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亡くなった人の銀行口座・通帳を解約するには|必要書類と本人以外の手続き

目次
  1. そもそも本人以外が解約できる?故人の口座を手続きできる人
  2. まず初めにやるべきこと:銀行への連絡と口座凍結
  3. 銀行口座の解約手続き、4つのパターンと必要書類
  4. 【共通】どのパターンでも必ず用意する書類チェックリスト
  5. 【パターン1】遺言書があり、遺言執行者がいる場合
  6. 【パターン2】遺言書があり、遺言執行者がいない場合
  7. 【パターン3】遺言書がなく、遺産分割協議書がある場合
  8. 【パターン4】遺言書も遺産分割協議書もない場合
  9. 必要書類の入手方法と注意点
  10. 解約する前に「残高証明書」と取引履歴を取っておきましょう
  11. 故人の通帳やキャッシュカードが見つからないときは
  12. 急な出費に!遺産分割前の預貯金払戻し制度
  13. 150万円を超えるお金がどうしても必要なときは
  14. 金融機関によって手続きは違う?ゆうちょ銀行などの注意点
  15. 手続き全体の流れと完了までの期間
  16. 相続人に認知症の方・未成年者・行方不明の方がいるときは
  17. 相続人が海外在住・遠方にいるときの進め方
  18. いつまでに解約する?意識しておきたい3つの期限
  19. まとめ
  20. 亡くなった人の銀行口座解約手続きのよくある質問まとめ

亡くなった人の銀行口座を解約するには、①取引銀行へ死亡を連絡する → ②戸籍謄本・印鑑証明書・遺産分割協議書(または遺言書)をそろえる → ③銀行所定の相続届を出して払い戻してもらう、の3ステップで進めます。手続きをするのは名義人本人ではなく、相続人・遺言執行者・その代理人です。書類がそろってから入金までは、おおむね1〜2週間が目安になります。
大切なご家族が亡くなられた後、深い悲しみの中、さまざまな手続きに追われることになります。その中でも、亡くなった人の銀行口座(通帳)の解約は、相続において避けては通れない大切な手続きの一つです。「本人以外でも解約できるの?」「故人の通帳が見つからない」「ゆうちょ銀行と都市銀行で手続きは違うの?」と、戸惑われる方はとても多いです。でも、ご安心ください。この記事では、故人の銀行口座を解約するときの必要書類と流れを、できるだけ分かりやすく順を追ってご説明しますね。亡くなったのが親御さんでも、配偶者やご兄弟でも、考え方は同じです。この記事を読めば、落ち着いて手続きを進めることができるはずです。

先に知っておきたいこと 結   論
誰が解約できる? 相続人(代表相続人)・遺言執行者・相続人から委任を受けた代理人。名義人本人以外が行う手続きです。
最低限そろえる書類は? 亡くなった方の出生から死亡までの連続した戸籍謄本、相続人全員の戸籍謄本と印鑑証明書、遺産分割協議書または遺言書、銀行所定の相続届。
どのくらいかかる? 書類提出から払戻しまで1〜2週間程度。戸籍集めを含めた全体では1か月前後を見ておくと安心です。
急ぎでお金が必要なときは? 遺産分割前でも、1金融機関あたり150万円を上限に相続人が単独で払い戻せる仮払い制度が使えます。

そもそも本人以外が解約できる?故人の口座を手続きできる人

口座の名義人が亡くなった後は、当然ながらご本人が手続きをすることはできません。そのため、銀行口座の解約は必ず「本人以外」の方が行う手続きになります。ただし、誰でもよいわけではなく、手続きができるのは次のいずれかの立場の方です。

手続きできる人 説   明
相続人(代表相続人) 最も一般的なパターンです。相続人のうち1人が代表として窓口に行き、ほかの相続人の同意書類(実印・印鑑証明書など)をそろえて手続きします。
遺言執行者 遺言書で指定されている場合、その方が単独で解約手続きを進められます。
相続人から委任を受けた代理人 司法書士・税理士・弁護士などの専門家や、ほかのご親族に依頼する形です。委任状と代理人の本人確認書類が必要になります。

一方で、同居していたご家族であっても、相続人でなければ単独で解約することはできません。「亡くなった親の通帳と印鑑を預かっているから」という理由だけでは手続きできない、という点はぜひ覚えておいてください。なお、名義人が生きている間に本人以外がキャッシュカードで引き出すことと、亡くなった後の相続手続きは、まったく別物としてお考えいただくと分かりやすいです。

まず初めにやるべきこと:銀行への連絡と口座凍結

親御さんが亡くなられたら、まず最初に行うべきことは、取引のあった銀行へ死亡の事実を連絡することです。連絡をすると、その口座は「口座凍結」という状態になります。これは、亡くなった方の財産を保護し、相続人が確定するまで誰も預金を引き出せないようにするための重要な措置です。公共料金などの引き落としも止まってしまうので、必要に応じて契約先に連絡し、支払い方法の変更手続きも進めましょう。
連絡をしないまま預金を引き出してしまうと、借金などのマイナスの財産も含めてすべて相続する「単純承認」と見なされ、後で相続放棄ができなくなる可能性もあるため、注意が必要です。

銀行口座の解約手続き、4つのパターンと必要書類

銀行口座の解約手続きは、故人が遺言書を残しているか、また相続人同士で話し合う遺産分割協議書があるかによって、必要な書類や手順が変わってきます。ご自身の状況がどのパターンに当てはまるかを確認し、それに合った準備を進めましょう。

【共通】どのパターンでも必ず用意する書類チェックリスト

まずは、4つのパターンに共通して求められる書類を一覧にまとめました。ここから先に集め始めていただくと、手戻りがありません。

書  類 入手先 ポイント
銀行所定の相続届(相続手続依頼書・払戻請求書) 取引銀行 死亡の連絡をすると送ってもらえます。押印は実印です。
亡くなった方の戸籍謄本(死亡の記載があるもの) 市区町村役場 死亡届の提出から記載までに1週間程度かかることがあります。
亡くなった方の出生から死亡までの連続した戸籍謄本 市区町村役場 相続人を確定するための書類。パターン1(遺言執行者あり)では省略できる銀行もあります。
相続人の戸籍謄本 市区町村役場 相続人であることと、現在ご存命であることの確認に使います。
相続人の印鑑証明書 市区町村役場・コンビニ交付 発行後3か月または6か月以内など、銀行ごとに期限があります。
手続きをする方の本人確認書類 ご本人 運転免許証・マイナンバーカードなど。窓口で提示します。
亡くなった方の通帳・キャッシュカード・届出印 ご自宅など 見つからなくても手続きは進められます(後述)。

ここに、パターンごとの追加書類(遺言書・遺産分割協議書など)が乗るイメージです。必要書類の集め方をもう少し詳しく確認したい方は、相続税申告の必要書類一覧|全員必須と財産別の集め方もあわせてご覧ください。

【パターン1】遺言書があり、遺言執行者がいる場合

遺言書で「遺言執行者」が指定されている場合は、手続きが比較的スムーズに進みます。遺言執行者が中心となって、解約手続きを進めることになります。

必要書類 説   明
遺言書(原本) 自筆証書遺言の場合は、家庭裁判所の「検認済証明書」が必要です。公正証書遺言の場合は不要です。
亡くなった方の戸籍謄本 死亡の事実が記載されているものが必要です。
遺言執行者の印鑑証明書 発行から6ヶ月以内のものを用意しましょう。
預金を受け取る方の実印と印鑑証明書 遺言執行者とは別に、預金を受け取る相続人のものも必要になる場合があります。
亡くなった方の通帳・キャッシュカード等 紛失した場合は、その旨を銀行に伝えましょう。
銀行所定の払戻請求書 銀行の窓口でもらえます。遺言執行者の実印を押印します。

【パターン2】遺言書があり、遺言執行者がいない場合

遺言書はあるものの、遺言執行者が指定されていない場合は、相続人全員で手続きを行うか、家庭裁判所で遺言執行者を選任してもらう必要があります裁判所 遺言執行者の選任。なお、自筆証書遺言は、家庭裁判所で「検認」を受けてからでないと銀行の手続きに使えません裁判所 遺言書の検認。ここでは、相続人全員で手続きを行う場合の必要書類をご案内します。

必要書類 説   明
遺言書(原本)と検認済証明書 公正証書遺言以外は、家庭裁判所の検認手続きが必要です。
亡くなった方の戸籍謄本 死亡の事実が記載されているものが必要です。
相続人全員の戸籍謄本 相続関係を確認するために必要です。
預金を受け取る方の印鑑証明書 発行から6ヶ月以内のものを用意しましょう。
亡くなった方の通帳・キャッシュカード等 見つからない場合は銀行に相談してください。
銀行所定の払戻請求書 銀行の窓口でもらえます。預金を受け取る相続人の実印を押印します。

【パターン3】遺言書がなく、遺産分割協議書がある場合

遺言書がない場合、相続人全員で遺産の分け方を話し合い、「遺産分割協議書」を作成します。この協議書に基づいて、銀行は手続きを進めてくれます。

必要書類 説   明
遺産分割協議書(原本) 相続人全員の署名と実印の押印が必要です。
亡くなった方の出生から死亡までの連続した戸籍謄本 相続人を確定させるために必ず必要になります。
相続人全員の戸籍謄本 現在の戸籍謄本が必要です。
相続人全員の印鑑証明書 発行から6ヶ月以内など、銀行によって有効期限が定められています。
亡くなった方の通帳・キャッシュカード等 手元にあるものをすべて持参しましょう。
銀行所定の払戻請求書 預金を受け取る代表相続人の実印を押印します。

【パターン4】遺言書も遺産分割協議書もない場合

遺言書も遺産分割協議書もない場合は、法定相続分に従って分けるか、相続人全員の同意のもとで手続きを進めることになります。この場合、銀行所定の書類に相続人全員が署名・捺印する必要があります。

必要書類 説   明
亡くなった方の出生から死亡までの連続した戸籍謄本 相続人を確定させるために必要です。集めるのに時間がかかることもあります。
相続人全員の戸籍謄本 現在の戸籍謄本が必要です。
相続人全員の印鑑証明書 手続きに参加する相続人全員分が必要です。
亡くなった方の通帳・キャッシュカード等 故人の口座に関するものはすべて用意しましょう。
銀行所定の払戻請求書 相続人全員の署名と実印の押印が必要です。

※上記は一般的な例です。金融機関によって必要書類が異なる場合があるため、必ず事前に取引銀行に確認してください。

必要書類の入手方法と注意点

相続手続きで特に準備が大変なのが「亡くなった方の出生から死亡までの連続した戸籍謄本」です。本籍地を何度も変更している場合、それぞれの市区町村役場から取り寄せる必要があり、時間がかかることがあります。2024年3月からは、最寄りの市区町村役場で全国の戸籍謄本をまとめて請求できる「広域交付制度」も始まっていますので、活用すると便利です。

また、印鑑証明書は、多くの銀行で発行後3ヶ月または6ヶ月以内と有効期限が定められています。手続きに行く直前に取得するのが安心です。

複数の銀行に口座がある場合は、法務局の「法定相続情報証明制度」を使うと負担がぐっと軽くなります。これは、集めた戸籍謄本一式をもとに相続関係を一覧にした「法定相続情報一覧図の写し」を法務局が交付してくれる制度で、写しを必要枚数もらっておけば、各銀行に戸籍の束を何度も出し直す必要がなくなります法務局 「法定相続情報証明制度」について。交付にかかる手数料は無料です。取り方の詳しい手順は法定相続情報一覧図とは|法務局での作り方と使える手続きにまとめています。

解約する前に「残高証明書」と取引履歴を取っておきましょう

これは税理士として、ぜひお伝えしておきたいポイントです。口座を解約してしまう前に、相続開始日(亡くなった日)時点の残高証明書を発行してもらってください。相続税の申告では、通帳の最終残高ではなく「亡くなった日の残高」で預貯金を評価します。定期預金がある場合は、その日に解約したと仮定して計算する既経過利息も財産に含める必要があるため、残高証明書には「既経過利息を含む」形での発行を依頼しておくと安心です国税庁 No.4105 相続税がかかる財産。
あわせて、過去5〜10年分の取引履歴(入出金明細)も請求しておくことをおすすめします。理由は3つあります。

  • ほかの財産が見つかる:保険料の引き落とし、証券会社への送金、家賃収入などから、気づいていなかった財産が分かります。
  • 名義預金の確認ができる:ご家族名義の口座でも、お金の出どころが亡くなった方であれば、相続財産として申告が必要になることがあります。
  • 相続人の間の説明材料になる:生前の大きな出金について、ほかの相続人から使い道を尋ねられたときに、履歴があれば冷静に説明できます。

残高証明書は解約後でも取得できますが、窓口へ行く回数を減らすためにも、相続届を出すときに同時に依頼するのが効率的です。取得方法の詳細は相続で残高証明書は必須!取得方法と5つの注意点をご覧ください。

故人の通帳やキャッシュカードが見つからないときは

「亡くなった人の通帳を解約したいけれど、そもそも通帳が見当たらない」というご相談も少なくありません。結論から申し上げると、通帳やキャッシュカード、届出印がなくても解約手続きは進められます。銀行にその旨を伝え、所定の喪失届などを提出すれば対応してもらえます。
どの銀行に口座があるか分からない場合は、次のような手がかりから探してみてください。

  • 郵便物(残高のお知らせ、カードの利用明細など)
  • ご自宅にあるノベルティのタオル・カレンダー・粗品
  • 公共料金やクレジットカードの引き落とし履歴
  • スマートフォンやパソコンに残るネットバンキングのアプリ・ブックマーク

心当たりのある金融機関には、支店を問わず「全店照会」を依頼できることが一般的です。口座の有無と残高を確認できれば、相続税の申告や遺産分割協議の資料としてもそのまま使えます。なお、照会の可否・手数料・様式は金融機関ごとに異なりますので、各行の案内をご確認ください。

急な出費に!遺産分割前の預貯金払戻し制度

「葬儀費用など、すぐにお金が必要なのに口座が凍結されて困った…」という場合のために、「預貯金の仮払い制度」があります。これは、遺産分割協議が終わる前でも、相続人が単独で一定額の預金を引き出せる制度ですe-Gov法令検索 民法第909条の2。

引き出せる金額には上限があり、以下の計算式で求められる金額か、150万円のどちらか低い方の金額となります。

(相続開始時の預金残高)× 1/3 ×(払戻しを求める相続人の法定相続分) ≦ 150万円

例えば、預金残高が900万円で、相続人が配偶者と子供2人だった場合、配偶者が単独で引き出せる額は以下のようになります。

計算式 900万円 × 1/3 × 1/2(配偶者の法定相続分) = 150万円
払戻し可能額 150万円(上限額)

この制度は金融機関ごとに利用できるので、複数の銀行に口座があれば、それぞれの銀行で手続きが可能です。ただし、引き出したお金の使い道は他の相続人にきちんと説明できるように、領収書などを保管しておきましょう。遺産分割前に払い戻したお金は、あとで遺産分割の対象に戻して計算するのが原則ですe-Gov法令検索 民法第906条の2。凍結後の引き出し方をもう少し詳しく知りたい方は、口座凍結後の引き出し方法|死亡後の払戻し制度と手続きの流れもあわせてどうぞ。

150万円を超えるお金がどうしても必要なときは

入院費や相続債務の支払いなどで、仮払い制度の上限では足りないこともあります。その場合の選択肢が、家庭裁判所で「預貯金債権の仮分割の仮処分」という手続きを求めるやり方です。遺産分割の調停や審判を申し立てたうえで、必要性を裁判所に認めてもらえれば、上限を超える額の払戻しが認められることがありますe-Gov法令検索 家事事件手続法第200条。ただし、ほかの相続人の利益を害する場合は認められませんし、手続きにも時間がかかります。まずは仮払い制度や相続人同士の立替えで対応できないかを検討し、それでも難しいときの選択肢とお考えください。

金融機関によって手続きは違う?ゆうちょ銀行などの注意点

相続手続きの大きな流れ(連絡 → 書類収集 → 提出 → 払戻し)は、どの金融機関でも共通です。ただし、提出する書式の名称、必要書類の細かい範囲、印鑑証明書の有効期限、受付できる窓口、払戻しまでの日数は金融機関ごとに異なります。ここは一般論で決め打ちせず、必ず口座のある金融機関の案内をご確認ください。
特に、次のような違いが出やすいポイントを押さえておくと安心です。

  • 受付窓口:相続専用のセンターに電話して書類を郵送してもらう方式か、支店の窓口へ出向く方式か。
  • 書類の名称:「相続届」「相続手続依頼書」「払戻請求書」など、呼び方が各行で違います。
  • ゆうちょ銀行:全国どの店舗・郵便局の貯金窓口でも受付でき、まず「相続確認表」を提出してから必要書類の案内を受ける、という段階を踏む方式です。通常貯金だけでなく、定額貯金・定期貯金・投資信託なども併せて確認しておきましょう(詳しくはゆうちょ銀行の相続手続き|3ステップの流れと必要書類・日数の目安)。
  • ネット銀行:通帳がないため、まずはWebサイトの相続手続き窓口から連絡する形が中心です。
  • 信用金庫・農協(JAバンク):出資金がある場合、預金とは別に持分の払戻し手続きが必要になることがあります。

口座が複数ある場合は、金融機関ごとに同じ書類一式を求められます。前述の法定相続情報一覧図の写しを人数分・機関数分そろえておくと、並行して進めやすくなります。

手続き全体の流れと完了までの期間

故人の銀行口座を解約するまでの、大まかな流れをまとめました。

  1. 銀行へ連絡:電話または窓口で死亡の事実を伝え、手続きの案内と必要書類を受け取ります。
  2. 遺言書の確認・遺産分割協議:遺言書の有無を確認し、なければ相続人全員で遺産の分け方を話し合います。
  3. 必要書類の収集:戸籍謄本や印鑑証明書などを市区町村役場で取得します。
  4. 銀行窓口で手続き:集めた書類と銀行所定の請求書を提出します。来店予約をしておくとスムーズです。
  5. 払戻しの実行:書類に不備がなければ、通常1週間から2週間程度で指定した相続人の口座に預金が振り込まれ、解約手続きは完了です。

日数の目安をもう少し具体的に知りたい方は、銀行の相続手続きにかかる日数は約1ヶ月|金融機関別の目安と短縮する4つの方法もご覧ください。

相続人に認知症の方・未成年者・行方不明の方がいるときは

銀行の相続手続きでは、原則として相続人全員の意思表示(署名と実印)が必要です。そのため、相続人の中に自分で判断することが難しい方がいる場合は、手続きに入る前にひと手間が必要になります。ここでつまずいてしまう方がとても多いので、当てはまりそうなら早めに準備を始めてください。

相続人の状況 必要になる手続き
認知症などで判断能力が十分でない方がいる 家庭裁判所に成年後見人等の選任を申し立て、後見人が本人に代わって手続きします裁判所 後見開始。
未成年のお子さんが相続人になっている 親権者も相続人の場合は利益が相反するため、家庭裁判所に特別代理人の選任を申し立てます裁判所 特別代理人選任。
連絡が取れない・行方が分からない相続人がいる 家庭裁判所に不在者財産管理人の選任を申し立て、その方が代わりに協議に参加します裁判所 不在者財産管理人選任。
相続放棄をした方がいる その方は最初から相続人でなかった扱いになるため、家庭裁判所の相続放棄申述受理通知書(または証明書)を銀行に提出します。

いずれも家庭裁判所の手続きになるため、申立てから選任まで1〜3か月程度かかることが一般的です。相続税の申告期限との兼ね合いもありますので、「そういえば……」と思い当たることがあれば、口座解約の前に早めに動き出しましょう。

相続人が海外在住・遠方にいるときの進め方

海外にお住まいの相続人がいる場合、日本の住民票や印鑑証明書が取れないことがあります。その場合は、現地の日本大使館・総領事館で発行してもらう「サイン証明(署名証明)」と「在留証明」が、印鑑証明書や住民票の代わりになります。遺産分割協議書には実印を押す代わりに、領事の面前で署名し、その署名が本人のものであることを証明してもらう形です。
また、国内でも「銀行が遠方で窓口に行けない」というご相談はよくあります。多くの金融機関は郵送での相続手続きに対応していますので、まずは電話で相続の発生を伝え、書類一式を送ってもらいましょう。遺産分割協議書も、相続人が全員そろって集まる必要はなく、同じ内容の書面を1人ずつ順番に回して署名・押印する方法(持ち回り)で問題ありません。作り方は遺産分割協議書を自分で作成する手順|書き方と相続税申告の注意点で詳しくご説明しています。

いつまでに解約する?意識しておきたい3つの期限

銀行口座の解約そのものに、法律上の期限はありません。ただし、解約を後回しにすると間に合わなくなる手続きがあります。次の3つの期限だけは、頭の片隅に置いておいてください。

期  限 内  容
3か月以内 相続放棄・限定承認の申述期限です。この期間内に故人の預金を引き出して使ってしまうと、相続を承認したとみなされて放棄できなくなるおそれがあります裁判所 相続の放棄の申述。
4か月以内 亡くなった方の準確定申告の期限です。家賃収入や事業収入があった方は、取引履歴が資料として必要になります国税庁 No.2022 納税者が死亡したときの確定申告(準確定申告)。
10か月以内 相続税の申告・納付の期限です。残高証明書は申告書の添付資料になりますし、納税資金も預金から用意することが多いため、逆算すると遅くとも8か月目までには解約を済ませておきたいところです国税庁 No.4205 相続税の申告と納税。

なお、長期間まったく取引のない口座は「休眠預金」として扱われることがありますが、その場合でも手続きをすれば払戻しを受けられます。「何年も放置してしまった」という場合でも、あきらめずに金融機関へご相談ください。期限のある相続手続きの全体像は、相続手続きの期限一覧|死亡後にやること全体像を税理士が解説で一覧にしています。

まとめ

亡くなった人の銀行口座(通帳)の解約は、必要書類が多く、少し複雑に感じるかもしれません。しかし、一つひとつの手順を落ち着いて進めていけば、必ず完了できます。

まずは、取引のあった銀行へ連絡し、ご自身の状況(遺言書の有無など)に合った必要書類を確認することから始めましょう。戸籍謄本の収集には時間がかかる場合があるので、早めに準備を始めるのがポイントです。もし手続きに不安があったり、時間がなかったりする場合は、銀行の相続専門窓口や専門家に相談することも一つの方法です。預金の額が大きく相続税の申告が必要になりそうなときは、相続税申告の完全ガイド|期限・流れ・必要書類と特例もあわせてご確認ください。税理士法人プライムパートナーズでも、預貯金の評価から申告まで一貫してお手伝いしています。この記事が、あなたの大変な時期の助けになれば幸いです。

【参考文献】
・法務省:戸籍法の一部を改正する法律について(令和6年3月1日施行)
・国税庁:No.2022 納税者が死亡したときの確定申告(準確定申告)
・法務局:「法定相続情報証明制度」について
・e-Gov法令検索:民法第906条の2・第909条の2
・e-Gov法令検索:家事事件手続法第200条
・国税庁:No.4105 相続税がかかる財産
・国税庁:No.4205 相続税の申告と納税
・裁判所:相続の放棄の申述

亡くなった人の銀行口座解約手続きのよくある質問まとめ

Q. 亡くなった親の銀行口座を解約するのに、最低限必要な書類は何ですか?

A. 一般的には、①亡くなった方の出生から死亡までの連続した戸籍謄本、②相続人全員の現在の戸籍謄本、③相続人全員の印鑑証明書、④遺産分割協議書または遺言書、⑤亡くなった方の通帳・キャッシュカードなどが必要です。金融機関によって異なる場合があるため、事前に確認しましょう。

Q. 遺言書や遺産分割協議書がない場合は手続きできませんか?

A. 手続きは可能です。その場合、銀行所定の相続届出書に、相続人全員が署名・捺印(実印)し、全員分の印鑑証明書を提出する必要があります。

Q. 通帳やキャッシュカード、届出印が見つからない場合はどうすればよいですか?

A. 紛失した場合でも手続きは可能です。銀行にその旨を伝え、所定の紛失届などを提出します。届出印が不明な場合も、相続人代表者の実印で手続きできることが多いです。

Q. 口座はいつ凍結されるのですか?

A. 銀行が口座名義人の死亡の事実を知った時点で、口座は凍結されます。親族などからの申し出によって知ることが一般的です。一度凍結されると、相続手続きが完了するまで入出金や引き落としは一切できなくなります。

Q. 相続人が複数いる場合、手続きは誰がすればよいですか?

A. 相続人の代表者一人が窓口で手続きを行うのが一般的です。ただし、手続きには原則として相続人全員の同意と、戸籍謄本や印鑑証明書などの書類が必要になります。

Q. 本人以外が亡くなった人の銀行口座を解約できますか?

A. 名義人が亡くなっている以上、手続きは必ず本人以外が行います。手続きできるのは相続人(代表相続人)、遺言書で指定された遺言執行者、相続人から委任を受けた代理人です。同居のご家族でも、相続人でなければ単独では解約できません。

Q. ゆうちょ銀行など、金融機関によって手続きは違いますか?

A. 流れ自体はどこも同じですが、書類の名称や必要書類の範囲、印鑑証明書の有効期限、払戻しまでの日数は金融機関ごとに異なります。ゆうちょ銀行は全国の貯金窓口で受付でき、まず相続確認表を提出してから案内を受ける方式です。詳細は各金融機関の案内をご確認ください。

Q. 亡くなった人の銀行口座を解約するには、どのくらい日数がかかりますか?

A. 銀行に書類を提出してから払戻しまでは、不備がなければ1週間から2週間程度が目安です。戸籍謄本や印鑑証明書を集める期間を含めると、全体で1か月前後を見ておくと安心です。相続人が多い場合や家庭裁判所の手続きが必要な場合は、さらに時間がかかります。

Q. 口座を解約する前にやっておくべきことはありますか?

A. 相続開始日時点の残高証明書と、過去5年から10年分の取引履歴を取得しておきましょう。相続税の申告では亡くなった日の残高で評価し、定期預金は既経過利息も財産に含めます。取引履歴からほかの財産や名義預金が見つかることもあります。

Q. 相続人に認知症の方や行方不明の方がいる場合はどうなりますか?

A. 判断能力が十分でない方がいる場合は家庭裁判所に成年後見人等の選任を、行方が分からない方がいる場合は不在者財産管理人の選任を申し立てます。未成年のお子さんと親権者がともに相続人であれば特別代理人が必要です。いずれも選任まで1か月から3か月程度かかるため、早めに動きましょう。

Q. 銀行が遠方にあるのですが、郵送で手続きできますか?

A. 多くの金融機関では、郵送での相続手続きに対応しています。まずは取引支店に電話をして、相続が発生した旨を伝え、手続き方法や必要書類の送付を依頼しましょう。

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電話番号
03-6773-5295(受付 全日 9:00〜19:00)
対応責任者
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本記事は正確な情報提供を心掛けておりますが、執筆時点の情報に基づいているため、法改正や人的ミス、個別のケースにより適用が異なる可能性があります。最新の情報や具体的なご相談については、お気軽に弊法人の税理士までお問い合わせください。