税理士法人プライムパートナーズ

法定相続情報一覧図の取得方法|必要書類と法務局での手続きを解説

2026-07-14
目次

相続の手続きを始めると、銀行・証券会社・法務局・税務署のそれぞれで、被相続人(亡くなった方)の戸籍謄本の束を何度も出し直す場面が出てきます。この戸籍束のコピーを1枚の証明書に置き換えられるのが、法務局の法定相続情報証明制度です。まず結論からお伝えしますね。法定相続情報一覧図の写しは、無料で何通でも交付され、戸籍の束の代わりとして相続手続きに使えます。

この記事では、相続税専門の税理士法人プライムパートナーズが、法定相続情報一覧図の取得方法を、必要書類・作成方法・申出先の法務局・費用・再交付・相続税申告での使い方まで、実務の視点をまじえてやさしくご説明します。すべて法務局と国税庁の公表情報をもとにまとめています。

法定相続情報一覧図とは?無料で戸籍の束の代わりになる制度

法定相続情報一覧図とは、亡くなった方と、その方の法定相続人が誰であるかを1枚にまとめた家系図のような書面です。相続人が戸籍謄本などの必要書類を法務局(登記所)に提出すると、登記官が内容を確認したうえで、この一覧図に認証文を付けた「写し」を交付してくれます。この一連の仕組みを法定相続情報証明制度と呼びます。

いちばんのメリットは、認証文付きの写しが無料で、しかも必要な通数だけ交付される点です。[「法定相続情報証明制度」について(法務局)]通常、相続手続きでは分厚い戸籍謄本の束を各窓口に順番に提出し、返却を待ってから次の窓口へ回す必要があります。写しを複数枚もらっておけば、銀行・証券会社・法務局・税務署へ同時並行で提出でき、手続き全体が大きく短縮されます。

法定相続情報一覧図の写しでできること

一覧図の写しは、戸籍の束を求められるさまざまな相続手続きで使えます。代表的な場面は次のとおりです。

  • 法務局での不動産の相続登記(名義変更)
  • 銀行・信用金庫・ゆうちょ銀行などの預貯金の払戻しや名義変更
  • 証券会社での有価証券の名義変更
  • 税務署への相続税の申告(添付書類として利用可能)
  • 生命保険金の請求手続き

相続手続きの窓口が複数にわたるほど、写しを何通か手元に用意しておく効果は大きくなります。実務では、提出先の数を数えて、その通数プラス予備を1〜2通もらっておくと安心です。

法定相続情報一覧図を取得できる人・代理人・使えないケース

制度を利用して申出ができるのは、被相続人の相続人(またはその相続人の地位を相続によって受け継いだ方)です。相続人が複数いる場合は、そのうちの代表者が申出人となって手続きを進めます。

ご自身で法務局へ行く時間が取りにくいときは、代理人に依頼することもできます。代理人になれるのは、次の方々です。

  • 親権者や成年後見人などの法定代理人
  • 申出人の親族(民法上の親族=6親等内の血族・配偶者・3親等内の姻族)
  • 資格者代理人(弁護士・司法書士・土地家屋調査士・税理士・社会保険労務士・弁理士・海事代理士・行政書士)

一方で、この制度を利用できないケースもあります。法定相続情報一覧図は戸籍の記載をもとに作成するため、被相続人や相続人が日本国籍を持たないなどの理由で戸籍謄本を用意できない場合は、制度を利用できません。この場合は、従来どおり戸籍などの書類一式を各窓口に提出することになります。

法定相続情報一覧図の取得に必要な書類

法定相続情報一覧図の取得方法で最初の山場になるのが、必要書類の収集です。法務局は「必ず用意する書類」と「必要となる場合がある書類」を分けて案内しています。[法定相続情報証明制度の具体的な手続について(法務局)]まずは必ず用意する4種類を確認しましょう。

必ず用意する書類 おもな取得先
被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本・除籍謄本 被相続人の本籍地の市区町村
被相続人の住民票の除票 被相続人の最後の住所地の市区町村
相続人全員の現在の戸籍謄本または抄本 各相続人の本籍地の市区町村
申出人の氏名・住所を確認できる公的書類(運転免許証やマイナンバーカードの写しなど) 申出人が用意

これらに加えて、状況に応じて次の書類が必要になる場合があります。

  • 一覧図に相続人の住所も記載したい場合は、各相続人の住民票の写し
  • 被相続人の住民票の除票が市区町村で廃棄されていて取得できない場合は、被相続人の戸籍の附票
  • 代理人が申出する場合は委任状(親族が代理するときは親族関係が分かる戸籍謄本、資格者代理人のときは所属団体が発行する証明書の写しなど)

相続税の申告では、この戸籍関係のほかにも預貯金の残高証明書や不動産の評価資料など、そろえる書類が多岐にわたります。全体像は相続税申告の必要書類一覧をまとめた記事で確認しておくと、集める順番の見通しが立てやすくなります。

法定相続情報一覧図の書き方と作成方法

必要書類がそろったら、次は法定相続情報一覧図そのものを作成します。作成するのは申出人(相続人側)で、法務局が代わりに図を作ってくれるわけではない点に注意してくださいね。記載する内容は次のとおりです。

  • 被相続人について:氏名・最後の住所・生年月日・死亡年月日
  • 相続人について:氏名・生年月日・被相続人との続柄(住所は任意)

ゼロから作るのは難しく感じますが、法務局のホームページに、配偶者と子・子のみ・配偶者と親・配偶者と兄弟姉妹・代襲相続・養子がいる場合など、家族構成ごとの主な様式と記載例(法務局)がExcel・Word・PDFで用意されています。自分の家族構成に近いものを選んで書き換えるのが、いちばん確実で早い作成方法です。用紙はA4サイズを使います。

続柄の書き方は相続税申告の可否に直結する

続柄の書き方には実務上の注意点があります。子の続柄は「長男」「長女」「養子」のように戸籍どおりに書くこともできますが、申出人の選択で単に「子」とまとめて記載することも認められています。ただし、続柄を「子」とした一覧図は、相続税の申告など一部の手続きには使えません。国税庁は、相続税の申告書に添付する図形式の一覧図の写しは「子の続柄が実子または養子のいずれであるかが分かるように記載されたものに限る」としています。[相続税の申告手続(国税庁)]相続税の申告に使う予定があるなら、はじめから実子・養子の別が分かる書き方にしておきましょう。

相続放棄や遺産分割の結果は反映されない

もう一つ知っておきたいのが、一覧図は戸籍上の法定相続人をそのまま示すという性質です。したがって、相続放棄をした人や、遺産分割の結果として財産を受け取らないことになった人も、法定相続人として一覧図には記載されます。放棄や遺産分割の内容そのものは一覧図には表れません。また、祖父・父と続けて亡くなったような数次相続では、1枚にまとめることはできず、被相続人ごとに一覧図を作成する必要があります。

法定相続情報一覧図の取得手続きと申出先の法務局

書類と一覧図がそろったら、いよいよ法務局へ申出をします。まず迷いやすいのが「法務局はどこに出せばよいか」という点ですが、次の4か所のいずれかを管轄する登記所(法務局)を選べます。都合のよい場所を選んで構いません。

  • 被相続人の本籍地(死亡時の本籍)
  • 被相続人の最後の住所地
  • 申出人の住所地
  • 被相続人名義の不動産の所在地

取得までの流れは、次の3ステップです。

  1. 必要書類を収集する(被相続人の出生から死亡までの戸籍など)
  2. 法定相続情報一覧図を作成する(法務局の様式・記載例を利用)
  3. 申出書に記入し、書類と一覧図を添えて法務局へ申出する

申出書は法務局のホームページから入手できます。手続きの詳しい進め方は具体的な手続について(法務局)で確認できます。窓口へ出向くほかに郵送でも申出でき、一覧図の写しの受け取りも郵送に対応しています。遠方の法務局を選んだ場合や平日に窓口へ行きにくい場合は、郵送を活用すると負担が減ります。

相続手続きでの活用と費用・有効期限・再交付

交付を受けた法定相続情報一覧図の写しは、相続登記や預貯金の払戻し、証券の名義変更など、戸籍の束を求められる場面でそのまま使えます。銀行での預金手続きの具体的な流れは預金の名義変更手続きを解説した記事、不動産の名義変更をご自身で進めたい方は相続登記を自分でやる手順の記事もあわせてご覧ください。

そして相続実務で見逃せないのが、税務署への提出です。法定相続情報一覧図の写しは、相続税の申告書に添付する戸籍謄本の代わりとしても認められています。[相続税の申告手続(国税庁)]相続税の申告が必要なご家庭では、一覧図を1通多めに用意しておくと、申告書一式にそのまま組み込めて便利です。

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費用については、法定相続情報一覧図の写しの交付手数料は無料です。何通交付を受けても追加費用はかかりません(戸籍謄本などを市区町村で取得する際の発行手数料は別途必要です)。[「法定相続情報証明制度」について(法務局)]

有効期限について、法定相続情報一覧図の写しそのものに制度上の期限は定められていません。ただし実務では、銀行や証券会社によっては、提出時点で発行から日が浅いものを求めるところもあります。求められる目安は提出先ごとに異なるため、正確な条件は提出先の金融機関に直接ご確認ください。この点は断定できないため、正直にお伝えしておきますね。

再交付については、作成した一覧図は法務局で5年間(申出日の翌年から起算)保存されます。この期間内であれば、足りなくなったときに何度でも再交付を受けられます(再交付も無料です)。[法定相続情報証明制度の具体的な手続について(法務局)]当初の申出をした法務局で手続きします。追加の通数が後から必要になっても慌てずに済むのは、この制度の安心できるところです。

まとめ:法定相続情報一覧図を相続手続きに活用しましょう

法定相続情報一覧図は、無料で何通でも交付され、戸籍の束の代わりとして相続登記・預貯金・相続税申告など幅広い手続きに使える便利な制度です。取得方法は、必要書類を集め、法務局の様式で一覧図を作成し、本籍地・最後の住所地・申出人の住所地・不動産所在地のいずれかの法務局へ申出する、という流れになります。相続税の申告に使う場合は、実子・養子の別が分かる図形式で作る点だけ忘れないでください。

もっとも、戸籍の連続性の確認や、相続放棄・数次相続がからむケースでは、書類の読み解きが難しくなることもあります。ご自身の状況にあわせた進め方や、相続税がかかるかどうかの判断など、具体的なケースは税理士へのご相談をおすすめします。

法定相続情報一覧図のよくある質問まとめ

Q. 法定相続情報一覧図の取得に費用はかかりますか?

A. 法務局での一覧図の写しの交付手数料は無料です。何通交付を受けても追加費用はかかりません。ただし、戸籍謄本や住民票の除票などを市区町村で取得する際の発行手数料は別途必要です。

Q. 法定相続情報一覧図に有効期限はありますか?

A. 制度上、一覧図の写し自体に有効期限の定めはありません。ただし提出先の金融機関によっては、発行からの経過期間に条件を設けている場合があります。実際に提出する前に、その窓口の条件をご確認ください。

Q. 追加で必要になったら再交付してもらえますか?

A. 交付を受けた一覧図は、申出日の翌年から起算して5年間、法務局で保存されます。この期間内であれば、当初申出をした法務局で無料で再交付を受けられます。

Q. 相続税の申告書に戸籍の代わりとして使えますか?

A. 図形式の法定相続情報一覧図の写しであれば、相続税の申告書の添付書類として使えます。ただし、子の続柄が実子または養子のいずれであるかが分かるように記載されたものに限られます。続柄を単に「子」とした一覧図は使えないため注意してください。

Q. 相続放棄をした人も一覧図に載りますか?

A. 載ります。一覧図は戸籍上の法定相続人を示すもので、相続放棄や遺産分割の結果は反映されません。放棄をした人も法定相続人として記載されます。

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参考文献

事務所概要
社名
税理士法人プライムパートナーズ
住所
〒107-0052
東京都港区赤坂5丁目2−33
IsaI AkasakA 17階
対応責任者
税理士 島本 雅史

本記事は正確な情報提供を心掛けておりますが、執筆時点の情報に基づいているため、法改正や人的ミス、個別のケースにより適用が異なる可能性があります。最新の情報や具体的なご相談については、お気軽に弊法人の税理士までお問い合わせください。

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