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非上場株式の配当は源泉徴収20.42%|総合課税と少額配当の判定を税理士が解説

目次
  1. 非上場株式の配当にかかる源泉徴収税率は20.42%
  2. 上場株式等の配当との税率・課税方式の違い
  3. 20.42%の内訳|所得税20%と復興特別所得税0.42%
  4. 大口株主等が受ける上場株式の配当も20.42%
  5. 令和9年以後は防衛特別所得税が加わるが合計税率は変わらない
  6. 非上場株式の配当の課税方式|総合課税が原則で申告分離課税は選べない
  7. 総合課税で申告すると配当控除が使える
  8. 申告不要制度が使える「少額配当」の判定
  9. 申告不要を選ぶと配当控除と源泉徴収税額の控除は受けられない
  10. 住民税の注意点|申告不要を選んでも住民税の申告は必要
  11. 実務での取り扱い|同族会社の配当を受け取った場合の設例
  12. 設例1 年1回の配当120万円を受け取った役員の場合
  13. 設例2 中間配当と期末配当がそれぞれ4万円の場合
  14. 配当ではなく株式を売却した場合の税率との違い
  15. まとめ
  16. 参考文献
  17. 非上場株式の配当の源泉徴収に関するよくある質問まとめ
  18. 非上場株式の配当の源泉徴収税率は何%ですか?
  19. 非上場株式の配当は申告分離課税を選べますか?
  20. 非上場株式の少額配当とはいくらまでですか?
  21. 少額配当で確定申告をしなかった場合、住民税はどうなりますか?
  22. 令和9年以後、非上場株式の配当の源泉徴収税率は変わりますか?

「自社から配当を出したら、源泉徴収は何%で引けばよいのか」「受け取った非上場株式の配当は確定申告が必要なのか」と迷われる方は少なくありません。この記事は、同族会社のオーナー経営者や親族株主、非上場会社に出資している個人の方に向けて、非上場株式の配当にかかる源泉徴収と確定申告の取扱いを、国税庁の一次情報に沿って整理したものです。

結論から申し上げると、非上場株式(上場株式等以外の株式)の配当は、支払の際に所得税および復興特別所得税20.42%が源泉徴収され、住民税は源泉徴収されません。受け取った側では総合課税が原則で、上場株式等のような申告分離課税は選べません。ただし、1回の配当が「少額配当」に当たる場合は、確定申告をしない選択(確定申告不要制度)ができます。その場合でも住民税の申告は別に必要になる点が、実務で見落とされやすいところです。

非上場株式の配当にかかる源泉徴収税率は20.42%

配当所得は、配当等の支払の際に株式等の区分に応じて所得税等が源泉徴収されます。上場株式等以外の配当等、つまり非上場株式の配当は、20.42%(地方税なし)の税率で所得税および復興特別所得税が源泉徴収されます国税庁 No.1330 配当金を受け取ったとき(配当所得)。源泉徴収された所得税等は、原則としてその年分の納付すべき所得税額等を計算する際に差し引きます。

上場株式等の配当との税率・課税方式の違い

上場株式等の配当は、所得税等15.315%に加えて住民税5%の合計20.315%が源泉徴収されますが、非上場株式の配当は所得税等20.42%だけで住民税は引かれません。課税方式や申告不要の範囲も異なりますので、まとめて確認しておきましょう。

比較項目 上場株式等の配当
(大口株主等を除く)
非上場株式の配当
源泉徴収される所得税等 15.315% 20.42%
源泉徴収される住民税 5% なし
確定申告での課税方式 総合課税または申告分離課税 総合課税のみ
確定申告不要制度 金額にかかわらず選択できる 少額配当に当たる場合だけ選択できる

上場株式等の配当等については、総合課税に代えて申告分離課税(税率20.315%)を選択できます国税庁 No.1331 上場株式等の配当等に係る申告分離課税制度。一方、非上場株式の配当にはこの選択肢がありません。上場株式等の配当の課税方式の選び方は、次のコラムで詳しく解説しています。

関連コラム上場株式等の配当の申告分離課税|20.315%と総合課税の選び方を税理士が解説▸

20.42%の内訳|所得税20%と復興特別所得税0.42%

20.42%という税率は、所得税20%に復興特別所得税を上乗せしたものです。復興特別所得税の額は基準所得税額に2.1%を掛けて計算します国税庁 個人の方に係る復興特別所得税のあらまし。源泉徴収の場面でも、所得税率20%に対する2.1%分が加算されるため、合計が20.42%になります。

所得税率20% × 2.1% = 復興特別所得税率0.42%
所得税率20% + 復興特別所得税率0.42% = 源泉徴収税率20.42%

たとえば配当金100万円を支払う場合、源泉徴収する税額は次のとおりです。

配当金100万円 × 20.42% = 源泉徴収税額20万4,200円
配当金100万円 − 源泉徴収税額20万4,200円 = 株主への支払額79万5,800円

大口株主等が受ける上場株式の配当も20.42%

上場会社の株式でも、発行済株式の総数等の3%以上を保有する「大口株主等」が受け取る配当は、非上場株式の配当と同じ20.42%で源泉徴収されます。大口株主等が受ける上場株式等の配当は総合課税の対象となり、申告分離課税や確定申告不要制度(少額配当である場合を除きます)を選択することもできません。オーナー一族が上場会社の株式をまとまって保有しているケースでは、非上場株式の配当と同じ扱いになると考えておくとよいでしょう。

令和9年以後は防衛特別所得税が加わるが合計税率は変わらない

令和8年度税制改正により、防衛特別所得税が創設され、復興特別所得税の税率引下げと課税期間の延長が行われました。これらは令和9年以後に適用されますが、改正前と改正後とで、防衛特別所得税および復興特別所得税の合計税率に変更はありません国税庁 No.2260 所得税の税率。非上場株式の配当についても、令和9年1月1日以後に生ずる所得から復興特別所得税の税率が1.1%に引き下げられ、防衛特別所得税(源泉徴収すべき所得税の額の1%相当額)が併せて源泉徴収されることになります。実務では、源泉徴収する合計の税率は変わらず、納付書や支払調書で税目の内訳が変わる、と押さえておくと混乱しません。

非上場株式の配当の課税方式|総合課税が原則で申告分離課税は選べない

配当所得は、原則として総合課税の対象となる所得として確定申告の対象になります。上場株式等の配当等であれば申告分離課税を選択できますが、上場株式等以外の配当等は総合課税の対象となり、申告分離課税を選択することはできません。選べるのは「総合課税で申告する」か、少額配当に当たる場合に「申告しない(確定申告不要制度)」かの2つです。

総合課税で申告すると配当控除が使える

総合課税で申告した配当所得については、一定のものを除き配当控除の適用を受けることができます。配当控除を受けられるのは、日本国内に本店のある法人から受ける剰余金の配当などで、確定申告において総合課税の適用を受けた配当所得に限られます。控除額は、その年分の課税総所得金額等が1,000万円以下の場合、剰余金の配当等に係る配当所得の金額の10%です。課税総所得金額等が1,000万円を超える部分に対応する配当所得については5%になります国税庁 No.1250 配当所得があるとき(配当控除)。

総合課税では、配当所得を給与所得や事業所得などと合計して、5%から45%の7段階の税率で所得税を計算します。源泉徴収された20.42%は確定申告で精算されますので、課税所得の水準が低い方は申告によって還付となることがあり、高い方は追加で納付が生じることがあります。配当控除の計算方法と計算例は、次のコラムで詳しく解説しています。

関連コラム配当控除とは?計算方法と10%・5%の控除率、対象外の配当を税理士が解説▸

申告不要制度が使える「少額配当」の判定

非上場株式の配当でも、1回に支払を受けるべき配当等の金額が次の算式で計算した金額以下である場合(少額配当である場合)には、確定申告を要しません。この制度を適用するかどうかは、1回に支払を受けるべき配当等の額ごとに選択できます。

10万円 × 配当計算期間の月数 ÷ 12 = 少額配当の判定基準額

配当計算期間が1年を超える場合は12か月として計算し、1か月に満たない端数がある場合は1か月として計算します。年1回の配当(配当計算期間12か月)なら基準額は10万円、半年ごとの配当(配当計算期間6か月)なら基準額は5万円です。

配当計算期間 少額配当の判定基準額
12か月(年1回配当) 10万円
6か月(中間配当と期末配当) 5万円
3か月(四半期配当) 2万5,000円

判定は「1回に支払を受けるべき配当等の金額」で行います。たとえば年1回の配当が12万円なら基準額の10万円を超えますので、少額配当には当たらず、確定申告が必要です。

申告不要を選ぶと配当控除と源泉徴収税額の控除は受けられない

確定申告不要制度を選択した配当所得に係る源泉徴収税額は、その年分の所得税額から差し引くことはできません。また、確定申告不要制度を選択した配当は配当控除の対象にもなりません。つまり、少額配当について申告不要を選ぶと、源泉徴収された20.42%で所得税の課税関係が完結し、還付を受ける余地はなくなります。

逆に、総合課税で申告すれば配当控除が使え、源泉徴収税額も精算されます。課税所得が低い年には申告したほうが有利になることがありますので、「少額だから申告しない」と決めつけず、両方を比べてみることをおすすめします。なお、確定申告をするかどうかは1回の配当ごとに選べますが、申告する場合は総合課税しか選べません。

住民税の注意点|申告不要を選んでも住民税の申告は必要

非上場株式の配当は、源泉徴収の段階で住民税が引かれていません。そのため、所得税で確定申告不要制度を選択した非上場株式の少額配当等についても、住民税では他の所得と総合して課税され、申告書への記入が必要です国税庁 手順6 住民税、事業税に関する事項を記入する。確定申告書を提出する方は、第二表の「住民税・事業税に関する事項」にある「非上場株式の少額配当等」欄に、申告不要を選択した少額配当の金額を含めた配当所得の金額を記入します。

上場株式等の配当であれば、住民税5%が源泉徴収(特別徴収)されているため申告不要で課税関係が完結しますが、非上場株式の配当はそうなりません。所得税の確定申告書を提出しない方が少額配当を受け取った場合は、お住まいの市区町村への住民税の申告が必要になります。申告で漏れやすいのは、まさにこの点です。

所得税と住民税で取扱いが分かれる場面の考え方は、次のコラムもあわせてご覧ください。

関連コラム譲渡所得の住民税申告不要は使える?課税方式一致の実務を税理士が解説▸

実務での取り扱い|同族会社の配当を受け取った場合の設例

ここでは、同族会社のオーナーが自社から配当を受け取るケースで、源泉徴収から確定申告までの流れを確認します。

設例1 年1回の配当120万円を受け取った役員の場合

非上場のA社(決算期は年1回)が、代表者である甲さんに配当120万円を支払いました。A社は支払の際に20.42%を源泉徴収して納付します。

配当金120万円 × 20.42% = 源泉徴収税額24万5,040円
配当金120万円 − 源泉徴収税額24万5,040円 = 甲さんへの支払額95万4,960円

甲さん側では、1回の配当120万円が少額配当の基準額10万円を超えていますので、確定申告不要制度は使えず、役員給与と合わせて総合課税で確定申告します。この場合、課税総所得金額等が1,000万円以下であれば、配当所得120万円の10%である12万円の配当控除が受けられます。

配当所得120万円 × 10% = 配当控除12万円

最終的な税額は、給与所得と合計した課税総所得金額に対する所得税額から配当控除を差し引き、さらに源泉徴収税額24万5,040円を精算して求めます。実務で多いのは、役員給与の水準によって還付になるか追加納付になるかが分かれるケースです。申告書を作る前に、課税総所得金額がどの税率の階層に当たるかを確認しておくと見通しが立ちます。

設例2 中間配当と期末配当がそれぞれ4万円の場合

非上場のB社が、株主の乙さん(会社員)に中間配当4万円と期末配当4万円を支払いました。配当計算期間はそれぞれ6か月です。

10万円 × 6か月 ÷ 12 = 少額配当の判定基準額5万円

1回の配当4万円は基準額5万円以下ですので、どちらも少額配当に当たり、乙さんは確定申告をしない選択ができます。年間の合計が8万円であっても、判定は1回ごとに行う点がポイントです。B社側では、それぞれの支払時に4万円×20.42%=8,168円を源泉徴収します。

給与所得者の乙さんが、他に副収入があって「給与所得以外の所得金額が20万円を超えるか」を判定する場面では、非上場株式の少額配当等で確定申告をしないことを選択したものは、この所得金額の合計額に含まれません国税庁 No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人。ただし、申告不要を選んだ場合でも住民税の申告は必要になります。

配当ではなく株式を売却した場合の税率との違い

非上場株式を売却して得た利益は、配当所得ではなく譲渡所得として、他の所得と区分して20.315%(所得税および復興特別所得税15.315%、住民税5%)の申告分離課税で計算します。配当のように支払時に源泉徴収される仕組みはなく、ご自身で確定申告が必要です。非上場株式の譲渡所得の計算や、発行会社に買い取ってもらう場合の注意点は、次のコラムで詳しく解説しています。

関連コラム株式の譲渡所得は申告分離課税|上場・非上場の違いと計算を税理士が解説▸

非上場株式の配当は、源泉徴収の税率こそ20.42%とはっきりしていますが、申告するかしないかの判断、配当控除の効果、住民税の申告漏れ、みなし配当の有無など、確認すべき点は少なくありません。配当を出す会社側と受け取る株主側の両方で取扱いが問題になりますので、ご自身のケースで判断に迷う場合は、まずは税理士にご相談ください。

まとめ

非上場株式の配当にかかる税金の取扱いを整理します。

  • 非上場株式の配当は、支払時に所得税および復興特別所得税20.42%が源泉徴収され、住民税は源泉徴収されません。
  • 20.42%は所得税20%と復興特別所得税0.42%(所得税額の2.1%)の合計です。令和9年以後は防衛特別所得税が加わりますが、合計税率は変わりません。
  • 受け取った側は総合課税が原則で、上場株式等のような申告分離課税は選べません。総合課税で申告すれば配当控除が使えます。
  • 1回の配当が「10万円×配当計算期間の月数÷12」以下の少額配当であれば、確定申告をしない選択ができます。その場合、配当控除や源泉徴収税額の控除は受けられません。
  • 申告不要を選んだ少額配当も、住民税では申告が必要です。

税率の数字は分かりやすい一方で、申告するかどうかの選択や住民税の取扱いは個別の事情で結論が変わります。具体的なケースは税理士へのご相談をおすすめします。

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参考文献

非上場株式の配当の源泉徴収に関するよくある質問まとめ

非上場株式の配当の源泉徴収税率は何%ですか?

上場株式等以外の配当等(非上場株式の配当)は、所得税および復興特別所得税20.42%の税率で源泉徴収されます。住民税は源泉徴収されません。上場株式等の配当(大口株主等を除く)の15.315%とは異なります。

非上場株式の配当は申告分離課税を選べますか?

選べません。上場株式等以外の配当等は総合課税の対象となり、申告分離課税を選択することはできません。総合課税で申告するか、少額配当に当たる場合に確定申告不要制度を選択するかのいずれかになります。

非上場株式の少額配当とはいくらまでですか?

1回に支払を受けるべき配当等の金額が「10万円×配当計算期間の月数÷12」で計算した金額以下であれば少額配当に当たり、確定申告をしないことを選択できます。年1回配当なら10万円、半年ごとの配当なら5万円が基準額です。

少額配当で確定申告をしなかった場合、住民税はどうなりますか?

所得税で確定申告不要制度を選択した非上場株式の少額配当等についても、住民税では他の所得と総合して課税されます。確定申告書の第二表「非上場株式の少額配当等」欄への記入、または市区町村への住民税の申告が必要です。

令和9年以後、非上場株式の配当の源泉徴収税率は変わりますか?

令和9年1月1日以後に生ずる所得については、復興特別所得税の税率が1.1%に引き下げられ、防衛特別所得税(源泉徴収すべき所得税の額の1%相当額)が併せて源泉徴収されます。ただし両者の合計税率は改正前と変わらないため、源泉徴収する合計の税率は変わりません。

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