親から受け継いだゴルフ会員権が相続税の対象になるのか、どのように金額を評価すればよいのか、判断に迷われる方は少なくありません。ゴルフ会員権は種類によって評価の考え方が大きく変わるため、正しい区分を知らないまま申告してしまうと、思わぬ過大申告や申告漏れにつながることもあります。
この記事では、ゴルフ会員権の相続税評価について、取引相場のある会員権と取引相場のない会員権の評価方法、預託金の扱い、名義変更や売却時の税金までを、国税庁の基準にもとづいてやさしく整理します。まずは全体像を押さえたうえで、ご自身のケースにあてはめて確認していきましょう。
ゴルフ会員権の相続税における位置づけ
ゴルフ会員権は、預貯金や不動産と同じく金銭的な価値をもつ財産です。そのため、被相続人が所有していたゴルフ会員権は原則として相続財産に含まれ、相続税の課税対象となります。まずは相続財産としての基本的な取り扱いから確認します。
相続財産としての取り扱い
ゴルフ会員権も相続財産の一つですので、遺産分割の対象となり、相続税の計算に取り込む必要があります。評価は、被相続人が亡くなった日である課税時期を基準に行います。相続税の申告は、相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内に行うこととされていますので、評価の検討は早めに始めておくと安心です。国税庁 No.4205 相続税の申告と納税
取引相場の有無による評価区分
ゴルフ会員権の評価方法は、その会員権に取引相場があるかどうかで大きく分かれます。売買が活発に行われ市場価格が把握できる会員権は取引相場のある会員権として、そうでない会員権は取引相場のない会員権として、それぞれ異なる方法で評価します。国税庁 No.4647 ゴルフ会員権の評価
取引相場のある会員権の評価
ゴルフ会員権市場で売買され、通常の取引価格が把握できる会員権は、その取引価格を基準に評価します。市場価格そのものではなく、一定の割合を用いる点が特徴です。
取引価格の70パーセント評価
取引相場のある会員権は、課税時期における通常の取引価格の70パーセントに相当する金額で評価します。市場で成立している価格をそのまま用いるのではなく、7割に引き下げた金額を評価額とする点が、上場株式などとは異なる特徴です。国税庁 No.4647 ゴルフ会員権の評価
たとえば、課税時期における通常の取引価格が300万円のゴルフ会員権であれば、次のように計算します。ここでの300万円は、あくまで取引価格の一例です。
市場価格の考え方が近い財産として、上場株式の相続税評価もあわせて確認しておくと、評価の全体像をつかみやすくなります。
関連コラム上場株式の相続税評価|4つの価額で最も低い株価を選ぶ方法▸
取引価格に含まれない預託金の加算
取引価格に含まれていない預託金等がある場合には、その預託金等の額を上記の70パーセント評価額に加算します。会員権を承継すると預託金を返還してもらえる権利も引き継ぐため、その分の価値を評価額に反映させる考え方です。国税庁 No.4647 ゴルフ会員権の評価
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取引相場のない会員権の評価
市場での売買が行われず取引価格が把握できない会員権は、会員となるための条件に応じて評価方法が分かれます。株式の保有が条件となるもの、預託金が条件となるもの、その両方が必要なものなど、会員権の仕組みによって扱いが変わります。国税庁 No.4647 ゴルフ会員権の評価
株式のみで会員となる会員権
株式を所有することで会員となる会員権は、その会員権に係る株式について、財産評価基本通達の定めにより評価した課税時期における株式の価額に相当する金額で評価します。会員権の価値を、実質的にその裏づけとなる株式の価値としてとらえる考え方です。国税庁 No.4647 ゴルフ会員権の評価この株式評価の具体的な進め方は、非上場株式の相続税評価方法もあわせて参考になります。
株式と預託金の両方が必要な会員権
株式の所有に加えて預託金等の預託が会員となる条件となっている会員権は、株式部分の価額と預託金部分の価額をそれぞれ評価し、これらを合計した金額で評価します。株式の価額は前述の方法で、預託金は後述する方法で評価します。国税庁 No.4647 ゴルフ会員権の評価
預託金等のみの会員権
預託金等を預託することで会員となる会員権は、預託金部分の価額により評価します。株式の保有を伴わないため、返還を受けられる預託金等の価値が評価の中心となります。国税庁 No.4647 ゴルフ会員権の評価
評価の対象とならない会員権
株式の所有を必要とせず、譲渡もできず、返還を受けられる預託金等もないような会員権で、施設を利用してプレーができるだけのものは、評価の対象となりません。単なる利用権としての性格が強く、財産的な価値がないと考えられるためです。国税庁 No.4647 ゴルフ会員権の評価
預託金の評価方法
取引相場のない会員権の評価や、取引価格に含まれない預託金の加算では、預託金そのものを評価する場面が出てきます。預託金は、返還を受けられる時期によって評価の考え方が変わります。
直ちに返還を受けられる預託金
課税時期において直ちに返還を受けることができる預託金等は、ゴルフクラブの規約などにもとづいて課税時期において返還を受けることができる金額により評価します。すぐに戻ってくる金額であれば、その金額をそのまま評価額とする考え方です。国税庁 No.4647 ゴルフ会員権の評価
据置期間のある預託金の複利現価評価
一定の据置期間を経てからでないと返還を受けられない預託金等は、課税時期からその返還を受けることができる日までの期間に応じ、返還を受けられる金額を基準年利率による複利現価の額により評価します。すぐには戻らない預託金は、将来受け取る金額を現在の価値に引き直して評価する仕組みです。国税庁 No.4647 ゴルフ会員権の評価
名義変更と売却時の税務
相続でゴルフ会員権を引き継いだあとは、名義変更の手続きや、その後に売却した場合の税金も気になるところです。評価とあわせて確認しておきましょう。
名義変更手続きの位置づけ
相続したゴルフ会員権を引き続き利用したり売却したりするには、ゴルフクラブでの名義変更手続きが必要になるのが一般的です。手続きの要否や条件はクラブの規約によって異なりますので、まずは会員規約や運営会社への確認から進めるとよいでしょう。なお、相続税の評価額は前述した会員権の区分に応じた方法で算定します。
売却した場合の譲渡所得課税
ゴルフ会員権を売却して利益が出た場合、その利益は総合課税の譲渡所得として課税されます。所有期間が5年を超える長期の場合は、譲渡所得の金額に2分の1を乗じた金額が課税対象となり、譲渡益からは特別控除として最高50万円を差し引くことができます。国税庁 No.3158 ゴルフ会員権の譲渡による所得
また、相続で取得したゴルフ会員権を一定の期間内に売却した場合には、納めた相続税額の一部を売却時の取得費に加算できる特例を利用できることがあります。詳しくは取得費加算の特例を確認してみてください。適用の可否は個別の事情によりますので、具体的なケースは税理士へのご相談をおすすめします。
関連コラム取得費加算の特例|相続した不動産売却の要件と計算▸
まとめ
ゴルフ会員権の相続税評価は、取引相場の有無によって計算方法が分かれます。取引相場のある会員権は通常の取引価格の70パーセントで評価し、取引価格に含まれない預託金があればその額を加算します。取引相場のない会員権は、株式のみ、株式と預託金の両方、預託金等のみといった会員となる条件に応じて評価し、プレーができるだけの会員権は評価の対象となりません。
預託金は返還時期に応じて評価が変わり、名義変更や売却時の譲渡所得課税もあわせて押さえておくことが大切です。会員権の種類の判定や株式評価には専門的な知識が必要な場面も多いため、判断に迷う場合は税理士へのご相談をおすすめします。
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ゴルフ会員権の相続税評価のよくある質問まとめ
Q.ゴルフ会員権は相続税の課税対象になりますか
A.ゴルフ会員権は金銭的な価値をもつ財産であり、原則として相続財産に含まれ相続税の課税対象となります。ただし、株式の所有を必要とせず譲渡もできず返還を受けられる預託金等もないような、プレーができるだけの会員権は評価の対象となりません。
Q.取引相場のあるゴルフ会員権はどのように評価しますか
A.課税時期における通常の取引価格の70パーセントに相当する金額で評価します。取引価格に含まれていない預託金等がある場合には、その預託金等の額を加算します。
Q.取引相場のないゴルフ会員権の評価方法を教えてください
A.会員となる条件によって分かれます。株式のみで会員となる場合は財産評価基本通達により評価した株式の価額で、株式と預託金の両方が必要な場合は株式の価額と預託金の価額を合計した金額で、預託金等のみの場合は預託金部分の価額で評価します。
Q.預託金はどのように評価しますか
A.課税時期において直ちに返還を受けられる預託金等は、規約などにもとづいて課税時期において返還を受けられる金額で評価します。据置期間があり直ちに返還を受けられない場合は、返還を受けられる日までの期間に応じ、基準年利率による複利現価の額で評価します。
Q.相続したゴルフ会員権を売却したときの税金はどうなりますか
A.売却して利益が出た場合、その利益は総合課税の譲渡所得として課税されます。所有期間が5年を超える長期の場合は譲渡所得の金額の2分の1が課税対象となり、譲渡益からは最高50万円の特別控除を差し引くことができます。
Q.相続したゴルフ会員権の売却で使える特例はありますか
A.相続で取得したゴルフ会員権を一定の期間内に売却した場合には、納めた相続税額の一部を取得費に加算できる取得費加算の特例を利用できることがあります。適用の可否は個別の事情によるため、税理士への確認をおすすめします。