更正の請求書を提出したあと、「還付金はいつ振り込まれるのか」「思ったより遅いが手続きは進んでいるのか」と気になる方は多いのではないでしょうか。本記事は、更正の請求や還付申告をすでに提出し、還付金の入金を待っている事業者・経営者・経理担当者の方に向けて、還付までの期間の目安、審査の流れ、還付加算金の取扱い、遅い場合の確認方法を整理したものです。
結論として、通常の還付申告であれば、e-Taxで提出したものは3週間程度、2月から3月の確定申告期間中の申告はおおむね1か月から1か月半程度が目安です。一方、更正の請求は税務署長が内容を調査したうえで減額更正を行う手続きであるため、通常の還付申告より時間がかかる点を前提に考える必要があります。
なお、更正の請求そのものの書き方や必要書類、制度の概要は別記事で詳しく扱っています。本記事は「還付までの時期」に絞って解説します。
還付までの期間の目安
まず押さえておきたいのは、国税庁が公表している還付金の支払手続に要する期間です。国税庁は、還付金について速やかに支払手続を行うよう努めているとしつつ、申告書の記載内容や添付書類等の審査など、支払手続を適正に行うための処理が必要であることから、その支払手続にはある程度の日数が必要になると案内しています。国税庁 【税金の還付】
還付申告の場合の目安
通常の還付申告については、国税庁が具体的な目安を示しています。自宅や税理士事務所等からe-Tax(電子申告)で提出された還付申告は3週間程度で処理されます。ただし、訂正申告など同一人について複数回の申告がある場合、書類不備がある場合、書面による別送書類の提出がある場合には、e-Taxで提出していても3週間程度での還付処理の対象外となります。
| e-Taxで提出した還付申告 | 3週間程度で処理(訂正申告・書類不備・別送書類がある場合は対象外) |
|---|---|
| 2月・3月の確定申告期間中の申告 | 還付金の支払手続におおむね1か月から1か月半程度の期間を要する |
還付申告書は、確定申告期間とは関係なく、その年の翌年1月1日から5年間提出することができます。国税庁 No.2030 還付申告実務では、確定申告期を外して早めに提出したほうが、繁忙期の滞留を避けられるため入金が早まる傾向があります。
更正の請求の場合の考え方
更正の請求は、還付申告とは手続きの性質が異なります。更正の請求書が提出されると、税務署ではその内容を調査し、その請求内容が正当と認められたときに減額更正が行われ、納め過ぎた税金が還付されます。国税庁 【申告が間違っていた場合】減額更正の内容は、更正の請求をした方へ通知されます。
国税庁は更正の請求について具体的な処理日数の目安を公表していません。調査という工程が挟まる以上、通常の還付申告よりも時間を要することを前提に資金繰りを組むのが実務上の考え方です。請求の理由が複雑な場合や、根拠資料の追加提出を求められた場合には、さらに期間が延びることがあります。
更正の請求から還付までの流れ
更正の請求から還付金の入金までは、おおむね次の順序で進みます。どの段階で止まっているかを把握できると、待つべきか問い合わせるべきかの判断がしやすくなります。
- 更正請求書と根拠資料を所轄税務署長へ提出する
- 税務署が請求に係る課税標準等または税額等について調査する
- 調査の結果、更正をするか、更正をすべき理由がない旨を請求者へ通知する
- 減額更正が行われた場合、還付金の支払手続が行われる
- 指定した預貯金口座等へ還付金が振り込まれる
この流れは法律にも定められています。税務署長は、更正の請求があった場合には、その請求に係る課税標準等または税額等について調査し、更正をし、または更正をすべき理由がない旨をその請求をした者に通知するとされています。e-Gov法令検索 国税通則法第23条つまり、更正の請求は「出したら自動的に還付される」手続きではなく、税務署の判断を経て初めて還付に至る点が還付申告との決定的な違いです。
なお、更正の請求ができる期間は、原則として法定申告期限から5年以内です。国税庁 No.2026 確定申告を間違えたとき
関連コラム所得税の更正の請求とは|5年の期限と手続きの流れを税理士が解説▸
還付加算金の取扱い
還付が遅くなった場合、待たされた期間に対して還付加算金(還付金に加算される利息に相当する金額)が付されます。還付加算金は、法律で定められた日の翌日から、還付のための支払決定の日または充当の日までの日数に応じて計算されます。
起算日の考え方
更正の請求に基づく更正により納付すべき税額が減少した国税に係る過納金については、その更正の請求があった日の翌日から起算して3か月を経過する日とその更正があった日の翌日から起算して1か月を経過する日のいずれか早い日が基準となり、その翌日から支払決定の日までの期間について還付加算金が計算されます。e-Gov法令検索 国税通則法第58条
この規定は、更正の請求を待つ側にとって重要です。請求から3か月を超えて還付されない場合でも、超過した期間には還付加算金が付く仕組みになっているため、単に放置されて損をし続けるわけではありません。
割合と計算
還付加算金の割合は、原則として年7.3パーセントですが、実際には特例として還付加算金特例基準割合が適用されます。国税庁が公表している割合は次のとおりです。国税庁 延滞税の割合
| 令和7年1月1日から令和7年12月31日 | 年0.9パーセント |
|---|---|
| 令和8年1月1日から令和8年12月31日 | 年1.3パーセント |
計算の考え方は、還付される金額に割合と日数を乗じたものです。
還付加算金は還付金に加算して支払われます。実務では、通帳に入金された金額が申告した還付税額と一致せず端数が増えていることがありますが、その差額が還付加算金であるケースが大半です。入金額と還付税額を突き合わせ、差額を還付加算金として区分して把握しておくと、その後の経理処理で混乱しません。
還付が遅い場合の確認方法
目安の期間を過ぎても入金がない場合、まず自分で処理状況を確認できます。国税庁は、e-Taxソフト(WEB版)にログインし、マイページの「還付・納税関係」から還付金の処理状況を確認する方法を案内しています。書面で還付申告書を提出した場合でも、利用者識別番号を持っていれば処理状況を確認できます。ただし、提出した申告書の内容や利用者識別番号の状態によっては、e-Taxソフト(WEB版)で確認できないことがあります。
画面で確認できない場合や、更正の請求のように処理状況の表示対象外となる手続きについては、所轄税務署へ電話で進捗を確認するのが実務上の最短ルートです。その際、提出日、提出方法、対象年分、氏名または法人名を手元に用意しておくと話が早く進みます。
また、遅延の原因が申告側にあることも少なくありません。実務でよく見られるのは次のようなケースです。
- 還付先として記載した金融機関名・預貯金の種類・口座番号に誤りがある
- 本人名義以外の口座を指定している
- 添付すべき根拠資料が不足しており、追加提出を求められている
- 同一年分について複数回の申告を行っており、処理の順序待ちになっている
還付金の受取には、預貯金口座への振込みによる方法と、最寄りのゆうちょ銀行各店舗または郵便局に出向いて受け取る方法があります。口座振込を指定する場合は、確定申告書の「還付される税金の受取場所」欄に、申告者本人名義の口座情報を正確に記載する必要があります。
関連コラム更正の請求の添付書類|ケース別の必要書類と提出方法を税理士が解説▸
還付を早めるための実務上の留意点
還付までの期間は税務署の処理に委ねられますが、提出側の準備で短縮できる部分もあります。実務では、更正の請求の理由と根拠資料を最初の提出時点で過不足なく揃えることが、追加照会による往復を減らす最大の要因になります。
更正の請求をしようとする者は、更正後の課税標準等または税額等、更正の請求をする理由、その請求をするに至った事情の詳細、更正前の納付すべき税額および還付金の額に相当する税額その他参考となるべき事項を記載した更正請求書を税務署長に提出しなければならないとされています。事情の詳細まで求められている以上、「なぜ当初申告が誤っていたのか」を第三者が読んで理解できる水準で説明することが求められます。
また、還付先口座の記載ミスは、それだけで数週間単位の遅れにつながります。提出前に口座名義が申告者本人と一致しているか、金融機関の指定が振込可能なものかを確認しておくことをおすすめします。
更正の請求は、認められるかどうかが税務署の調査に左右される手続きです。請求の理由づけや資料の組み立てを誤ると、還付が遅れるだけでなく、更正をすべき理由がない旨の通知を受ける可能性もあります。判断に迷う場合や、金額が大きく資金繰りに影響する場合は、まずは税理士にご相談ください。
関連コラム更正の請求のやり方|書き方と記入例・e-Tax手順を税理士が解説▸
まとめ
還付までの期間は、手続きの種類によって見通しが大きく変わります。通常の還付申告であればe-Tax提出で3週間程度、確定申告期間中はおおむね1か月から1か月半程度が目安です。一方、更正の請求は税務署長による調査と減額更正を経るため、これより長くかかることを前提に考える必要があります。
還付が遅れている場合は、e-Taxソフト(WEB版)のマイページで処理状況を確認し、表示されない場合は所轄税務署へ問い合わせるのが確実です。更正の請求については、請求から3か月を経過する日と更正があった日の翌日から1か月を経過する日のいずれか早い日を基準に還付加算金が計算されるため、待たされた期間が完全に無償になるわけではありません。提出時点で理由と資料を揃え、還付先口座を正確に記載することが、結果として最短の還付につながります。
参考文献
- 国税庁 【税金の還付】
- 国税庁 No.2030 還付申告
- 国税庁 【申告が間違っていた場合】
- e-Gov法令検索 国税通則法第23条
- 国税庁 No.2026 確定申告を間違えたとき
- e-Gov法令検索 国税通則法第58条
- 国税庁 延滞税の割合
更正の請求の還付時期のよくある質問まとめ
Q.更正の請求をしてから還付金が振り込まれるまでどのくらいかかりますか。
A.国税庁は更正の請求について具体的な処理日数の目安を公表していません。更正の請求書が提出されると税務署がその内容を調査し、請求内容が正当と認められたときに減額更正が行われて還付されるため、通常の還付申告より時間を要することを前提に考える必要があります。
Q.通常の確定申告(還付申告)の還付はいつ振り込まれますか。
A.自宅や税理士事務所等からe-Taxで提出された還付申告は3週間程度で処理されます。2月・3月の所得税等と消費税等の確定申告期間中は大量の申告書が提出されるため、還付金の支払手続におおむね1か月から1か月半程度の期間を要するとされています。
Q.e-Taxで提出すれば必ず3週間程度で還付されますか。
A.必ずしもそうではありません。訂正申告など同一人について複数回の申告がある場合、書類不備がある場合、書面による別送書類の提出がある場合には、e-Taxで提出していても3週間程度での還付処理の対象外となります。
Q.還付金の処理状況はどこで確認できますか。
A.e-Taxソフト(WEB版)にログインし、マイページの「還付・納税関係」から還付金の処理状況を確認できます。書面で提出した場合でも利用者識別番号があれば確認できますが、申告内容や利用者識別番号の状態によっては表示されないことがあります。その場合は所轄税務署へ問い合わせてください。
Q.還付が遅れた場合に利息のようなものは付きますか。
A.還付加算金が加算されます。更正の請求に基づく更正による過納金の場合、更正の請求があった日の翌日から起算して3か月を経過する日と、更正があった日の翌日から起算して1か月を経過する日のいずれか早い日の翌日から、支払決定の日までの日数に応じて計算されます。
Q.還付加算金の割合は何パーセントですか。
A.原則は年7.3パーセントですが、特例として還付加算金特例基準割合が適用されます。国税庁の公表によれば、令和7年中は年0.9パーセント、令和8年中は年1.3パーセントです。