納税が期限に遅れたとき、本税とは別に自動的に課されるのが延滞税です。この記事は、法人・個人事業主の経営者や経理担当の方、確定申告の納付が遅れそうな納税者の方に向けて、延滞税の現行の税率(割合)と計算のしかたを整理したものです。
結論から示します。令和8年1月1日から令和8年12月31日までの期間に対応する延滞税の割合は、納期限の翌日から2か月を経過する日までが年2.8%、2か月を経過した日以後が年9.1%です。原則の税率は年7.3%と年14.6%ですが、市中金利に連動した特例により、実際にはこれより低い割合が適用されています。国税庁 延滞税の割合
延滞税の概要
延滞税は、国税が定められた期限までに納付されない場合に、法定納期限の翌日から納付する日までの日数に応じて自動的に課される、利息に相当する税金です。税務署からの通知や処分を待つまでもなく、納付が遅れた事実だけで発生します。日数に応じて増えていく性質のため、納付が1日遅れるごとに負担が積み上がる点が特徴です。
延滞税がかかる場合
延滞税が課されるのは、主に次の三つの場面です。いずれの場合も、法定納期限の翌日から納付する日までの日数に応じた延滞税を納付することになります。国税庁 No.9205 延滞税について
- 申告などで確定した税額を法定納期限までに完納しないとき
- 期限後申告書または修正申告書を提出した場合で、納付しなければならない税額があるとき
- 更正または決定の処分を受けた場合で、納付しなければならない税額があるとき
延滞税の対象は本税のみ
延滞税は本税だけを対象として課されるものであり、加算税などに対しては課されません。無申告加算税や過少申告加算税が課された場合でも、その加算税の金額にさらに延滞税が上乗せされることはありません。延滞税は納付の遅れに対する利息、加算税は申告義務の不履行に対する制裁と、役割が分かれています。
関連コラム法人税と地方法人税の無申告加算税の取り扱いを分かりやすく解説▸
延滞税の税率と割合
延滞税の割合は、納期限からの経過期間に応じて二段階に分かれます。負担が大きく変わる境目は納期限の翌日から2か月です。
原則の税率
法律上の原則的な割合は、納期限までの期間および納期限の翌日から2か月を経過する日までが年7.3%、納期限の翌日から2か月を経過した日以後が年14.6%とされています。ただし令和3年1月1日以後の期間については、それぞれ「年7.3%」と「延滞税特例基準割合+1%」のいずれか低い割合、「年14.6%」と「延滞税特例基準割合+7.3%」のいずれか低い割合が適用されます。低金利が続いている現在は、いずれも特例側の割合が適用されている状態です。
令和8年の現行の割合
令和8年1月1日から令和8年12月31日までの期間に対応する具体的な割合は次のとおりです。2か月を境に、およそ3倍以上に跳ね上がります。
| 納期限までの期間および納期限の翌日から2か月を経過する日まで | 年2.8% |
|---|---|
| 納期限の翌日から2か月を経過した日以後 | 年9.1% |
実務では、資金繰りの都合でどうしても納付が遅れる場面があります。その際に「2か月以内に納め切れるかどうか」で負担が大きく変わるため、実務では資金繰り表を確認しながら、まず2か月以内の完納を目標に据えて支払いの優先順位を組み直す対応が取られます。分割で入金の見込みが立つ場合でも、2か月の期限を越えると割合が上がるため、越える前に一部でも納付して本税の残高を減らしておくと、その後の延滞税の増え方を抑えられます。
延滞税特例基準割合の仕組み
延滞税特例基準割合とは、各年の前々年の9月から前年の8月までの各月における銀行の新規の短期貸出約定平均金利の合計を12で除して得た割合として、各年の前年の11月30日までに財務大臣が告示する割合に、年1%の割合を加算した割合をいいます。市中金利に連動して毎年見直されるため、延滞税の割合も年ごとに変動します。令和8年分の割合が令和7年分より高くなっているのは、この基準となる金利が上昇したことによるものです。
年分ごとの割合の推移
延滞税は日数に応じて計算されるため、納付までの期間が複数の年にまたがる場合には、それぞれの年の割合を使って区分して計算します。過去の年分の割合は次のとおりです。
| 期間 | 割合(2か月以内/ 2か月経過後) |
|---|---|
| 令和8年1月1日~令和8年12月31日 | 年2.8%/年9.1% |
| 令和7年1月1日~令和7年12月31日 | 年2.4%/年8.7% |
| 令和6年1月1日~令和6年12月31日 | 年2.4%/年8.7% |
| 令和5年1月1日~令和5年12月31日 | 年2.4%/年8.7% |
| 令和4年1月1日~令和4年12月31日 | 年2.4%/年8.7% |
| 令和3年1月1日~令和3年12月31日 | 年2.5%/年8.8% |
| 平成30年1月1日~令和2年12月31日 | 年2.6%/年8.9% |
| 平成29年1月1日~平成29年12月31日 | 年2.7%/年9.0% |
| 平成27年1月1日~平成28年12月31日 | 年2.8%/年9.1% |
| 平成26年1月1日~平成26年12月31日 | 年2.9%/年9.2% |
延滞税の計算方法
延滞税の額は、法定納期限の翌日から完納する日までの日数に応じ、二段階に区分して計算した金額の合計額となります。国税庁 延滞税の計算方法
計算式
それぞれの期間について、次の式で計算します。
納期限の考え方
計算の起点となる「納期限」は、申告の状況によって次のように異なります。期限後申告や修正申告では申告書を提出した日が納期限となるため、提出した日の翌日から2か月間は低い割合が適用される点に注意が必要です。
| 期限内に申告された場合 | 法定納期限 |
|---|---|
| 期限後申告または修正申告の場合 | 申告書を提出した日 |
| 更正・決定の場合 | 更正決定等通知書を発した日から1か月後の日 |
なお、延滞税そのものは法定納期限の翌日から発生します。上表の「納期限」は割合の切替時点を判定するためのものであり、延滞税の計算の開始日である法定納期限とは別の概念です。
計算例
本税100万円、納期限が令和8年6月1日の国税を、令和8年10月1日に納付したケースで計算します。納期限の翌日は令和8年6月2日、2か月を経過する日は令和8年8月1日です。
第一段階は令和8年6月2日から8月1日までの61日間で、年2.8%が適用されます。
第二段階は令和8年8月2日から納付日である10月1日までの61日間で、年9.1%が適用されます。
両者を合計した金額が延滞税の額です。
同じ61日間でも、2か月を経過した後の期間の負担は3倍以上になります。納付を先送りするほど、後半の高い割合で日数が積み上がる構造だと理解しておくとよいでしょう。なお端数処理を含む最終的な金額は税務署の計算により確定するため、上記はあくまで目安です。
延滞税の計算期間の特例
偽りその他不正の行為により国税を免れた場合等を除き、次の場合には一定の期間を延滞税の計算期間に含めないという特例があります。税務調査などで過年度分の修正が生じたときに、調査に要した期間の延滞税が際限なく膨らむことを防ぐための仕組みです。
- 期限内申告書が提出されていて、法定申告期限後1年を経過してから修正申告または更正があったとき
- 期限後申告書が提出されていて、その申告書提出後1年を経過してから修正申告または更正があったとき
- 確定申告書を提出した後に減額更正がされ、その後さらに修正申告または更正があったとき(平成29年1月1日以後に法定納期限が到来する国税について適用されます)
具体的には、期限内申告書の提出後1年以上経過して修正申告または更正があった場合、法定納期限から1年を経過する日の翌日から、修正申告書を提出した日または更正通知書を発した日までの期間が計算期間から控除されます。ただし重加算税が課された場合はこの特例の対象外となり、全期間について延滞税が計算されます。仮装・隠蔽があったと認定されるかどうかで、延滞税の負担が大きく変わる場面です。
修正申告を行った場合の延滞税は、計算期間の特例や加算税との関係でとくに分かりにくい部分です。詳しくは次のコラムで解説しています。
関連コラム修正申告の延滞税|計算方法と加算税の関係を税理士が解説▸
延滞税が軽減・免除されるケース
国税を一時に納付することが困難な理由がある場合には、税務署に申請することにより、財産の換価(売却)や差押えなどの猶予が認められる場合があります。猶予が認められた場合は、財産の換価や差押えなどが猶予されるほか、猶予期間中の延滞税が免除または軽減されます。国税庁 No.9206 国税を期限内に納付できないとき
換価の猶予
次の要件のすべてに該当するときは、原則として1年以内の期間に限り、換価の猶予が認められる場合があります。事業を継続しながら分割で納付していきたい場合に検討する制度です。
- 国税を一時に納付することにより、事業の継続または生活の維持を困難にするおそれがあると認められること
- 納税について誠実な意思を有すると認められること
- 換価の猶予を受けようとする国税以外の国税の滞納がないこと
- 納付すべき国税の納期限から6か月以内に申請書が提出されていること
- 原則として、担保の提供があること
納税の猶予
災害・盗難、本人や家族の病気・負傷、事業の廃止や休止、事業について著しい損失を受けたことなどの事実があり、そのために国税を一時に納付できないと認められる場合には、原則として1年以内の期間に限り納税の猶予が認められる場合があります。本来の期限から1年以上経過した後に、修正申告などにより納付すべき税額が確定したことも猶予該当事実に含まれます。
担保の提供と猶予期間
猶予の申請をする場合は、原則として猶予を受けようとする金額に相当する担保を提供する必要があります。ただし、猶予を受ける金額が100万円以下である場合、猶予を受ける期間が3か月以内である場合、担保として提供することができる種類の財産がないといった事情がある場合には、担保の提供は不要です。猶予期間は1年の範囲内で、猶予を受けた国税は原則として猶予期間中の各月に分割して納付します。やむを得ない理由があると認められる場合は、当初の猶予期間と合わせて2年を超えない範囲で延長が認められることがあります。
これらの猶予は申請が前提であり、放置していて自動的に適用されるものではありません。納期限までに納付できない見込みが立った時点で、所轄の税務署の徴収担当に早めに相談することが重要です。要件の当てはめや添付書類の整え方には判断を要する部分があるため、具体的なケースは税理士へのご相談をおすすめします。
延滞税の納付方法
国税は、申告した税額等に基づき納税者自身が納期限までに納付する必要があります。申告書の提出後に税務署から納付書の送付や納税通知等のお知らせはないため、納付漏れが延滞税の発生につながりやすい点に注意が必要です。国税庁 G-2 国税の納付手続(納期限・振替日・納付方法)
延滞税は本税とは別に納付します。納付の順序としては、まず本税を完納し、その後に確定した延滞税を納付する流れが一般的です。本税を早く納めるほど延滞税の計算期間が短くなるため、資金が用意できた時点で速やかに本税を納付することが、結果として負担を抑えることにつながります。納付手続には複数の方法があり、期日を自動で管理できる方法を選んでおくと、うっかりによる遅延を防げます。
関連コラムダイレクト納付と振替納税の違いを分かりやすく解説します▸
まとめ
延滞税の割合は、令和8年1月1日から令和8年12月31日までの期間について、納期限の翌日から2か月を経過する日までが年2.8%、2か月を経過した日以後が年9.1%です。原則の年7.3%・年14.6%に対し、延滞税特例基準割合による軽減が適用された結果であり、市中金利の動向に応じて毎年見直されます。
計算は本税の額に割合と日数を掛け、365で除する方式で、2か月を境に二段階に区分して合計します。負担を抑えるうえで最も効果が大きいのは、納期限の翌日から2か月以内に完納することです。一時に納付することが困難な場合は、換価の猶予や納税の猶予により延滞税が免除または軽減される可能性があります。
税務調査に伴う修正申告や、重加算税が絡む事案では計算期間の特例の適用可否によって金額が大きく変わります。判断に迷う場面や、猶予の申請を検討する場面では、まずは税理士にご相談ください。
参考文献
- 国税庁 延滞税の割合
- 国税庁 No.9205 延滞税について
- 国税庁 延滞税の計算方法
- 国税庁 No.9206 国税を期限内に納付できないとき
- 国税庁 G-2 国税の納付手続(納期限・振替日・納付方法)
延滞税の税率のよくある質問まとめ
Q. 延滞税の現在の税率は何%ですか。
A. 令和8年1月1日から令和8年12月31日までの期間に対応する割合は、納期限の翌日から2か月を経過する日までが年2.8%、2か月を経過した日以後が年9.1%です。割合は毎年見直されるため、対象となる期間の年分を確認してください。
Q. 延滞税の原則の税率はいくらですか。
A. 原則は納期限の翌日から2か月を経過する日までが年7.3%、2か月を経過した日以後が年14.6%です。ただし令和3年1月1日以後の期間は、延滞税特例基準割合を用いたいずれか低い割合が適用されるため、実際にはこれより低い割合になっています。
Q. 延滞税はどのように計算しますか。
A. 本税の額に、その期間に適用される割合と期間の日数を掛け、365で除して計算します。納期限の翌日から2か月以内の期間と、2か月を経過した日以後の期間に区分し、それぞれの金額を合計した額が延滞税の額です。
Q. 延滞税は加算税にもかかりますか。
A. かかりません。延滞税は本税だけを対象として課されるものであり、無申告加算税や過少申告加算税などに対しては課されません。
Q. 延滞税が免除されることはありますか。
A. 国税を一時に納付することが困難な理由がある場合、税務署に申請することで換価の猶予または納税の猶予が認められることがあり、その場合は猶予期間中の延滞税が免除または軽減されます。申請が前提であるため、納期限までに納付できない見込みが立った時点で早めに相談してください。
Q. 修正申告が期限から1年以上経過した場合の延滞税はどうなりますか。
A. 偽りその他不正の行為により国税を免れた場合等を除き、期限内申告書の提出後1年を経過してから修正申告または更正があったときは、法定納期限から1年を経過する日の翌日から修正申告書を提出した日等までの期間が計算期間から控除されます。重加算税が課された場合はこの特例の対象外です。