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相続放棄の費用|収入印紙800円と戸籍代の内訳・自分で行う場合の総額

2026-08-17
目次

相続放棄にかかる費用は、家庭裁判所に納める収入印紙800円と連絡用の郵便切手、そして戸籍などの必要書類を取り寄せる手数料が中心です。金額そのものは決して大きくありませんので、費用を理由に相続放棄をためらう必要はほとんどありません。まずはこの点を押さえていただければ、判断がぐっと楽になります。

一方で、実際に相談を受けていて多いのが「自分でやるべきか、司法書士や弁護士に頼むべきか」という迷いです。手続き自体の実費は数千円で収まるのに、専門家に依頼すると報酬が上乗せされるため、その差額に見合う価値があるのか判断しづらいのだと思います。相続人の人数や、亡くなった方との関係によって集める戸籍の量が変わることも、費用が見通しにくい原因になっています。

この記事では、相続放棄の費用を家庭裁判所に納める分と書類の取得費に分けて整理し、自分で手続きする場合の実費の目安と、専門家に依頼する場合の考え方をお伝えします。あわせて、相続放棄をしても相続税の計算に残る影響についても触れます。ご自身の状況に当てはめながら読み進めていただければ幸いです。

相続放棄の費用の全体像

相続放棄は、家庭裁判所に「相続の放棄の申述」という手続きを行うことで成立します。ここでかかるお金は、裁判所に納める費用と、申述に添える書類をそろえるための手数料の二つに分かれます。まずはこの二本立てで考えると、全体像がつかみやすくなります。

家庭裁判所に納める費用

家庭裁判所に納めるのは、収入印紙と連絡用の郵便切手です。収入印紙は申述する相続人1人につき800円分と決まっており、全国どこの家庭裁判所でも変わりません。連絡用の郵便切手は裁判所ごとに必要な額や組み合わせが異なりますので、申述先の家庭裁判所に確認していただく必要があります。裁判所 相続の放棄の申述

収入印紙 申述する相続人1人につき800円分
連絡用の郵便切手 申述先の家庭裁判所が定める額

連絡用の郵便切手は、裁判所から届く照会書などのやり取りに使われるものです。必要な金額と切手の内訳まで細かく指定している裁判所もありますので、申述書を提出する前に電話やウェブサイトで確かめておくと、書類の差し戻しを避けられます。

書類の取得にかかる手数料

相続放棄の申述には、亡くなった方と申述人の関係を示す戸籍などを添える必要があります。戸籍の交付手数料には国が定める標準額があり、戸籍謄本や戸籍証明書は1通につき450円、すでに除かれた戸籍の謄本や除籍証明書は1通につき750円とされています。e-Gov法令検索 地方公共団体の手数料の標準に関する政令

戸籍謄本・戸籍証明書 1通につき450円
除籍謄本・除籍証明書 1通につき750円
住民票の除票 市区町村の条例で定める額

住民票の除票や戸籍の附票は市区町村が条例で手数料を定めているため、金額は自治体によって差があります。また、遠方の役所に郵送で請求する場合は、定額小為替の発行手数料と往復の郵送料が別途かかります。書類を1通ずつ取り寄せると小為替の手数料がかさみますので、必要な通数をまとめて請求するほうが結果的に安く済みます。

相続人の人数による費用の増減

収入印紙は申述する人ごとに必要ですので、同じ家庭から複数人が相続放棄をする場合は人数分だけ金額が増えます。一方で、亡くなった方の戸籍のように共通して使える書類は、一度取得すれば同時に申述する全員分で使い回せることが多く、人数が増えても比例して膨らむわけではありません。

収入印紙800円 × 申述する相続人の人数 + 連絡用の郵便切手 = 家庭裁判所に納める費用

例えば、お子さん3人がそろって相続放棄をする場合、収入印紙は800円 × 3人で2,400円になります。これに郵便切手と戸籍の取得費を加えても、全体で1万円前後に収まるケースがほとんどです。費用面だけを見れば、相続放棄は決して高額な手続きではありません。

相続放棄の手続きの流れと必要書類

費用を正しく見積もるには、どの書類がどれだけ必要になるかを知っておくことが近道です。相続放棄は書類をそろえて提出すれば終わりというわけではなく、提出後に家庭裁判所とのやり取りが続きます。ここでは申述先から回答までの流れを順に確認していきます。

申述先と申述期間

相続放棄の申述は、亡くなった方の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に対して行います。ご自身の住所地の裁判所ではありませんので、遠方にお住まいの場合は郵送で提出することになり、その分の郵送料も見込んでおくと安心です。

申述の期限は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内と定められています。この3か月は「熟慮期間」と呼ばれ、相続財産を調べて判断するための期間です。e-Gov法令検索 民法第915条

期限が迫っているかどうかで、自分で進めるか専門家に頼むかの判断は大きく変わります。残り期間が1か月を切っている場合は、戸籍集めに時間を取られて間に合わなくなる恐れがありますので、早い段階で相談先を確保しておくことをおすすめします。

必要書類の範囲

共通して必要になるのは、相続放棄の申述書、亡くなった方の住民票除票または戸籍附票、そして申述する方の戸籍謄本です。これに加えて、申述する方が相続人であることを示すための戸籍が求められます。

この追加の戸籍が、費用に最も影響する部分です。お子さんが申述する場合は亡くなった方の死亡の記載がある戸籍だけで足りることが多いのですが、兄弟姉妹が申述する場合は、亡くなった方の出生から死亡までの連続した戸籍に加えて、親世代の死亡が分かる戸籍まで必要になります。通数が10通を超えることも珍しくなく、除籍謄本が中心になるため手数料も上がります。

亡くなった方に借金がありそうで判断に迷う場合は、まず負債の全体像を確認してから申述するかどうかを決める流れが安全です。

関連コラム相続で親の借金の調べ方|負債の確認と相続放棄の期限

申述後の照会書への回答

申述書を提出すると、家庭裁判所から照会書という書面が郵送で届きます。相続の開始を知った時期や、申述が本人の意思によるものかなどを確認する内容で、これに回答して返送すると、問題がなければ相続放棄申述受理通知書が送られてきます。

照会書のやり取りにかかる郵送費は、あらかじめ納めた連絡用の郵便切手でまかなわれますので、追加の出費は基本的に発生しません。ただし回答の内容によっては、亡くなった方の財産を処分していないかなど、追加の説明を求められることがあります。この段階での説明が十分でないと申述が受理されない可能性もありますので、記載には慎重さが求められます。

自分で手続きする場合と専門家に依頼する場合の費用差

ここまで見てきたとおり、自分で手続きをすれば実費だけで完結します。それでも専門家に依頼する方が一定数いるのは、書類集めの手間と、受理されなかった場合の取り返しのつかなさを避けたいからです。両者の違いを費用の観点から整理します。

収入印紙800円 + 連絡用の郵便切手 + 戸籍などの取得手数料 = 自分で手続きする場合の実費
自分で手続きする場合 専門家に依頼する場合
収入印紙と郵便切手の実費のみ 実費に加えて報酬が必要
戸籍の収集を自分で行う 戸籍の収集を任せられる
申述書の記載や照会書の回答を自分で判断 書類の作成や記載内容の助言を受けられる

司法書士に依頼できる範囲

司法書士は、裁判所または検察庁に提出する書類の作成を業務として行うことができます。相続放棄の場面では、申述書の作成や戸籍の収集を任せられるということです。日本司法書士会連合会 司法書士の業務

ただし、書類作成の代理と、申述人としての立場そのものを代わることは別の話です。照会書は申述した本人宛てに届きますので、回答はご自身で行う必要があります。この点を理解しておくと、依頼後に「思ったより自分でやることが残った」と感じずに済みます。

弁護士に依頼する場合の位置づけ

弁護士に依頼する場面は、単なる書類作成にとどまらない事情があるときです。債権者から返済を求められて対応が必要な場合や、他の相続人と意見が食い違っている場合、熟慮期間の3か月をすでに過ぎていて事情の説明が必要な場合などが典型です。

逆に言えば、期限内で、相続人の間に争いがなく、集める戸籍も少ないという条件がそろっているなら、弁護士に依頼する必要性は高くありません。ご自身の状況がどちらに近いかを見極めることが、費用を抑える第一歩になります。

報酬の確認方法

司法書士や弁護士の報酬は自由化されており、事務所ごとに料金体系が異なります。公的機関が定める一律の基準はありませんので、相場としての金額を鵜呑みにせず、依頼前に見積もりを取ることが大切です。

確認しておきたいのは、報酬に戸籍の収集が含まれるか、相続人が複数の場合は人数ごとの加算があるか、実費は別途請求されるか、期限が迫っている案件で追加料金が生じるか、という点です。これらを最初に聞いておけば、後から想定外の請求が届くことを防げます。

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追加の費用が発生するケース

標準的な相続放棄であれば実費は限られますが、状況によっては手続きが増え、その分の費用が上乗せされます。ここでは実務でよくある三つのケースを取り上げます。

熟慮期間の伸長の申立て

相続財産を調べても判断がつかない場合、家庭裁判所に申し立てることで3か月の熟慮期間を延ばしてもらえます。この申立てに必要な費用は相続人1人につき収入印紙800円分と連絡用の郵便切手で、相続放棄の申述と同じ水準です。申立先も同じく、亡くなった方の最後の住所地の家庭裁判所です。裁判所 相続の承認又は放棄の期間の伸長

注意していただきたいのは、この申立ても3か月以内に行う必要があるという点です。期間が過ぎてから延ばしてほしいと申し出ることはできませんので、財産の調査が長引きそうだと分かった時点で早めに動くことが求められます。

相続放棄申述受理証明書の交付

相続放棄が受理されると通知書が届きますが、金融機関や他の相続人に対して放棄を証明する必要がある場面では、別途「相続放棄申述受理証明書」を家庭裁判所に請求します。事件に関する事項を証明した書面の交付手数料は1件につき150円と定められています。e-Gov法令検索 民事訴訟費用等に関する法律

必要な通数が複数になれば、その分だけ手数料が増えます。郵送で請求する場合は返信用の切手も必要ですので、どこに何通提出するかを整理してから、まとめて請求すると無駄がありません。

限定承認を選ぶ場合の費用

プラスの財産の範囲内で借金を引き継ぐ限定承認という選択肢もありますが、こちらは相続人全員が共同で申述する必要があり、手続きも相続放棄より複雑です。財産の清算手続きが伴うため、実費だけでなく専門家に依頼する費用も相続放棄より大きくなりやすい点は知っておいてください。

関連コラム限定承認とは|単純承認・相続放棄との違いと手続きの流れ

相続放棄と相続税の関係

相続放棄は費用の話で完結するものではなく、他の相続人の相続税にも影響します。放棄した本人には税負担が生じなくても、家族全体で見ると税額が変わる場合がありますので、費用と一緒に確認しておきたい部分です。

基礎控除の法定相続人の数への影響

相続税の基礎控除額は、法定相続人の数によって決まります。ここでいう法定相続人の数は、相続の放棄をした人がいても、その放棄がなかったものとした場合の相続人の数を指します。国税庁 No.4152 相続税の計算

3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数 = 遺産に係る基礎控除額

つまり、誰かが相続放棄をしても基礎控除額は減りません。放棄によって他の相続人の税負担が急に重くなるのではないか、と心配される方がいらっしゃいますが、基礎控除の枠に関してはその心配は不要です。

死亡保険金の非課税限度額の取扱い

死亡保険金には非課税限度額が設けられていますが、この非課税の適用を受けられるのは相続人に限られ、相続を放棄した人は含まれません。放棄した方が受取人として保険金を受け取った場合、その保険金は相続税の課税対象となり、非課税の枠は使えないという扱いになります。国税庁 No.4114 相続税の課税対象になる死亡保険金

500万円 × 法定相続人の数 = 非課税限度額

この計算式の法定相続人の数には放棄した人も含めて数えますが、非課税の恩恵を受けられるのは放棄していない相続人だけです。生命保険金の受取人になっている方が相続放棄を検討している場合は、手続きの費用よりも税額への影響のほうが大きくなることがありますので、事前の確認が欠かせません。

期限管理の重要性

相続放棄の3か月という期限は、相続手続き全体の中でも早い段階に訪れます。相続税の申告期限が10か月であるのに対し、放棄の判断はその3分の1以下の時間で下さなければなりません。ほかにも準確定申告など期限のある手続きが並行して進みますので、全体像を早めに把握しておくことが安心につながります。

関連コラム相続手続きの期限一覧|死亡後にやること全体像を税理士が解説

まとめ

相続放棄の費用は、家庭裁判所に納める収入印紙800円と連絡用の郵便切手、そして戸籍などの取得手数料が中心で、自分で手続きをすれば全体で1万円前後に収まることが多い手続きです。費用の多寡が判断を左右する場面は限られますので、金額よりも3か月という期限を守れるかどうかを優先して考えていただくとよいと思います。

専門家に依頼するかどうかは、集める戸籍の量、期限までの残り時間、他の相続人や債権者との関係という三つの観点で決まります。兄弟姉妹が申述する場合や期限が迫っている場合は、報酬を払ってでも確実に受理される道を選ぶ価値があります。報酬額は事務所ごとに異なりますので、依頼前の見積もりで範囲と加算条件を確かめてください。

また、相続放棄をしても基礎控除の法定相続人の数は減らない一方、死亡保険金の非課税限度額は使えなくなります。手続きの費用だけで判断すると、税額の面で不利になることがあります。本記事の内容は一般的な取扱いを示したものであり、個別の事情によって結論は変わります。具体的なケースは税理士へのご相談をおすすめします。

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参考文献

相続放棄の費用のよくある質問まとめ

Q.相続放棄の費用は自分で手続きするといくらになりますか。

A.家庭裁判所に納める収入印紙が申述する相続人1人につき800円分、これに連絡用の郵便切手と戸籍などの取得手数料が加わります。戸籍謄本は1通450円、除籍謄本は1通750円が標準額とされており、必要通数によりますが全体で1万円前後に収まることが多い手続きです。

Q.相続人が複数いる場合、費用は人数分かかりますか。

A.収入印紙は申述する人ごとに800円分が必要ですので、人数分だけ増えます。一方で亡くなった方の戸籍など共通して使える書類は、同時に申述すれば一度の取得で足りることが多く、費用は人数に単純比例するわけではありません。

Q.相続放棄の費用はどのタイミングで支払いますか。

A.収入印紙と連絡用の郵便切手は、申述書を家庭裁判所に提出する際に一緒に納めます。戸籍などの取得手数料は、市区町村の窓口で請求するときに支払います。郵送で請求する場合は定額小為替を同封する方法が一般的です。

Q.司法書士に依頼すると何を任せられますか。

A.司法書士は裁判所に提出する書類の作成を業務として行えますので、申述書の作成や戸籍の収集を任せられます。ただし家庭裁判所から届く照会書は申述した本人宛てに送られますので、回答自体はご自身で行う必要があります。

Q.3か月を過ぎてしまった場合も相続放棄はできますか。

A.熟慮期間は自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内と定められています。期間内に判断できない事情があるときは、その3か月以内に家庭裁判所へ期間の伸長を申し立てる方法があり、費用は相続人1人につき収入印紙800円分と郵便切手です。期間経過後の対応は事情の説明が必要になりますので、専門家への相談をご検討ください。

Q.相続放棄をすると相続税の基礎控除は減りますか。

A.減りません。基礎控除額の計算に用いる法定相続人の数は、相続の放棄をした人がいても、その放棄がなかったものとした場合の相続人の数で数えます。ただし死亡保険金の非課税限度額は放棄した人には適用されませんので、その点は別に確認が必要です。

事務所概要
社名
税理士法人プライムパートナーズ
住所
〒107-0052
東京都港区赤坂5丁目2−33
IsaI AkasakA 17階
対応責任者
税理士 島本 雅史

本記事は正確な情報提供を心掛けておりますが、執筆時点の情報に基づいているため、法改正や人的ミス、個別のケースにより適用が異なる可能性があります。最新の情報や具体的なご相談については、お気軽に弊法人の税理士までお問い合わせください。

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