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教育資金贈与が使い切れない残額の相続税と課税ルール

2026-07-09
目次

祖父母から教育資金の一括贈与(1,500万円非課税)を受けたものの、思ったより使い切れず残ってしまった、あるいは贈与してくれた祖父母が亡くなってしまったという場合、残ったお金がどうなるのか不安に感じる方は少なくありません。制度そのものの全体像は教育資金贈与1500万円非課税を2026年適用期限まで解説で詳しく扱っていますが、実は使い切れなかった残額(管理残額)には、贈与者の死亡時や契約終了時に相続税または贈与税がかかることがあります。しかも令和以降の改正で、残額の相続税加算や2割加算のルールが厳しくなりました。この記事では、使い切れない残額の税金の取扱いを、年度ごとの改正点まで含めて正確に整理します。

教育資金一括贈与の非課税制度の概要

まず前提として、この特例がどのような制度なのかを確認します。祖父母などの直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合に、一定額まで贈与税が非課税になる仕組みです。

非課税限度額と対象者の要件

受贈者1人につき最大1,500万円まで(学校等以外に支払われるものは500万円が上限)が非課税となります。対象となるのは、贈与を受ける年の前年の合計所得金額などの要件を満たす30歳未満の人に限られます。適用期間は平成25年4月1日から令和8年3月31日までで、令和8年4月1日以後はこの特例の適用を受けることができません。[国税庁 No.4510 直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税]

非課税限度額 1,500万円(学校等以外は500万円)
受贈者の要件 30歳未満の直系卑属
贈与者 父母・祖父母などの直系尊属
適用期間 平成25年4月1日〜令和8年3月31日

管理残額という考え方

教育資金は金融機関との「教育資金管理契約」に基づいて口座で管理され、教育費を支払うたびに払い出す形になります。非課税で拠出された金額から、実際に教育資金として支払った金額を差し引いた残りを、この記事では管理残額と呼びます。使い切れないというのは、この管理残額が残っている状態を指します。残額の扱いは、贈与者が亡くなったときと、契約そのものが終了したときで異なります。

贈与者が死亡したときの残額の相続税課税

もっとも不安が大きいのが、教育資金を使い切る前に祖父母が亡くなってしまうケースです。この場合、管理残額は相続税の対象になり得ます。

管理残額の相続財産への加算

教育資金管理契約の期間中に贈与者が死亡した場合、その死亡日における管理残額は、受贈者が贈与者から相続または遺贈により取得したものとみなされ、相続税の課税対象となります。この取扱いは、平成31年4月1日以後に取得した信託受益権等に係る管理残額について適用されます。[国税庁 No.4510 直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税]

相続税がかからない場合の要件

ただし、贈与者の死亡時に受贈者が次のいずれかに当てはまる場合は、原則として管理残額は相続税の課税対象になりません。教育の途中で贈与者が亡くなった若い受贈者に配慮した除外規定です。

  • 受贈者が23歳未満である場合
  • 受贈者が学校等に在学している場合
  • 受贈者が教育訓練給付金の支給対象となる教育訓練を受けている場合

もっとも、令和5年4月1日以後に取得した信託受益権等については、贈与者に係る相続税の課税価格の合計額が5億円を超えるときは、受贈者が23歳未満などであっても、この除外は適用されず管理残額が相続税の対象になります。[国税庁 No.4510 直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税]

孫が相続する場合の2割加算

相続税では、被相続人の一親等の血族および配偶者以外の人が財産を取得した場合、その人の相続税額に2割相当額が加算されます。孫は代襲相続人となっている場合を除き、この2割加算の対象です。[国税庁 No.4157 相続税額の2割加算]

教育資金の管理残額についても、令和3年4月1日以後に取得した信託受益権等に係るものが相続税の対象となる場合には、この2割加算が適用されます。祖父母から孫への一括贈与では孫が受贈者となることが多いため、残額に相続税がかかると税額が2割増しになる点に注意が必要です。[国税庁 No.4510 直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税]

管理残額の
相続税課税
平成31年4月1日以後取得分から
2割加算の適用 令和3年4月1日以後取得分から
課税価格5億円超
の例外
令和5年4月1日以後取得分から

契約終了時に残額があるときの贈与税課税

贈与者が存命のまま、受贈者側の事情で残額が残るケースもあります。この場合は相続税ではなく贈与税の問題になります。

契約が終了するタイミング

教育資金管理契約は、受贈者が30歳に達したときなどに終了します。終了時点で非課税拠出額から教育資金の支出額を差し引いた残額があると、その残額はその契約終了日に贈与があったものとして、受贈者に贈与税が課されます。[国税庁 No.4510 直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税]

使い切れないときに検討したいこと

残額に贈与税がかかると、暦年課税の税率が適用され、金額によっては大きな負担になります。使い切れる見込みが立たない場合は、対象となる教育費の範囲を改めて確認し、計画的に払い出すことが基本です。あわせて、死亡前7年以内の贈与は相続税対象!暦年贈与の相続時加算を徹底解説で扱う暦年贈与や、結婚子育て資金贈与とは?1000万円が非課税になる要件と注意点で扱う別の一括贈与制度など、他の生前贈与の方法と組み合わせて設計することで、家族全体の税負担を抑えられる場合があります。孫への贈与の考え方は生前贈与で孫はいくらまで非課税?加算対象外のメリットもあわせてご覧ください。制度の選択は個々の資産状況によって最適解が変わるため、早めの検討をおすすめします。

まとめ

教育資金の一括贈与で使い切れなかった残額は、贈与者の死亡時には管理残額として相続税の対象となり(平成31年4月1日以後取得分)、孫が取得する場合は令和3年4月1日以後取得分について2割加算が適用されます。受贈者が23歳未満などの場合は原則課税されませんが、令和5年4月1日以後取得分では贈与者の課税価格が5億円超だと除外されません。契約終了時に残った残額には贈与税がかかります。制度は改正が重ねられており、贈与した年度によって取扱いが変わります。具体的なケースは税理士へのご相談をおすすめします。

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参考文献

教育資金贈与のよくある質問まとめ

Q.教育資金を使い切れないと残額はどうなりますか。

A.教育資金管理契約が終了した時点で残額があると、その残額はその契約終了日に贈与があったものとして受贈者に贈与税が課されます。契約は受贈者が30歳に達したときなどに終了します。

Q.贈与してくれた祖父母が亡くなったら残額に相続税はかかりますか。

A.契約期間中に贈与者が死亡した場合、死亡日の管理残額は相続または遺贈により取得したものとみなされ、相続税の対象になります。平成31年4月1日以後に取得した信託受益権等に係る残額について適用されます。

Q.孫が残額を相続すると税額が増えますか。

A.孫は代襲相続人である場合を除き相続税額の2割加算の対象です。教育資金の管理残額についても、令和3年4月1日以後に取得したものが相続税の対象となる場合は2割加算が適用されます。

Q.受贈者が若ければ相続税はかからないのですか。

A.贈与者の死亡時に受贈者が23歳未満、学校等に在学中、または一定の教育訓練を受けている場合は、原則として管理残額は相続税の対象になりません。ただし例外があります。

Q.23歳未満でも相続税がかかる場合はありますか。

A.令和5年4月1日以後に取得した信託受益権等については、贈与者に係る相続税の課税価格の合計額が5億円を超えるときは、受贈者が23歳未満などであっても除外規定は適用されず、管理残額が相続税の対象になります。

Q.この特例はいつまで利用できますか。

A.適用期間は平成25年4月1日から令和8年3月31日までです。令和8年4月1日以後は、この非課税特例の適用を受けることはできません。

事務所概要
社名
税理士法人プライムパートナーズ
住所
〒107-0052
東京都港区赤坂5丁目2−33
IsaI AkasakA 17階
対応責任者
税理士 島本 雅史

本記事は正確な情報提供を心掛けておりますが、執筆時点の情報に基づいているため、法改正や人的ミス、個別のケースにより適用が異なる可能性があります。最新の情報や具体的なご相談については、お気軽に弊法人の税理士までお問い合わせください。

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