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みなし相続財産とは|課税される財産一覧と非課税枠の計算

2026-07-08
目次

亡くなった方が生前に持っていた預貯金や不動産だけが相続税の対象になるとお考えの方は少なくありません。しかし実際には、民法上は相続財産に含まれないにもかかわらず、相続税の計算上は相続財産と同じように課税される財産があります。これをみなし相続財産と呼びます。代表例が生命保険金や死亡退職金で、受取人固有の財産でありながら相続税がかかります。

みなし相続財産には一定の非課税枠が用意されている一方で、種類や受け取り方によっては申告から漏れやすいものもあります。ここでは、みなし相続財産の一覧、生命保険金や死亡退職金の非課税枠の計算、相続放棄をした場合の扱い、申告で見落としやすい財産まで、相続税申告の実務の視点から整理します。

みなし相続財産の定義と課税の根拠

みなし相続財産とは、被相続人が亡くなったことをきっかけに相続人などが受け取る財産のうち、民法上は被相続人の遺産ではないものの、相続税法上は相続または遺贈によって取得したものとみなして課税される財産です。被相続人の死亡を原因として経済的な価値が相続人へ移転する点に着目し、通常の相続財産との課税の公平を保つために課税対象とされています。この取り扱いは相続税法第3条に定められています[e-Gov法令検索 相続税法第3条]

本来の相続財産との相違点

本来の相続財産は、被相続人が生前から所有していた預貯金・不動産・有価証券などで、遺産分割の対象となります。一方みなし相続財産は、受取人が指定された生命保険金のように受取人固有の財産となるものが多く、原則として遺産分割の対象にはなりません。しかし相続税の課税価格には算入されるため、申告の際には本来の相続財産と合算して税額を計算します[国税庁 No.4105 相続税がかかる財産]

みなし相続財産の一覧

みなし相続財産として相続税の課税対象になる主な財産は次のとおりです。日常的に目にする機会が多いのは生命保険金と死亡退職金ですが、それ以外にも複数の種類があります[国税庁 No.4105 相続税がかかる財産]

財産の種類 課税される主な内容
生命保険金 被相続人が保険料を負担していた契約の死亡保険金
死亡退職金 死亡後3年以内に支給が確定した退職手当金等
弔慰金のうち
退職手当金に該当する部分
非課税枠を超える部分が退職手当金等として課税
定期金に関する権利 個人年金など継続的に給付を受ける権利
低額譲受など
による利益
著しく低い価額で財産を譲り受けたことによる利益

生命保険金の課税対象

被相続人の死亡によって受け取る生命保険金や損害保険金のうち、その保険料の全部または一部を被相続人が負担していたものは、相続または遺贈によって取得したものとみなされ、相続税の課税対象になります。保険料を誰が負担していたかによって課税される税目が変わる点に注意が必要です[国税庁 No.4114 相続税の課税対象になる死亡保険金]。生命保険金の仕組みは生命保険の相続税非課税枠500万円の仕組みと注意点でも詳しく解説しています。

死亡退職金の課税対象

被相続人に支給されるべきであった退職手当金等で、被相続人の死亡後3年以内に支給が確定したものは、相続税の課税対象になります。3年を経過した後に支給が確定したものは、受け取った遺族の一時所得として所得税の対象となり、相続税の対象にはなりません[国税庁 No.4117 相続税の課税対象になる死亡退職金]

生命保険金と死亡退職金の非課税枠の計算方法

生命保険金と死亡退職金には、それぞれ独立した非課税枠が設けられています。いずれも非課税限度額は法定相続人の数に応じて計算します[国税庁 No.4114 相続税の課税対象になる死亡保険金]

500万円 × 法定相続人の数 = 非課税限度額

この非課税枠は生命保険金と死亡退職金でそれぞれ別々に適用されます。すべての相続人が受け取った金額の合計が非課税限度額以下であれば課税されず、超えた部分だけが課税対象になります[国税庁 No.4117 相続税の課税対象になる死亡退職金]

非課税枠の計算例

法定相続人が配偶者と子ども2人の合計3人で、生命保険金2,000万円を受け取ったケースを考えます。非課税限度額は次のとおりです。

500万円 × 3人 = 1,500万円
2,000万円 − 1,500万円 = 500万円

この場合、課税対象となる生命保険金は500万円となり、この金額が本来の相続財産などと合算されて相続税が計算されます。

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相続放棄をした場合の非課税枠の扱い

みなし相続財産の非課税枠を考えるうえで注意が必要なのが、相続放棄があった場合の取り扱いです。非課税枠の計算に用いる法定相続人の数は、相続の放棄をした人がいても、その放棄がなかったものとした場合の相続人の数で数えます。したがって放棄によって非課税限度額そのものが減ることはありません[国税庁 No.4114 相続税の課税対象になる死亡保険金]。相続放棄の手続きは相続放棄のやり方と3ヶ月の期限で確認できます。

相続放棄をした人が受け取る場合

非課税枠の適用を受けられるのは相続人に限られます。相続放棄をした人は相続人ではなくなるため、その人自身が受け取った生命保険金や死亡退職金には非課税枠を適用できません。受け取った金額の全額が相続税の課税対象になります。生命保険金の受取人に指定されている場合は、放棄をしても保険金自体は受け取れますが、非課税の恩恵は受けられない点に注意が必要です[国税庁 No.4114 相続税の課税対象になる死亡保険金]

申告で見落としやすいみなし相続財産の注意点

みなし相続財産のなかには、被相続人名義の財産として通帳や登記に現れないため、申告漏れが生じやすいものがあります。相続税申告の実務で特に確認が必要な項目を整理します[国税庁 No.4105 相続税がかかる財産]

弔慰金の課税範囲

被相続人の死亡によって受け取る弔慰金や花輪代、葬祭料などは、通常は相続税の対象になりません。ただし、雇用主などから弔慰金の名目で受け取った金銭のうち、実質的に退職手当金等に該当すると認められる部分は相続税の対象になります。非課税とされる弔慰金の範囲は次のとおりです[国税庁 No.4120 弔慰金を受け取ったときの取扱い]

業務上の死亡の場合 死亡当時の普通給与の3年分に相当する額
業務上の死亡でない場合 死亡当時の普通給与の半年分に相当する額

この範囲を超える部分は退職手当金等として扱われ、死亡退職金の非課税枠の対象に含めて計算します[国税庁 No.4120 弔慰金を受け取ったときの取扱い]

定期金に関する権利

被相続人が保険料を負担していた個人年金など、死亡後に相続人が継続的に給付を受ける定期金に関する権利も、みなし相続財産として相続税の課税対象になります。給付が長期にわたるため見落としやすく、契約内容の確認が欠かせません[国税庁 No.4105 相続税がかかる財産]

低額譲受などによる利益

被相続人の死亡に伴い、著しく低い価額で財産を譲り受けたことによる利益なども、みなし相続財産として課税対象となる場合があります。生命保険金や死亡退職金以外にも課税対象となる財産がある点を押さえておくことが、申告漏れの防止につながります[国税庁 No.4105 相続税がかかる財産]。みなし相続財産と非課税財産の全体像は相続税の非課税財産一覧|かからない財産と非課税枠の計算もあわせてご覧ください。

企業年金の死亡一時金・遺族給付金の課税関係は、企業年金の死亡一時金に相続税はかかるかを解説した記事で詳しくご説明しています。

まとめ

みなし相続財産は、民法上の遺産ではないものの相続税の課税対象となる財産で、生命保険金・死亡退職金・弔慰金の一部・定期金に関する権利・低額譲受による利益などが該当します。生命保険金と死亡退職金には、それぞれ500万円に法定相続人の数を掛けた非課税枠が用意されており、この非課税枠の計算では相続放棄があってもいなかったものとして人数を数えます。一方で、相続放棄をした人自身が受け取る場合は非課税枠を適用できず、弔慰金や定期金は申告から漏れやすいため注意が必要です。財産の種類や受け取り方によって取り扱いが変わるため、具体的なケースは税理士へのご相談をおすすめします。

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参考文献

みなし相続財産のよくある質問まとめ

Q.みなし相続財産とは何ですか。

A.民法上は被相続人の遺産に含まれないものの、被相続人の死亡をきっかけに相続人などが取得し、相続税法上は相続または遺贈により取得したものとみなして相続税の課税対象となる財産です。生命保険金や死亡退職金が代表例です。

Q.みなし相続財産にはどのような種類がありますか。

A.主なものとして、生命保険金、死亡退職金、退職手当金等に該当する弔慰金の一部、定期金に関する権利、著しく低い価額での譲受による利益などがあります。

Q.生命保険金の非課税枠はどのように計算しますか。

A.500万円に法定相続人の数を掛けた金額が非課税限度額です。すべての相続人が受け取った保険金の合計がこの金額を超えた部分が相続税の課税対象になります。死亡退職金にも同じ計算式の非課税枠が別に設けられています。

Q.相続放棄をすると非課税枠の人数は減りますか。

A.減りません。非課税枠の計算に用いる法定相続人の数は、相続の放棄をした人がいても放棄がなかったものとした場合の相続人の数で数えます。ただし相続放棄をした人自身が受け取る保険金や退職金には非課税枠を適用できません。

Q.弔慰金は相続税の対象になりますか。

A.通常の弔慰金や花輪代、葬祭料は原則として相続税の対象になりません。ただし業務上の死亡は普通給与の3年分、業務上でない死亡は普通給与の半年分を超える部分は退職手当金等として相続税の対象になります。

Q.死亡退職金はいつ受け取ったものが相続税の対象ですか。

A.被相続人の死亡後3年以内に支給が確定した退職手当金等が相続税の対象になります。3年を経過した後に確定したものは受け取った遺族の一時所得として所得税の対象となります。

事務所概要
社名
税理士法人プライムパートナーズ
住所
〒107-0052
東京都港区赤坂5丁目2−33
IsaI AkasakA 17階
対応責任者
税理士 島本 雅史

本記事は正確な情報提供を心掛けておりますが、執筆時点の情報に基づいているため、法改正や人的ミス、個別のケースにより適用が異なる可能性があります。最新の情報や具体的なご相談については、お気軽に弊法人の税理士までお問い合わせください。

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