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知って安心!配偶者居住権とは?自宅と生活費を守るための基礎知識

目次
  1. 配偶者居住権とは?基本的な仕組みを解説
  2. なぜ配偶者居住権ができたの?制度ができた背景
  3. 配偶者居住権のメリットは?
  4. 似ているけど違う!「配偶者短期居住権」との違い
  5. 配偶者居住権を設定すべきケースは?
  6. 配偶者の住まいを確実に守りたい場合
  7. 遺産のほとんどが自宅不動産の場合
  8. 配偶者に老後の生活資金もしっかり残したい場合
  9. 配偶者居住権を設定するための要件と手続き
  10. 設定するための3つの要件
  11. 設定するための具体的な手続き
  12. 知っておきたいデメリットと注意点
  13. 相続税の課税対象になる
  14. 売却や譲渡ができない
  15. 建物の所有者との関係性が重要に
  16. 配偶者居住権に関する相談先
  17. 弁護士
  18. 司法書士
  19. 税理士
  20. まとめ
  21. 参考文献
  22. 配偶者居住権のよくある質問まとめ

パートナーが亡くなった後、「この家に住み続けられるかな…」「生活費は大丈夫かな…」と不安に思う方は少なくありません。そんな不安を解消するために作られたのが「配偶者居住権」という制度です。この制度を上手に活用すれば、住み慣れた家での生活を守りながら、老後の生活資金もしっかり確保できる可能性があります。この記事では、配偶者居住権の基本的な仕組みから、メリット・デメリット、具体的な手続きまで、わかりやすく解説していきますね。

配偶者居住権とは?基本的な仕組みを解説

配偶者居住権とは、一言でいうと、亡くなった方(被相続人)が所有していた建物に、残された配偶者が生涯または一定期間、無償で住み続けられる権利のことです。2020年4月1日に施行された改正民法で新設された、比較的新しい制度なんですよ。この権利の大きな特徴は、建物の「住む権利(配偶者居住権)」と「所有する権利(所有権)」を分けて考える点にあります。これにより、配偶者は住む場所を確保しつつ、他の相続人との遺産分割を円滑に進めやすくなります。

なぜ配偶者居住権ができたの?制度ができた背景

この制度が作られた背景には、高齢化社会の進展があります。平均寿命が延び、夫婦のどちらかが亡くなった後、残された配偶者が長期間一人で生活するケースが増えました。
以前は、遺産が自宅不動産に偏っている場合、配偶者が自宅を相続すると、生活資金である預貯金をほとんど受け取れないという問題がありました。逆に、生活資金を優先すると、住み慣れた家を手放さざるを得ないことも…
このような状況を改善し、残された配偶者が「住む場所」と「生活資金」の両方を確保しやすくするために、配偶者居住権が導入されたのです。

配偶者居住権のメリットは?

配偶者居住権には、主に4つの大きなメリットがあります。これらを活用することで、より安心して遺産分割を進めることができますよ。

登記で権利を守れる 配偶者居住権は登記ができます。登記をしておけば、たとえ家の所有者が変わっても「ここに住む権利があります」と法的に主張できるので、安心して住み続けられます。
遺産分割がスムーズになる 自宅の価値を「居住権」と「所有権」に分けることで、配偶者が取得する財産の評価額を抑えられます。これにより、他の相続人との間で遺産分割のバランスが取りやすくなり、遺留分などのトラブルを避けやすくなります。
生活資金を確保しやすい 配偶者が取得する財産の評価額が下がる分、預貯金など他の財産を相続しやすくなります。老後の生活設計を立てる上で、これはとても大きなメリットですよね。
賃料の支払いが不要 配偶者居住権は、無償で住み続ける権利です。賃貸借契約のように毎月家賃を支払う必要がないため、経済的な負担を心配することなく暮らせます。

似ているけど違う!「配偶者短期居住権」との違い

配偶者居住権とよく似た名前で「配偶者短期居住権」というものがあります。これも残された配偶者の居住を守るための権利ですが、目的や期間が異なります。

配偶者居住権 配偶者短期居住権
配偶者の長期的な居住の安定を目的とする 遺産分割が終わるまでの一時的な居住の確保を目的とする
遺言や遺産分割協議などでの設定が必要 要件を満たせば自動的に発生
原則、終身(亡くなるまで)存続 最低でも相続開始から6か月間存続
登記できる(第三者に対抗できる) 登記できない
相続税の課税対象になる 相続税の課税対象にならない

配偶者短期居住権は、遺産分割が決まるまでの「仮住まい」を保障するようなイメージですね。一方で、配偶者居住権は、その後の生活を長期的に支えるための、より強力な権利といえます。

配偶者居住権を設定すべきケースは?

配偶者居住権はどんな場合でも設定した方が良いというわけではありません。ご家庭の状況によって向き不向きがあります。ここでは、配偶者居住権の活用が特に有効と考えられる3つのケースをご紹介します。

配偶者の住まいを確実に守りたい場合

何よりもまず「今の家に安心して住み続けてほしい」と願う場合に、配偶者居住権は非常に有効です。登記によって法的に強力に保護されるため、例えば家の所有権を相続した子どもが「家を売りたい」と言い出しても、配偶者の意思に反して退去させられることはありません。終身にわたる居住の安定を確実に確保したい場合に最適です。

遺産のほとんどが自宅不動産の場合

相続財産が「自宅の土地建物くらいで、預貯金はあまりない」というケースは少なくありません。このような場合、配偶者が自宅の所有権をまるごと相続してしまうと、他の相続人が受け取れる財産がほとんどなくなってしまい、不公平感からトラブルに発展することがあります。
配偶者居住権を使えば、自宅の価値を「居住権」と「所有権」に分けて、それぞれを配偶者と子が相続する、といった分割が可能になります。これにより、遺産分割のバランスを取りやすくなり、円満な解決につながります。

配偶者に老後の生活資金もしっかり残したい場合

配偶者には住む場所だけでなく、日々の生活や万が一の医療費・介護費に備えるための預貯金もしっかり残してあげたいですよね。
配偶者居住権は、所有権そのものを相続するよりも財産評価額が低くなります。そのため、遺産分割において配偶者が取得する財産の総額を調整しやすくなり、自宅に住み続ける権利と預貯金の両方を相続できる可能性が高まります。

配偶者居住権を設定するための要件と手続き

配偶者居住権を利用するためには、いくつかの要件を満たし、決められた手続きを踏む必要があります。ここでは、その具体的な内容を見ていきましょう。

設定するための3つの要件

配偶者居住権を設定するには、以下の3つの要件をすべて満たしている必要があります。

法律上の配偶者であること 亡くなった方と法律上の婚姻関係にあることが必要です。残念ながら、内縁関係や事実婚の場合は対象となりません。
亡くなった方の所有する建物に住んでいたこと 相続が始まったとき(亡くなった日)に、亡くなった方が所有していた建物に配偶者が居住していたことが要件です。
建物が第三者との共有でないこと 亡くなった方が、配偶者以外の第三者(例えば兄弟など)と建物を共有していた場合は、配偶者居住権を設定できません。ただし、配偶者との共有であれば設定は可能です。

設定するための具体的な手続き

配偶者居住権は自動的に発生するものではなく、設定するための手続きが必要です。主な方法は以下の3つです。

  • 遺言:亡くなる方が生前に遺言書を作成し、「配偶者に配偶者居住権を遺贈する」と明記しておく方法です。これが最も確実な方法と言えるでしょう。
  • 遺産分割協議:相続人全員の話し合い(遺産分割協議)で、配偶者が配偶者居住権を取得することに合意する方法です。合意した内容は遺産分割協議書に明記します。
  • 家庭裁判所の審判:遺産分割協議で話がまとまらない場合に、家庭裁判所に調停や審判を申し立て、その中で配偶者居住権の設定を認めてもらう方法です。

権利が設定されたら、必ず法務局で登記の手続きを行いましょう。登記をすることで、第三者に対しても権利を主張できるようになり、より安心して住み続けることができます。

知っておきたいデメリットと注意点

メリットの多い配偶者居住権ですが、いくつか注意すべき点もあります。設定してから後悔しないように、デメリットもしっかりと理解しておきましょう。

相続税の課税対象になる

配偶者居住権は、財産的価値のある権利とみなされるため、相続税の課税対象となります。もちろん、「配偶者の税額軽減」という制度を使えば、配偶者が取得した財産が1億6,000万円または法定相続分のいずれか多い金額までであれば、相続税はかかりません。しかし、相続財産全体で見て、申告が必要かどうかを判断する際には、配偶者居住権の評価額も計算に含める必要があります。評価額の計算は複雑なので、税理士などの専門家に相談することをおすすめします。

売却や譲渡ができない

配偶者居住権は、あくまでその配偶者一代限りの「住むための権利」です。そのため、第三者に売却したり、譲渡したりすることはできません。もし将来、老人ホームへの入居などで自宅が不要になったとしても、権利を売って資金に充てることはできない点に注意が必要です。また、所有者の承諾なしに建物を第三者に貸すこともできません。

建物の所有者との関係性が重要に

配偶者居住権を設定すると、「住む人(配偶者)」と「所有者(子など)」が別人になります。そのため、両者の関係性が良好でないと、トラブルに発展する可能性があります。
例えば、建物の修繕が必要になった場合の費用負担(通常の修繕費は配偶者負担)や、大規模なリフォームをしたい場合の承諾などで意見が対立することも考えられます。誰に所有権を相続させるかは、慎重に検討することが大切です。

配偶者居住権に関する相談先

配偶者居住権の設定を検討する際には、法務や税務の専門的な知識が必要になります。一人で悩まず、専門家に相談するのが安心です。状況に応じて、以下のような専門家が力になってくれますよ。

弁護士

相続人同士で意見が対立していたり、遺産分割協議がまとまらなそうだったりする場合には、弁護士への相談が適しています。相続人間の調整や交渉を代理で行うことができるのは弁護士だけです。法的な観点から、ご家庭の状況に最も合った遺産分割の方法を提案してくれます。

司法書士

遺産分割の方法がすでに決まっていて、主な手続きが登記だけであれば、司法書士に相談するのが良いでしょう。配偶者居住権は登記が必須なので、その手続きを専門家として正確に行ってくれます。不動産の名義変更(相続登記)も一緒に依頼できます。

税理士

相続税の申告が必要な場合や、節税について考えたい場合には、税理士への相談が欠かせません。配偶者居住権を設定した場合の相続税評価額の計算や、二次相続(配偶者が亡くなった時の相続)まで見据えた税金対策について、専門的なアドバイスをもらえます。

まとめ

今回は、配偶者居住権について詳しく解説しました。この制度は、残された配偶者が住み慣れた家で安心して暮らし続けられるように作られた、とても心強い仕組みです。

【配偶者居住権のポイント】

  • 亡くなった方の家に、生涯または一定期間、無償で住み続けられる権利です。
  • 「住む権利」と「所有権」を分けることで、生活資金を確保しつつ、円満な遺産分割を目指せます。
  • 設定するには、遺言や遺産分割協議などの手続きと、登記が必要です。
  • 売却や譲渡ができない、相続税の対象になるなどの注意点もあります。

配偶者居住権を上手に活用すれば、大切なパートナーの老後の生活を守ることができます。しかし、法務や税務の専門的な判断が必要になるため、設定を検討する際は、弁護士や税理士などの専門家によく相談してくださいね。

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参考文献

法務省:残された配偶者の居住権を保護するための方策が新設されます。

国税庁:No.4666 配偶者居住権等の評価

配偶者居住権のよくある質問まとめ

Q.配偶者居住権とは、簡単に言うと何ですか?

A.残された配偶者が、亡くなった方の所有する建物に、亡くなるまで(または一定期間)無償で住み続けられる権利のことです。所有権とは異なり、住むことだけが目的の権利です。

Q.配偶者居住権のメリットは何ですか?

A.配偶者は住み慣れた家に住み続けながら、預貯金など他の遺産も相続しやすくなる点がメリットです。遺産総額を抑えることで、子の相続負担を軽減できる場合もあります。

Q.配偶者居住権を設定するにはどうすればいいですか?

A.遺産分割協議、遺言、または家庭裁判所の審判によって設定できます。設定後は、第三者に対抗するために登記をすることが重要です。

Q.配偶者居住権が設定された家を売却することはできますか?

A.所有者の判断で売却は可能ですが、配偶者居住権が付いたままの状態になります。そのため、買い手を見つけるのは非常に困難です。配偶者の同意を得て権利を消滅させないと、実質的な売却は難しいでしょう。

Q.配偶者居住権を持つ配偶者が亡くなったら、権利はどうなりますか?

A.配偶者居住権は、その配偶者の一身専属の権利(その人だけの権利)であるため、亡くなると消滅します。他の相続人が権利を引き継ぐことはできません。

Q.配偶者居住権にデメリットはありますか?

A.はい。配偶者は家の売却や賃貸が自由にできず、建物の維持修繕費用を負担する必要があります。また、所有者となった子などが固定資産税を支払う必要があり、不動産の活用が制限される点がデメリットです。

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