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譲渡所得の内訳書(土地・建物用)の記入例|共有名義・取得費不明の書き方を解説

目次
  1. 譲渡所得の内訳書【土地・建物用】とは
  2. 様式の役割と提出方法
  3. 1面〜5面の構成と使う面
  4. 記入の前に押さえる計算の基本
  5. 譲渡所得金額の計算式
  6. 長期譲渡所得と短期譲渡所得の区分
  7. 共有名義の土地を売った場合の記入例
  8. 設例の前提
  9. 2面「1」共有者の持分と譲渡価額の書き方
  10. 3面「2」取得費が分からない場合の書き方
  11. 建物がある場合の償却費相当額
  12. 3面「3」譲渡費用と「4」譲渡所得金額の計算
  13. 共有者が複数いる場合の注意点
  14. 3,000万円の特別控除を受ける場合の記入例
  15. 共有のマイホームは1人ごとに最高3,000万円
  16. 設例と「4」欄の記入
  17. 所有期間10年超なら軽減税率も重ねて使える
  18. 記入時に見落としやすいポイント
  19. 相続した不動産は取得費加算の特例も確認
  20. 提出前のチェックリスト
  21. まとめ
  22. 参考文献
  23. 譲渡所得の内訳書(土地・建物用)のよくある質問まとめ

この記事は、土地や建物を売却した事業者・経営者・資産家の方に向けて、確定申告に添付する「譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書)【土地・建物用】」の記入例を解説するものです。「兄弟で共有していた土地を売ったが、持分の書き方が分からない」「先代から引き継いだ土地で購入時の資料が残っていない」「マイホームの3,000万円控除をどの欄に書けばよいのか」と迷われている方も多いはずです。

結論からお伝えすると、共有名義の土地・建物を売ったときは、共有者がそれぞれ自分の持分について内訳書を作成し、譲渡価額・取得費・譲渡費用を「全体の金額×持分」の二段書きで記入します。購入代金が分からない場合は譲渡価額の5%を概算取得費として記入でき、居住用財産の3,000万円特別控除は3面「4」のD欄に、差引金額を限度として記入します。以下、令和7年分の様式に沿って、設例の数字を使いながら順に説明します。

譲渡所得の内訳書【土地・建物用】とは

様式の役割と提出方法

土地・建物用の内訳書は、土地や建物を譲渡した場合の譲渡所得金額の計算用として、また措置法等による特例の適用を受ける場合の計算明細書として使用する様式です国税庁 申告書添付書類一覧(所得税及び復興特別所得税(譲渡所得・山林所得関係)申告書添付書類)。令和7年分以降用の様式の「記載上の注意事項」では、次の点が示されています。

作成単位 一の契約ごとに1枚ずつ使用して記載し、確定申告書とともに提出する
特例の添付書類 特例の適用を受けるために必要な書類は内訳書に添付する。登記事項証明書は「譲渡所得の特例の適用を受ける場合の不動産に係る不動産番号等の明細書」等で代えることもできる
契約が2つ以上 長期・短期のそれぞれで、いずれか1枚の内訳書の3面「4」各欄の上段に合計額を二段書きする
損失が出た場合 土地建物等の譲渡損失は、一定の居住用財産の譲渡損失を除き、他の所得と損益通算できない

なお、金地金やゴルフ会員権など、土地・建物や株式等以外の資産を売ったときは、別様式の【総合譲渡用】を使います。

関連コラム譲渡所得の内訳書 総合譲渡用の記載例|金地金・ゴルフ会員権の書き方を税理士が解説▸

1面〜5面の構成と使う面

土地・建物用の内訳書は1面から4面の本体と、5面で構成されています。どの面を書くかは、受ける特例によって変わります。

1面 住所・氏名・電話番号・職業、関与税理士名
2面 「1」譲渡(売却)した土地・建物の所在地、面積、利用状況、契約日・引渡日、共有者の持分、買主、①譲渡価額
3面 「2」購入(建築)代金などと②取得費、「3」③譲渡費用、「4」譲渡所得金額の計算
4面 交換・買換え(代替)の特例の適用を受ける場合だけ記載
5面 被相続人の居住用財産に係る譲渡所得の特別控除の特例(措法35)の適用を受ける場合に使用

特例を使わない売却や、3,000万円の特別控除だけを受ける売却であれば、1面・2面・3面を記入すれば足ります。交換・買換え(代替)の特例を受ける場合は1面・2面・3面(「4」を除く)と4面、被相続人の居住用財産(空き家)の特例を受ける場合は1面・2面・3面と5面を使います。

記入の前に押さえる計算の基本

譲渡所得金額の計算式

土地や建物の譲渡所得は、給与所得や事業所得などとは分離して計算します。譲渡所得の金額は、土地や建物を売った金額(収入金額)から取得費と譲渡費用を差し引いて計算します国税庁 No.3202 譲渡所得の計算のしかた(分離課税)。内訳書の3面「4」もこの順番で欄が並んでいます。

A収入金額(①譲渡価額) − B必要経費(②取得費+③譲渡費用) = C差引金額
C差引金額 − D特別控除額 = E譲渡所得金額

譲渡費用とは、土地や建物を売るために直接かかった費用で、仲介手数料、測量費、売買契約書の印紙代、借家人への立退料、建物を取り壊して土地を売るときの取壊し費用などです。一方、修繕費や固定資産税など資産の維持・管理のために支出したものは譲渡費用に含まれません。

長期譲渡所得と短期譲渡所得の区分

3面「4」の「区分」欄では、短期か長期かに○を付けます。判定の基準日は、売った日ではなく売った年の1月1日です。

区分 判定と所得税の税率
長期譲渡所得 売った年の1月1日で所有期間が5年超。課税長期譲渡所得金額×15%(住民税5%)国税庁 No.3208 長期譲渡所得の税額の計算
短期譲渡所得 売った年の1月1日で所有期間が5年以下。課税短期譲渡所得金額×30%(住民税9%)国税庁 No.3211 短期譲渡所得の税額の計算

平成25年から令和29年までの各年分は、所得税額に2.1%を掛けた復興特別所得税もあわせて申告・納付します。相続や贈与で取得した土地建物は、被相続人や贈与者が取得した日から所有期間を数えます。

関連コラム譲渡所得の住民税は何%?長期5%・短期9%と計算方法を税理士が解説▸

共有名義の土地を売った場合の記入例

設例の前提

ここからは、共有名義で、しかも取得費が分からない土地を売ったケースで記入していきます。数字は説明のために作った架空のものです。

売った人 会社を経営するAさん(個人として申告)
売った資産 亡父から相続した宅地(公簿300.00㎡)。Aさんと弟Bさんが持分2分の1ずつで共有。亡父が昭和50年代に購入したが、売買契約書などが残っていない
売買契約日・引渡日 令和7年6月20日に契約し手付金4,000,000円を受領。令和7年8月29日に残金36,000,000円を受領して引渡し
固定資産税の精算金 引渡日から年末までに対応する固定資産税・都市計画税相当額120,000円を、残金とともに受領
譲渡費用(全体) 仲介手数料1,386,000円、測量費330,000円、売買契約書の収入印紙代10,000円
受領・支払の割合 代金・費用とも、AさんとBさんが持分(2分の1)どおりに受け取り・支払っている

この場合、AさんとBさんはそれぞれ自分の確定申告書に、自分の持分について作成した内訳書を添付します。共有者の1人がまとめて全体を申告するのではない点に注意してください。以下はAさんの内訳書の記入例です。

2面「1」共有者の持分と譲渡価額の書き方

国税庁の令和7年分の記載例では、売った土地や建物が共有であった場合には、自分の持分と、他の共有者の住所・氏名・持分を書くこととされています。また、①譲渡価額は、共有の場合には全体の譲渡代金と持分に応じた譲渡代金を二段書きにし、譲渡日から年末までの期間に対応する固定資産税・都市計画税(未経過固定資産税等)相当額の支払を受けた場合は、その額を譲渡価額に含めて書くとされています国税庁 令和7年分譲渡所得の申告のしかた。

所在地番 売買契約書に記載された物件の所在地
土地の種類・面積 「宅地」にチェック。公簿300.00㎡(実測して売った場合は実測面積も記入)
利用状況 売却直前の状況でチェック(設例では「未利用」)
売買契約日 R7年6月20日
引き渡した日 R7年8月29日
あなたの持分 土地 2分の1
共有者の住所・氏名 弟Bさんの住所・氏名
共有者の持分 土地 2分の1
代金の受領状況 1回目 R7年6月20日 上段(4,000,000×1/2)下段2,000,000円
2回目 R7年8月29日 上段(36,120,000×1/2)下段18,060,000円
① 譲渡価額 上段(40,120,000×持分1/2)下段20,060,000円

譲渡価額の総額は、売買代金に固定資産税の精算金を加えた金額です。

売買代金40,000,000円 + 固定資産税等の精算金120,000円 = 譲渡価額の総額40,120,000円
譲渡価額の総額40,120,000円 × 持分1/2 = ①譲渡価額20,060,000円

「引き渡した日」は、通常、登記に必要な書類などを買主に交付して最終代金を受け取った日になります。日付は売買契約書と領収書で確かめてから記入してください。

3面「2」取得費が分からない場合の書き方

売った土地建物が先祖伝来のものであるとか、買い入れた時期が古いなどで取得費が分からない場合には、売った金額の5パーセント相当額を取得費とすることができます。実際の取得費が売った金額の5パーセント相当額を下回る場合も同じです国税庁 No.3258 取得費が分からないとき。

令和7年分の記載例では、5%相当額の計算は「購入(建築)先・支払先」欄を適宜使って書くこととされており、共有の場合は②取得費欄で持分を掛けて二段書きにしています。Aさんの記入は次のとおりです。

購入価額の内訳 土地
購入(建築)先・支払先 住所欄に「昭和50年代 父購入・令和○年相続」など、氏名欄に「40,120,000×0.05」
購入・建築代金又は譲渡価額の5% 2,006,000円(小計(イ)も同額)
② 取得費 上段(2,006,000×持分1/2)下段1,003,000円
譲渡価額の総額40,120,000円 × 5% = 概算取得費の総額2,006,000円
概算取得費の総額2,006,000円 × 持分1/2 = ②取得費1,003,000円

相続や贈与で取得した土地建物の取得費は、相続税の申告で使った評価額ではなく、被相続人や贈与者が買い入れたときの購入代金や購入手数料などを基に計算します。業務に使われていない土地建物を相続した際に相続人が支払った登記費用や不動産取得税も取得費に含まれますが、5%の概算取得費を使う場合には、相続人などが支払った登記費用などを取得費に含めることはできません国税庁 No.3270 相続や贈与によって取得した土地・建物の取得費と取得の時期。

実務の申告で多いのは、「資料がないから5%」と早めに決めてしまうケースです。古い通帳の出金記録、被相続人の確定申告書の控え、購入時の重要事項説明書などから実際の取得費が分かれば、そちらのほうが5%より大きくなることがあります。概算取得費を選ぶ前に、手元の資料を一度洗い出すことをおすすめします。

関連コラム譲渡所得の取得費5パーセントとは?概算取得費の計算と注意点を税理士が解説▸

建物がある場合の償却費相当額

建物も一緒に売った場合で、建物の購入代金が分かるときは、購入代金などの合計額から所有期間中の減価償却費相当額を差し引いた額が取得費になります。事業に使っていなかった建物(居住用など)の減価償却費相当額は、次の算式で計算します国税庁 No.3261 建物の取得費の計算。

建物の取得価額 × 0.9 × 償却率 × 経過年数 = 減価償却費相当額(取得価額の95%が限度)
木造 0.031
木骨モルタル 0.034
(鉄骨)鉄筋コンクリート 0.015
金属造①(骨格材の肉厚3mm以下) 0.036
金属造②(骨格材の肉厚3mm超4mm以下) 0.025

経過年数は6か月以上の端数を1年とし、6か月未満の端数は切り捨てます。事業に使っていた建物は、取得してから売るまでの毎年の減価償却費の合計額を差し引きます。内訳書では3面「2」(2)の欄で(ロ)建物の購入・建築価額から(ハ)償却費相当額を計算し、②取得費=(イ)+(ロ)−(ハ)として記入します。

3面「3」譲渡費用と「4」譲渡所得金額の計算

「3」の譲渡費用欄には、費用の種類ごとに支払先の住所・氏名、支払年月日、支払金額を書きます。共有の場合は、③譲渡費用欄で全体の金額に持分を掛けて二段書きにします。

仲介手数料1,386,000円 + 測量費330,000円 + 収入印紙代10,000円 = 譲渡費用の総額1,726,000円
譲渡費用の総額1,726,000円 × 持分1/2 = ③譲渡費用863,000円

続いて「4」の欄です。相続した土地は亡父の取得日から所有期間を数えるため、設例は長期譲渡所得になり、「区分」欄の「長期」に○を付けます。特例を使わないので「特例適用条文」欄とD特別控除額欄は空欄のままです。

②取得費1,003,000円 + ③譲渡費用863,000円 = B必要経費1,866,000円
A収入金額20,060,000円 − B必要経費1,866,000円 = C差引金額18,194,000円
C差引金額18,194,000円 − D特別控除額0円 = E譲渡所得金額18,194,000円

参考までに、この金額にかかる税額の目安は次のとおりです(他の所得控除などは考慮していません)。

18,194,000円 × 15% = 所得税2,729,100円
所得税2,729,100円 × 2.1% = 復興特別所得税57,311円(1円未満切捨て)
18,194,000円 × 5% = 住民税909,700円

内訳書で計算した金額は、確定申告書第三表(分離課税用)の「分離課税の短期・長期譲渡所得に関する事項」欄などに転記します。弟Bさんも同じ数字で自分の内訳書を作り、「あなたの持分」欄に自分の持分、共有者欄にAさんの住所・氏名と持分を書きます。

共有者が複数いる場合の注意点

共有で売却したケースでは、次のような記入漏れや食い違いが起こりがちです。

よくある誤り 正しい扱い
①譲渡価額に全体の売買代金だけを書く 全体の金額と持分に応じた金額を二段書きにし、自分の持分の金額で計算する
固定資産税の精算金を譲渡価額に入れていない 譲渡日から年末までに対応する精算金は譲渡価額に含めて書く
共有者ごとに取得費の計算方法が違う 同じ資料に基づく取得費は共有者間でそろえておく。実額と5%のどちらを使うか事前にすり合わせる
他の共有者の欄を空欄にする 他の共有者の住所・氏名と持分を記入する

なお、設例は代金・費用とも持分どおりに受け取り・支払った前提です。実際には共有者の1人が費用をまとめて立て替えたり、建物と土地で持分が異なったりすることもあり、その場合の按分は個別に判断が必要です。共有者が3人以上で欄に書ききれないときの書き方も含め、迷う点があれば早めに税理士へ確認しておくと、共有者間で申告内容がずれるのを防げます。

3,000万円の特別控除を受ける場合の記入例

共有のマイホームは1人ごとに最高3,000万円

マイホーム(居住用財産)を売ったときは、所有期間の長短に関係なく譲渡所得から最高3,000万円まで控除できる特例があります。売った年の前年・前々年にこの特例を受けていないこと、親子や夫婦など特別の関係がある人への売却でないことなどの要件があり、適用を受けるには確定申告が必要です国税庁 No.3302 マイホームを売ったときの特例。

共有のマイホームを売った場合、特例を受けられるかどうかは共有者ごとに判定します。特別控除額は共有者全員で3,000万円ではなく、特例の適用を受けられる共有者1人につき最高3,000万円です。確定申告書は一人一人が提出します。また、家屋は共有でなく敷地だけを共有している場合、家屋の所有者以外の人は原則としてこの特例を受けられません国税庁 No.3308 共有のマイホームを売ったとき。

設例と「4」欄の記入

次の設例で、夫Cさんの内訳書の「4」欄を見ていきます。

売った資産 夫Cさんと妻Dさんが持分2分の1ずつで共有するマンション(土地・建物とも)。平成20年に購入し、売却まで夫婦で居住
譲渡価額(全体) 120,000,000円
取得費(全体) 50,000,000円(建物は減価償却費相当額を差し引いた後)
譲渡費用(全体) 4,000,000円
①譲渡価額(120,000,000×1/2)60,000,000円 − B必要経費27,000,000円(②取得費25,000,000円+③譲渡費用2,000,000円) = C差引金額33,000,000円
C差引金額33,000,000円 − D特別控除額30,000,000円 = E譲渡所得金額3,000,000円

令和7年分の記載例では、居住用財産の特別控除額は「C差引金額」欄の金額を限度として、最高3,000万円まで控除できるとされています。差引金額が3,000万円に満たない場合は、D欄には差引金額と同じ額を書き、E欄は0円になります。妻Dさんも要件を満たしていれば、自分の内訳書で同じように最高3,000万円を控除できます。

区分 「長期」に○
特例適用条文 「措」に○を付け、「35条1項」。軽減税率もあわせて受ける場合は「31条の3」も記入
D特別控除額 30,000,000円
申告書第三表 「特別控除額の合計額」欄への記入を忘れない

所有期間10年超なら軽減税率も重ねて使える

売った年の1月1日において売った家屋と敷地の所有期間がともに10年を超えているなど一定の要件を満たせば、長期譲渡所得の税額を低い税率で計算する軽減税率の特例を受けられます。3,000万円の特別控除の特例と軽減税率の特例は重ねて受けることができ、課税長期譲渡所得金額が6,000万円以下の部分の所得税率は10%です国税庁 No.3305 マイホームを売ったときの軽減税率の特例。設例のCさんは平成20年購入で令和7年1月1日時点の所有期間が10年を超えるため、E欄の3,000,000円に10%の税率を当てはめます。

課税長期譲渡所得金額3,000,000円 × 10% = 所得税300,000円

マイホームの特例は、売った家屋の利用状況(2面「1」の「自己の居住用」と居住期間)とも整合している必要があります。住民票の住所とマイホームの所在地が異なる場合などは、戸籍の附票の写しなど居住の事実を明らかにする書類の提出も求められます。

記入時に見落としやすいポイント

相続した不動産は取得費加算の特例も確認

相続や遺贈で取得した土地・建物を、相続開始のあった日の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までに売った場合、相続税額のうち一定額を取得費に加算できる特例があります。適用を受けるには、「相続財産の取得費に加算される相続税の計算明細書」と土地・建物用の内訳書を確定申告書に添えて提出します国税庁 No.3267 相続財産を譲渡した場合の取得費の特例。加算額は、この特例を適用しないで計算した譲渡益が限度です。

相続した不動産の売却では、共有での相続・概算取得費・取得費加算の3つが重なることが少なくありません。どの順番で計算し、内訳書のどの欄に反映させるかを整理してから記入すると、書き直しを減らせます。

関連コラム相続した不動産の売却にかかる税金|譲渡所得税の計算と2つの特例▸

提出前のチェックリスト

内訳書を提出する前に、次の項目を確認しておくと記入漏れを防げます。

  • 年分欄が売った年(設例では令和7年分)になっているか
  • 契約ごとに1枚作成し、2つ以上の契約がある場合は合計額をいずれか1枚の「4」上段に二段書きしているか
  • 共有の場合、自分の持分・他の共有者の住所・氏名・持分を記入し、金額を二段書きにしているか
  • 固定資産税等の精算金を譲渡価額に含めているか
  • 修繕費や固定資産税を譲渡費用に入れていないか
  • 概算取得費を使う場合、相続時の登記費用などを重ねて取得費に入れていないか
  • 特例を受ける場合、特例適用条文と必要書類の添付がそろっているか

国税庁の確定申告書等作成コーナーでも、画面の案内に沿って金額を入力すれば内訳書や確定申告書を作成できます。ただし、共有の持分按分や取得費の判断そのものは入力する側が行う必要があります。

まとめ

譲渡所得の内訳書【土地・建物用】は、一の契約ごとに1枚作成し、特例を使わない売却や3,000万円の特別控除を受ける売却では1面・2面・3面を記入します。共有名義の場合は、共有者がそれぞれ自分の持分について内訳書を作り、譲渡価額・取得費・譲渡費用を「全体の金額×持分」の二段書きで記入するのが基本です。

購入代金が分からない土地は譲渡価額の5%を概算取得費にできますが、資料を探せば実額のほうが有利になることもあります。マイホームの3,000万円控除は共有者1人ごとに最高3,000万円で、D欄には差引金額を限度に記入し、所有期間が10年を超えれば軽減税率も重ねて使えます。

共有者間での金額のそろえ方や、相続した不動産の取得費の判断は、申告後の修正につながりやすい論点です。具体的なケースで判断に迷う場合は、まずは税理士にご相談ください。

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参考文献

譲渡所得の内訳書(土地・建物用)のよくある質問まとめ

Q.共有名義の土地を売った場合、内訳書は共有者全員で1枚にまとめて提出しますか?

A.まとめません。共有者がそれぞれ自分の持分について内訳書を作成し、自分の確定申告書に添付して提出します。内訳書には自分の持分と、他の共有者の住所・氏名・持分を記入します。

Q.共有の場合、譲渡価額はどのように書きますか?

A.全体の譲渡代金と持分に応じた譲渡代金を二段書きにします。たとえば総額40,120,000円で持分2分の1なら、上段に(40,120,000×持分1/2)、下段に20,060,000円と書きます。取得費・譲渡費用も同じ形で記入します。

Q.先祖代々の土地で購入代金が分からない場合、取得費はどう書きますか?

A.譲渡価額の5パーセント相当額を取得費(概算取得費)として記入できます。5%の計算は3面「2」の「購入(建築)先・支払先」欄を使って書きます。概算取得費を使う場合、相続時に支払った登記費用などを重ねて取得費に含めることはできません。

Q.夫婦共有のマイホームを売った場合、3,000万円控除は夫婦で合計3,000万円ですか?

A.いいえ。特例を受けられるかどうかは共有者ごとに判定し、要件を満たす共有者1人につき最高3,000万円を控除できます。確定申告書は一人一人が提出します。

Q.3,000万円の特別控除は内訳書のどこに書きますか?

A.3面「4」のD特別控除額欄に、C差引金額を限度として記入し、特例適用条文欄に「措」35条1項と書きます。確定申告書第三表の特別控除額の合計額欄への記入も忘れないようにします。

Q.内訳書の4面や5面は必ず記入する必要がありますか?

A.必要ありません。4面は交換・買換え(代替)の特例を受ける場合、5面は被相続人の居住用財産の特例を受ける場合に使います。特例を使わない売却や3,000万円の特別控除だけを受ける売却では、1面・2面・3面を記入します。

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本記事は正確な情報提供を心掛けておりますが、執筆時点の情報に基づいているため、法改正や人的ミス、個別のケースにより適用が異なる可能性があります。最新の情報や具体的なご相談については、お気軽に弊法人の税理士までお問い合わせください。