を後から直す場合の手続と負担は、次の記事で整理しています。

関連コラム相続税の修正申告とは|加算税・延滞税の負担と手続きの流れ

申告期限の延長が認められるケース

相続税の申告期限は、原則として延長できません。認められるのは、災害などの限定された事情がある場合に限られます。

災害その他やむを得ない理由

災害など納税者の責めに帰さないやむを得ない理由により、申告や納付等を期限までにすることができないと認められるときは、その理由がやんだ日から2か月以内に限り期限が延長されます。延長には、国税庁長官が地域と期日を指定する方法、対象者の範囲と期日を指定する方法、納税地の所轄税務署長に申請して個別に延長を受ける方法があります。国税庁 No.8001 災害等による期限の延長

地震や豪雨などで地域指定が行われた場合は、対象地域の納税者は申請なしで期限が延びます。個別の事情による場合は申請が必要で、被災状況などの実情に照らして判断されます。

延長が認められない典型例

実務で最も多い相談は「遺産分割の話し合いがまとまらない」というものですが、これは延長理由になりません。相続財産が分割されていない場合でも、相続税の申告期限が延びることはないと明示されています。国税庁 No.4208 相続財産が分割されていないときの申告

財産の評価が固まらない、必要書類が集まらない、相続人の一人と連絡が取れないといった事情も同様です。これらは延長ではなく、次章の実務対応で乗り切ることになります。

期限に間に合いそうにない場合の実務対応

分割が決まらないまま期限が近づいても、打つ手がないわけではありません。むしろ「決まっていないから出さない」が最も不利です。

法定相続分による未分割申告

財産が分割されていない場合は、各相続人が民法に規定する相続分または包括遺贈の割合に従って財産を取得したものとして計算し、期限内に申告します。この未分割の状態での申告では、小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例や配偶者の税額の軽減の特例などを適用できません。

そのため、いったんは本来より多い税額を納めることになります。それでも期限内に申告しておけば、無申告加算税は避けられます。納税資金の準備も、この前提で早めに進めておきます。

申告期限後3年以内の分割見込書

未分割で申告する際に「申告期限後3年以内の分割見込書」を添えて提出しておくと、後日実際に分割がまとまった段階で、小規模宅地等の特例や配偶者の税額軽減を適用できます。適用は申告期限から3年以内に分割があった場合に限られます。

この書類の添付を忘れると、後から特例を使う道が閉ざされます。未分割で申告するときは必ずセットで提出します。

分割確定後の更正の請求

分割がまとまり、特例の適用によって当初の申告より税額が減る場合は、更正の請求によって納めすぎた税額の還付を受けます。分割後の更正の請求ができるのは、分割のあったことを知った日の翌日から4か月以内です。

相続税の更正の請求は、原則として法定申告期限から5年以内に行うこととされていますが、後発的な事由による場合はそれぞれ定められた期間内に手続する必要があります。国税庁 B1-27 相続税及び贈与税の更正の請求手続

逆に、分割の結果として税額が増える相続人は修正申告を行います。未分割申告は「後から必ず調整する」ことを前提にした手続だと理解しておくと、進め方を判断しやすくなります。

申告全体をどの順序で進めるかは、次の記事でスケジュールとして整理しています。

関連コラム相続税申告の流れ|10ヶ月のスケジュールと手続きの順序

まとめ

相続税の申告期限は、被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内です。納付の期限も同じ日で、期限が土日祝日や年末年始に当たる場合だけ、これらの日でない最初の日まで延びます。

期限を過ぎると無申告加算税と延滞税が生じます。無申告加算税は調査の通知前に自主的に申告すれば5%にとどまる一方、調査後の申告では最大30%の割合になります。延滞税も納期限の翌日から2か月を境に割合が上がるため、気づいた時点で動くことが最も効果的な負担軽減策です。

延長が認められるのは災害などのやむを得ない理由に限られ、遺産分割の未了は理由になりません。分割が間に合わないときは、法定相続分による未分割申告と申告期限後3年以内の分割見込書で期限内申告を確保し、分割確定後に更正の請求または修正申告で調整します。財産の内容や相続人の状況によって最適な進め方は変わりますので、具体的なケースは税理士へのご相談をおすすめします。

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参考文献

相続税の申告期限のよくある質問まとめ

Q.相続税の申告期限はいつまでですか

A.被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内です。通常は亡くなった日が基準となり、10か月後の同じ日付が期限になります。

Q.申告期限が土日祝日に当たる場合はどうなりますか

A.期限の日が土曜日、日曜日、国民の祝日その他の一般の休日、または12月29日から翌年1月3日までに当たるときは、これらの日でない最初の日まで期限が延長されます。

Q.納付の期限も申告期限と同じですか

A.同じです。相続税の納税は申告期限までに行うこととされており、原則として金銭で一度に納付します。金銭での一括納付が難しい場合は、申告期限までに延納を申請します。

Q.申告期限を過ぎたらどうなりますか

A.無申告加算税と延滞税が課されます。令和6年1月1日以後に法定申告期限が到来するものについて、調査の通知前に自主的に期限後申告をした場合は5%、調査による決定を予知した後の申告では税額に応じて15%から30%の割合になります。

Q.遺産分割がまとまらない場合に期限を延長できますか

A.できません。相続財産が分割されていない場合でも申告期限は延びません。民法に規定する相続分に従って計算した未分割の状態で期限内に申告します。

Q.未分割で申告すると特例は使えなくなりますか

A.未分割申告では小規模宅地等の特例や配偶者の税額軽減を適用できませんが、申告期限後3年以内の分割見込書を提出し、申告期限から3年以内に分割があれば、分割のあったことを知った日の翌日から4か月以内の更正の請求で適用を受けられます。

事務所概要
社名
税理士法人プライムパートナーズ
住所
〒107-0052
東京都港区赤坂5丁目2−33
IsaI AkasakA 17階
対応責任者
税理士 島本 雅史

本記事は正確な情報提供を心掛けておりますが、執筆時点の情報に基づいているため、法改正や人的ミス、個別のケースにより適用が異なる可能性があります。最新の情報や具体的なご相談については、お気軽に弊法人の税理士までお問い合わせください。

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