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海外資産の相続税申告と国外財産調書|申告漏れのリスクと調査

目次
  1. 国外財産調書制度の概要
  2. 提出義務者と5,000万円の基準
  3. 提出期限と提出先
  4. 相続開始年分における記載の特例
  5. 国外財産調書の提出の有無による加算税の増減
  6. 提出がある場合の過少申告加算税等の軽減措置
  7. 提出がない場合の加重措置
  8. 国外財産に関する書類の提示等がない場合の特例
  9. 未提出・虚偽記載に対する罰則
  10. 税務署が海外資産を把握する仕組み
  11. 国外送金等調書による送金情報の収集
  12. 共通報告基準(CRS)に基づく自動的情報交換
  13. 情報交換件数と国外財産調書の提出状況
  14. 国外財産に対する相続税の課税範囲
  15. 納税義務者の区分による課税対象の違い
  16. 財産の所在の判定基準
  17. 外国税額控除による二重課税の調整
  18. 在外財産に対する相続税額の控除の概要
  19. 税額控除の適用順序と邦貨換算
  20. 申告漏れを防ぐための実務上の確認事項
  21. 相続税の申告期限と海外資産の把握
  22. 専門家への相談の目安
  23. まとめ
  24. 参考文献
  25. 海外資産の相続と国外財産調書のよくある質問まとめ

海外に銀行口座や不動産、証券口座を持っていたご家族が亡くなったとき、「海外にある財産まで日本の税務署に分かるのだろうか」と気になる方は少なくありません。実際のご相談でも、通帳が日本に届いていない口座や、現地でしか書類が保管されていない不動産をどう扱えばよいのか、迷われるケースが目立ちます。

結論からお伝えすると、海外資産は税務署に把握される前提で考える必要があります。日本には、一定額を超える国外財産を毎年申告してもらう国外財産調書という制度があり、さらに国外送金等調書や、各国の税務当局が金融口座情報をやり取りする共通報告基準(CRS)という仕組みも動いているためです。

この記事では、海外資産の相続税申告をめぐって「制度としてどこまで報告が求められているのか」「税務署はどのように情報を集めているのか」「申告漏れがあったときにどれだけ負担が変わるのか」を、国税庁が公表している資料に基づいて整理します。手続きの流れや必要書類ではなく、税務上のコンプライアンスの視点に絞ってご説明します。

国外財産調書制度の概要

国外財産調書は、海外に一定額以上の財産を持つ方に、その内容を毎年税務署へ報告してもらうための書類です。相続が起きたあとに慌てて確認されることが多い制度ですが、本来は生前から毎年提出しておくものであり、提出の有無が相続税の申告時のペナルティにも影響します。

提出義務者と5,000万円の基準

提出義務があるのは、居住者(非永住者を除きます)のうち、その年の12月31日において国外財産の価額の合計額が5,000万円を超える方です。国外財産の種類、数量および価額その他必要な事項を記載した国外財産調書を、住所地等の所轄税務署長に提出することとされています国税庁 No.7456 国外財産調書の提出義務。

ここでいう居住者とは、国内に住所を有し、または現在まで引き続いて1年以上居所を有する個人をいいます。また非永住者とは、居住者のうち日本の国籍を有しておらず、かつ過去10年以内において国内に住所または居所を有していた期間の合計が5年以下である個人を指します。居住者に当たるかどうかは、その年の12月31日の現況で判定します。

提出期限と提出先

提出期限はその年の翌年の6月30日です。所得税の納税地(所得税の納税義務がない方は住所地、国内に住所がないときは居所地)を所轄する税務署長へ提出します。提出の際には、国外財産調書合計表を作成して添付する必要があります。

提出義務者 居住者(非永住者を除く)
判定の時期 その年の12月31日の現況
基準となる金額 国外財産の価額の合計額が5,000万円を超えること
提出期限 その年の翌年の6月30日
提出先 所得税の納税地(納税義務がない方は住所地または居所地)を所轄する税務署長
添付する書類 国外財産調書合計表

実務では、海外赴任から戻られた方や、退職金を海外の口座で運用している方が、この5,000万円の基準を超えていることに気づかないまま数年が経過している例があります。為替が円安に振れた年は、円換算後の残高だけで基準を超えることもありますので、年末時点での確認をおすすめします。

相続開始年分における記載の特例

ご家族が亡くなった年については、少し扱いが異なります。相続の開始の日の属する年(相続開始年)の年分の国外財産調書については、その相続または遺贈により取得した国外財産(相続国外財産)を記載しないで提出することができます。この場合、相続開始年の年分の国外財産調書の提出義務については、国外財産の価額の合計額から相続国外財産の価額の合計額を除外して判定します。

相続が起きた直後は、海外の金融機関から残高証明が届くまでに時間がかかることも多く、正確な価額をすぐには把握できません。この特例は、そうした事情に配慮した取扱いといえます。

国外財産調書の提出の有無による加算税の増減

国外財産調書がとくに重要なのは、提出しているかどうかで、後から申告漏れが判明したときの加算税が変わる点です。ここは「出しておけば有利、出していないと不利」という分かりやすい構造になっています。

提出がある場合の過少申告加算税等の軽減措置

提出期限内に提出された国外財産調書に記載がある国外財産に関して所得税・相続税の申告漏れが生じた場合、その国外財産に係る過少申告加算税または無申告加算税が5パーセント軽減されます。申告漏れに係る相続税額が1,000万円だった場合、軽減される金額は次のとおりです。

申告漏れに係る相続税額1,000万円 × 軽減割合5% = 過少申告加算税等の軽減額50万円

提出がない場合の加重措置

反対に、提出期限内に国外財産調書の提出がない場合、または提出期限内に提出された国外財産調書に記載すべき国外財産の記載がない場合(重要なものの記載が不十分であると認められる場合を含みます)に、その国外財産に関して所得税・相続税の申告漏れが生じたときは、その国外財産に係る過少申告加算税等が5パーセント加重されます。

申告漏れに係る相続税額1,000万円 × 加重割合5% = 過少申告加算税等の加重額50万円

同じ金額の申告漏れでも、調書を出していた場合と出していなかった場合とでは、次のとおり差が生じます。

軽減額50万円 + 加重額50万円 = 提出の有無による差額100万円

なお、加重措置は死亡した方に係るものを除くこととされています。また相続国外財産については、相続国外財産を有する方の責めに帰すべき事由がなく提出期限内に国外財産調書の提出がない場合や、責めに帰すべき事由がなく記載すべき相続国外財産の記載がない場合には、加重措置の対象となりません。ご自身に落ち度がないケースまで一律に重くされるわけではない、という点は押さえておきたいところです。

国外財産に関する書類の提示等がない場合の特例

さらに厳しい取扱いもあります。国外財産に係る所得税または国外財産に対する相続税に関し修正申告等があり、過少申告加算税等の適用のある方が、その修正申告等の日前に、国外財産調書に記載すべき国外財産の取得、運用または処分に係る書類の提示または提出を求められた場合において、その提示等を求められた日から60日を超えない範囲内で指定された期限までにその提示等がなかったときは、軽減措置は適用されず、加重割合は5パーセントから10パーセントとされます(提示等をする方の責めに帰すべき事由がない場合は除きます)。

申告漏れに係る相続税額1,000万円 × 加重割合10% = 過少申告加算税等の加重額100万円
提出期限内に提出があり
国外財産の記載もある場合
その国外財産に係る過少申告加算税等が5パーセント軽減
提出期限内に提出がない場合
または記載がない場合
その国外財産に係る過少申告加算税等が5パーセント加重
指定期限までに国外財産に
関する書類の提示等がない場合
軽減措置は適用されず、加重割合は5パーセントから10パーセントに

未提出・虚偽記載に対する罰則

国外財産調書に偽りの記載をして提出した場合、または正当な理由がなく国外財産調書をその提出期限までに提出しなかった場合には、1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金に処されることがあります。ただし、正当な理由がなく提出期限までに提出しなかった場合については、情状により、その刑を免除することができることとされています。

加算税の軽減・加重という金銭的な効果だけでなく、刑事罰の定めまで置かれている制度である点は、生前対策を考えるうえでも意識しておきたいところです。

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税務署が海外資産を把握する仕組み

「海外の口座は税務署に分からないのではないか」という声をいただくことがありますが、現在はいくつもの制度が組み合わさって情報が集まる仕組みになっています。国外送金等調書や国外財産調書は、内国税の適正な課税の確保を図るための国外送金等に係る調書の提出等に関する法律に基づく法定調書として、税務署への提出が義務づけられています国税庁 No.7401 法定調書の種類。

国外送金等調書による送金情報の収集

国外送金等調書は、国外への送金および国外から受領した送金の金額が100万円を超えるものについて、送金者および受金者の氏名、住所、取引金額などを記載した調書を、送金等を行った金融機関が税務署に提出するものです。提出枚数は令和5事務年度で832万枚に上ります国税庁 Ⅳ 適正・公平な課税・徴収。

つまり、海外口座への入金や海外からの資金の受取りは、100万円を超える時点で税務署に記録が残ります。相続の場面では、被相続人が生前に行った送金の履歴が、海外資産の存在を示す手がかりになります。

共通報告基準(CRS)に基づく自動的情報交換

外国の金融機関等を利用した国際的な脱税および租税回避に対処するため、OECDにおいて、非居住者に係る金融口座情報を税務当局間で自動的に交換するための国際基準である共通報告基準(CRS:Common Reporting Standard)が公表され、日本を含む各国がその実施を約束しました。この基準に基づき、各国の税務当局は、自国に所在する金融機関等から非居住者が保有する金融口座情報の報告を受け、租税条約等の情報交換規定に基づき、その非居住者の居住地国の税務当局にその情報を提供します国税庁 共通報告基準(CRS)に基づく自動的情報交換に関する情報(「CRSコーナー」)。

平成27年度税制改正により、平成29年1月1日以後、新たに金融機関等に口座開設等を行う方等は、金融機関等へ居住地国名等を記載した届出書を提出することとなりました。国内に所在する金融機関等は、平成30年以後、毎年4月30日までに特定の非居住者の金融口座情報を所轄税務署長に報告し、報告された情報は各国税務当局と自動的に交換されます。

また令和4年に、OECDにおいて共通報告基準の報告事項を拡充する等の改訂が承認・公表されました。日本でも令和6年度税制改正で本制度の見直しが行われ、改正後の制度は令和8年から施行され、令和9年以後は改正後の制度に基づいて報告および交換が行われます。海外口座に関する情報の網は、今後さらに細かくなっていくとお考えいただくのが実情に合っています。

情報交換件数と国外財産調書の提出状況

数字で見ると、この仕組みの規模がよく分かります。租税条約等に基づく情報交換は、令和7年5月現在で87の租税条約等(156か国・地域を対象)に基づいて実施されており、令和5事務年度の情報交換件数は合計で約385万2,000件、うちCRS情報等が約296万9,000件を占めます。CRSによる非居住者の金融口座情報の自動的情報交換では、令和5事務年度に93か国・地域から245万5,288口座分の情報を受領しています。

一方、国外財産調書の提出件数は令和5年分で13,243件、記載された財産総額は6兆4,897億円です。受領している海外口座情報の量に対して、自主的に提出されている調書の件数は決して多くありません。この差が、税務調査で海外資産が論点になりやすい理由の一つといえます。

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実際に国税庁は、CRS情報により法人役員が外国の金融口座に多額の資産を保有している事実を把握し、その運用状況の解明によって親族から相続した財産の運用による多額の利益の申告漏れが判明した事例を公表しています。海外資産は「見えていない」のではなく、「照合されるのを待っている」と考えたほうが安全です。

国外送金等調書 100万円を超える国外への送金・国外からの受領について金融機関が提出(令和5事務年度832万枚)
国外財産調書 12月31日時点で5,000万円超の国外財産を有する居住者が翌年6月30日までに提出(令和5年分13,243件)
租税条約等に基づく
情報交換
令和7年5月現在87の租税条約等(156か国・地域)に基づき外国税務当局と情報を交換
共通報告基準(CRS) 非居住者の金融口座情報を税務当局間で自動的に交換(令和5事務年度に245万5,288口座分を受領)

国外財産に対する相続税の課税範囲

そもそも海外にある財産が日本の相続税の対象になるのかは、財産を取得した方と被相続人の住所・国籍によって決まります。ここを取り違えると、申告する財産の範囲そのものを誤ってしまいます。

納税義務者の区分による課税対象の違い

相続などで財産を取得した時に外国に居住していて日本に住所がない方は、取得した財産のうち日本国内にある財産だけが相続税の課税対象になります。ただし、次のいずれかに該当する方が財産を取得した場合には、日本国外にある財産についても相続税の課税対象になります国税庁 No.4138 相続人が外国に居住しているとき。

  • 財産を取得したときに日本国籍を有している方で、被相続人の死亡した日前10年以内に日本国内に住所を有したことがある場合か、同期間内に住所を有したことがなく被相続人が外国人被相続人または非居住被相続人でない場合
  • 財産を取得したときに日本国籍を有していない方で、被相続人が外国人被相続人、非居住被相続人または非居住外国人でない場合

国税庁の区分では、居住無制限納税義務者または非居住無制限納税義務者に該当する相続人が相続または遺贈により取得した財産については、国内財産および国外財産にかかわらずすべてが課税対象になります。これらの区分以外に該当する相続人が取得した財産については、国内財産のみが課税対象です。

居住無制限納税義務者 国内財産および国外財産にかかわらず、すべてが相続税の課税対象
非居住無制限
納税義務者
国内財産および国外財産にかかわらず、すべてが相続税の課税対象
上記以外の区分 日本国内にある財産のみが相続税の課税対象

なお、留学や海外出張など一時的に日本国内を離れている方は、日本国内に住所があることになります。「今は海外にいるから国外財産は関係ない」と早合点しないことが大切です。

財産の所在の判定基準

相続または遺贈等により取得した財産が国内にあるのか国外にあるのかは、財産の種類ごとに判定方法が決まっています。海外資産の相続で問題になりやすいものを抜き出すと、次のとおりです。

動産 その動産の所在による
不動産または不動産の
上に存する権利
その不動産の所在による
銀行等に対する預金、
貯金または積金
その受入れをした営業所または事業所の所在による
社債、株式、法人に
対する出資
その発行法人または出資されている法人の本店もしくは主たる事務所の所在による
生命保険契約または
損害保険契約などの保険金等
これらの契約を締結した保険会社の本店または主たる事務所の所在による
貸付金債権 その債務者の住所または本店もしくは主たる事務所の所在による

たとえば海外の銀行に預けた預金は、その受入れをした営業所の所在で判定しますので国外財産となります。一方、日本の証券会社を通じて保有している外国法人の株式は、発行法人の本店所在地で判定するため国外財産に当たります。口座がどこにあるかではなく、財産の種類ごとの判定基準に沿って整理することが必要です。

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外国税額控除による二重課税の調整

国外財産が日本の相続税の対象になると、「現地でも相続税に相当する税金を払ったのに、日本でも課税されるのか」という疑問が生じます。この二重の負担を調整するために設けられているのが、在外財産に対する相続税額の控除、いわゆる外国税額控除です。

在外財産に対する相続税額の控除の概要

法施行地外にある財産について、その地の法令により相続税に相当する税が課された場合には、その税額を日本の相続税額から差し引く取扱いが定められています国税庁 第20条の2《在外財産に対する相続税額の控除》関係。控除の対象となる「当該財産の価額」とは、相続または遺贈により取得した法施行地外にある財産の価額の合計額から、その財産に係る債務の金額を控除した額をいいます。

現地で相続税に相当する税を納めていても、日本側で自動的に調整されるわけではありません。申告書の該当欄に記載して初めて適用される控除ですので、海外での納税を証明する資料を早い段階から集めておくことが実務上のポイントになります。

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税額控除の適用順序と邦貨換算

相続税の税額控除等は適用の順序が決まっており、贈与税額控除、配偶者に対する相続税額の軽減、未成年者控除、障害者控除、相次相続控除、在外財産に対する相続税額の控除の順に適用します。在外財産に対する相続税額の控除は最後に適用される控除であり、先順位の税額控除によって相続税額がゼロになる場合や控除しきれない場合には、後順位の税額控除をすることなく、その方の納付すべき相続税額はないものとなります。

また、外国で課された相続税に相当する税額は、その納付すべき日における対顧客直物電信売相場により邦貨に換算します。ただし、送金が著しく遅延して行われる場合を除き、国内から送金する日の対顧客直物電信売相場によることもできます。為替相場の取り方ひとつで控除額が変わりますので、換算日の根拠資料も併せて保管しておくと安心です。

申告漏れを防ぐための実務上の確認事項

ここまでの内容を踏まえ、海外資産がある相続で最低限確認しておきたい点を整理します。

相続税の申告期限と海外資産の把握

相続税の申告は、被相続人が死亡したことを知った日(通常の場合は死亡の日)の翌日から10か月以内に行うこととされています。申告期限までに申告をしなかった場合や、実際に取得した財産の額より少ない額で申告をした場合には、本来の税金のほかに加算税や延滞税がかかる場合があります国税庁 No.4205 相続税の申告と納税。

海外の金融機関は、日本の相続手続きに必要な残高証明や名義変更の書類を出すまでに数か月かかることも珍しくありません。10か月という期限を逆算すると、着手できる時間は想像以上に短いのが実情です。まずは被相続人の生前の送金履歴、確定申告書、過去に提出された国外財産調書の控えを確認し、財産の全体像を早く固めることが優先されます。

専門家への相談の目安

とくに次のような事情がある場合は、早めに専門家へ相談されることをおすすめします。被相続人が海外で長く生活していた、相続人の誰かが国外に居住している、外貨建ての金融商品や海外不動産が含まれている、現地でも相続税に相当する税が課されている、といったケースです。いずれも納税義務者の区分や財産の所在の判定、外国税額控除の適用可否といった判断が絡み、書類の取り寄せにも時間がかかります。

また、国外財産調書が過去に提出されていたかどうかを確認しておくと、加算税の軽減措置が使えるかどうかの見通しが立ちます。相続開始年分については記載を省略できる特例もありますので、提出義務の判定も含めて整理しておくと安心です。

まとめ

海外資産の相続では、次の4点が要点になります。第一に、その年の12月31日時点で国外財産の合計額が5,000万円を超える居住者は、翌年6月30日までに国外財産調書を提出する義務があります。第二に、期限内提出があれば申告漏れ時の過少申告加算税等は5パーセント軽減され、提出がなければ5パーセント加重、求められた書類の提示等がなければ加重割合は10パーセントになります。

第三に、国外送金等調書やCRSに基づく自動的情報交換により、税務署は海外の口座情報を継続的に受領しています。令和5事務年度だけでも245万口座を超える情報が海外から届いており、海外資産が把握されない前提で考えるのは現実的ではありません。第四に、国外財産が課税対象になるかどうかは納税義務者の区分と財産の所在の判定で決まり、現地で課された税は在外財産に対する相続税額の控除で調整します。

制度を正しく理解して手順どおりに進めれば、過度に恐れる必要はありません。もっとも、税務判断は個別性が高い分野ですので、具体的なケースは税理士へのご相談をおすすめします。

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参考文献

海外資産の相続と国外財産調書のよくある質問まとめ

Q. 国外財産調書は誰が提出するのですか。

A. その年の12月31日において国外財産の価額の合計額が5,000万円を超える居住者(非永住者を除く)です。翌年の6月30日までに住所地等の所轄税務署長へ提出します。

Q. 亡くなった年の国外財産調書はどのように扱われますか。

A. 相続開始年の年分については、相続や遺贈で取得した国外財産を記載しないで提出できます。この場合、提出義務の判定でもその相続国外財産の価額を除いて計算します。

Q. 国外財産調書を提出していると何が有利になりますか。

A. 提出期限内に提出した調書に記載がある国外財産について相続税の申告漏れが生じた場合、その国外財産に係る過少申告加算税または無申告加算税が5パーセント軽減されます。

Q. 国外財産調書を提出していない場合はどうなりますか。

A. その国外財産に係る過少申告加算税等が5パーセント加重されます。求められた書類を指定期限までに提示等しなかったときは、軽減措置が適用されず加重割合は10パーセントになります。

Q. 税務署は海外の預金口座をどのように把握しているのですか。

A. 100万円を超える送金に係る国外送金等調書や国外財産調書に加え、共通報告基準(CRS)に基づく各国税務当局との自動的情報交換によって金融口座情報を受領しています。

Q. 海外で相続税に相当する税を納めた場合、日本でも課税されますか。

A. 在外財産に対する相続税額の控除により、外国で課された税額を日本の相続税額から差し引けます。この控除は税額控除等の最後に適用されます。

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本記事は正確な情報提供を心掛けておりますが、執筆時点の情報に基づいているため、法改正や人的ミス、個別のケースにより適用が異なる可能性があります。最新の情報や具体的なご相談については、お気軽に弊法人の税理士までお問い合わせください。