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貸家建付地と底地の違い|相続税評価の計算方法と借地権割合・借家権割合

2026-07-31
目次

賃貸アパートの敷地や、他人に貸している土地を相続すると、その土地は「貸家建付地」や「底地(貸宅地)」として、自分で使う土地よりも低く評価されます。名前が似ているため混同されやすいのですが、権利関係も評価の計算方法もまったく異なります。ここでは、貸家建付地と底地の違いを整理したうえで、それぞれの相続税評価の計算方法、借地権割合・借家権割合の調べ方、相続時の注意点までをわかりやすく解説します。

貸家建付地と底地の違い

どちらも「土地を他人に利用させている」という点では共通しますが、貸しているものが「建物」か「土地そのもの」かで区別されます。まずはそれぞれの意味を確認します。

貸家建付地の意味

貸家建付地とは、自分の土地の上に自分でアパートや貸家などの建物を建て、その建物を他人に貸している場合の、その土地をいいます。土地の所有者と建物の所有者は同じで、借主は建物を借りているだけですが、借家人が建物に住むことで土地の利用も一定程度制約を受けるため、自用地よりも低く評価されます。国税庁 No.4614 貸家建付地の評価

底地(貸宅地)の意味

底地とは、他人に土地そのものを貸し、その土地の上に借主が自分の建物を建てている場合の、その貸している土地をいいます。相続税の評価上は貸宅地と呼ばれ、借主には借地権が生じます。土地の所有者は借地権という重い制約を負ったうえで地代を受け取る立場になるため、評価は大きく下がります。国税庁 No.4613 貸宅地の評価

両者の違いの整理

両者を分ける最大のポイントは、建物を誰が所有しているかです。貸家建付地では建物も土地も所有者本人のもので、貸しているのは建物です。底地では建物は借主のもので、貸しているのは土地そのものです。この違いにより、底地には借地権という強い権利が発生し、評価の減額幅も貸家建付地より大きくなる傾向があります。同じ自用地評価額の土地でも、底地のほうが評価額が低くなりやすい点が、相続税の負担を考えるうえで重要になります。

貸家建付地の相続税評価

貸家建付地の価額は、自用地としての価額から、借地権割合・借家権割合・賃貸割合を掛け合わせた分を差し引いて計算します。

自用地としての価額 − 自用地としての価額 × 借地権割合 × 借家権割合 × 賃貸割合 = 貸家建付地の価額

賃貸割合とは、その建物の各独立部分(各部屋)の床面積のうち、実際に賃貸されている部分が占める割合で、次の式で求めます。

賃貸されている各独立部分の床面積の合計 ÷ その家屋の各独立部分の床面積の合計 = 賃貸割合

たとえば自用地としての価額が5,000万円、借地権割合が70%、借家権割合が30%、賃貸割合が100%のアパート敷地であれば、評価額は次のとおりです。

5,000万円 − 5,000万円 × 70% × 30% × 100% = 3,950万円

この例では自用地評価額に対して1,050万円、約21%の減額となります。満室に近いほど賃貸割合が高くなり、減額も大きくなります。

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底地(貸宅地)の相続税評価

底地(貸宅地)の価額は、自用地としての価額から借地権部分を差し引いて計算します。借地権が設定されている場合の基本的な計算式は次のとおりです。

自用地としての価額 − 自用地としての価額 × 借地権割合 = 貸宅地の価額

先ほどと同じ自用地としての価額5,000万円、借地権割合70%の土地を底地として貸している場合、評価額は次のようになります。

5,000万円 − 5,000万円 × 70% = 1,500万円

同じ自用地評価額でも、貸家建付地では3,950万円だったのに対し、底地では1,500万円まで下がります。土地そのものに借地権という強い権利が付いている分、底地の減額幅が大きくなることがわかります。なお、借主に借りている土地を借地権として評価する場合は、自用地としての価額に借地権割合を乗じて求めます。国税庁 No.4611 借地権の評価

評価で使う割合と調べ方

評価額を左右する借地権割合と借家権割合は、いずれも国税庁が公表する基準によって決まります。自分で好きな数字を使うことはできません。

借地権割合

借地権割合は、借地事情が似ている地域ごとに定められ、路線価図や評価倍率表に表示されています。路線価図では、路線価の右横に記号(AからG)が付され、Aが90%、Gが30%というように10%刻みで示されます。地域によって割合が異なるため、対象地の路線価図を必ず確認する必要があります。

借家権割合

借家権割合は、貸家建付地や貸家の評価に用いる割合で、全国的に30%とされています。国税庁 No.4602 土地家屋の評価路線価図の見方や借地権割合の調べ方については、次のコラムもあわせてご覧ください。

関連コラム借地権の相続税評価|借地権割合と評価方法をわかりやすく解説
関連コラム相続した不動産の路線価の調べ方|国税庁サイトでの評価手順

相続時の注意点

貸家建付地や底地の評価では、次の点に注意が必要です。

賃貸割合と空室の扱い

貸家建付地の減額は、実際に賃貸されている部分についてのみ認められるのが原則です。相続開始時に空室があると、その部分は賃貸割合に含まれず減額が小さくなります。ただし、継続的に賃貸されてきた物件で、一時的な空室と認められる場合は、賃貸中として扱える余地があります。空室期間や募集状況などの事情によって判断が分かれるため、記録を残しておくことが大切です。

小規模宅地等の特例との関係

貸家建付地や底地が被相続人の貸付事業に使われていた場合、一定の要件を満たせば小規模宅地等の特例のうち貸付事業用宅地等として、200㎡までの部分について評価額を50%減額できます。貸家建付地としての評価減と重ねて適用できるため、相続税の負担を大きく抑えられる可能性があります。国税庁 No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)

評価見直しの動向

貸付用不動産の相続税評価については、近年見直しの議論が続いています。適用時期や要件は最新の情報を確認することが重要です。詳しくは次のコラムで解説しています。

関連コラム令和8年度税制改正 貸付用不動産の相続税評価見直しと5年ルール

個別の空室判定や小規模宅地等の特例の適用可否など、具体的なケースは税理士へのご相談をおすすめします。

まとめ

貸家建付地は「自分の建物を貸している土地」、底地は「土地そのものを貸している土地」で、貸しているものが建物か土地かが両者を分ける決め手です。貸家建付地は自用地評価額から借地権割合・借家権割合・賃貸割合を掛けた分を差し引き、底地は借地権割合分を差し引いて評価します。同じ土地でも底地のほうが減額幅は大きくなりやすく、借家権割合は全国一律30%、借地権割合は路線価図で地域ごとに確認します。空室の扱いや小規模宅地等の特例の適用によって最終的な評価額は大きく変わるため、正確な評価には専門家の確認が有効です。

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参考文献

貸家建付地と底地の違いのよくある質問まとめ

Q. 貸家建付地と底地の違いは何ですか。

A. 貸家建付地は自分の土地に自分の建物を建てて貸している場合の土地で、貸しているのは建物です。底地は土地そのものを他人に貸し、その上に借主が建物を建てている場合の土地で、貸しているのは土地です。建物を誰が所有しているかが違いの決め手です。

Q. 貸家建付地の評価額はどのように計算しますか。

A. 自用地としての価額から、自用地としての価額に借地権割合・借家権割合・賃貸割合を掛けた金額を差し引いて計算します。満室に近いほど賃貸割合が高くなり、減額も大きくなります。

Q. 底地(貸宅地)の評価額はどのように計算しますか。

A. 借地権が設定されている場合は、自用地としての価額から、自用地としての価額に借地権割合を掛けた金額を差し引いて計算します。同じ土地でも貸家建付地より減額幅が大きくなりやすいのが特徴です。

Q. 借家権割合は何%ですか。

A. 貸家や貸家建付地の評価に用いる借家権割合は、全国的に30%とされています。

Q. 借地権割合はどこで調べられますか。

A. 借地権割合は地域ごとに定められ、国税庁が公表する路線価図や評価倍率表で確認できます。路線価図ではAからGの記号で示され、Aが90%、Gが30%というように10%刻みで表されます。

Q. 貸家建付地や底地に小規模宅地等の特例は使えますか。

A. 被相続人の貸付事業に使われていた土地であれば、一定の要件を満たすことで貸付事業用宅地等として200㎡までの部分の評価額を50%減額できる場合があります。適用可否は要件により異なるため確認が必要です。

事務所概要
社名
税理士法人プライムパートナーズ
住所
〒107-0052
東京都港区赤坂5丁目2−33
IsaI AkasakA 17階
対応責任者
税理士 島本 雅史

本記事は正確な情報提供を心掛けておりますが、執筆時点の情報に基づいているため、法改正や人的ミス、個別のケースにより適用が異なる可能性があります。最新の情報や具体的なご相談については、お気軽に弊法人の税理士までお問い合わせください。

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