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暦年贈与は2026年もまだ使える?改正後の注意点と早期開始のメリット

2026-06-22
目次

2024年(令和6年)の税制改正で生前贈与加算の対象期間が3年から7年へ延長され、暦年贈与は使えなくなったのではないかという不安の声が聞かれます。しかし結論として、年間110万円の基礎控除を用いる暦年贈与は、2026年時点でも制度として存続しており、有効な生前対策の選択肢です。本記事では、暦年贈与が今も使える理由を確認したうえで、相続時精算課税との比較、そして早く始めるほど有利になる仕組みを、具体的な金額で整理します。

暦年贈与が2026年も有効な選択肢である理由

贈与税の課税方法には暦年課税相続時精算課税の2つがあり、暦年課税では1月1日から12月31日までの1年間に受け取った財産の合計額から基礎控除額110万円を差し引いた残額に贈与税がかかります[国税庁 No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)]。この110万円の基礎控除は2024年改正後も廃止されておらず、年間110万円までの贈与であれば贈与税が課されない点は従来どおりです。

改正で変わったのは、贈与を受けた人が贈与者の相続財産を取得する場合に、相続財産へ加算される贈与の対象期間です。2024年1月1日以後の暦年課税による贈与については、加算対象期間が相続開始前7年以内に延長されました[国税庁 No.4161 贈与財産の加算と税額控除(暦年課税)]。つまり暦年贈与という制度そのものが廃止されたわけではなく、相続直前の駆け込み贈与の効果が縮小された、という位置づけになります。

相続開始前7年以内の加算と延長分の100万円控除

相続または遺贈で財産を取得した人が、相続開始前7年以内に被相続人から暦年課税による贈与を受けていた場合、その贈与財産の価額が相続税の課税価格に加算されます。ただし延長された期間(相続開始前3年より前から7年以内の部分)に受けた贈与については、その合計額から総額100万円までを控除した残額が加算対象とされます[国税庁 No.4161 贈与財産の加算と税額控除(暦年課税)]。この100万円は各年ごとではなく延長期間全体を通じた総額である点に注意が必要です。

相続開始前7年以内という加算のルールそのものについては、以下の記事で仕組みを詳しく整理しています。

死亡前7年以内の贈与は相続税対象!暦年贈与の相続時加算を徹底解説

暦年贈与と相続時精算課税の比較

暦年贈与が自分に合うかを判断するには、もう一方の選択肢である相続時精算課税との違いを理解することが欠かせません。相続時精算課税は、原則として贈与者が贈与の年の1月1日において60歳以上、受贈者が同日において18歳以上の直系卑属である推定相続人または孫である場合に選択でき、累計2,500万円までの特別控除が設けられています[国税庁 No.4103 相続時精算課税の選択]。2024年1月1日以後は、この制度にも年110万円の基礎控除が新たに設けられました。

両制度の基本的な違いを整理すると次のとおりです。

比較項目 暦年課税と相続時精算課税の違い
基礎控除 暦年課税は年110万円。相続時精算課税も2024年以後は年110万円
特別控除 暦年課税にはなし。相続時精算課税は累計2,500万円
相続財産への
加算
暦年課税は相続開始前7年以内の贈与を加算。相続時精算課税は基礎控除110万円を超える贈与を加算
制度の変更 暦年課税はいつでも利用可。相続時精算課税は一度選ぶと同じ贈与者からの贈与を暦年課税に戻せない

相続時精算課税では、贈与財産のうち年110万円の基礎控除を超える部分は特別控除の範囲内でも相続財産に加算され、贈与時の価額で相続税が計算されます[国税庁 No.4409 贈与税の計算(相続時精算課税の選択をした場合)]。一方で、2024年以後の相続時精算課税では基礎控除110万円以内の贈与は相続財産に加算されず、相続開始前7年以内であっても加算対象になりません。この点は暦年課税と大きく異なります。

制度選択で押さえるべき分かれ目

暦年課税は誰でも利用でき、贈与の相手や金額を柔軟に調整できる点が強みです。相続まで十分な年数が見込める場合、毎年少しずつ非課税で財産を移せます。一方の相続時精算課税は、一度選択すると同じ贈与者からの贈与について暦年課税へ戻せないという不可逆性があり、まとまった財産を早期に移したい場合や、相続開始が近く暦年課税の加算を避けたい場合に適します[国税庁 No.4103 相続時精算課税の選択]

相続時精算課税の注意点は、以下の記事で具体的に解説しています。

相続時精算課税110万円のデメリット|暦年課税に戻せない落とし穴

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暦年贈与を早く始めるメリットの試算

暦年贈与の効果は、開始時期が早いほど大きくなります。理由は2つあります。第一に、相続開始前7年以内の贈与は相続財産に加算されるため、加算対象とならない年数を多く確保できるほど非課税で移転できる財産が増えるからです。第二に、暦年課税の基礎控除は年110万円が上限であるため、年数を重ねることで累計の贈与額が積み上がるからです。

たとえば子1人に対して毎年110万円を贈与する場合、10年間続けたときの累計贈与額は次のとおりです。

110万円 × 10年 = 1,100万円

このうち相続開始前7年以内に行った贈与は相続財産に加算されますが、延長期間分については総額100万円の控除があります。相続開始のちょうど10年前から毎年110万円を贈与し、10年目に相続が開始したと仮定すると、加算対象は直近7年分の贈与770万円から延長期間分の控除100万円を差し引いた金額です。

110万円 × 7年 = 770万円
770万円 − 100万円 = 670万円

この場合、累計贈与1,100万円のうち相続財産へ加算されるのは670万円にとどまり、差額の430万円は相続財産から切り離して移転できた計算になります。

1,100万円 − 670万円 = 430万円

もし贈与を始めた翌年に相続が開始した場合は、その年の贈与110万円がそのまま加算対象となり、切り離せた財産はありません。開始が早いほど、加算対象とならない年数を積み上げられることが分かります。なお相続財産に加算された贈与について既に納めた贈与税がある場合は、相続税額から控除される仕組みが設けられています[国税庁 No.4161 贈与財産の加算と税額控除(暦年課税)]

加算対象となる相手を意識した贈与

相続開始前7年以内の加算が適用されるのは、相続または遺贈により財産を取得した人が受けた贈与です。加算対象や100万円控除の考え方については、以下の記事で計算例とあわせて整理しています。

生前贈与加算はいくらまで?100万円控除の対象と計算方法

まとめ

2024年改正で生前贈与加算の対象期間が7年に延長された後も、年間110万円の基礎控除を用いる暦年贈与は2026年時点で有効な選択肢として存続しています。改正で変わったのは相続財産へ加算される贈与の期間であり、制度そのものの廃止ではありません。相続開始前7年以内の贈与は加算されるものの、延長期間分には総額100万円の控除があり、早く始めるほど加算対象とならない年数を確保でき、非課税で移転できる財産が増えます。暦年課税と相続時精算課税のどちらが適するかは、贈与者の年齢、想定される相続までの年数、移したい財産の額によって異なります。ご自身の状況に応じた判断は、専門家に相談したうえで進めることをおすすめします。

参考文献

本記事は2026年時点の情報に基づく一般的な解説であり、個別の税務判断を保証するものではありません。実際の適用にあたっては税理士等の専門家にご確認ください。

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暦年贈与と2026年の制度に関するよくある質問まとめ

Q. 暦年贈与は2026年でもまだ使えますか。

A. はい。年間110万円の基礎控除を用いる暦年贈与は2024年改正後も存続しており、2026年時点でも有効な選択肢です。改正で変わったのは相続財産に加算される贈与の対象期間であり、制度そのものの廃止ではありません。

Q. 2024年改正で暦年贈与の何が変わりましたか。

A. 2024年1月1日以後の暦年課税による贈与について、相続財産への加算対象期間が相続開始前3年以内から7年以内へ延長されました。年110万円の基礎控除自体は変更されていません。

Q. 相続開始前7年以内の贈与はすべて相続財産に加算されますか。

A. 相続開始前7年以内の暦年課税による贈与が加算対象ですが、延長された期間に受けた贈与については合計額から総額100万円までを控除した残額が加算されます。この100万円は延長期間全体を通じた総額です。

Q. 暦年課税と相続時精算課税はどちらが有利ですか。

A. 贈与者の年齢や想定される相続までの年数、移したい財産の額によって異なります。相続まで年数を確保できる場合は暦年課税、まとまった財産を早期に移す場合は相続時精算課税が適する傾向があります。

Q. 暦年贈与は早く始めるほど有利なのですか。

A. はい。相続開始前7年以内の贈与は相続財産に加算されるため、加算対象とならない年数を多く確保できるほど非課税で移転できる財産が増えます。早期に開始するほど累計の贈与額も積み上がります。

Q. 相続時精算課税を選んだ後に暦年課税へ戻せますか。

A. 戻せません。相続時精算課税を一度選択すると、その後の同じ贈与者からの贈与については暦年課税へ変更することができません。選択にあたっては慎重な検討が必要です。

事務所概要
社名
税理士法人プライムパートナーズ
住所
〒107-0052
東京都港区赤坂5丁目2−33
IsaI AkasakA 17階
対応責任者
税理士 島本 雅史

本記事は正確な情報提供を心掛けておりますが、執筆時点の情報に基づいているため、法改正や人的ミス、個別のケースにより適用が異なる可能性があります。最新の情報や具体的なご相談については、お気軽に弊法人の税理士までお問い合わせください。

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