本記事は、確定申告や法人税・消費税の申告内容に誤りが見つかり、修正申告を提出することになった事業者・経営者・経理担当の方、および個人で修正申告が必要になった方に向けた解説です。結論から申し上げますと、修正申告で新たに納める税金は、修正申告書を提出する日が納期限となり、その日のうちに納付を済ませるのが原則です。国税庁 No.2026 確定申告を間違えたとき
そして修正申告の納付方法は、ダイレクト納付・インターネットバンキング・クレジットカード納付・スマホアプリ納付・コンビニ納付(QRコード)・窓口での現金納付から選べます。ただし手段ごとに上限額や事前手続が異なり、当初の確定申告で使っていた振替納税は修正申告分には使えません。以下では、納付手段の選び方、納付書の記載方法、e-Taxを使った手順の順に整理します。
修正申告の納付における結論と全体像
納期限は修正申告書の提出日
修正申告で追加になった税額の納期限は、修正申告書を提出する日です。当初の確定申告のように「申告期限とは別に納付期限が設けられる」という考え方ではなく、提出日と納付日を同じ日に合わせるのが基本になります。提出だけ先に済ませて納付を後回しにすると、その日数分だけ延滞税が積み上がります。
もう一点、実務で見落とされやすいのが、申告書を提出しても税務署から納付書は送られてこないという点です。納付に必要な情報は納税者自身で用意する必要があります。国税庁 G-2 国税の納付手続(納期限・振替日・納付方法)
延滞税と加算税の位置づけ
延滞税は、法定納期限の翌日から実際に納付する日までの日数に応じて課されます。期限後申告書または修正申告書を提出した場合で納付すべき税額があるときも対象です。割合は納期限の翌日から2か月を経過する日までと、それ以後で二段階に分かれます。国税庁 No.9205 延滞税について
加算税については、税務調査の通知を受ける前に自主的に修正申告をした場合、過少申告加算税はかかりません。一方、調査を受けてから修正申告をした場合には、新たに納める税金に対して原則5パーセントから15パーセントの割合で過少申告加算税が課されます。納付方法を検討する前に、まずいつ提出するかを決めることが金額面では最も効きます。
延滞税や加算税の具体的な計算方法・税率は、次の関連記事で詳しく解説しています。
関連コラム修正申告の延滞税|計算方法と加算税の関係を税理士が解説▸
関連コラム延滞税 税率|割合・計算方法と免除されるケースを税理士が解説▸
納付方法の種類と選び方
納付手段の一覧と上限額
国税の納付手続には複数の選択肢があり、修正申告で追加になった税額も同じ手段で納付できます。選択の分かれ目になるのは、税額の大きさと事前手続の有無、そして領収証書が必要かどうかの3点です。主な手段の上限額と手数料は次のとおりです。
| 納付方法 | 上限額と手数料 |
|---|---|
| ダイレクト納付 | 事前に届出書の提出が必要。手数料は不要 |
| インターネットバンキング等 | e-Taxの利用開始手続が必要。国税側の手数料は不要 |
| クレジットカード納付 | 1度の手続につき1,000万円未満。決済手数料が別途必要 |
| スマホアプリ納付 | 30万円以下。決済手数料は発生しない |
| コンビニ納付(QRコード) | 30万円以下。手数料は不要 |
| 窓口での現金納付 | 金額の制限なし。手数料は不要 |
キャッシュレスによる納付手段
ダイレクト納付は、e-Taxで申告書等を提出した後に、本人名義の預貯金口座から即時または指定した期日に引き落とす手続です。利用にはe-Taxの利用開始手続に加え、納税地を所轄する税務署へ専用の届出書を提出する必要があります。個人はオンライン提出も可能ですが、法人は書面提出です。国税庁 G-2-2 ダイレクト納付の手続
インターネットバンキング等からの納付は、インターネットバンキングやATMから電子納付する方法です。事前にe-Taxの利用開始手続が必要で、国税側の手数料はかかりませんが、領収証書は発行されません。領収証書が必要な場合は金融機関の窓口で納付します。国税庁 G-2-3 インターネットバンキング等からの納付手続
クレジットカード納付は、1度の手続につき1,000万円未満かつカードの決済可能額以下という制限があります。納付税額に応じた決済手数料が納税者負担で発生し、1円から10,000円までは99円、以降は10,000円を超えるごとに加算される仕組みです。この決済手数料は国の収入にはなりません。国税庁 G-2-4 クレジットカード納付の手続
スマホアプリ納付は、納付しようとする金額が30万円以下の場合に利用できます。決済手数料はかかりませんが、アカウント残高を利用した支払方法のみのため、事前に残高へのチャージが必要です。30万円を超える税額を分割して複数回納付することは認められていません。国税庁 G-2-5 スマホアプリ納付の手続
現金と納付書による納付手段
コンビニ納付(QRコード)は、自宅のパソコン等で作成したQRコードをコンビニのキオスク端末に読み込ませ、出力されたバーコードに現金を添えて納付する方法です。上限は30万円以下、手数料は不要ですが、領収証書は発行されず払込金受領証のみとなります。国税庁 G-2-6 コンビニ納付(QRコード)
金融機関または税務署の窓口での現金納付は、納付書を添えて現金で納める昔ながらの方法です。利用可能額に制限がなく、手数料も不要で、領収証書が発行されます。税務署の窓口で納付できる時間は8時30分から17時まで(土日祝日を除く)です。国税庁 G-2-8 現金に納付書を添えて納付(金融機関又は税務署の窓口)
税額が大きい修正申告では、上限30万円のスマホアプリ納付とコンビニ納付が使えない場面が多くなります。実務上は、ダイレクト納付かインターネットバンキング、あるいは窓口での現金納付が現実的な選択肢になります。
振替納税が使えない理由
当初の確定申告で振替納税を利用していた方が最も間違えやすいのがこの点です。振替納税の対象は、申告所得税及び復興特別所得税では期限内に申告された確定申告分および延納分と、予定納税分に限られます。国税庁 G-2-1 申告所得税及び復興特別所得税、消費税及び地方消費税(個人事業者)の振替納税手続による納付
つまり、修正申告によって追加で生じた税額は振替納税の対象外です。「いつもどおり口座から引き落とされるだろう」と待っていると納付が一切行われず、延滞税だけが増えていきます。修正申告のときは、必ず別途の納付手続を自分で行ってください。
納付書の記載方法と様式変更
納付書に記載する項目
窓口で納付する場合は、事前に納付書を用意します。納付書(一般用)は金融機関の窓口にも備え付けられていますが、在庫がない場合は所轄の税務署へ連絡して入手します。国税庁は申告所得税の納付書について記載例を公開しており、記載する主な欄は次のとおりです。
| 整理番号 | 確定申告書等に記載されている番号を転記します。不明な場合は空欄でも差し支えありません |
|---|---|
| 税務署名 | 印字された税務署名が所轄税務署であるかを確認します |
| 税目・税目番号 | 納付書の裏面を参照し、該当する税目と番号を記載します |
| 納期等の区分 | 納付する税金の課税期間を裏面の記載に従って記入します |
| 合計額 | 金額の頭に「¥」記号を付け、必ず記載します |
記載は黒のボールペンを使い、枠内に丁寧に書きます。合計額を書き誤ったときは訂正せず、新しい納付書に書き直すのが原則です。なお納付書には「領収済通知書」と印字されていますが、この記載自体が納付済みを証明するものではありません。納付済みであることは、納付時に渡される領収証書の領収印で確認します。
令和8年9月下旬以降の様式変更
納付書の様式は変更が予定されています。令和8年9月下旬以降に税務署の窓口で交付される納付書(領収済通知書)は、納税者の識別に使う8桁の「整理番号」欄が13桁の「お問い合わせ番号又は法人番号」欄に変わります。お問い合わせ番号の印字がない場合、法人は13桁の法人番号を記載し、個人は記載不要です。あわせて「納期等の区分」欄等に元号の記載欄が追加され、納税者住所の郵便番号欄も新設されます。現行様式は当分の間そのまま使用できます。
本記事は2026年9月時点の情報です。手元にある納付書がどちらの様式かを確認したうえで記載してください。
実務で起こりやすい記載ミス
実務では、修正申告の納付書で税目・税目番号と納期等の区分の取り違えが繰り返し起こります。ある個人事業者の事例では、法人税の納付書用紙を流用して申告所得税を納付しようとしたため、金融機関の窓口で受け付けられず、税務署で納付書を再発行してから出し直すことになりました。この間に納付日が2日ずれ、延滞税の計算日数もその分だけ延びています。
また、税務調査の後に修正申告を提出したケースでは、先に納付日を確定させ、その日を前提に延滞税を日割りで精算する段取りを組むのが定石です。提出日と納付日を同じ日に揃えられるよう、窓口の営業時間や口座残高を事前に確認しておくと、余計な延滞税を避けられます。
e-Taxを利用した修正申告と納付の手順
修正申告書の作成
所得税の修正申告は、国税庁ホームページの確定申告書等作成コーナーで作成できます。修正申告に当たっては申告書第一表と第二表を使用し、分離課税の所得がある場合は第三表(分離課税用)も併せて使います。第五表は令和4年分以降の修正申告には使用しません。国税庁 申告に誤りがあった場合など
記載上の要点は3つです。第一に、表題の空白に「修正」と記入し、種類欄の「修正」を丸で囲みます。第二に、修正申告欄の「修正前の第3期分の税額」に直前の申告書の税額を記入し、増加額を計算します。第三に、「特例適用条文等」欄へ修正する事項と理由を記載します。
送信後の納付手続
e-Taxで修正申告書を送信した後は、そのまま納付手続に進みます。ダイレクト納付を届け出ていれば即時または期日指定で引き落としができ、届出がない場合はインターネットバンキング、クレジットカード納付、スマホアプリ納付を選ぶ流れです。スマホアプリ納付は、令和7年2月1日からe-Taxを経由するアクセス方法に集約されており、住所や氏名を入力せずに納付を完了できます。
納付が一度に難しい場合、ダイレクト納付には既に納期限を経過している国税について分割納付を行う手続も用意されています。資金繰りに不安があるときは、放置せず所轄の税務署に相談したうえで手続を検討してください。個別の事情によって取り得る選択肢は変わりますので、具体的なケースは、まずは税理士にご相談ください。
修正申告と更正の請求の使い分け
申告した税額が実際より少なかったときは修正申告ですが、逆に多かったときは更正の請求という別の手続になります。更正の請求ができる期間は、原則として法定申告期限から5年以内です。誤りの方向によって手続も期限も異なるため、まず自社の誤りがどちらに該当するかを確認してください。
関連コラム所得税の更正の請求とは|5年の期限と手続きの流れを税理士が解説▸
まとめ
修正申告の納付方法について、押さえるべき点は次のとおりです。納期限は修正申告書を提出する日であり、提出と納付は同じ日に揃えるのが基本です。納付手段はダイレクト納付、インターネットバンキング、クレジットカード納付、スマホアプリ納付、コンビニ納付(QRコード)、窓口での現金納付から選べます。
選択の目安は税額です。30万円以下ならスマホアプリ納付やコンビニ納付が手軽で、それを超える場合はダイレクト納付やインターネットバンキング、窓口での現金納付が中心になります。当初の確定申告で振替納税を使っていても、修正申告分は対象外である点に注意してください。
納付書で納める場合は、税目・税目番号と納期等の区分の記載を裏面で確認し、合計額には「¥」記号を付けます。令和8年9月下旬以降は「整理番号」欄が「お問い合わせ番号又は法人番号」欄へ変わる様式変更も予定されています。誤りの内容や税額が大きい場合、加算税や延滞税の取り扱いも含めて、早めに税理士へご相談ください。
参考文献
- 国税庁 No.2026 確定申告を間違えたとき
- 国税庁 G-2 国税の納付手続(納期限・振替日・納付方法)
- 国税庁 No.9205 延滞税について
- 国税庁 G-2-2 ダイレクト納付の手続
- 国税庁 G-2-3 インターネットバンキング等からの納付手続
- 国税庁 G-2-4 クレジットカード納付の手続
- 国税庁 G-2-5 スマホアプリ納付の手続
- 国税庁 G-2-6 コンビニ納付(QRコード)
- 国税庁 G-2-8 現金に納付書を添えて納付(金融機関又は税務署の窓口)
- 国税庁 G-2-1 申告所得税及び復興特別所得税、消費税及び地方消費税(個人事業者)の振替納税手続による納付
- 国税庁 申告に誤りがあった場合など
修正申告の納付方法のよくある質問まとめ
Q. 修正申告の税金はいつまでに納付すればよいですか。
A. 修正申告書を提出する日が納期限となりますので、その日のうちに納付するのが原則です。提出だけ先に済ませると、納付までの日数に応じて延滞税が発生します。
Q. 修正申告の納付には振替納税を使えますか。
A. 使えません。申告所得税等の振替納税の対象は、期限内に申告された確定申告分および延納分と予定納税分に限られており、修正申告で追加になった税額は対象外です。別途ご自身で納付手続を行う必要があります。
Q. 修正申告の納付書はどこで入手できますか。
A. 納付書(一般用)は金融機関の窓口に備え付けられています。在庫がない場合は所轄の税務署へ連絡して入手してください。申告書を提出しても税務署から納付書が送付されることはありません。
Q. スマホアプリ納付やコンビニ納付に上限額はありますか。
A. いずれも30万円以下の場合に利用できます。スマホアプリ納付では、30万円を超える税額を複数回に分けて納付することは控えるよう国税庁が案内しています。
Q. クレジットカード納付に手数料はかかりますか。
A. 納付税額に応じた決済手数料が納税者負担で発生します。1円から10,000円までは99円で、以降は10,000円を超えるごとに加算されます。上限は1度の手続につき1,000万円未満です。
Q. e-Taxで修正申告をした後の納付はどうすればよいですか。
A. 送信後にそのまま納付手続へ進みます。ダイレクト納付を届け出ていれば即時または期日指定で口座引落しができ、届出がない場合はインターネットバンキング、クレジットカード納付、スマホアプリ納付などから選択します。