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相続税申告をオンラインで税理士に依頼|流れと選び方の基準

2026-08-31
目次

相続税の申告をオンラインで税理士に依頼することは、現在では珍しい選択ではありません。遠方の実家で相続が起きた、仕事が忙しく平日に事務所へ行けない、体調の都合で外出が難しい、といった事情を抱える方は多いはずです。ご自宅から一度も出ずに申告まで進められるのか、不安に感じる方もいらっしゃると思います。

結論から申し上げますと、相続税の申告はオンラインでほぼ完結できます。国税庁も相続税の電子申告を推進しており、面談から資料の受け渡し、申告書の提出まで、インターネットを通じて進める体制が整っています。ただし、すべてが画面越しで済むわけではなく、対面や現地確認が望ましい場面も残ります。

この記事では、オンラインで相続税申告を依頼する際の流れ、できることと対面が必要なこと、必要書類の受け渡し方法、税理士の選び方の基準、費用の考え方、注意点までを実務の視点から整理します。

オンラインでの相続税申告依頼の全体像

オンライン対応とは、単にビデオ会議で相談ができるという意味にとどまりません。相談・契約・資料の受け渡し・申告書の確認・税務署への提出という一連の工程を、非対面で回す体制を指します。

遠方・多忙な相続人の依頼手段

相続税の申告書は、被相続人の納税地を所轄する税務署に提出します国税庁 B1-2 相続税の申告手続。つまり、実家が地方にあれば申告先も地方の税務署になります。ここで「地元の税理士を探さなければならない」と考える方が多いのですが、税理士は全国どこの税務署にも申告書を提出できます。

実務では、東京在住の相続人が九州の実家の相続を進めるようなケースが日常的にあります。相続人が全国に散らばっている場合も、オンラインなら全員が同じ画面に集まって説明を聞けるため、かえって話が早く進むことも少なくありません。

e-Taxによる電子申告への対応

相続税の申告書はe-Taxによる電子申告に対応しており、e-Taxが利用できない場合に書面や郵送で提出する、という位置づけになっています国税庁 相続税e-Tax特設サイト。税理士が代理送信すれば、相続人がマイナンバーカードで電子署名を行う手間も省けます。

電子申告の詳細は次の記事でも解説しています。

関連コラム相続税申告はe-Taxでできる?メリット・デメリットとやり方を解説

依頼から申告完了までの流れ

オンラインで依頼する場合も、進み方の骨格は対面と変わりません。違いは、対面での打ち合わせがビデオ会議に、書類の手渡しが郵送やデータ送信に置き換わる点です。

初回相談から契約までの手順

初回相談では、被相続人の死亡日、相続人の人数と続柄、財産のおおよその内訳をお伝えいただきます。この段階で申告の要否と概算の報酬が示されます。相続税の申告と納税が必要になるのは、取得した財産の合計額が基礎控除額を超える場合です国税庁 No.4205 相続税の申告と納税

基礎控除額は次の式で計算します国税庁 No.4152 相続税の計算

基礎控除額 = 3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数

法定相続人が3人であれば4,800万円となり、遺産の合計がこの金額以下であれば申告は不要です。契約書は電子契約サービスで取り交わす事務所が増えており、押印のために来所する必要はありません。

資料収集から申告書提出までの工程

契約後は、税理士から資料の依頼リストが届きます。相続人はそれに沿って戸籍謄本や残高証明書を集め、郵送またはデータで渡します。税理士側で財産評価と税額計算を行い、申告書案をデータで共有し、ビデオ会議で内容を説明したうえで、e-Taxにより提出します。

申告期限は相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内です。この期限内に申告と納税の両方を終える必要があります。実務では、資料が揃うまでに2か月から3か月かかることが多いため、逆算すると相談は早いほど安全です。

オンラインで完結する範囲と対面が必要な場面

「本当に一度も会わずに終わるのか」という点は、多くの方が気にされます。正直に申し上げると、大半は完結しますが、例外もあります。

オンラインで完結する業務

初回相談、財産のヒアリング、遺産分割の方針相談、申告書内容の説明、納付書の案内、税務署への提出は、いずれも非対面で問題なく進みます。上場株式や預貯金、生命保険金が中心の相続であれば、最初から最後までオンラインで終わることがほとんどです。

遺産分割協議書についても、内容の作成はオンラインで進められます。ただし相続人全員の実印と印鑑証明書が必要になるため、書面の回覧そのものは郵送で行うのが一般的です国税庁 No.4202 相続税の申告のために必要な準備

対面や現地確認が望ましい場面

実務で対面や現地確認を検討するのは、主に不動産が絡む場合です。土地の評価は、間口や奥行き、道路との接し方、傾斜、周囲の状況によって評価額が大きく動きます。書類だけでは判断しきれない要素があるため、評価額の圧縮余地を探る目的で税理士が現地に足を運ぶことがあります。

また、相続人同士の意見が対立している場合や、名義預金の有無など慎重な聞き取りが必要な場合も、対面のほうが話が進みやすい傾向があります。この場合も、相続人が事務所へ出向くのではなく、税理士が現地へ向かう形が取られることが多く、相続人の負担は増えません。

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必要書類の受け渡し方法

オンライン依頼で最も具体的な不安が生じるのは、書類のやりとりです。「原本はどうするのか」「重要書類を郵送して大丈夫か」といった疑問にお答えします。

相続税申告に必要な主な書類

相続税の申告では、被相続人と相続人の本籍地から取り寄せた戸籍謄本で相続人を確認し、遺産と債務の目録を作成し、葬式費用の領収書を確認し、遺言がない場合は相続人全員で遺産分割協議書を作成する、という準備が必要です。

このほか、不動産の登記事項証明書と固定資産税の課税明細書、金融機関の残高証明書、証券会社の取引残高報告書、生命保険金の支払通知書などを集めていきます。

郵送・クラウド・電子データの使い分け

実務では、書類の性質に応じて受け渡し方法を分けています。目安は次のとおりです。

戸籍謄本・
印鑑証明書
原本の確認が必要なため郵送。先にスキャン画像を送って作業を先行させます
残高証明書・
評価証明書
原本は郵送、内容確認はPDFデータで先行。金融機関から直接取り寄せる形も可能です
通帳・請求書・
領収書
スマートフォンで撮影した画像やPDFで送付。原本の提出は不要です
申告書の確認 PDFデータで共有し画面越しに説明。電子申告のため押印は不要です

データの送付には、パスワード付きのクラウドストレージや専用のセキュアなアップロード画面を用意している事務所が安心です。メール添付だけで運用している場合は、送信先の取り違えなどの事故が起きやすいため、確認しておくとよいと思います。

オンライン対応税理士の選び方の基準

オンライン対応をうたう事務所は増えましたが、体制の充実度には差があります。判断の軸を持っておくと、比較がしやすくなります。

相続税申告の実績と体制の確認

まず確認したいのは、相続税申告の年間件数です。相続税は税理士全体で見ると扱う機会が限られる税目で、法人税や所得税を主戦場とする事務所では、経験の蓄積に差が出ます。年間の申告件数や、担当者が相続専任かどうかを尋ねてみてください。

次に、書面添付制度への対応、税務調査の対応実績、二次相続まで見据えた提案の有無を確認します。オンライン面での確認事項としては、ビデオ会議の実施頻度、資料共有の仕組み、質問への返信スピード、担当者が固定されるかどうかが挙げられます。

自分で申告するか税理士に依頼するかを迷っている段階の方は、次の記事も参考になります。

関連コラム相続税申告は自分でできる?判断基準と手順・税理士との分岐点

費用相場と見積りの読み方

相続税申告の税理士報酬は、遺産総額に応じた基本報酬に、加算報酬を上乗せする形が一般的です。加算の対象になりやすいのは、土地の評価が必要な区画数、非上場株式の評価、相続人の人数、書面添付や申告期限までの残り期間などです。

オンライン対応だから安くなる、という単純な関係にはなりません。ただし、移動時間が発生しない分、事務所側のコスト構造に反映されている場合はあります。見積りを比較する際は、総額だけでなく加算報酬の条件まで示されているかを確認してください。土地の評価が1区画いくらか、書面添付が別料金かで、最終的な金額は大きく変わります。

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関連コラム相続税の税理士報酬の相場|遺産総額別の目安と加算報酬の内訳を解説

オンライン依頼で注意すべき点

利便性が高い一方で、非対面ならではの注意点もあります。事前に押さえておけば、いずれも回避できるものです。

申告期限と逆算スケジュール

申告期限である10か月は、実際に動き始めると余裕がありません。戸籍の取り寄せに1か月前後、金融機関の残高証明書に2週間から1か月、不動産の資料収集にも時間がかかります。遺産分割協議がまとまらなければ、そこからさらに時間を要します。

オンラインの場合、郵送のやりとりが1往復増えるだけで1週間が過ぎます。実務では、申告期限の3か月前には資料が揃っている状態を目標に逆算します。相続開始から4か月以上が経過している方は、早めに相談されることをおすすめします。

情報管理と本人確認

相続税の申告では、財産情報やマイナンバーといった機微な情報を扱います。依頼先を選ぶ際は、データの保管方法、通信の暗号化、退職者のアクセス権管理などについて、説明を求めて構いません。真っ当な事務所であれば、明確に回答が返ってきます。

また、非対面での契約では本人確認の手続きが必要です。運転免許証やマイナンバーカードの画像送付を求められますが、これは税理士側の義務に基づくもので、正当な手続きです。逆に、本人確認を一切求めない事務所は、実務の管理体制を疑ったほうがよいと考えます。

まとめ

相続税の申告は、オンラインでほぼ完結できます。相談から契約、資料の受け渡し、申告書の確認、e-Taxによる提出まで、非対面で進められる体制が整っています。遠方にお住まいの方や、外出が難しい方でも、地元にこだわらず全国の税理士から依頼先を選べます。

一方で、土地の評価が絡む場合や、相続人間の調整が必要な場合には、対面や現地確認が有効な場面が残ります。オンライン対応か対面かという二択ではなく、「基本はオンライン、必要な場面だけ現地」という組み合わせが現実的です。

選ぶ際は、相続税申告の年間件数、担当者の固定、資料共有の仕組み、加算報酬の条件の4点を確認してください。そして何より、申告期限である10か月から逆算し、早い段階で相談することが最も確実な備えになります。

本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の税務判断を保証するものではありません。具体的なケースは税理士へのご相談をおすすめします。

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参考文献

税理士へのオンライン相続相談のよくある質問まとめ

Q. 相続税の申告を一度も来所せずにオンラインだけで依頼できますか。

A. 預貯金や上場株式が中心の相続であれば、初回相談から申告書の提出まで来所せずに完結できます。土地の評価が必要な場合は、税理士が現地を確認することがありますが、その場合も相続人が事務所へ出向く必要はありません。

Q. 遠方の税務署へ提出する場合でも近くの税理士に依頼できますか。

A. 依頼できます。相続税の申告書は被相続人の納税地を所轄する税務署に提出しますが、税理士は全国どこの税務署にも提出できます。e-Taxによる電子申告であれば郵送の手間もかかりません。

Q. 戸籍謄本などの原本はどのように渡せばよいですか。

A. 原本は郵送で渡すのが一般的です。ただし作業を止めないため、先にスキャン画像やスマートフォンの撮影データを送っておき、原本は後日まとめて郵送する進め方が実務では多く採られています。

Q. オンラインで依頼すると税理士報酬は安くなりますか。

A. 必ずしも安くなるとは限りません。報酬は遺産総額に応じた基本報酬と、土地の区画数や非上場株式の評価などの加算報酬で決まります。見積りを比較する際は総額だけでなく加算報酬の条件まで確認してください。

Q. 相続税の申告期限はいつまでですか。

A. 相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内です。この期限内に申告と納税の両方を終える必要があります。資料収集に2か月から3か月かかることが多いため、早めの相談をおすすめします。

Q. オンライン相談で個人情報の管理は安全ですか。

A. 事務所によって体制に差があります。パスワード付きのクラウドストレージや専用のアップロード画面を用意しているか、通信が暗号化されているかを確認してください。契約時に本人確認書類の提出を求められるのは正当な手続きです。

事務所概要
社名
税理士法人プライムパートナーズ
住所
〒107-0052
東京都港区赤坂5丁目2−33
IsaI AkasakA 17階
対応責任者
税理士 島本 雅史

本記事は正確な情報提供を心掛けておりますが、執筆時点の情報に基づいているため、法改正や人的ミス、個別のケースにより適用が異なる可能性があります。最新の情報や具体的なご相談については、お気軽に弊法人の税理士までお問い合わせください。

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