税理士法人プライムパートナーズ

教育資金の一括贈与、令和8年で非課税終了後の贈与対策

2026-07-24
目次

お子さまやお孫さまの学費を、まとまった金額で早めに援助しておきたい。そう考えて「教育資金の一括贈与の非課税措置」の利用を検討していた方にとって、令和8年度税制改正は大きな転機となりました。この特例は適用期限であった令和8年3月31日を延長せず、そのまま終了することが決まったためです。「もう教育資金の援助は非課税でできないのか」と不安に感じる方も多いはずです。本記事では、制度が終了した事実を正確に整理したうえで、終了後も使える贈与の手段と、今から取るべき生前対策に焦点をあてて解説します。

令和8年度税制改正大綱による制度終了の決定

令和7年12月26日に閣議決定された令和8年度税制改正の大綱において、直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置は、適用期限を延長せずに終了する方針が示されました。財務省 令和8年度税制改正の大綱(目次)

この特例は、祖父母などが金融機関との教育資金管理契約に基づき、30歳未満の子や孫へ教育資金をまとめて贈与した場合に、一定額まで贈与税を非課税とするものでした。数次にわたり延長を重ねてきましたが、今回の改正で信託等が可能な期間が延長されず、区切りを迎えることになります。

終了後の取扱いと拠出期限

国税庁のタックスアンサーでも、この特例について適用期限であった令和8年3月31日が延長されずに終了し、令和8年4月1日以後は新たにこの特例の適用を受けることができない旨が明記されています。国税庁 No.4510 直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税

一方で、令和8年3月31日までに拠出された金銭等については、契約が続く間は引き続き非課税措置の対象となります。すでに契約を結んで資金を預け入れている場合は、その資金の払い出しや教育費への充当が急に不可能になるわけではありません。ご自身が契約済みか、これから新規に始めようとしていたのかで、影響がまったく異なる点にご注意ください。

制度そのものの仕組みや、過去に使えた非課税枠の詳細、使い切れなかった残額の取扱いについては、下記の既存コラムで詳しく解説しています。

関連コラム教育資金贈与1500万円非課税を2026年適用期限まで解説

関連コラム教育資金贈与が使い切れない残額の相続税と課税ルール

制度終了後も使える教育資金援助の手段

一括贈与の特例が終了しても、子や孫の教育を支援する方法がなくなるわけではありません。もともと存在する原則的な非課税ルールや、他の贈与制度を組み合わせることで、これまでと近い効果を得られる場合があります。代表的な手段は次の3つです。

扶養義務者間の都度贈与 親や祖父母が、必要な都度、直接学費や生活費に充てる贈与。もともと贈与税の課税対象外です。
暦年課税による贈与 受贈者1人あたり年間110万円の基礎控除の範囲内であれば贈与税がかからず、毎年繰り返せます。
相続時精算課税 18歳以上の子や孫へ、原則60歳以上の親や祖父母が贈与する場合に選択でき、年110万円の基礎控除と特別控除が使えます。

扶養義務者間の「都度」の教育費贈与

もっとも基本となるのが、扶養義務者間で必要な都度支払われる教育費です。国税庁は、生活費や教育費として通常必要と認められるもので、必要な都度、直接これらに充てるためのものは贈与税がかからないとしています。国税庁 No.4405 贈与税がかからない場合

たとえば入学金や授業料を、その支払時期に合わせて祖父母が直接学校へ振り込む、あるいは孫の口座へ渡して速やかに学費に充てる、といった形が該当します。金額の上限が定められていない点が大きな特徴です。ただし、名目が教育費であっても、預貯金として蓄えたり株式や不動産の購入に充てたりした部分は課税対象となるため、都度支払い・直接充当の原則を守ることが重要です。

暦年課税による年110万円の贈与

まとまった資金を計画的に移したい場合は、暦年課税を活用します。贈与税は、その年の1月1日から12月31日までに受けた財産の合計額から、基礎控除額110万円を差し引いた残りに対してかかります。国税庁 No.4402 贈与税がかかる場合

年間110万円以内であれば贈与税はかからず、申告も不要です。これを複数年にわたって続ければ、まとまった額を無理なく移すことができます。

110万円 × 10年間 = 贈与税ゼロで移せる金額1100万円

受贈者ごとに110万円の枠があるため、複数の孫へ贈与すれば移せる総額はさらに大きくなります。教育資金という使途に縛られず、生活費や結婚資金など幅広く使える柔軟さも利点です。

相続時精算課税の活用

より大きな金額を早期に贈与したい場合は、相続時精算課税も選択肢になります。18歳以上の子や孫が、原則60歳以上の父母や祖父母から贈与を受ける場合に選択でき、令和6年1月1日以後の贈与からは年110万円の基礎控除が新設されました。この基礎控除内の贈与は相続財産への加算も不要です。国税庁 No.4103 相続時精算課税の選択

基礎控除を超えた部分についても、累計2500万円までの特別控除の範囲内であれば贈与時に贈与税はかかりません。まとまった学費を一度に援助したいケースと相性がよい制度ですが、いったん選択すると同じ贈与者からの贈与について暦年課税へ戻せない点には注意が必要です。ご家庭の状況によってどの手段が適するかは変わるため、判断に迷う場合は専門家への相談をおすすめします。

税理士法人プライムパートナーズ オフィス 相続のご質問、まずは無料相談 税理士法人プライムパートナーズ 無料相談はこちら

今から取るべき生前対策の考え方

一括贈与の特例が終了した今、教育資金の援助は「まとめて非課税で渡す」から「日常的・計画的に渡す」への発想の転換が求められます。特別な制度に頼らなくても、原則的なルールを正しく使えば十分な支援が可能です。

まず、入学や進学のタイミングで発生する学費は、扶養義務者間の都度贈与として直接支払う方法を基本に据えます。そのうえで、将来に備えてある程度まとまった資金を移しておきたい場合は、暦年課税の年110万円や相続時精算課税を組み合わせます。いずれの方法でも、贈与の事実を明確にするため、振込記録を残す、贈与契約書を作成するといった記録の整備が大切です。

教育資金の援助は、単独で考えるより相続全体の生前対策の一部として設計するほうが効果的です。誰に、いつ、どの手段でいくら渡すかを整理することで、将来の相続税負担の軽減にもつながります。

具体的なケースは税理士へのご相談をおすすめします。

お問い合わせはこちら

まとめ

直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置は、令和8年度税制改正の大綱で適用期限を延長せず、令和8年3月31日をもって終了しました。令和8年4月1日以後は新たな適用を受けられませんが、同日までに拠出済みの資金は引き続き対象となります。制度が終わっても、扶養義務者間の都度贈与、暦年課税の年110万円、相続時精算課税といった手段を使えば、子や孫への教育支援は続けられます。ご家庭に合った方法を早めに検討し、相続全体を見据えた生前対策として整えていくことが大切です。

参考文献

教育資金一括贈与終了のよくある質問まとめ

Q.教育資金の一括贈与の非課税措置はいつ終了しましたか。

A.令和8年度税制改正の大綱で適用期限を延長しないことが決まり、令和8年3月31日をもって終了しました。令和8年4月1日以後は新たに適用を受けることができません。

Q.すでに教育資金管理契約を結んでいる場合はどうなりますか。

A.令和8年3月31日までに拠出された金銭等については、契約が続く間は引き続き非課税措置の対象となります。既存契約が直ちに無効になるわけではありません。

Q.制度終了後も非課税で教育資金を渡せますか。

A.扶養義務者間で必要な都度、直接教育費に充てる贈与はもともと贈与税がかかりません。これに暦年課税や相続時精算課税を組み合わせることも可能です。

Q.都度の教育費贈与に金額の上限はありますか。

A.上限は定められていません。ただし必要な都度、直接教育費に充てることが条件で、預貯金や投資に回した部分は贈与税の課税対象となります。

Q.暦年課税では年間いくらまで非課税ですか。

A.受贈者1人あたり年間110万円の基礎控除があり、この範囲内なら贈与税はかからず申告も不要です。複数年続ければまとまった額を移せます。

Q.相続時精算課税は教育資金の援助に使えますか。

A.18歳以上の子や孫へ原則60歳以上の親や祖父母が贈与する場合に選択でき、年110万円の基礎控除と累計2500万円までの特別控除が使えます。まとまった援助に向きます。

事務所概要
社名
税理士法人プライムパートナーズ
住所
〒107-0052
東京都港区赤坂5丁目2−33
IsaI AkasakA 17階
対応責任者
税理士 島本 雅史

本記事は正確な情報提供を心掛けておりますが、執筆時点の情報に基づいているため、法改正や人的ミス、個別のケースにより適用が異なる可能性があります。最新の情報や具体的なご相談については、お気軽に弊法人の税理士までお問い合わせください。

\ 相続の不安、専門家にまずは無料相談 /
相続税申告でお困りの方へ
土日無料相談会 受付中!
相続税申告実務 経験者待遇あり
スタッフ積極採用中!
士業の先生向け専門家AI
士業AI【税務】