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生前贈与加算はいくらまで?100万円控除の対象と計算方法

2026-06-21
目次

「相続開始前7年以内の贈与は相続財産に加算される」という2024年の改正について耳にして、7年分すべてがまるごと足し戻されてしまうのではと不安に感じている方は少なくありません。実は改正では、延長された部分(相続開始前3年超7年以内)の贈与について、総額100万円までは相続財産に加算しないという緩和措置があわせて設けられています。この記事では「生前贈与加算はいくらまで加算されるのか」という疑問に答えるかたちで、100万円控除の対象範囲・具体的な計算方法・見落としやすい注意点にしぼって解説します。

生前贈与加算の100万円控除の位置づけ

生前贈与加算とは、相続や遺贈で財産を取得した人が、被相続人から生前に受けた贈与を相続財産に足し戻して相続税を計算する仕組みです。2024年(令和6年)の改正で、この加算の対象期間が相続開始前3年以内から相続開始前7年以内へ段階的に延長されました。具体的には、令和6年1月1日以後の暦年課税による贈与から対象となり、加算対象期間が相続開始前7年以内へと広がっていきます[国税庁 No.4161 贈与財産の加算と税額控除(暦年課税)]。

ここで重要なのが、期間が延びた分をそのまま全額加算するわけではないという点です。延長によって新たに加算対象となった相続開始前3年超7年以内の贈与については、その贈与時の価額の合計額から総額100万円までを相続税の課税価格に加算しないこととされています[国税庁 No.4161 贈与財産の加算と税額控除(暦年課税)]。加算期間が長くなることによる負担増を一定程度やわらげるための調整と理解しておくとわかりやすいでしょう。

制度の全体像や7年延長の背景そのものについては、別記事で詳しく整理しています。あわせてご覧ください。

生前贈与加算とは?2024年改正で7年に延長!制度の基本を優しく解説

100万円控除の対象となる贈与の範囲

この100万円控除は、生前贈与加算の対象となるすべての贈与に適用されるわけではありません。適用されるのは、あくまで延長された相続開始前3年超7年以内に受けた贈与に限られます。従来から加算対象だった相続開始前3年以内の贈与は、これまでどおり全額が加算対象であり、100万円を差し引くことはできません。

言い換えると、亡くなった日から近い順に3年間分は満額で足し戻し、それより前の4年間分(3年超7年以内)についてのみ、合計100万円を上限に加算額から控除できる、という構造です。次の表で対象を整理します。

贈与を受けた時期 加算の取扱い
相続開始前3年以内 全額を加算(控除なし)
相続開始前3年超7年以内 合計額から総額100万円を控除して加算

控除できるのは「総額100万円」であり、毎年100万円ずつ控除できるわけではない点に注意が必要です。3年超7年以内という4年間の贈与を合算したうえで、その合計から一度だけ100万円を差し引くという扱いになります。

100万円控除を使った加算額の計算方法

ここからは具体的な数字で計算の流れを確認します。前提として、暦年課税の贈与税には毎年110万円の基礎控除があり、年間110万円以下の贈与であれば贈与税はかかりません[国税庁 No.4402 贈与税がかかる場合]。ただし、贈与税がかからなかった贈与であっても、生前贈与加算の対象期間内であれば相続財産への加算対象となります。

例として、被相続人が亡くなる前の各年に、相続人である子へ毎年100万円を贈与していたケースを考えます。相続開始前7年以内に、7回にわたり毎年100万円(合計700万円)を贈与していたものとします。

まず、相続開始前3年以内に贈与された3年分(100万円×3年=300万円)は、全額が加算対象です。

100万円 × 3年 = 300万円

次に、延長部分にあたる相続開始前3年超7年以内の4年分(100万円×4年=400万円)については、その合計額から総額100万円を控除します。

100万円 × 4年 = 400万円
400万円 − 100万円 = 300万円

最後に、両者を合計した金額が相続財産に加算されます。

300万円 + 300万円 = 600万円

本来は7年分で700万円ですが、100万円控除の適用により、実際に加算されるのは600万円となります。100万円控除がある分だけ、加算される金額が抑えられていることがわかります。

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100万円控除で見落としやすい注意点

控除額は贈与者ごとに総額100万円が上限

100万円控除は、延長された相続開始前3年超7年以内に取得した財産の合計額に対して総額100万円までという上限です。年ごとに100万円ずつ差し引けるわけではないため、延長部分の贈与が複数年にわたっていても、控除できるのは全体で100万円までです。この点を毎年110万円の基礎控除と混同しないよう注意してください。

適用は相続開始日に応じて段階的

加算対象期間の7年への延長は、令和6年1月1日以後の暦年課税による贈与から適用され、相続開始日に応じて対象範囲が段階的に広がります。100万円控除が関係してくるのは、相続開始の日が令和9年1月2日以後となる場合で、このとき加算対象期間内の財産のうち相続開始前3年以内に取得した財産以外の財産について、贈与時の価額の合計額から総額100万円までが加算されないこととされています[国税庁 No.4161 贈与財産の加算と税額控除(暦年課税)]。ご自身のケースでどこまでが加算対象になるかは、相続開始の時期によって変わる点をおさえておきましょう。

加算対象者は相続や遺贈で財産を取得した人

生前贈与加算の対象となるのは、相続や遺贈によって財産を取得した人が受けた贈与です。100万円控除もその枠組みのなかでの調整であるため、そもそも相続財産を取得しない人が生前に受けた贈与は、原則として加算の対象外です。誰の贈与が加算対象になるのかという前提を確認したうえで、100万円控除の適用を検討することが大切です。

加算された贈与に課された贈与税は控除できる

相続財産に加算された贈与財産について、すでに贈与税を納めている場合には、その贈与税額を相続税額から差し引くことができます[国税庁 No.4161 贈与財産の加算と税額控除(暦年課税)]。生前贈与加算は同じ財産に贈与税と相続税が二重に課されないよう配慮された仕組みになっており、100万円控除とあわせて理解しておくと、実際の税負担のイメージがつかみやすくなります。

贈与が相続財産に加算される起算日や対象期間の考え方については、次の記事で詳しく解説しています。

死亡前7年以内の贈与は相続税対象!暦年贈与の相続時加算を徹底解説

まとめ

生前贈与加算の100万円控除は、加算対象期間が相続開始前7年以内へ延長されたことにともない、延長部分にあたる相続開始前3年超7年以内の贈与について、その合計額から総額100万円までを相続財産に加算しないとする調整措置です。相続開始前3年以内の贈与は従来どおり全額が加算対象で、100万円を差し引けるのは延長された4年間分のみである点、控除は毎年ではなく総額で一度だけ100万円である点が要点です。適用時期は相続開始日に応じて段階的に決まるため、ご自身の状況に照らした判断が欠かせません。生前贈与を活用した相続対策は個別事情によって最適解が変わります。判断に迷う場合は、相続税に精通した税理士へご相談ください。

本記事は2026年7月時点の情報にもとづく一般的な解説であり、個別の税務判断を保証するものではありません。実際のお取り扱いにあたっては、必ず税務署または税理士等の専門家にご確認ください。

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参考文献

生前贈与加算と100万円控除に関するよくある質問まとめ

Q. 生前贈与加算の100万円控除とは何ですか。

A. 加算対象期間が相続開始前7年以内へ延長されたことにともない、延長された相続開始前3年超7年以内に受けた贈与について、その贈与時の価額の合計額から総額100万円までを相続財産に加算しないとする調整措置です。

Q. 100万円控除はすべての贈与に使えますか。

A. 使えるのは延長された相続開始前3年超7年以内の贈与に限られます。従来から加算対象である相続開始前3年以内の贈与は全額が加算対象で、100万円を差し引くことはできません。

Q. 100万円は毎年控除できるのですか。

A. 毎年ではありません。相続開始前3年超7年以内の4年間分の贈与を合算したうえで、その合計から一度だけ総額100万円を控除する扱いです。年110万円の基礎控除とは別のものです。

Q. 7年分の贈与はいくら加算されますか。

A. 相続開始前3年以内の贈与は全額を加算し、相続開始前3年超7年以内の贈与は合計額から総額100万円を控除して加算します。たとえば毎年100万円を7年間贈与した場合、300万円と、400万円から100万円を引いた300万円の合計600万円が加算されます。

Q. 100万円控除はいつから適用されますか。

A. 加算対象期間の延長は令和6年1月1日以後の暦年課税による贈与から適用されます。100万円控除は相続開始の日が令和9年1月2日以後となる場合に関係し、相続開始日に応じて対象範囲が段階的に広がります。

Q. 加算された贈与に納めた贈与税はどうなりますか。

A. 相続財産に加算された贈与財産についてすでに贈与税を納めている場合は、その贈与税額を相続税額から差し引くことができ、同じ財産に二重に課税されないよう配慮されています。

事務所概要
社名
税理士法人プライムパートナーズ
住所
〒107-0052
東京都港区赤坂5丁目2−33
IsaI AkasakA 17階
対応責任者
税理士 島本 雅史

本記事は正確な情報提供を心掛けておりますが、執筆時点の情報に基づいているため、法改正や人的ミス、個別のケースにより適用が異なる可能性があります。最新の情報や具体的なご相談については、お気軽に弊法人の税理士までお問い合わせください。

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