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相続税の更正の請求とは|払い過ぎを取り戻す期限と方法

2026-07-04
目次

相続税を申告して納めた後になって、特例の適用を忘れていた、あるいは土地の評価が高すぎたと気づく方は少なくありません。払い過ぎた相続税は、一定の期間内であれば「更正の請求」という手続きで取り戻すことができます。この記事では、相続税の更正の請求の期限や請求できるケース、手続きの流れをやさしく整理してお伝えします。

相続税の更正の請求とは

相続税の更正の請求とは、いったん申告して納めた相続税が本来より多かった場合に、その差額を税務署に返してもらうよう求める手続きです。申告内容に誤りや適用漏れがあり、納めた税額が過大だったときに使います。単なる思い違いで漠然と減額を求めるものではなく、法律で定められた理由がある場合に認められる正式な手続きである点が特徴です。

更正の請求が認められると、払い過ぎた分が還付金として戻ってきます。たとえば当初1,200万円を納めた方が、正しくは900万円だったと判明した場合、差額の300万円が還付の対象になります。反対に、納めた税額が少なかったときは修正申告という別の手続きで不足分を納めることになります。

還付される相続税額 = 当初納付した税額 – 正しく計算し直した税額

更正の請求の原則的な期限

更正の請求には期限があり、原則として法定申告期限から5年以内に行う必要があります。相続税の法定申告期限は、被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10ヶ月以内ですので、その期限を起点に5年間が請求できる期間となります[国税庁 No.4208 相続財産が分割されていないときの申告]

この5年という期間は、国税全般に共通する更正の請求の原則として国税通則法に定められています[e-Gov法令検索 国税通則法第23条]。期限を過ぎてしまうと、たとえ払い過ぎが明らかであっても原則として還付を受けられなくなります。心当たりがある場合は、早めに内容を確認することが大切です。

なお、相続税の申告期限そのものについては、こちらの記事もあわせてご確認ください。

相続税申告はいつまで?10ヶ月の期限を過ぎたらどうなるか解説

後発的事由による更正の請求の特則

原則の5年とは別に、相続税には申告後に生じた事情に対応するための特則が設けられています。これは、申告のときには予測できなかった出来事が後から確定した場合に、その事情に応じて改めて更正の請求を認めるものです。相続税法第32条に定められています[e-Gov法令検索 相続税法第32条]

この特則にあたる主な事情としては、未分割だった遺産の分割が確定した場合遺留分侵害額が確定した場合認知や相続人の異動があった場合などがあります。いずれも、当初の申告内容を前提にできなくなる出来事です。

特則による更正の請求の期限は、こうした事由が生じたことを知った日の翌日から4ヶ月以内とされています。原則の5年とは起点も長さも異なりますので、混同しないよう注意が必要です。とくに未分割のまま高い税額を納めていた方は、分割確定後の対応が重要になります。

原則の期限 法定申告期限から5年以内
後発的事由の
特則の期限
事由を知った日の翌日から4ヶ月以内

未分割から分割確定に至ったケース

遺産分割がまとまらないまま申告期限を迎えた場合、いったん法定相続分で分割したものと仮定して申告と納税を行います。この段階では配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例が使えないため、税額が高くなりがちです[国税庁 No.4208 相続財産が分割されていないときの申告]

その後に遺産分割が確定すると、特例を適用し直せる場合があります。原則として申告期限から3年以内に分割された財産について、分割が確定した日の翌日から4ヶ月以内に更正の請求を行うことで、払い過ぎた税額の還付を受けられます[国税庁 No.4208 相続財産が分割されていないときの申告]

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請求できる主なケース

更正の請求ができる場面は、後発的事由だけではありません。当初の申告に適用漏れや計算の誤りがあった場合も、原則の5年以内であれば対象になります。ここでは相続税で特に多いケースを整理します。

特例の適用漏れ

相続税には税額を大きく下げる特例があり、これらの適用を忘れて申告してしまう例が見られます。代表的なのが小規模宅地等の特例で、一定の宅地の評価額を最大80%減額できる制度です[国税庁 No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)]。適用できたはずの土地に使っていなかった場合、更正の請求で税額の是正を求められます。

もう一つは配偶者の税額軽減です。配偶者が取得した遺産のうち、1億6,000万円または法定相続分相当額までは相続税がかからない仕組みで、適用漏れがあると納税額に大きな差が出ます[国税庁 No.4158 配偶者の税額の軽減]。これらの特例の詳細は、次の記事でも解説しています。

二世帯住宅と小規模宅地の特例|区分所有登記で決まる80%減額

土地の評価が過大だった

相続財産のなかでも土地は評価が難しく、本来より高く評価してしまうことがあります。形がいびつな土地、間口が狭い土地、道路に接していない土地などは、一定の補正によって評価額を下げられる場合があります。申告後にこうした減額要因に気づいたときは、更正の請求の対象になり得ます。

土地の評価の基本となる路線価の調べ方については、こちらの記事が参考になります。

相続した不動産の路線価の調べ方|国税庁サイトでの評価手順

申告後に債務や葬式費用が判明した

相続税は、遺産の総額から被相続人の債務葬式費用を差し引いて計算します。申告した後になって未払いの借入金や医療費、葬式にかかった費用などが判明した場合、それらを控除に反映することで税額が下がることがあります。領収書や請求書など、事実を証明できる書類をそろえておくことが大切です。

手続きの流れと必要書類

更正の請求は、納税地を所轄する税務署に対して行います。中心となる書類は相続税の更正の請求書で、e-Taxを利用して作成・提出するか、書面で作成して持参または郵送で提出します[国税庁 B1-27 相続税及び贈与税の更正の請求手続]

更正の請求書には、当初の申告内容と正しい内容、そして請求の理由を記載します。あわせて、請求の理由の基礎となる事実を証明する書類を添付する必要があります[国税庁 B1-27 相続税及び贈与税の更正の請求手続]。たとえば遺産分割の確定を理由とする場合は遺産分割協議書、特例の適用漏れであればその要件を満たすことがわかる資料などが該当します。

提出後、税務署が内容を審査し、請求が認められると還付の手続きに進みます。審査には一定の期間がかかるため、書類は漏れなくそろえて提出することが、スムーズな還付につながります。

認められないケースと注意点

更正の請求は、法律で定められた理由がある場合に限って認められます。したがって、単なる見解の相違や、確実な根拠のない「もっと安くなるはず」という主張だけでは認められません。あくまで、申告に誤りがあったことや後発的な事情が生じたことを、客観的に示せることが前提になります。

また、期限の管理にも注意が必要です。原則の5年、特則の4ヶ月のいずれも、過ぎてしまえば還付は受けられません。とくに後発的事由の4ヶ月は短いため、分割確定や遺留分の確定などがあったら速やかに動くことをおすすめします。判断に迷う場合は、具体的なケースは税理士へのご相談をおすすめします。

修正申告との違い

更正の請求と混同されやすいのが修正申告です。両者は方向が逆で、更正の請求は納めた税額が多すぎたときに還付を求める手続き、修正申告は納めた税額が少なすぎたときに不足分を追加で納める手続きです。

手続き 内容
更正の請求 納め過ぎた税額の還付を求める
修正申告 不足していた税額を追加で納める

どちらの手続きが必要になるかは、当初の申告内容と正しい税額を比べて判断します。自分のケースがどちらにあたるか分かりにくいときは、専門家に確認すると安心です。

まとめ

相続税の更正の請求は、払い過ぎた相続税を取り戻すための大切な手続きです。原則は法定申告期限から5年以内、未分割の分割確定や遺留分の確定などの後発的事由の場合は、その事由を知った日の翌日から4ヶ月以内が期限となります。小規模宅地等の特例や配偶者の税額軽減の適用漏れ、土地評価の過大、債務や葬式費用の判明など、還付につながる場面は少なくありません。期限を過ぎると還付が受けられなくなるため、心当たりがある方は早めに内容を確認し、必要に応じて専門家に相談することをおすすめします。

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参考文献

相続税の更正の請求のよくある質問まとめ

Q.相続税の更正の請求はいつまでにできますか。

A.原則は法定申告期限から5年以内です。未分割の分割確定や遺留分侵害額の確定などの後発的事由による場合は、その事由を知った日の翌日から4ヶ月以内が期限となります。

Q.特例の適用を忘れて申告した場合も還付を受けられますか。

A.小規模宅地等の特例や配偶者の税額軽減などの適用漏れは、原則5年以内であれば更正の請求の対象になります。要件を満たすことがわかる書類を添えて請求します。

Q.未分割で高い相続税を納めましたが取り戻せますか。

A.遺産分割が確定すると特例を適用し直せる場合があります。原則として申告期限から3年以内に分割された財産について、分割が確定した日の翌日から4ヶ月以内に更正の請求を行うことで還付を受けられます。

Q.土地の評価が高すぎた場合も更正の請求ができますか。

A.本来より過大に評価していた場合は対象になり得ます。形がいびつな土地や間口が狭い土地などは補正で評価額が下がることがあり、原則5年以内であれば請求できます。

Q.更正の請求に必要な書類は何ですか。

A.相続税の更正の請求書と、請求の理由の基礎となる事実を証明する書類が必要です。遺産分割協議書や特例の要件を示す資料などが該当します。

Q.更正の請求と修正申告はどう違いますか。

A.更正の請求は納め過ぎた税額の還付を求める手続きで、修正申告は不足していた税額を追加で納める手続きです。方向が逆になります。

事務所概要
社名
税理士法人プライムパートナーズ
住所
〒107-0052
東京都港区赤坂5丁目2−33
IsaI AkasakA 17階
対応責任者
税理士 島本 雅史

本記事は正確な情報提供を心掛けておりますが、執筆時点の情報に基づいているため、法改正や人的ミス、個別のケースにより適用が異なる可能性があります。最新の情報や具体的なご相談については、お気軽に弊法人の税理士までお問い合わせください。

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