e-Taxへのログインや申告データの送信時に「利用者識別番号が廃止されています。確認の上、再度入力してください。」と表示された場合、入力した16桁の番号がe-Tax上で有効な番号ではなくなっていることを示しています。最も多い原因は、過去に届出書をもう一度提出して新しい利用者識別番号を取得しているケースです。対処の順序は、手元の資料で有効な番号を確認し、分からなければ所轄の税務署に確認し、番号自体が存在しない場合は開始届出書を提出し直す、という流れになります。本記事では、この表示が出る原因と手続の進め方を、国税庁が公表している届出書の記載要領などをもとに整理します。
エラー表示の意味と対処の全体像
このメッセージは、入力した利用者識別番号そのものが誤っているか、その番号がすでに有効でなくなっていることを知らせるものです。利用者識別番号は、e-Taxで申告や申請・届出、納税を行うために必要な16桁の番号で、開始届出書の提出に基づいて暗証番号とともに通知されます。国税庁 電子申告・納税等開始届出書(個人の方用)の記載要領等したがって、番号の入力ミスを除けば、その番号が過去に使われていた古い番号になっていないかを最初に疑うことになります。
対処は次の3段階で進めると迷いません。桁数や全角半角の入力誤りを除外したうえで、有効な番号を特定し、特定できない場合に税務署の手続に進みます。番号を持っていないことが判明した場合にだけ、新たに取得する手続を行います。
| ステップ1 入力内容の確認 |
16桁の半角数字であるか、古い控えの番号を入力していないかを確認します。 |
|---|---|
| ステップ2 有効な番号の特定 |
過去の申告書等の控え、税務署からの郵送物、e-Taxのマイページ、作成コーナーの保存データなどを確認します。 |
| ステップ3 税務署への手続 |
番号が分からない場合は変更等届出書を、番号がない場合は開始届出書を所轄の税務署に提出します。 |
利用者識別番号が廃止された状態となる主な原因
番号が有効でなくなる典型的なパターンは2つあります。いずれも過去に提出した届出書が原因であり、心当たりがあるかどうかで切り分けができます。まずは、自社や自身が過去にどの届出書を提出したかを思い出すところから始めます。
開始届出書の再提出による新しい番号の取得
最も多いのが、すでに利用者識別番号を持っているにもかかわらず、開始届出書をもう一度提出して新しい番号を取得しているケースです。国税庁は、既に利用者識別番号を取得している方がこの届出書を再度提出して新たな利用者識別番号を取得した場合、新たな番号では古い番号により提出した申告等の内容を確認することはできなくなる、と明記しています。国税庁 電子申告・納税等開始届出書(法人用)の記載要領等つまり、後から取得した番号が使われる状態になり、古い番号は使えなくなります。
国税庁のQ&Aでも、誤って利用者識別番号を複数取得してしまった場合には、最後に取得した利用者識別番号が有効となり、古い利用者識別番号に係るメッセージボックスが確認できなくなる旨が示されています。国税庁 相続税申告書の代理送信等に関するQ&Aこれは令和6年1月付の資料ですが、番号の重複取得がどう扱われるかを示す点で共通します。古い番号を控えに残したまま使い続けていると、このエラーに行き当たります。
e-Taxの利用の取りやめの届出
もう1つの原因が、変更等届出書によってe-Taxの利用をやめる届出を行っている場合です。変更等届出書は、暗証番号等の再発行、税務代理による利用の開始、税務代理による利用の取りやめ、電子証明書の更新等、または国税電子申告・納税システムの利用の取りやめを行う場合に提出するものとされています。国税庁 電子申告・納税等変更等届出書(個人の方用)の記載要領等利用の取りやめを届け出た後に再びe-Taxを使う場合は、改めて開始届出書を提出することになります。
心当たりがない場合の切り分け
本人に心当たりがなくても、顧問税理士の変更時や会計ソフトの乗り換え時に、代理で届出書が提出されていることがあります。また、社内で担当者が交代した法人では、前任者が取得した番号と後任者が取得した番号が並存していることもあります。過去の送信控えに記載された番号と、現在ソフトに登録している番号が一致しているかを突き合わせると、原因が見えてきます。
有効な利用者識別番号の確認方法
新しい番号を取り直す前に、有効な番号が手元で確認できないかを先に探します。国税庁は、利用者識別番号が分からない場合の確認先として、過去に電子申告を行った申告書等の控えや税務署からの郵送物、確定申告書等作成コーナーの保存データの入力内容、e-Taxのマイページ、e-Taxソフトのメッセージボックス確認時に表示される暗証番号入力画面などを挙げています。順に当たっていくのが確実です。
| 過去の申告書等の控え | 所得税や法人税などをe-Taxで送信した際の控えに記載されています。 |
|---|---|
| 税務署からの郵送物 | 届出書の提出に基づいて通知された書面に記載されています。 |
| 作成コーナーの保存データ | 保存した申告書データを読み込み、入力内容から確認します。 |
| e-Taxのマイページ等 | ログイン後の画面やソフトの暗証番号入力画面から確認します。 |
複数の番号が見つかった場合は、最後に取得した番号が有効な番号にあたります。どちらが新しいかが判断できないときは、後述する税務署への確認手続を利用してください。控えが残っていない年分がある場合も同様です。
関連コラム利用者識別番号とは|e-Taxの16桁番号の取得・確認方法▸
番号が分からない場合・廃止されている場合の手続
手元の資料で有効な番号を特定できない場合は、税務署の手続に進みます。番号が存在するかどうかで使う届出書が変わるため、いきなり開始届出書を出すのではなく、まず確認の手続から入るのが基本です。判断を誤ると番号をさらに増やしてしまい、状況が複雑になります。
変更等届出書による確認と暗証番号の再発行
番号が分からない場合や暗証番号を忘れた場合は、変更等届出書を提出します。暗証番号の忘失等により再発行を受ける場合にも届出が必要とされており、参考事項欄には再発行を受ける理由を記載することとされています。国税庁のQ&Aでは、利用者識別番号がある場合には既に取得している番号と仮の暗証番号が税務署から本人に郵送され、番号がない場合にはその旨が税務署から電話で伝えられる取扱いが示されています。
開始届出書による新規取得
番号が存在しないことが分かった場合や、利用の取りやめを届け出ていた場合は、開始届出書を提出して新たに番号を取得します。開始届出書は、e-Taxの開始(変更等)届出書作成・提出コーナーで作成のうえe-Taxに提出する方法が案内されています。国税庁 H3-1 電子申告・納税等開始(変更等)の届出|国税庁届出の内容を変更する場合や書面で提出する場合は、後日、税務署から郵送等で通知書が送付されます。
提出先と受付時間
提出先は納税地を所轄する税務署長です。個人の方は申告所得税の納税地、法人は法人税の納税地が基準となり、支店等については各税法の納税地によります。税務署の開庁時間は8時30分から17時までで、閉庁日は受付を行っていませんが、送付または時間外収受箱への投函による提出は可能です。
新しい番号を取得する前に押さえる注意点
新しい番号を取得すると当面のログインはできるようになりますが、過去の申告データの見え方が変わります。前述のとおり、新たな番号では古い番号で提出した申告等の内容を確認できなくなるため、メッセージボックスに保管されている受信通知や送信控えが必要な場合は、取得前に扱いを整理しておく必要があります。とくに、過去の受信通知を金融機関などへ提示する予定がある場合は注意が必要です。
実務では、個人事業主の方が数年前にご自身で番号を取得したことを忘れ、確定申告の直前に開始届出書を提出し直して新しい番号を取得してしまう例がよく見られます。その結果、前年分の受信通知が新しい番号では確認できず、融資審査に必要な申告書控えの取得に手間取る、といった事態につながります。こうした手戻りを防ぐためにも、番号を取り直す前に控えや郵送物を一通り探すことをおすすめします。
また、法人で税理士に代理送信を依頼している場合は、番号が変わったことを税理士や利用中のソフトの登録情報にも反映させる必要があります。担当者だけが番号を変更し、関係者に共有されていないと、送信時に同じエラーが再発します。判断に迷う具体的なケースは、自己判断で番号を取り直す前に税理士へご相談いただくのが安全です。
再発防止とログイン方式の考え方
同じエラーを繰り返さないための基本は、有効な利用者識別番号と暗証番号を社内の定まった場所で保管し、担当者交代時に引き継ぐことです。届出書の提出履歴を記録しておくと、番号が増えてしまう事故を防げます。顧問税理士に代理送信を依頼している場合は、どちらが届出書を提出するのかを事前に決めておくと重複取得を避けられます。
ログイン方式についても前提が変わっています。国税庁は、確定申告書等作成コーナーで利用するID・パスワード方式について、令和7年10月1日より新規発行を停止し、これから初めてe-Taxを利用する方にはマイナンバーカード方式を案内することとしています。国税庁 「確定申告書等作成コーナー」で利用するID・パスワードの新規発行停止についてすでにID・パスワード方式の届出をしている方は引き続き利用できるとされています。
あわせて、e-Taxを利用するために必要な利用者識別番号の新規取得やe-Taxへのログインは引き続き可能であることも示されています。つまり、利用者識別番号そのものが廃止されたわけではなく、あくまで作成コーナーで使うID・パスワードの新規発行が止まったという整理です。今後の運用を考えると、マイナンバーカードを使ったログイン方式への移行を前提に社内の手順を見直しておくと安定します。
関連コラムe-TaxのID・パスワードはどこで発行?税務署での手続を税理士が解説▸
まとめ
「利用者識別番号が廃止されています。確認の上、再度入力してください。」という表示は、入力した16桁の番号が有効でなくなっていることを示すものです。原因の多くは開始届出書の再提出による新しい番号の取得か、e-Taxの利用の取りやめの届出にあります。まずは控えや郵送物、マイページなどで有効な番号を探し、それでも分からない場合に税務署の手続へ進むのが安全な順序です。
新しい番号を取得すると、古い番号で提出した申告等の内容は新しい番号では確認できなくなります。番号を取り直す前に、過去の受信通知や送信控えの必要性を整理しておくことが、手戻りを防ぐ最大のポイントです。届出書の種類や提出先の判断に迷う場合は、所轄の税務署に確認するか、顧問税理士に相談したうえで進めてください。
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参考文献
- 国税庁 H3-1 電子申告・納税等開始(変更等)の届出|国税庁
- 国税庁 電子申告・納税等開始届出書(個人の方用)の記載要領等
- 国税庁 電子申告・納税等変更等届出書(個人の方用)の記載要領等
- 国税庁 電子申告・納税等開始届出書(法人用)の記載要領等
- 国税庁 相続税申告書の代理送信等に関するQ&A
- 国税庁 「確定申告書等作成コーナー」で利用するID・パスワードの新規発行停止について
利用者識別番号の廃止表示に関するよくある質問まとめ
Q.「利用者識別番号が廃止されています」と表示されるのはなぜですか。
A.入力した16桁の番号が有効な利用者識別番号ではなくなっていることを示す表示です。開始届出書を再度提出して新しい番号を取得した場合や、e-Taxの利用の取りやめを届け出た場合に生じます。まずは入力誤りがないかを確認し、次に有効な番号を探してください。
Q.有効な利用者識別番号はどこで確認できますか。
A.過去に電子申告を行った申告書等の控え、税務署からの郵送物、確定申告書等作成コーナーの保存データの入力内容、e-Taxのマイページやソフトの暗証番号入力画面などから確認できます。複数の番号が見つかった場合は、最後に取得した番号が有効な番号にあたります。
Q.番号がどうしても分からない場合はどうすればよいですか。
A.納税地を所轄する税務署に変更等届出書を提出して確認します。番号がある場合は既に取得している番号と仮の暗証番号が税務署から本人に郵送され、番号がない場合はその旨が税務署から連絡される取扱いとされています。暗証番号を忘れた場合も同じ届出書で再発行を受けられます。
Q.新しい利用者識別番号を取得すると過去の申告データはどうなりますか。
A.新たな利用者識別番号では、古い番号により提出した申告等の内容を確認することはできなくなります。メッセージボックスに保管されている受信通知や送信控えが必要な場合は、番号を取り直す前に扱いを整理しておく必要があります。
Q.届出書はどこの税務署に提出しますか。
A.納税地を所轄する税務署長に提出します。個人の方は申告所得税の納税地、法人は法人税の納税地が基準となり、支店等については各税法の納税地によります。税務署の開庁時間は8時30分から17時までです。
Q.ID・パスワード方式は今後も使えますか。
A.確定申告書等作成コーナーで利用するID・パスワードは、令和7年10月1日より新規発行が停止されました。すでに届出をしている方は引き続き利用できるとされており、利用者識別番号の新規取得やe-Taxへのログイン自体は引き続き可能とされています。


