修正申告書を提出した後、「延滞税の納付書はいつ届くのか」「届くまで待っていてよいのか」と迷う経理担当の方は少なくありません。結論から申し上げると、延滞税の納付書やお知らせは、本税を納め終わった後に税務署が金額を計算してから届きます。修正申告書の提出と同時に届くものではありません。
この記事は、法人税・消費税・所得税などの修正申告を提出した(またはこれから提出する)事業者・経営者・経理担当の方に向けて、延滞税の納付書が届く仕組みとタイミング、届いた後にとるべき対応、そして納付書が届かない場合の実務対応を整理したものです。延滞税の計算方法そのものや納付書の書き方といった各論は、記事内の関連コラムに譲り、ここでは「いつ届くか」と「届いた後どうするか」に絞って解説します。
結論|延滞税の納付書は本税の完納後に届く
延滞税は、税金が定められた期限までに納付されない場合に、法定納期限の翌日から納付する日までの日数に応じて自動的に課される附帯税です。申告や更正のように、金額を確定させるための手続を別途とるものではありません。国税庁 No.9205 延滞税について
本税の完納日まで確定しない仕組み
延滞税の額は、法定納期限の翌日から完納する日までの日数に応じて計算されます。国税庁 延滞税の計算方法つまり、本税をいつ納めるかが決まらなければ日数が確定せず、延滞税の金額も確定しません。
そのため、税務署が延滞税の納付書やお知らせを作成できるのは、修正申告に係る本税が実際に納付された後ということになります。「修正申告書を出したのに延滞税の納付書が来ない」という状態は、多くの場合は異常ではなく、本税がまだ納付されていない、あるいは納付直後で税務署側の処理が終わっていないだけです。
届くまでの実務上の目安
延滞税のお知らせが届くまでの期間について、法令上の期限は定められていません。実務では、本税を納付してからおおむね1か月から2か月後に「延滞税のお知らせ」や納付書が届くケースが多く、確定申告期や年度末など税務署の繁忙期にあたると、さらに時間がかかることもあります。あくまで実務上の目安であり、「何日以内に届く」と決まっているわけではない点にご注意ください。
なお、延滞税は本税だけを対象として課されるものであり、過少申告加算税などの加算税に対しては課されません。加算税は延滞税とは別の書類(賦課決定通知書)で通知されるため、届く時期も別々になります。
修正申告後に税務署から届く書類
修正申告を提出した後、税務署から届く可能性のある書類は次のとおりです。すべてが必ず届くわけではなく、加算税の有無や納付状況によって変わります。
| 加算税の賦課決定通知書 | 過少申告加算税や重加算税が課される場合に届きます。納付書が同封されることが一般的です。調査に基づく修正申告では、修正申告書の提出後1か月から2か月程度で届く例が多く見られます。 |
|---|---|
| 延滞税のお知らせ・納付書 | 本税を完納した後に、税務署が日数を計算して作成します。実務上は本税納付から1か月から2か月後が目安です。名称は「延滞税のお知らせ」「納付のお知らせ」など税務署により異なります。 |
| 督促状 | 納期限を過ぎても納付がない場合に送付されます。修正申告に係る本税や加算税を納めていないときに届きます。 |
このうち督促状は、納付されていないことを前提に送付される書類です。督促状が送付されてもなお納付されないときには、財産の差押えなどの滞納処分を受ける場合があります。国税庁 No.9206 国税を期限内に納付できないとき
延滞税の納期限と割合
修正申告の納期限は提出した日
修正申告により新たに納める税金は、修正申告書を提出する日が納期限となり、その日に納めることとされています。国税庁 No.2026 確定申告を間違えたときここでいう「納期限」は、延滞税の割合が切り替わる基準日としても使われます。
延滞税の計算上、納期限は「期限内に申告された場合には法定納期限」「期限後申告または修正申告の場合には申告書を提出した日」「更正・決定の場合には更正決定等通知書を発した日から1か月後の日」と定められています。修正申告の場合、提出日の翌日から2か月を経過する日までは低い割合が適用されるため、提出後すみやかに本税を納付すれば、高い割合が適用される期間に入らずに済みます。
令和8年の延滞税の割合
| 納期限までの期間および納期限の翌日から2か月を経過する日まで | 年2.8パーセント(令和8年1月1日から令和8年12月31日までの期間) |
|---|---|
| 納期限の翌日から2か月を経過した日以後 | 年9.1パーセント(令和8年1月1日から令和8年12月31日までの期間) |
令和4年1月1日から令和7年12月31日までの期間は、それぞれ年2.4パーセント、年8.7パーセントでした。国税庁 延滞税の割合延滞税の計算期間が年をまたぐ場合は、それぞれの期間に対応する割合で区分して計算します。
計算例
令和7年分の所得税(法定納期限は令和8年3月16日)について、令和8年6月15日に修正申告書を提出し、追加で納める本税が1,000,000円、その本税を令和8年7月31日に納付したケースで確認します。
この場合の納期限は提出日である令和8年6月15日であり、その翌日から2か月を経過する日は令和8年8月15日です。完納日の7月31日はこれより前ですので、全期間に年2.8パーセントが適用されます。延滞税の計算対象となる日数は、法定納期限の翌日である令和8年3月17日から完納日の令和8年7月31日までの137日です。
算出された金額は100円未満の端数を切り捨てるため、納付すべき延滞税は10,500円となります。なお、計算の基礎となる本税の額は10,000円未満の端数を切り捨て、期間ごとに算出した金額は1円未満の端数を切り捨てます。
関連コラム修正申告の延滞税|計算方法と加算税の関係を税理士が解説▸
納付書が届かない場合の対応
納付書の事前送付は取りやめられている
「そもそも納付書が手元にない」という相談も増えています。国税庁は、キャッシュレス納付の利用拡大にともない、納付書を使用しない納付手段で納付した方などについては納付書の事前の送付を取りやめています。e-Taxにより申告書を提出している法人、ダイレクト納付・振替納税・インターネットバンキング・クレジットカード納付・スマホアプリ納付・コンビニ納付(QRコード)を利用している法人および個人が対象です。国税庁 納付書の事前送付に関するお知らせ
e-Taxで修正申告を行っている事業者ほど、納付書が郵送されてこない前提で動く必要があるということです。納付書の到着を待ち続けると、その間も延滞税は日々加算されていきます。
待たずに納める方法
延滞税は、納付書の到着を待たずに自分で計算して納めることができます。納税が納期限に遅れた場合について、国税庁は「金融機関(日本銀行歳入代理店)又は所轄税務署の納税窓口で、本税と併せて延滞税を納付してください」と案内しています。国税庁 納税が遅れた場合など
金額の計算に不安がある場合は、所轄税務署に本税の納付予定日を伝えて延滞税額を確認する方法が確実です。実務では、修正申告書を提出する際に窓口で本税と延滞税を同時に納付できるよう、あらかじめ税額を確認しておく進め方がよくとられます。
関連コラム修正申告 納付方法|納付書の書き方と支払い手順を税理士が解説▸
納付書・お知らせが届いた後の対応手順
延滞税のお知らせや納付書が届いたら、次の手順で確認と納付を進めます。
- 対象となる税目・課税期間・本税の金額が、提出した修正申告書の内容と一致しているかを確認します。
- 計算期間の起算日(法定納期限の翌日)と終期(本税の完納日)が、実際の納付日と合っているかを確認します。
- 適用されている割合が、期間に対応した割合になっているかを確認します。年をまたぐ場合は区分計算されているかも見ます。
- 内容に問題がなければ、記載された期限までに納付します。金額が確定した延滞税には、原則としてそれ以上の延滞税は加算されません。
金額に疑問がある場合
金額に疑問があるときは、納付前に所轄税務署の管理・徴収担当へ問い合わせるのが実務上の基本です。とくに、期限内申告書を提出していて法定申告期限後1年を経過してから修正申告を行った場合には、法定納期限から1年を経過する日の翌日から修正申告書を提出した日までの期間が計算期間から控除される特例があります。偽りその他不正の行為により国税を免れた場合などは対象外ですが、調査で数年前の事業年度が是正されたケースでは、この特例の適用有無で金額が大きく変わります。
一度に納付できない場合
修正申告により多額の納税が生じ、一時に納付することが困難な場合には、税務署への申請により換価の猶予や納税の猶予が認められることがあります。猶予が認められた場合、財産の換価や差押えが猶予されるほか、猶予期間中の延滞税が免除または軽減されます。
納税の猶予の要件のひとつには「本来の期限から1年以上経過した後に、修正申告などにより納付すべき税額が確定したこと」が挙げられており、この場合の申請書は納期限までに提出する必要があります。換価の猶予は、納期限から6か月以内の申請が要件です。いずれも期限がありますので、資金繰りに不安がある段階で早めに検討してください。
放置した場合のリスク
延滞税のお知らせが届いても納付しないまま放置すると、税務署から督促状が送付されます。それでもなお納付されないときは、財産の差押えなどの滞納処分を受ける場合があります。売掛金や預金が差し押さえられれば、取引先や金融機関に滞納の事実が伝わり、事業運営に直接影響します。
また、本税の納付が遅れている間は、納期限の翌日から2か月を経過した日以後の高い割合(令和8年は年9.1パーセント)が適用され続けます。金額が小さいうちに処理することが、結果的に最も負担の軽い選択になります。
関連コラム税務署の督促状が届いたら|放置リスクと対処法を税理士が解説▸
実務での取り扱いと注意点
実務では、税務調査を受けた法人が修正申告書を提出し、本税と過少申告加算税は速やかに納付したものの、延滞税のお知らせだけが2か月近く届かず、経理担当者から「納め忘れではないか」と問い合わせを受けることがあります。この場合、本税の完納日が確定してから税務署が計算に着手するため、本税納付から一定の期間が空くのは通常の流れです。督促状が届いているわけでなければ、あわてて動く必要はありません。
一方で、決算をまたぐ場合は注意が必要です。延滞税や各種加算税は損金の額に算入されないものとされています。国税庁 No.5300 損金の額に算入される租税公課等の範囲と損金算入時期お知らせが届いていない段階でも、概算額を把握して未払計上と申告調整の要否を検討しておくと、決算作業が滞りません。実務では、修正申告書の提出時点で本税の納付予定日を決め、その前提で延滞税の概算額を算出し、社内に共有しておく進め方が有効です。
また、e-Taxで修正申告を行った法人には納付書が郵送されないケースが多いため、「納付書が届かない=まだ納めなくてよい」と誤解しないことが重要です。ダイレクト納付やインターネットバンキングであれば、納付書がなくても本税と延滞税を納付できます。
関連コラム延滞税 税率|割合・計算方法と免除されるケースを税理士が解説▸
修正申告の内容や過去の申告状況によって、計算期間の特例が使えるかどうか、猶予の申請が適切かどうかは変わります。具体的なケースは税理士へのご相談をおすすめします。税務調査や無申告に関するご不安は、まずは税理士にご相談ください。
まとめ
修正申告に伴う延滞税の納付書は、本税を完納した後に税務署が日数を計算してから作成されます。実務上の目安は本税納付から1か月から2か月後で、法令上の期限はありません。修正申告の納期限は修正申告書を提出した日であり、その翌日から2か月を経過すると割合が年2.8パーセントから年9.1パーセント(令和8年)に切り替わります。
納付書は自動的に届くとは限らず、e-Taxで申告している法人やキャッシュレス納付を利用している事業者には事前送付が行われません。延滞税は納付書を待たずに自分で計算し、本税と併せて納付することができますので、到着を待って日数を重ねるより、提出時点で納付計画を立てておくことが負担を抑える近道です。金額に疑問がある場合や、一時に納付できない事情がある場合は、督促状が届く前に所轄税務署や税理士へ相談してください。
参考文献
- 国税庁 No.9205 延滞税について
- 国税庁 延滞税の計算方法
- 国税庁 延滞税の割合
- 国税庁 No.2026 確定申告を間違えたとき
- 国税庁 No.9206 国税を期限内に納付できないとき
- 国税庁 納税が遅れた場合など
- 国税庁 納付書の事前送付に関するお知らせ
- 国税庁 No.5300 損金の額に算入される租税公課等の範囲と損金算入時期
修正申告の延滞税納付書に関するよくある質問まとめ
Q. 修正申告書を提出したのに延滞税の納付書が届きません。手続に不備があったのでしょうか。
A. 不備とは限りません。延滞税は法定納期限の翌日から本税を完納する日までの日数で計算されるため、本税を納付しない限り金額が確定せず、納付書も作成されません。本税を納付済みであれば、税務署の処理を待っている段階と考えられます。
Q. 延滞税の納付書が届く前に、自分で計算して納めても問題ありませんか。
A. 問題ありません。国税庁も、納税が期限に遅れた場合は金融機関または所轄税務署の納税窓口で本税と併せて延滞税を納付するよう案内しています。金額に不安があれば、本税の納付予定日を伝えて所轄税務署に確認してください。
Q. 修正申告の延滞税は、いつから計算されるのですか。
A. 法定納期限の翌日から計算されます。修正申告書を提出した日からではありません。ただし割合が切り替わる基準となる「納期限」は修正申告書を提出した日であり、その翌日から2か月を経過する日までは低い割合が適用されます。
Q. 加算税にも延滞税はかかりますか。
A. かかりません。延滞税は本税だけを対象として課されるものであり、過少申告加算税などの加算税に対しては課されません。加算税は賦課決定通知書により別途通知されます。
Q. 延滞税のお知らせが届いた後、納付が遅れるとさらに延滞税が増えますか。
A. 金額が確定した延滞税に対して、さらに延滞税が課されることはありません。ただし本税の一部が未納であれば、その未納分について完納の日まで延滞税は増え続けます。督促状が届いてもなお納付しない場合は、財産の差押えなどの滞納処分を受けることがあります。
Q. 修正申告で多額の納税が生じ、一度に払えません。何かできることはありますか。
A. 換価の猶予や納税の猶予を申請できる場合があります。認められると財産の換価や差押えが猶予され、猶予期間中の延滞税が免除または軽減されます。換価の猶予は納期限から6か月以内の申請が要件であるなど期限がありますので、早めにご相談ください。