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東京の相続税に強い税理士の選び方|費用と依頼の判断基準

2026-08-09
目次

東京で相続が発生し、相続税の申告を税理士に任せるべきか迷っている方は少なくありません。「東京は税理士事務所の数が多すぎて、どこに頼めばよいのか分からない」と感じる方も多いはずです。相続税の申告は一生に何度も経験するものではないため、比較の基準そのものを持ちにくい分野でもあります。

東京は地価が高く、自宅の土地だけで基礎控除額を超えてしまうケースが珍しくありません。実際、東京国税局の管内では相続税の申告が必要になった方の割合が全国平均を大きく上回っています。この記事では、東京で相続税申告を任せる税理士をどう選ぶかを、公的な統計と制度の根拠に沿って整理します。

東京で相続税の申告が必要になる人の割合

結論から申し上げますと、東京は全国と比べて相続税の申告が必要になる可能性が高い地域です。令和6年分の集計では、東京国税局管内の課税割合は16.2%でした。国税庁 令和6年分 相続税の申告事績の概要(東京国税局)前年の令和5年分は15.4%でしたので、1年で0.8ポイント上昇しています。

一方、同じ令和6年分の全国の課税割合は10.4%です。国税庁 令和6年分 相続税の申告事績の概要全国ではおよそ10人に1人であるのに対し、東京国税局管内ではおよそ6人に1人について相続税の申告書が提出されている計算になります。「うちは資産家ではないから関係ない」という感覚が、東京では通用しにくいことを示す数字です。

なお、東京国税局が管轄しているのは東京都だけではなく、千葉県・神奈川県・山梨県を含む1都3県です。国税庁 税務署所在地・案内そのため上記の課税割合は東京都単独の数値ではありませんが、地価水準の高い都市部を多く含む地域の傾向として参考になります。

被相続人数(死亡者数) 328,773人
相続税の申告書の提出に
係る被相続人数
53,379人
課税割合 16.2%
課税価格の総額 8兆6,522億円
被相続人1人当たりの
課税価格
1億6,209万円
被相続人1人当たりの
税額
2,670万円

実務でも、「自宅と預貯金くらいしかありません」とおっしゃっていた方が、路線価で土地を評価してみると基礎控除額を超えていた、という場面は日常的にあります。東京の相続では、まず申告が必要かどうかを正確に見極めるところが出発点になります。

基礎控除額の計算方法

相続税がかかるかどうかは、遺産の総額が基礎控除額を超えるかどうかで決まります。基礎控除額は法定相続人の数によって変わり、次の式で計算します。国税庁 No.4152 相続税の計算

3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数 = 基礎控除額

たとえば配偶者と子2人が相続人の場合、法定相続人は3人ですので、基礎控除額は次のとおり4,800万円になります。

3,000万円 + 600万円 × 3人 = 4,800万円

この4,800万円という金額は、東京23区で土地付きの一戸建てをお持ちの場合、土地と建物だけで届いてしまうことがある水準です。ここに預貯金や有価証券が加われば、基礎控除額を超える可能性はさらに高まります。なお、法定相続人の数は相続を放棄した人がいても放棄がなかったものとして数え、養子については実子がいる場合は1人まで、実子がいない場合は2人までを含めます。

東京で課税割合が高い背景

東京の課税割合が高い最大の要因は、土地の評価額です。市街地の宅地は路線価方式で評価します。路線価とは、その道路に面している標準的な宅地の1平方メートル当たりの価額を千円単位で示したもので、この路線価に奥行価格補正率などを乗じ、さらに面積を乗じて評価額を計算します。国税庁 No.4604 路線価方式による宅地の評価

路線価は道路ごとに定められているため、同じ区内でも面している道路が違うだけで評価額が変わります。角地であれば側方路線影響加算、裏面にも道路があれば二方路線影響加算といった加算も必要です。東京の宅地は間口が狭い土地や不整形な土地が多く、この補正の判断が評価額を大きく左右します。

言い換えれば、東京の相続税申告は「財産を集める作業」よりも「土地をどう評価するか」で結論が変わりやすい、という特徴があります。税理士を選ぶ際にこの点を軸に据えると、判断がしやすくなります。

相続税申告を税理士に依頼すべきケース

相続税の申告は、必ず税理士に依頼しなければならないものではありません。財産が預貯金だけで、相続人も少なく、基礎控除額を明らかに超えていないのであれば、ご自身で対応できる場面もあります。ただし、次のような事情があるときは、専門家に依頼した方が結果的に有利になることが多いというのが実務での実感です。

土地を複数持っている 路線価方式での評価と各種補正の判断が必要になり、評価額が数百万円単位で変わることがあります。
自宅の敷地に特例を
使いたい
小規模宅地等の特例は要件が細かく、どの宅地に適用するかの選択によって税額が変わります。
配偶者が財産を
取得する
配偶者の税額の軽減をどこまで使うかで、将来の二次相続まで含めた負担が変わります。
遺産分割が
まとまっていない
未分割のままでは主要な特例が使えず、期限内申告と後日の手続きを組み合わせる必要があります。
生前贈与が
行われていた
加算の対象になる贈与を漏らすと、申告後に修正が必要になります。

特に東京で多いのは、土地の評価と小規模宅地等の特例の組み合わせです。被相続人が居住の用に供していた宅地等は、一定の要件を満たすと330㎡まで評価額を80%減額できます。国税庁 No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)

仮に路線価が1平方メートル当たり60万円の土地を100㎡お持ちだった場合、減額前の評価額は次のとおりです。

60万円 × 100㎡ = 6,000万円

この宅地について特例の要件を満たすと、80%にあたる金額が減額されます。

6,000万円 × 80% = 4,800万円

その結果、相続税の課税価格に算入される金額は次のように圧縮されます。

6,000万円 − 4,800万円 = 1,200万円

この一つの判断だけで課税価格が4,800万円動きます。特例が使えるかどうかは同居の状況や取得者によって変わるため、要件の確認を誤ると、納めすぎにも納め不足にもつながります。

また、配偶者が取得した財産については、1億6千万円と配偶者の法定相続分相当額のうち、いずれか多い金額までは相続税がかからない仕組みがあります。国税庁 No.4158 配偶者の税額の軽減ただし、この軽減を目いっぱい使うと、次に配偶者が亡くなったときの相続で税負担が重くなることがあります。目先の税額だけでなく、二次相続まで見据えた分け方の検討が欠かせません。

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関連コラム相続税申告の税理士費用|報酬相場と料金体系の見方

東京の税理士選びの判断基準

税理士は税務の専門家ですが、全員が相続税を主に扱っているわけではありません。法人の顧問業務や所得税の確定申告を中心にしている事務所も多く、相続税申告の経験値は事務所ごとに大きく異なります。東京は事務所の数が多いぶん選択肢も広いので、次の4点を確認するだけで候補をかなり絞り込めます。

相続税申告の取扱実績

最初に確認したいのは、年間でどれくらいの相続税申告を扱っているかです。あわせて、そのうち土地を含む案件がどの程度あるかも聞いてみてください。東京の相続では土地の評価が論点になりやすいため、件数そのものより「土地を伴う申告をどれだけ経験しているか」の方が実質的な判断材料になります。

土地評価への対応力

路線価図を見て機械的に計算するだけであれば、評価額は高く出やすくなります。実務では、現地の状況や役所での調査を踏まえて、間口や奥行、接道の状況、高低差といった要素を確認していきます。現地確認を行うのか、資料だけで済ませるのかは、事務所によって方針が分かれる部分ですので、初回の相談時に必ず質問しておくことをおすすめします。

書面添付制度への対応

税理士が申告書を作成した場合、その申告書について計算し、整理し、または相談に応じた事項を記載した書面を添付して提出できる制度があります。この書面が添付されていると、税務調査の日時等を納税者に通知する前に、税理士に対して意見を述べる機会が与えられます。国税庁 4 書面添付・意見聴取制度申告内容の説明責任を果たす姿勢が表れる部分ですので、対応の有無を確認しておくとよいでしょう。

税理士報酬の体系と説明の明確さ

相続税申告の報酬は、遺産総額を基準にした基本報酬に、土地の区画数や相続人の人数などに応じた加算を組み合わせる形が一般的です。見積りの段階で、どこまでが基本報酬に含まれ、何が加算になるのかを書面で示してもらうと、後の行き違いを防げます。安さだけで選ぶと、土地の評価や特例の検討が省かれ、結果として納税額が増えてしまうこともあります。

相続税申告の取扱件数 年間の申告件数と、そのうち土地を含む案件の割合を確認します。
土地評価の進め方 現地確認や役所調査を行うか、資料のみで評価するかを確認します。
書面添付の対応 添付書面を付けて申告するかどうか、その方針を確認します。
報酬の内訳 基本報酬の範囲と加算の条件が、見積書で明示されているかを確認します。
二次相続への視点 分け方の提案に、将来の二次相続の試算が含まれているかを確認します。
面談と連絡の方法 来所・訪問・オンラインのどれに対応し、担当者が誰になるかを確認します。

税理士に依頼した場合の申告手続きの流れ

相続税の申告と納税の期限は、相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内と定められています。e-Gov法令検索 相続税法第27条10か月と聞くと余裕があるように感じますが、戸籍の収集と財産の把握だけで2、3か月かかることは珍しくなく、実際にはあまり時間の余裕はありません。

申告書の提出先は、被相続人の死亡の時における住所が日本国内にある場合、被相続人の住所地を所轄する税務署です。国税庁 No.4205 相続税の申告と納税相続人が住んでいる場所の税務署ではない点に注意が必要です。東京都内にお住まいだった方の相続であれば、その住所地を管轄する都内の税務署が提出先になります。

依頼後の進み方は、おおむね次のようになります。まず初回面談で財産の概要と相続人の状況を確認し、見積りを提示します。次に戸籍謄本や不動産の登記事項証明書、残高証明書などの資料を集め、財産目録を作成します。そのうえで土地の評価と特例の適用可否を検討し、遺産分割の方針を固めます。分割協議がまとまったら申告書を作成し、期限内に提出して納税する、という順序です。

この流れの中で最も時間がかかるのは資料収集と遺産分割の合意形成です。逆に言えば、相続開始から早い時期に税理士へ相談しておくほど、選択肢を残した状態で分け方を検討できます。

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関連コラム相続税申告の流れ|10ヶ月のスケジュールと手続きの順序

東京の相続税申告における注意点

東京の相続税申告では、期限と分割協議、そして申告後の税務調査という3つの点で注意が必要です。あらかじめ知っておくと、慌てずに準備を進められます。

遺産分割が間に合わない場合の取扱い

遺産分割がまとまっていないことを理由に、相続税の申告期限が延びることはありません。分割が済んでいないときは、各相続人が民法に規定する相続分に従って財産を取得したものとして計算し、いったん期限内に申告と納税を行います。国税庁 No.4208 相続財産が分割されていないときの申告

問題は、この未分割の申告では小規模宅地等の特例や配偶者の税額の軽減が適用できないことです。そのため、いったんは本来より多い税額を納めることになります。その後に分割が成立すれば、修正申告や更正の請求によって精算できますが、特例の適用を受けるには原則として申告期限から3年以内に分割が済んでいることが必要です。申告書に「申告期限後3年以内の分割見込書」を添付しておく手当ても欠かせません。

申告後の税務調査への備え

相続税は、申告して終わりではありません。国税庁の公表によると、令和6事務年度の相続税の実地調査件数は9,512件で、そのうち申告漏れ等の非違があった割合は82.3%、実地調査1件当たりの追徴税額は867万円でした。国税庁 令和6事務年度における相続税の調査等の状況

調査で指摘されやすいのは、名義預金や生前贈与の取扱い、そして財産の計上漏れです。申告の段階で、預金の動きや贈与の経緯を資料とともに整理しておくことが、最も確実な備えになります。この点でも、調査対応まで見据えて申告書を作れる事務所かどうかが選び方の分かれ目になります。

関連コラム相続税の税務調査で対象になりやすい人の特徴と備え

まとめ

東京国税局管内の課税割合は16.2%で、全国の10.4%を大きく上回っています。東京で相続が起きたときは、まず「自分は申告が必要な側かもしれない」という前提で確認を始めることが大切です。基礎控除額は3,000万円に600万円と法定相続人の数を掛けた額を加えて計算しますので、まずはご自身のケースに当てはめてみてください。

税理士を選ぶ際は、相続税申告の取扱実績、土地評価の進め方、書面添付への対応、報酬体系の明確さという4点を確認すれば、東京の数多い事務所の中からでも十分に絞り込めます。とりわけ東京では土地の評価が税額を左右しますので、現地や役所まで確認する姿勢があるかどうかは重要な判断材料です。

申告期限は相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内で、提出先は被相続人の住所地を所轄する税務署です。期限が近づくほど選べる手段は減っていきますので、早めの着手をおすすめします。財産の内容やご家族の状況によって最適な進め方は異なりますので、具体的なケースは税理士へのご相談をおすすめします。

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参考文献

東京の相続税と税理士選びのよくある質問まとめ

Q. 東京の相続税申告は必ず税理士に依頼しなければなりませんか。

A. 依頼は義務ではありません。ただし東京国税局管内の令和6年分の課税割合は16.2%と全国の10.4%を上回り、土地の評価が論点になる申告が多くなります。土地をお持ちの場合や小規模宅地等の特例を使う場合は、税理士に依頼した方が結果的に有利になることが多いといえます。

Q. 相続税の申告書はどこの税務署に提出しますか。

A. 被相続人の死亡の時における住所が日本国内にある場合は、被相続人の住所地を所轄する税務署に提出します。相続人が住んでいる場所の税務署ではありません。東京都内にお住まいだった方の相続であれば、その住所地を管轄する都内の税務署が提出先になります。

Q. 相続税の申告期限はいつまでですか。

A. 相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内です。戸籍の収集や財産の把握だけで2、3か月かかることも多く、実際の準備期間は見た目ほど長くありません。相続開始後は早めに着手することをおすすめします。

Q. 遺産分割がまとまらないまま申告期限が来たらどうすればよいですか。

A. 分割が済んでいなくても申告期限は延びません。民法に規定する相続分に従って財産を取得したものとして計算し、いったん期限内に申告と納税を行います。この未分割の申告では小規模宅地等の特例や配偶者の税額の軽減が使えないため、申告書に申告期限後3年以内の分割見込書を添付し、分割成立後に修正申告や更正の請求で精算します。

Q. 東京の税理士を選ぶときに最初に確認すべき点は何ですか。

A. 相続税申告の年間取扱件数と、そのうち土地を含む案件の割合です。東京の相続は土地の評価で税額が変わりやすいため、現地確認や役所調査まで行うかどうかもあわせて確認してください。報酬については、基本報酬の範囲と加算の条件が見積書で明示されているかが目安になります。

Q. 税理士に依頼すれば税務調査は避けられますか。

A. 調査が来ないことを保証できる制度はありません。令和6事務年度の相続税の実地調査件数は9,512件で、そのうち非違があった割合は82.3%でした。税理士が計算し整理した事項を記載した書面を申告書に添付していると、調査の通知前に税理士へ意見を述べる機会が与えられる仕組みがあります。

事務所概要
社名
税理士法人プライムパートナーズ
住所
〒107-0052
東京都港区赤坂5丁目2−33
IsaI AkasakA 17階
対応責任者
税理士 島本 雅史

本記事は正確な情報提供を心掛けておりますが、執筆時点の情報に基づいているため、法改正や人的ミス、個別のケースにより適用が異なる可能性があります。最新の情報や具体的なご相談については、お気軽に弊法人の税理士までお問い合わせください。

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