「今期の売上が5,000万円を超えそうだが、簡易課税はもう使えないのか」「一度5,000万円を超えたら、簡易課税選択届出書を出し直さなければならないのか」と迷われる経営者の方は少なくありません。この記事は、消費税の簡易課税制度を選択している、または選択を検討している中小企業の経営者・個人事業主・経理担当の方に向けて、売上5000万円という境目の判定と、超えた年・戻る年の申告の切替えを、国税庁の一次情報に沿って整理したものです。
結論から申し上げると、簡易課税を使えるかどうかの5,000万円の判定は、当期の売上ではなく「基準期間(個人は前々年、法人は原則として前々事業年度)の課税売上高」で行います。基準期間の課税売上高が5,000万円を超えた課税期間は一般課税で申告しますが、簡易課税制度選択届出書の効力は失われず、基準期間の課税売上高が再び5,000万円以下になった課税期間から、不適用届出書を出していない限り自動的に簡易課税に戻ります。
簡易課税の売上5000万円基準の考え方
まずは、簡易課税制度の仕組みと、5,000万円という基準が何に対して適用されるのかを確認します。ここを取り違えると、適用できない年に簡易課税で申告してしまったり、逆に使える年に一般課税で申告してしまったりするおそれがあります。
簡易課税制度の仕組み
簡易課税制度は、中小事業者の納税事務の負担に配慮して設けられた制度で、売上げに係る消費税額に事業区分ごとのみなし仕入率を掛けた金額を、仕入れに係る消費税額とみなして控除します。適用を受けられるのは、「消費税簡易課税制度選択届出書」を所轄税務署長に提出した課税事業者で、その基準期間における課税売上高が5,000万円以下の課税期間に限られます国税庁 No.6505 簡易課税制度。
実際の仕入れや経費の消費税額を集計しなくても、売上げの消費税額から納付税額を計算できるため、記帳や請求書の管理にかかる手間を抑えやすいのが特徴です。簡易課税と一般課税の基本的な違いや、免税事業者との関係は次の記事で整理しています。
関連コラム消費税の簡易課税と免税事業者の変更|有利な選択と手続きを解説▸
判定に使う基準期間
5,000万円の判定に使う「基準期間」は、個人事業者と法人で次のとおりです。当期(いま申告しようとしている課税期間)の売上高で判定するのではない点が最も大切です。
| 個人事業者 | その年の前々年(例: 令和8年分の判定は令和6年の課税売上高) |
|---|---|
| 法人 | 原則として前々事業年度(事業年度が1年の法人なら、2期前の事業年度) |
| 判定の対象 | 基準期間の課税売上高が5,000万円以下かどうか |
基準期間の考え方は、消費税の納税義務(免税事業者になるかどうか)の判定と共通です。納税義務の判定では、基準期間の課税売上高が1,000万円以下であれば原則として納税義務が免除されます国税庁 No.6501 納税義務の免除。同じ「2年前の数字」を、1,000万円(納税義務)と5,000万円(簡易課税)という2つの基準に当てはめると考えると分かりやすくなります。法人の基準期間と納税義務の判定は、次の記事で詳しく解説しています。
関連コラム法人の消費税|納税義務の判定(2年前の基準期間)と計算方法を税理士が解説▸
当期の売上高との違い
基準期間で判定するということは、当期の売上が5,000万円を超えても、その期は簡易課税を使える場合があり、反対に当期の売上が5,000万円を下回っていても、簡易課税を使えない場合があるということです。
| 状況 | 当期の取扱い |
|---|---|
| 基準期間4,000万円・当期6,000万円 | 基準期間が5,000万円以下なので、当期は簡易課税を適用できる |
| 基準期間5,500万円・当期4,500万円 | 基準期間が5,000万円を超えるので、当期は一般課税で申告する |
なお、前年や前事業年度の上半期の売上などで判定する「特定期間」の考え方は、納税義務の免除(1,000万円の判定)で使われるものです。簡易課税の5,000万円の判定は、あくまで基準期間の課税売上高で行います。
売上5000万円の判定に使う課税売上高の計算
「売上5,000万円」といっても、損益計算書の売上高をそのまま使うわけではありません。消費税の「課税売上高」は、含めるもの・含めないものが決まっています。
課税売上高に含めるもの・含めないもの
国税庁の消費税法基本通達では、基準期間における課税売上高の範囲が次のように示されています国税庁 第4節 納税義務の免除。
| 含めるもの | 含めないもの |
|---|---|
| 国内で行った課税資産の譲渡等の対価の額(税抜き) | 消費税額・地方消費税額 |
| 輸出取引など、消費税が免除される取引の対価の額 | 売上げに係る対価の返還等の金額(返品・値引き・割戻しなど) |
| 資産の譲渡とみなされる取引(みなし譲渡)の対価の額 | 非課税資産の輸出等を行った場合に課税資産の譲渡等とみなされるものの対価の額 |
つまり、税抜きの課税売上げに輸出などの免税売上げを加え、返品・値引き・割戻しの金額(税抜き)を差し引いた金額で判定します。一方、貸倒れで回収できなくなった売上げの金額は、基準期間の課税売上高から控除しない取扱いです。
また、課税売上高は事業者単位で合計します。たとえば、物販と不動産の賃貸を営んでいる場合や、事業所が2か所以上ある場合でも、それぞれの課税売上げを合計した金額で5,000万円を超えるかどうかを判定します。
基準期間が免税事業者だった場合の扱い
基準期間に免税事業者だった場合は、その期間の売上げには消費税が課されていないため、税抜きの割戻し計算をせず、売上げの金額をそのまま基準期間の課税売上高とします国税庁 基準期間において免税事業者であった者の課税売上高の判定。
この扱いは、急成長している事業者で見落とされやすい点です。たとえば、免税事業者だった事業年度の売上げが5,200万円あった場合、その金額をそのまま使うため、その事業年度を基準期間とする課税期間は簡易課税を適用できません。「税抜きにすれば5,000万円以下になる」と考えて簡易課税で申告すると、計算をやり直すことになります。
基準期間の課税売上高が5000万円を超えた課税期間の取扱い
ここからは、基準期間の課税売上高が5,000万円を超えたときに何が起こり、その後どうなるのかを確認します。手続きの要否を誤解しやすいところです。
その課税期間は一般課税で申告
簡易課税制度選択届出書を提出していても、基準期間の課税売上高が5,000万円を超える課税期間については、簡易課税制度は適用できません。その課税期間は、実際の課税仕入れ等の税額を控除する一般課税で申告します。
一般課税では、仕入税額控除の適用を受けるために、法定事項が記載された帳簿と請求書等(適格請求書など)の保存が要件になります国税庁 No.6497 仕入税額控除のために保存する帳簿および請求書等の記載事項。簡易課税の期間中は仕入れ側の請求書の管理を簡略にしていた事業者ほど、一般課税になる期の前から、受け取った請求書の保存と税率ごとの区分経理を整えておく必要があります。
簡易課税制度選択届出書の効力は存続
基準期間の課税売上高が5,000万円を超えて簡易課税を使えなくなっても、簡易課税制度選択届出書の効力はなくなりません。その後、基準期間の課税売上高が1,000万円を超え5,000万円以下となった課税期間は、その課税期間の初日の前日までに「消費税簡易課税制度選択不適用届出書」を提出している場合を除き、再び簡易課税制度が適用されます。基準期間の課税売上高が1,000万円以下になり、いったん免税事業者となった場合も同じです。
そのため、5,000万円を超えた期のために何かを届け出る必要はなく、5,000万円以下に戻った期のために届出書を出し直す必要もありません。反対に、戻る期も一般課税を続けたい場合は、自ら不適用届出書を提出しておかないと簡易課税が適用されてしまう点に注意が必要です。
| 基準期間の課税売上高 | 簡易課税制度選択届出書を提出済みの場合の取扱い |
|---|---|
| 1,000万円以下 | 原則として免税事業者(届出書の効力は存続) |
| 1,000万円超5,000万円以下 | 簡易課税を適用 |
| 5,000万円超 | 一般課税で申告(届出書の効力は存続) |
不適用届出書の提出期限と2年継続適用
簡易課税をやめたいときは、やめようとする課税期間の初日の前日までに「消費税簡易課税制度選択不適用届出書」を提出します。ただし、事業を廃止した場合を除き、簡易課税制度選択届出書の効力が生ずる課税期間の初日から2年を経過する日の属する課税期間の初日以後でなければ、不適用届出書は提出できません。簡易課税は、選択したら原則として2年間は継続して適用する仕組みです国税庁 令和8年度税制改正特集。
5,000万円付近で売上が上下する事業者は、「戻る期に簡易課税と一般課税のどちらが有利か」を、その期が始まる前に判断しておくことが大切です。2年継続適用の考え方と切替えのタイミングは、次の記事でも詳しく解説しています。
関連コラム消費税の簡易課税、2年縛りの罠?切り替えのタイミングと注意点を解説▸
簡易課税制度選択届出書の提出期限と提出の制限
これから簡易課税を選択する場合や、一般課税の期間中に届出を検討する場合は、提出期限と提出できない期間を確認しておく必要があります。
提出期限
消費税簡易課税制度選択届出書は、適用を受けようとする課税期間の初日の前日までに、納税地を所轄する税務署長へ提出します。事業を開始した日の属する課税期間であれば、その課税期間中の提出で足ります国税庁 D1-22 消費税簡易課税制度選択届出手続。同じ手続案内でも、簡易課税を選択した場合であっても、基準期間の課税売上高が5,000万円を超える課税期間には簡易課税を適用できないことが注記されています。
調整対象固定資産を取得した場合の制限
消費税課税事業者選択届出書を提出して課税事業者になった事業者が、課税事業者となった日から2年を経過する日までの間に開始した各課税期間中に調整対象固定資産の課税仕入れ等を行い、その課税期間の確定申告を一般課税で行った場合には、その仕入れ等を行った課税期間の初日から原則として3年間は免税事業者になれず、2年間は簡易課税制度選択届出書を提出することもできません。調整対象固定資産とは、棚卸資産以外の資産(建物、機械装置、車両、工具器具備品など)で、一の取引単位の価額が税抜き100万円以上のものをいいます。
高額特定資産を取得した場合の制限
簡易課税制度・2割特例の適用を受けない課税期間中に、一の取引単位につき税抜き1,000万円以上の棚卸資産または調整対象固定資産(高額特定資産)の仕入れ等を行った場合は、その仕入れ等の日の属する課税期間の初日以後3年を経過する日の属する課税期間の初日の前日までの期間は、簡易課税制度選択届出書を提出できません。この期間中に既に届出書を提出していた場合は、その提出はなかったものとみなされます国税庁 No.6502 高額特定資産を取得した場合等の納税義務の免除等の特例。
基準期間の課税売上高が5,000万円を超えて一般課税で申告している期は、まさに「簡易課税の適用を受けない課税期間」です。この制限は、上の期間中に届出書を提出しようとする場合(期間中に提出した届出書を含みます)にかかるものです。たとえば、一般課税の期に不適用届出書を出して簡易課税をやめ、その後に簡易課税を選び直そうとする場合や、これから初めて届出書を出す場合に、この期に税抜き1,000万円以上の設備や不動産を取得していると、しばらく届出書を提出できなくなります。設備投資の時期と、届出の予定はあわせて検討することをおすすめします。
売上5000万円付近の一般課税と簡易課税の有利判定
基準期間の課税売上高が5,000万円以下に戻る期について、簡易課税で申告するか、不適用届出書を出して一般課税を続けるかは、事業の中身で結論が変わります。判断の軸はみなし仕入率と、実際の課税仕入れの割合の比較です。
事業区分とみなし仕入率
簡易課税のみなし仕入率は、事業区分に応じて次のとおり定められています。
| 第1種事業(卸売業) | 90% |
|---|---|
| 第2種事業(小売業、農業・林業・漁業 (飲食料品の譲渡に係る事業に限る)) |
80% |
| 第3種事業(農業・林業・漁業(飲食料品の譲渡に 係る事業を除く)、鉱業、建設業、製造業など) |
70% |
| 第4種事業(第1種・第2種・第3種・ 第5種・第6種事業以外の事業) |
60% |
| 第5種事業(運輸通信業、金融業および保険業、 サービス業(飲食店業に該当するものを除く)) |
50% |
| 第6種事業(不動産業) | 40% |
2種類以上の事業を営む場合は、事業ごとに課税売上げを区分して計算します。1種類の事業の課税売上高が全体の75パーセント以上を占める場合などには、その事業のみなし仕入率を全体の課税売上げに適用できる特例があります。反対に、事業ごとの区分をしていない部分には、その区分していない事業のうち一番低いみなし仕入率が適用されます。一般課税の期間を経て簡易課税に戻る期は、売上げを事業区分ごとに記録できているかを確認しておくと安心です。
なお、令和9年4月1日から令和11年3月31日までの2年間、飲食料品の譲渡について消費税率が引き下げられ、飲食料品の譲渡を行う事業者を対象とした簡易課税制度の計算方法の特例が設けられることが、国税庁から案内されています。飲食料品を扱う事業者は、国税庁の消費税率引下げ特設サイトで詳細を確認してください。
自前の設例による比較
ここでは考え方を分かりやすくするため、標準税率10%(消費税と地方消費税の合計)だけの取引とし、税額を「税抜金額×10%」で単純化して比較します。実際の申告では消費税と地方消費税を分けて計算するため、端数などは一致しません。
設例1:サービス業(第5種事業・みなし仕入率50%)。課税売上高4,900万円(税抜き)、課税仕入れ1,960万円(税抜き。課税売上高の40%)の場合です。
課税仕入れの割合(40%)がみなし仕入率(50%)を下回るため、この設例では簡易課税のほうが納付税額は49万円少なくなります。
設例2:卸売業(第1種事業・みなし仕入率90%)。課税売上高4,900万円(税抜き)、課税仕入れ4,508万円(税抜き。課税売上高の92%)の場合です。
課税仕入れの割合(92%)がみなし仕入率(90%)を上回るため、この設例では一般課税のほうが納付税額は9万8,000円少なくなります。
| 比較の結果 | 有利になりやすい方式 |
|---|---|
| 課税仕入れの割合がみなし仕入率を下回る | 簡易課税 |
| 課税仕入れの割合がみなし仕入率を上回る | 一般課税 |
簡易課税の控除額は売上げの税額にみなし仕入率を掛けて計算するため、多額の設備投資をした期でも、控除額が売上げの税額を上回ることはありません。設備投資や在庫の積み増しを予定している期は、一般課税のほうが結果的に有利になることもあります。どちらが有利かは、事業区分、課税仕入れの割合、投資計画をあわせて、期が始まる前に試算しておくことが大切です。
売上が一時的に5000万円を超えた年の申告の切替え例
実務でよくご相談いただくのが、「大口の受注で1期だけ売上が5,000万円を超えた」というケースです。3月決算の法人を例に、申告の切替えの流れを確認します(簡易課税制度選択届出書は提出済み、不適用届出書は未提出とします)。
| 事業年度 | 課税売上高と申告方法 |
|---|---|
| 令和5年4月〜令和6年3月期 | 課税売上高5,300万円(大口受注で一時的に増加) |
| 令和6年4月〜令和7年3月期 | 課税売上高4,700万円 |
| 令和7年4月〜令和8年3月期 | 基準期間(令和5年4月〜令和6年3月期)が5,300万円のため一般課税で申告 |
| 令和8年4月〜令和9年3月期 | 基準期間(令和6年4月〜令和7年3月期)が4,700万円のため、届出をし直さなくても簡易課税が適用される |
この例で、売上が5,000万円を超えた令和6年3月期そのものは、その期の基準期間で判定するため、売上の増加は2期後の令和8年3月期の申告方法に影響します。実務で押さえておきたいのは次の3点です。
- 一般課税になる期の前から準備する:令和7年4月以降の課税仕入れは仕入税額控除の対象になるため、請求書等の保存と区分経理を期首から整えておく
- 一般課税の期の設備投資と届出の予定をあわせて確認する:この期に不適用届出書を出して簡易課税をやめる場合は、税抜き1,000万円以上の資産を取得すると、選び直しの届出書を一定期間提出できなくなる
- 戻る期の有利判定を期首の前日までに終える:令和8年4月以降も一般課税を続けたいなら、令和8年3月31日までに不適用届出書を提出する(2年継続適用の制限に当たらないことが前提)
個人事業者であれば、令和6年の課税売上高が令和8年分の判定に、令和7年の課税売上高が令和9年分の判定に使われます。年の途中で「今年は5,000万円を超えそうだ」と分かった時点で、2年後の申告方法を見据えておくと、慌てずに済みます。
2割特例の終了と令和8年度税制改正
インボイス制度に関連して「2割特例と簡易課税の関係はどうなるのか」というご質問も多くいただきます。売上5,000万円付近の事業者にとっての関係を整理します。
2割特例の対象期間と対象者
2割特例は、インボイス制度を機に免税事業者からインボイス発行事業者として課税事業者になった方を対象に、納付税額を売上げの税額の2割とできる措置です。適用できる期間は令和5年10月1日から令和8年9月30日までの日の属する各課税期間で、基準期間における課税売上高が1,000万円を超える課税期間には適用できません国税庁 2割特例(インボイス発行事業者となる小規模事業者に対する負担軽減措置)の概要。
したがって、基準期間の課税売上高が5,000万円前後の事業者は、もともと2割特例の対象外です。2割特例が使えるのは、基準期間の課税売上高が1,000万円以下の事業者に限られます。
令和8年度税制改正で設けられた措置
令和8年度税制改正では、インボイス発行事業者の登録により免税事業者から課税事業者となった個人事業者について、令和9年分・令和10年分の消費税の申告で納付税額を売上げの税額の3割とできる「3割特例」が設けられました。主な要件は、基準期間(適用を受ける年の2年前)の課税売上高が1,000万円以下であることなどです。また、2割特例・3割特例の適用を受けた翌課税期間に簡易課税制度の適用を受けようとする場合は、その課税期間の申告期限までに届出書を提出すれば、その課税期間から簡易課税を適用できる措置も設けられています。
いずれも基準期間の課税売上高が1,000万円以下であることが前提の措置であり、5,000万円付近の事業者が判断に使うのは、これまでどおり一般課税と簡易課税の比較です。
売上5,000万円の前後では、どの期が一般課税になり、どの期に簡易課税へ戻るのかを2年先まで見通したうえで、設備投資や届出の時期を決める必要があります。売上の推移や投資計画をお持ちのうえで判断に迷う場合は、まずは税理士にご相談ください。
まとめ
簡易課税の売上5,000万円基準は、当期の売上ではなく基準期間の課税売上高で判定します。要点は次のとおりです。
- 判定に使うのは基準期間(個人は前々年、法人は原則として前々事業年度)の課税売上高
- 課税売上高は税抜きの課税売上げに免税売上げを加え、返品・値引き・割戻しを差し引いて計算する
- 基準期間に免税事業者だった場合は、売上げの金額をそのまま課税売上高とする
- 基準期間の課税売上高が5,000万円を超えた課税期間は一般課税で申告する
- 簡易課税制度選択届出書の効力は存続し、5,000万円以下に戻った課税期間から再び簡易課税が適用される
- 戻る期も一般課税を続けたいなら、その期の初日の前日までに不適用届出書が必要(2年継続適用に注意)
- 一般課税の期に高額特定資産を取得すると、簡易課税に戻れない期間が生じうる
- 有利判定は、課税仕入れの割合とみなし仕入率の比較が出発点
売上が5,000万円前後で推移している事業者ほど、2年後の申告方法を早めに見通しておくことが大切です。具体的なケースについては、税理士へのご相談をおすすめします。
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参考文献
- 国税庁 No.6505 簡易課税制度
- 国税庁 No.6501 納税義務の免除
- 国税庁 第4節 納税義務の免除
- 国税庁 基準期間において免税事業者であった者の課税売上高の判定
- 国税庁 No.6497 仕入税額控除のために保存する帳簿および請求書等の記載事項
- 国税庁 令和8年度税制改正特集
- 国税庁 D1-22 消費税簡易課税制度選択届出手続
- 国税庁 No.6502 高額特定資産を取得した場合等の納税義務の免除等の特例
- 国税庁 2割特例(インボイス発行事業者となる小規模事業者に対する負担軽減措置)の概要
簡易課税の売上5000万円基準のよくある質問まとめ
Q.簡易課税の5,000万円は今期の売上で判定しますか?
A.いいえ。基準期間(個人は前々年、法人は原則として前々事業年度)の課税売上高で判定します。今期の売上が5,000万円を超えていても、基準期間が5,000万円以下であれば今期は簡易課税を適用できます。
Q.基準期間の課税売上高が5,000万円を超えたら届出が必要ですか?
A.届出は不要です。その課税期間は一般課税で申告しますが、簡易課税制度選択届出書の効力は存続します。再び基準期間の課税売上高が5,000万円以下になった課税期間から、不適用届出書を出していない限り簡易課税が適用されます。
Q.課税売上高は税込みと税抜きのどちらで計算しますか?
A.原則として税抜きです。課税売上げ(税抜き)に輸出などの免税売上げを加え、返品・値引き・割戻しの金額を差し引きます。ただし、基準期間に免税事業者だった場合は、売上げの金額をそのまま課税売上高とします。
Q.5,000万円以下に戻った期も一般課税を続けられますか?
A.続けられます。その課税期間の初日の前日までに消費税簡易課税制度選択不適用届出書を提出します。ただし、届出の効力が生ずる課税期間の初日から2年を経過する日の属する課税期間の初日以後でなければ提出できません。
Q.一般課税の期に高額な設備を買うと影響はありますか?
A.影響する場合があります。簡易課税の適用を受けない課税期間に税抜き1,000万円以上の高額特定資産を取得すると、取得した課税期間の初日以後3年を経過する日の属する課税期間の初日の前日までは、簡易課税制度選択届出書を新たに提出できません。不適用届出書を出して簡易課税を選び直す場合などに影響します。
Q.売上5,000万円前後の事業者は2割特例を使えますか?
A.使えません。2割特例は基準期間の課税売上高が1,000万円以下の課税期間が対象で、適用期間も令和8年9月30日までの日の属する課税期間までです。5,000万円前後の事業者は一般課税と簡易課税の比較で判断します。


