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確定申告不要の20万円ルール|給与以外の所得の判定と例外を税理士が解説

目次
  1. 確定申告不要となる20万円ルールの要件
  2. 給与1か所・年末調整済みの場合の要件
  3. 給与収入2,000万円超は対象外
  4. 2か所以上から給与を受けている場合の判定
  5. 20万円は「収入」ではなく「所得」で判定
  6. 所得区分ごとの計算のしかた
  7. 判定の合計から除かれる所得
  8. 20万円ルールの判定例
  9. 会社員の副業(雑所得)の判定例
  10. 金地金を売却した場合の判定例
  11. 保険の解約返戻金と副業がある場合の判定例
  12. 20万円以下でも確定申告が必要なケース
  13. 同族会社の役員とその親族が会社から地代・利子を受け取る場合
  14. 2か所から給与を受け、合計額が20万円を超える場合
  15. 給与収入が2,000万円を超える場合
  16. 収用等の特別控除は確定申告が要件
  17. 還付申告をする場合は20万円以下の所得も申告対象
  18. 公的年金等を受給している場合の400万円ルール
  19. 所得税が申告不要でも住民税の扱いは別
  20. 申告漏れのペナルティの概要
  21. まとめ
  22. 参考文献
  23. 確定申告不要の20万円ルールのよくある質問

この記事は、副業や資産の売却で給与以外の所得がある会社員の方、同族会社の役員の方、そして社員から申告の要否を相談される経理担当者の方に向けた解説です。結論から申し上げると、給与を1か所から受けて年末調整を受けている方は、給与所得と退職所得以外の所得の合計額が20万円以下であれば、所得税の確定申告は不要です。国税庁 No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人

このルールは所得税法に定められています。e-Gov法令検索 所得税法第121条 注意したいのは、20万円を判定するのは「収入」ではなく「所得」だという点です。売上や受取額そのものではなく、経費や特別控除を差し引いた後の金額で判断します。

ただし、20万円以下であっても申告が必要になる例外があります。とくに同族会社の役員が会社から地代や利子を受け取る場合、還付申告をする場合は扱いが変わります。以下で要件、計算のしかた、判定例、例外の順に整理します。

確定申告不要となる20万円ルールの要件

「20万円以下なら申告しなくてよい」という話は広く知られていますが、誰にでも当てはまるわけではありません。対象になるのは、給与所得者のうち一定の条件を満たす方に限られます。まずは自分が対象者に当たるかを確認することが出発点です。

給与1か所・年末調整済みの場合の要件

所得税法第121条第1項(本文と第1号)では、次の条件をすべて満たす方について、所得税の確定申告書を提出しなくてよいと定めています。

  • 給与等の収入金額が2,000万円以下であること
  • 給与等を1か所から受けていること
  • その給与等の全部が源泉徴収や年末調整の対象となっていること
  • 給与所得と退職所得以外の所得の金額の合計額が20万円以下であること

同じ条文のただし書には「政令で定める場合」を除くとあり、後述する同族会社の役員などはこの例外に当たります。要件をすべて満たしていても、例外に該当しないかを併せて確認する必要があります。

給与収入2,000万円超は対象外

給与の収入金額が2,000万円を超える方は、20万円ルールの対象になりません。国税庁 No.1901 同族会社の役員で確定申告の必要な人 この場合は年末調整が行われないため、給与以外の所得の有無にかかわらず確定申告が必要です。役員報酬の水準が高い経営者の方は、まずこの点を確認してください。

2か所以上から給与を受けている場合の判定

2か所以上から給与を受けている場合でも、その全部が年末調整の対象になっているときは、1か所から給与を受けている場合と同じように扱われます。年の途中で転職した場合のように、同じ時点で2か所以上から給与を受けていなければ、1か所からの給与として判定します。国税庁 法第120条《確定所得申告》関係 一般的な副業先の給与は年末調整の対象外となるため、多くの方は次の判定に進みます。

所得税法第121条第1項第2号では、2か所以上から受ける給与の全部が源泉徴収の対象である場合に、年末調整を受けない給与(従たる給与)の収入金額と、給与所得・退職所得以外の所得の金額との合計額が20万円以下であれば、確定申告は不要とされています。副業先の給与は「所得」ではなく「収入金額」で合計する点に注意が必要です。

また、2か所以上から給与を受けている方で、給与の収入金額の合計額が、150万円に社会保険料控除など所定の所得控除の額を加えた金額以下で、かつ給与所得・退職所得以外の所得が20万円以下の場合も、確定申告は不要です。給与収入が少ない方が対象になる取扱いです。

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20万円は「収入」ではなく「所得」で判定

「副業で30万円入ったから申告が必要だ」と考える方は少なくありません。しかし、判定に使うのは「給与所得及び退職所得以外の所得金額」であり、所得区分ごとに計算した後の金額です。通達では、この金額は申告を要件とする特例を適用しないで計算した総所得金額等から、給与所得と退職所得を差し引いた金額とされています。

そのため、一時所得と総合課税の長期譲渡所得は、2分の1にした後の金額で判定します。受け取った金額が20万円を超えていても、計算後に20万円以下となれば申告は不要です。逆に、手元に残った金額が少なくても所得が20万円を超えることもあります。

所得区分ごとの計算のしかた

雑所得は、総収入金額から必要経費を差し引いて計算します。国税庁 No.1500 雑所得 給与所得者がネットオークションやフリマアプリ、暗号資産、民泊などで得た副収入は、一般に雑所得に当たります。国税庁 No.1906 給与所得者がネットオークション等により副収入を得た場合 なお、生活用の動産を売却した場合の所得は非課税です。

一時所得は、総収入金額から収入を得るために支出した金額と特別控除(最高50万円)を差し引き、その2分の1を他の所得と合算します。国税庁 No.1490 一時所得 総合課税の譲渡所得は、譲渡価額から取得費と譲渡費用を差し引いた譲渡益から、特別控除50万円を差し引きます。国税庁 No.3152 譲渡所得の計算のしかた(総合課税) 保有期間が5年を超える長期譲渡所得はさらに2分の1にし、5年以内の短期譲渡所得は全額が対象です。

所得区分 判定に使う金額
雑所得
(副業の報酬、ネットオークション等の副収入)
総収入金額 − 必要経費
一時所得
(生命保険の解約返戻金など)
(総収入金額 − 支出した金額 − 特別控除最高50万円) × 1/2
総合課税の短期譲渡所得
(保有5年以内の金地金など)
譲渡益 − 特別控除最高50万円
総合課税の長期譲渡所得
(保有5年超の金地金など)
(譲渡益 − 特別控除最高50万円) × 1/2

判定の合計から除かれる所得

20万円の合計には、すべての所得を含めるわけではありません。国税庁は、次のような所得は合計に含めないと案内しています。

  • 源泉分離課税とされる預貯金の利子
  • 確定申告をしないことを選択した配当等
  • 源泉徴収を選択した特定口座内の上場株式等の譲渡所得で、申告しないもの
  • 申告しないことを選択した特定公社債の利子

配当の確定申告不要制度は、1回に支払を受ける配当ごとに選択でき、源泉徴収選択口座内の配当は口座ごとに選択します。国税庁 No.1330 配当金を受け取ったとき(配当所得) また、金地金の売却は原則として総合課税の譲渡所得ですが、金投資口座などから生じる利益は20.315%の源泉分離課税となります。国税庁 No.3161 金地金の譲渡による所得 源泉分離課税の所得は課税関係が源泉徴収で完結するため、20万円の合計に含めません。

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20万円ルールの判定例

ここでは、給与を1か所から受けて年末調整を済ませている会社員を前提に、具体的な数字で判定してみます。いずれも同族会社の役員などの例外に当たらないものとします。

会社員の副業(雑所得)の判定例

副業のライティングで年間35万円の報酬を受け取り、パソコンの購入費や通信費などの必要経費が18万円かかったケースです。収入だけを見ると20万円を超えていますが、判定は雑所得の金額で行います。

雑所得 = 35万円 − 18万円 = 17万円
17万円 ≦ 20万円 → 所得税の確定申告は不要

ただし、医療費控除などで還付申告をする場合は、この17万円も含めて申告する必要があります。詳しくは後述の還付申告の項目で説明します。

金地金を売却した場合の判定例

6年前に購入した金地金を300万円で売却し、取得費が220万円、譲渡費用が2万円だったケースです。保有期間が5年を超えるため、総合課税の長期譲渡所得に当たります。

譲渡益 = 300万円 − (220万円 + 2万円) = 78万円
78万円 − 特別控除50万円 = 28万円
28万円 × 1/2 = 14万円
14万円 ≦ 20万円 → 所得税の確定申告は不要

同じ条件でも、保有期間が5年以内であれば短期譲渡所得となり、2分の1にはなりません。この場合は28万円で判定するため、20万円を超えて確定申告が必要です。売却を検討する際は、購入時期の確認が欠かせません。

保険の解約返戻金と副業がある場合の判定例

保険料を自分で負担してきた生命保険を解約し、解約返戻金180万円を受け取ったケースです。払込保険料の総額は100万円で、別に副業の雑所得が8万円あったとします。保険料の負担者と受取人が同じ場合の解約返戻金は、一時所得になります。国税庁 No.1755 生命保険契約に係る満期保険金等を受け取ったとき

一時所得 = 180万円 − 100万円 − 特別控除50万円 = 30万円
判定に使う一時所得 = 30万円 × 1/2 = 15万円
合計 = 15万円 + 8万円 = 23万円
23万円 > 20万円 → 所得税の確定申告が必要

一時所得だけ、副業だけで見るといずれも20万円以下ですが、合計すると20万円を超えます。20万円ルールは所得ごとではなく、給与所得・退職所得以外の所得の合計額で判定する点を押さえておきましょう。

20万円以下でも確定申告が必要なケース

計算の結果が20万円以下でも、立場や取引の内容によっては確定申告が必要です。経営者や役員の方が見落としやすい例外を中心に整理します。

同族会社の役員とその親族が会社から地代・利子を受け取る場合

同族会社の役員が、その会社から給与のほかに貸付金の利子や不動産の賃貸料などを受け取っている場合は、その金額が20万円以下でも確定申告が必要です。役員の親族なども同様に扱われます。所得税法第121条第1項のただし書が定める「政令で定める場合」がこれに当たり、具体的な範囲は施行令で定められています。e-Gov法令検索 所得税法施行令第262条の2

対象となる人は、次の4つの類型です。

  • 同族会社の役員本人
  • その役員の親族(親族であった者を含む)
  • その役員と婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者(あった者を含む)
  • その役員から受ける金銭その他の資産によって生計を維持している者

対象となる支払は、その法人の事業に係る貸付金の利子と、不動産、動産、営業権などの資産をその法人の事業の用に供することによる対価です。たとえば、社長が個人で所有する土地を自社の駐車場として貸し、地代が年9万円しかない場合でも、確定申告が必要になります。会社へ資金を貸して利息を受け取っている場合も同じです。

2か所から給与を受け、合計額が20万円を超える場合

年末調整を受けない従たる給与がある場合は、その収入金額と給与所得・退職所得以外の所得の合計額で判定します。この合計額が20万円を超えると、確定申告が必要です。副業先の給与が年間20万円を超えるだけで申告の対象になるため、本業以外にアルバイトをしている方は注意してください。

給与収入が2,000万円を超える場合

前述のとおり、給与の収入金額が2,000万円を超える方は年末調整の対象外となり、20万円ルールは使えません。給与以外の所得が全くなくても、確定申告が必要です。

収用等の特別控除は確定申告が要件

土地建物が公共事業のために収用された場合の5,000万円の特別控除や、代替資産を取得した場合の特例は、確定申告をすることが適用の要件とされています。国税庁 No.3552 収用等により土地建物を売ったときの特例 20万円の判定は申告を要件とする特例を適用しないで計算した金額で行うため、「特別控除後は20万円以下だから申告不要」とは考えません。特例を使うためにも申告が必要です。

還付申告をする場合は20万円以下の所得も申告対象

20万円ルールは「申告しなくてもよい」という制度であり、申告をする場合まで20万円以下の所得を除いてよいわけではありません。医療費控除などで還付申告をするときは、20万円以下の所得も含めて申告する必要があります。副業の所得を書かずに還付を受けると、申告内容が正しくないことになります。

還付申告は、その年の翌年1月1日から5年間提出できます。国税庁 No.2030 還付申告 会社員が還付申告をする代表的な場面は、次のとおりです。

  • 医療費控除を受ける場合
  • ふるさと納税などの寄附金控除を受ける場合(ワンストップ特例を使わないとき)
  • 住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)の初年度

還付申告をすると、副業の所得にも所得税がかかり、還付額が減ることがあります。それでも申告漏れのリスクを考えれば、すべての所得を正しく記載しておくことが大切です。

関連コラム確定申告 e-Tax|スマホでの手続きの流れと提出先を税理士が解説▸

公的年金等を受給している場合の400万円ルール

公的年金等を受給している方には、別の申告不要制度があります。所得税法第121条第3項により、その年の公的年金等の収入が400万円以下でその全部が源泉徴収の対象となっており、公的年金等に係る雑所得以外の所得金額も20万円以下であれば、確定申告は不要です。国税庁 No.1600 公的年金等の課税関係

この制度の対象となる方でも、医療費控除などで還付申告をすることはできます。役員を退任して年金を受給しながら顧問料などを受け取っている場合は、20万円の判定を改めて確認しておくと安心です。

所得税が申告不要でも住民税の扱いは別

所得税法第121条が免除しているのは、所得税の確定申告だけです。住民税の申告まで不要になるとは定めていません。所得税の申告が不要だからといって、住民税も手続きが不要だと考えるのは早計です。

国税庁も、年金受給者向けの案内で、所得税等の確定申告が必要ない場合でも住民税の申告が必要な場合があり、詳しくは市区町村の窓口に確認するよう案内しています。国税庁 申告が必要かなどを調べる 給与所得者で20万円以下の所得がある方も、住民税の申告の要否は、お住まいの市区町村にご確認ください。

申告漏れのペナルティの概要

確定申告が必要なのに期限までに申告しなかった場合は、本来の税額に加えて無申告加算税や延滞税がかかることがあります。「20万円以下だと思っていた」という勘違いでも、結果として申告が必要であれば対象になります。

無申告加算税の割合(令和5年分以降)は、申告のタイミングによって次のように変わります。国税庁 No.2024 確定申告を忘れたとき

調査の事前通知前に
自主的に申告した場合
5%
調査の事前通知後、
調査前に申告した場合
10%(50万円超300万円以下の部分は15%、300万円超の部分は25%)
調査を受けた後に
申告した場合
15%(50万円超300万円以下の部分は20%、300万円超の部分は30%)

なお、法定申告期限後1か月以内に自主的に申告するなど一定の要件を満たす場合は、無申告加算税は課されません。気づいた時点で早めに申告することが、負担を抑える最善の方法です。

延滞税は、原則として法定納期限の翌日から納付する日までの日数に応じてかかります。令和8年中の割合は、納期限の翌日から2か月を経過する日までは年2.8%、2か月を経過した日以後は年9.1%です。国税庁 No.9205 延滞税について

まとめ

  • 給与1か所・年末調整済みの方は、給与所得と退職所得以外の所得の合計額が20万円以下なら所得税の確定申告は不要です。
  • 判定は収入ではなく所得で行い、一時所得と総合課税の長期譲渡所得は2分の1にした後の金額を使います。
  • 同族会社の役員や親族が会社から地代・利子を受け取る場合、給与収入が2,000万円を超える場合、還付申告をする場合は、20万円以下でも申告が必要です。
  • 所得税の申告が不要でも、住民税の申告の要否は市区町村に確認が必要です。

20万円ルールは単純に見えて、所得区分の計算や例外の判断で迷いやすい制度です。具体的なケースについては、税理士へのご相談をおすすめします。判定に迷うとき、役員として会社と取引があるときは、まずは税理士にご相談ください。

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参考文献

確定申告不要の20万円ルールのよくある質問

Q. 20万円ルールは収入と所得のどちらで判定しますか。

A. 所得で判定します。雑所得なら収入から必要経費を差し引いた金額、一時所得や総合課税の長期譲渡所得なら特別控除を差し引いて2分の1にした後の金額を使います。ただし、年末調整を受けない2か所目の給与は収入金額で合計します。

Q. 医療費控除で還付申告をするとき、20万円以下の副業の所得も書く必要がありますか。

A. 必要です。20万円ルールは申告しなくてもよいという制度であり、還付申告をする場合は20万円以下の所得も含めて申告します。

Q. 所得税の確定申告が不要なら、住民税の申告も不要ですか。

A. 所得税法が免除しているのは所得税の確定申告だけです。国税庁も、所得税等の確定申告が必要ない場合でも住民税の申告が必要な場合があると案内しています。要否はお住まいの市区町村にご確認ください。

Q. 2か所から給与を受けていても20万円ルールは使えますか。

A. 全部の給与が年末調整の対象であれば1か所と同じ扱いです。そうでない場合は、年末調整を受けない給与の収入金額と、給与所得・退職所得以外の所得の合計額が20万円以下なら確定申告は不要です。

Q. 社長が自社に土地を貸していて、地代が年20万円以下なら確定申告は不要ですか。

A. 不要にはなりません。同族会社の役員やその親族などが、その会社から貸付金の利子や資産を事業の用に供する対価を受け取る場合は、金額が20万円以下でも確定申告が必要です。

Q. 確定申告が必要なのに忘れていた場合はどうなりますか。

A. 気づいた時点で早めに期限後申告をしてください。無申告加算税は調査の事前通知前に自主的に申告すれば5%で、法定申告期限後1か月以内の自主的な申告など一定の要件を満たせば課されません。納付が遅れた日数に応じて延滞税もかかります。

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