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名義預金が相続税でバレる理由と申告漏れを防ぐ対策

2026-06-26
目次

相続税の税務調査で最も指摘されやすい財産の一つが名義預金です。名義預金とは、口座の名義は配偶者や子・孫であっても、その資金を実際に拠出し管理していたのが被相続人であるため、実質的には被相続人の財産とみなされる預貯金を指します。名義が家族であっても相続財産に含めて申告しなければならず、申告から漏れていると税務調査で追徴課税の対象となります。

本記事では、名義預金がなぜ税務署に把握されるのか、どのような基準で名義預金と判定されるのか、そして名義預金にしないための正しい生前対策までを、国税庁の公表情報にもとづいて解説します。

名義預金が相続税の対象となる理由

相続税は、原則として死亡した人(被相続人)の財産を相続や遺贈によって取得した場合に、その取得した財産に対してかかります。ここでいう財産とは、現金、預貯金、有価証券、土地、家屋のほか、金銭に見積もることができる経済的価値のあるすべてのものを含みます[国税庁 No.4105 相続税がかかる財産]

相続税が課税される財産かどうかは、口座の名義ではなくその預金の原資を誰が拠出し、誰が実質的に管理・支配していたかという実態で判断されます。名義だけを家族に変えても、資金の出どころが被相続人であり、被相続人が自由に出し入れできる状態であれば、その預金は被相続人の相続財産として扱われます。国税庁も、被相続人以外の名義の預貯金が申告漏れとなりやすい誤りやすい事例として注意を促しています[国税庁 【誤りやすい事例⑥ 申告書第11表の付表3関係】被相続人以外の名義の財産(預貯金)]

名義預金と生前贈与の違い

家族名義の口座であっても、適切な手続きを経た生前贈与であれば、その財産は受贈者のものとなり相続財産には含まれません。両者を分けるのは、贈与が法的に成立しているかどうかです。贈与は財産をあげる人ともらう人の双方の合意によって成立するため、名義を変えただけで受贈者本人が贈与の事実を知らない場合は、贈与が成立しておらず名義預金と判断されます。証券口座における名義預金のリスクについては、以下の記事もあわせてご確認ください。

子どもNISAと名義預金のリスクとは?贈与税を防ぐ対策を解説

名義預金が税務署に把握される理由

名義預金は、相続人が申告しなければ税務署には分からないと考えられがちですが、実際には税務署は複数の情報を組み合わせて資金の流れを把握しています。主な把握経路は次のとおりです。

金融機関への預貯金の照会

税務署は、相続税の調査に際して被相続人および家族名義の預貯金について金融機関に照会する権限を持っています。被相続人の口座だけでなく、配偶者や子・孫名義の口座についても入出金の履歴を確認できるため、被相続人の口座から家族名義の口座へ資金が移動した事実は容易に把握されます。

過去の収入と財産のバランスの検証

税務署は、被相続人の生前の収入や過去の確定申告のデータを保有しています。家族名義の口座に、その名義人自身の収入では説明できない多額の残高がある場合、その原資は被相続人が拠出したものと推定され、名義預金として指摘されます。専業主婦である配偶者の名義に高額な預金があるケースなどが典型例です。

相続開始前の資金移動の確認

相続開始前の一定期間にまとまった資金が被相続人の口座から引き出されている場合、その使途が確認されます。引き出した資金が家族名義の口座に移されているだけであれば、贈与が成立していない限り名義預金として相続財産に加算されます。

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名義預金と判定される具体的な基準

名義預金かどうかは、次の要素を総合的に考慮して判断されます。名義人ではなく被相続人に該当する項目が多いほど、名義預金と判定される可能性が高くなります。

判定の着眼点 名義預金と判定されやすい状態
資金の原資 被相続人の収入や資産から
拠出されている
通帳・印鑑の管理 被相続人が保管し
名義人が管理していない
口座の入出金操作 被相続人が入出金を
行っていた
贈与の認識 名義人が口座の存在や
贈与の事実を知らない
利息・配当の帰属 被相続人が利息などを
受け取っていた

これらのうち、特に重視されるのが誰がその預金を管理・支配していたかという点です。名義人が口座の存在すら知らず、通帳や印鑑を被相続人が保管し、入出金も被相続人が行っていた場合には、名義だけが家族であっても実質は被相続人の財産と判断されます。

名義預金にしないための正しい対策

名義預金と指摘されないためには、家族へ財産を移す際に贈与を確実に成立させ、その預金が受贈者自身のものであることを客観的に示せるようにしておくことが重要です。

贈与契約書を作成し贈与の合意を残す

贈与はあげる人ともらう人の双方の意思の合致によって成立します。口頭の約束でも贈与自体は成立しますが、後日その事実を証明できるよう、贈与のつど贈与契約書を作成し、当事者双方が署名しておくことが有効です。契約書は、いつ・誰から誰へ・何を贈与したかを明確に記載します。贈与契約書の書き方については、以下の記事もあわせてご確認ください。

贈与契約書は署名が必須?記名との違いや正しい書き方を徹底解説

受贈者本人が口座を管理する

贈与した財産は、受贈者本人が名義人となっている口座で受け取り、通帳・印鑑・キャッシュカードを受贈者自身が管理します。受贈者が自由に使える状態にあることが、その預金が受贈者のものであることの裏付けとなります。名義人が未成年の場合でも、親権者が名義預金と混同されないよう管理方法に注意が必要です。

贈与税の申告と基礎控除の活用

贈与税は、原則として1年間に贈与を受けた財産の合計額から基礎控除額110万円を差し引いた残額に対して課税されます[国税庁 No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)]。基礎控除の範囲内であれば贈与税はかかりませんが、年間110万円を超える贈与を受けた場合には贈与税の申告と納税が必要です[国税庁 No.4402 贈与税がかかる場合]。申告の記録が残ることは、贈与が実際に行われたことを示す一つの根拠にもなります。

資金移動の記録を残す

贈与は、現金を手渡しするのではなく銀行振込で行い、資金の流れを記録として残しておくことが望まれます。贈与者の口座から受贈者の口座へ振り込むことで、いつ贈与が行われたかを客観的に確認できます。名義預金の判定においては、贈与の事実を裏付ける客観的な証拠の有無が大きく影響します。

名義預金が判明した場合の対応

相続税の申告後に名義預金の申告漏れが判明した場合や、税務調査で指摘された場合には、修正申告を行い不足していた相続税を納付する必要があります。相続税は、相続や遺贈により財産を取得した人の課税価格の合計額が基礎控除額を超える場合に申告と納税が必要となります[国税庁 No.4102 相続税がかかる場合]。申告漏れがあった場合には、本来の相続税に加えて過少申告加算税や延滞税などが課されることがあるため、名義預金の有無は相続税の申告前に必ず確認しておくことが重要です。

まとめ

名義預金は、口座の名義が家族であっても、資金の原資が被相続人であり被相続人が管理・支配していた場合には相続財産として扱われます。税務署は金融機関への照会や過去の収入データから資金の流れを把握しており、名義預金の申告漏れは税務調査で指摘されやすい項目です。家族へ財産を移す際は、贈与契約書の作成、受贈者本人による口座管理、必要に応じた贈与税の申告、銀行振込による記録の保存などにより、贈与を確実に成立させることが名義預金を防ぐ最も確実な対策となります。判断に迷う場合は、相続税に精通した専門家へ早めに相談することをおすすめします。

本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の税務判断については税理士などの専門家にご相談ください。

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参考文献

名義預金と相続税に関するよくある質問まとめ

Q. 名義預金とは何ですか。

A. 口座の名義は配偶者や子・孫であっても、資金を拠出し管理していたのが被相続人であるため、実質的に被相続人の財産とみなされる預貯金を指します。名義が家族であっても相続財産に含めて申告する必要があります。

Q. 名義預金はなぜ税務署に把握されるのですか。

A. 税務署は金融機関に対して被相続人や家族名義の預貯金を照会でき、口座間の資金移動を確認できます。また被相続人の過去の収入や確定申告データと家族名義の残高を照合するため、名義人の収入で説明できない預金は名義預金として把握されます。

Q. 名義預金と判定される基準は何ですか。

A. 資金の原資が被相続人か、通帳や印鑑を誰が管理していたか、入出金を誰が行っていたか、名義人が贈与の事実を認識していたかなどを総合的に判断します。特に誰が管理・支配していたかが重視されます。

Q. 名義預金にしないためにはどうすればよいですか。

A. 贈与契約書を作成して双方の合意を残し、受贈者本人が口座の通帳や印鑑を管理し、年間110万円を超える場合は贈与税の申告を行い、銀行振込で資金移動の記録を残すことで、贈与を確実に成立させることが有効です。

Q. 贈与税の基礎控除額はいくらですか。

A. 暦年課税では、1年間に贈与を受けた財産の合計額から基礎控除額110万円を差し引いた残額に対して贈与税が課税されます。基礎控除の範囲内であれば贈与税はかかりません。

Q. 名義預金の申告漏れが判明した場合はどうなりますか。

A. 修正申告を行い不足していた相続税を納付する必要があります。申告漏れがあった場合には、本来の相続税に加えて過少申告加算税や延滞税などが課されることがあるため、申告前に名義預金の有無を確認することが重要です。

事務所概要
社名
税理士法人プライムパートナーズ
住所
〒107-0052
東京都港区赤坂5丁目2−33
IsaI AkasakA 17階
対応責任者
税理士 島本 雅史

本記事は正確な情報提供を心掛けておりますが、執筆時点の情報に基づいているため、法改正や人的ミス、個別のケースにより適用が異なる可能性があります。最新の情報や具体的なご相談については、お気軽に弊法人の税理士までお問い合わせください。

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